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佐藤 善彦
Sato Yoshihiko
~Summary~
企業のブランディングには、顧客、社員、投資家などのステークホルダーに対する適切なコミュニケーションが不可欠です。しかし、これを実現するためには、ライターやデザイナーなどの専門家との密な連携が必要であり、そのために膨大なコストとリソースがかかることが大きな課題となっていた。
そこで、JBAは社内コミュニケーション支援で日本トップクラスの実績を誇り、これまで蓄積してきた膨大な企業の内部情報を利活用することで、企業ブランディングの効率化及び革新を目指すため、2024年10月にAI事業本部が立ち上がりました。プロジェクトの中心となったのはインターン生の佐藤であり、佐藤を中心に、日々新たな可能性を探求し、試行錯誤を重ねながら、生成AIをどのように活用できるのかを模索している。この取り組みは単なる業務のDX化に止まらず、生成AIを人間の能力を拡張するツールとして活用し、企業ブランディングの革新を目指すプロジェクトを紹介する。
眠っているのは、データか、可能性か。
JBAに眠る一流企業500社の企業データ。
初めて目にした時、その規模に圧倒された。
私は現在、オンラインの大学に通いながら、契約社員としてJBAで1年ほどフルコミットしています。呉高専出身で情報工学を学んでいて、AIなどの最新技術に人一倍興味がありました。ただ、プログラミングの基礎は分かる程度で、アルゴリズムや機械学習の知識は浅いです。それでも何か、AIに関して、実践的に関われる機会がないか、探していました。
初めて、JBAが持っている企業データを目にした時、その規模に圧倒されました。歴代の社長インタビューの音源や、企業戦略を詳しく記した社外秘資料、そして、現場の最前線で活躍する社員たちの生の声まで。こんな貴重な情報があるのか、と。しかし一方で、JBAではそれらの情報を全く使い切れていない現状がありました。
ある物流会社の海外事業概要を伝える企画で、社長メッセージの音源を聴く機会がありました。そこには、会社の未来像や事業の社会的意義について、経営者としての深い思いが語られていました。「こんなリアルな声が、社員向けの発信だけで終わってしまうなんてもったいない」と率直に感じました。
就活生が聞いたら、この会社で働きたいと絶対思うはず。お客様が聞いたら、もっとこの会社のファンになってくれるはず。そう確信したのに、人手が足りなくて何もできない。そのもどかしさが、ずっと心の中に引っかかっていました。
インターンとして働く中で、その思いは日に日に大きくなっていきました。経営者の想いも、現場の声も、ほとんどが眠ったまま。「AIを使えば何かできるんじゃないか」同僚と話すたびに、そんな話をしていた記憶があります。
そんな中、転機となったのは、とある日の社内ミーティングのことでした。とある企業のビジョンを伝える特集企画について、社長を交えて議論していたとき、「これ、AI使ったらすぐできそうだし、学生向けにも作れそうですね」とぽろっと発言しました。それを聞いた社長が、「いいね、やってみてよ」と。そこから一気に話が進んで、AI事業本部の立ち上げへとつながっていったのです。
生成AIは、年齢も経験も関係ない。
みんなスタートラインは一緒。
理論から実践へ。手探りながらも現場を動かす。
AI事業本部の立ち上げを任されたとき、これは大きなチャンスだと直感的に感じました。特に企業向けの生成AI活用は、完全な未開拓領域。どの企業も手探り状態で、確立されたノウハウは存在しません。つまり、誰もが同じスタートラインに立っているんです。従来のプロジェクトであれば、豊富な実務経験や高度な技術力が不可欠でした。でも、生成AIの世界では違います。むしろ、「今までこうやってきた」という常識が邪魔になることすらある。本当に必要なのは、実行力と情熱だけ。
「このプロジェクトを絶対に実装までもっていきたい」―この思いには、二つの理由がありました。一つは目の前のチャンスを確実に形にしたいという思い。そしてもう一つは、自分自身のキャリアを見据えた決断です。確かに私も高専で技術的な基礎は学んできましたしかし、エンジニアの世界には上には上がいるため、開発・研究側に回っていくのは難しい。その世界で勝負するよりも、実践の場で実装力を磨き、ビジネスの現場でAIを活用できる人材になる。それが自分の進むべき道だと確信したんです。
社内外で協力を仰ぎながら実践への道を模索する
最初に手がけたのは、生成AIによるライティングの代行。ですが、すぐに壁にぶち当たりました。生成AIの文章生成能力は確かにすごい。しかし、企業広報の制作物となると、思った以上のレベルが求められることに気づきました。ネットに転がっているような一般的なプロンプトでは、企業が求めるレベルには到底及ばない。
私たちが試行錯誤の中で特に重要だと気づいたのは、記事の目的をどれだけ解釈のブレが無いように言語化できるか、ということでした。良質な文章を生成するには、その記事が何を伝えたいのか、誰に向けて書くのか、どんな反応を期待するのか。これらを限りなく明確に定める必要があったんです。なぜなら、解釈のブレが発生してはいけないからです。例えば、一つの文章に対して5つの解釈の可能性があるとすれば、どの解釈が正しいのか、AIに対して具体的に指示してあげる必要がある。それくらい緻密な作業が求められました。これはもう完全に言語学の領域です。このままでは前に進めないと悟った私たちは、専門家の力を借りるしかないと決断しました。大学の研究室を片っ端から調べ、可能性のある教授を探し始めました。
そんな中、解決の糸口は、思いがけない形でやってきました。たまたま社内でその話をしていた時に、あるインターン生が「うちの大学に、言語学とAIの両方に詳しい教授がいますよ」と教えてくれたんです。すぐにメールでアプローチしました。企業の生データを使った実践的な研究という点に、教授も強い関心を示してくださいました。「正式な共同研究は難しいけれど、個人的な形でなら協力できるよ」という返事をいただき、週1回のミーティングが始まりました。以来、効果的なプロンプトの活用方法や、AIへの具体的な指示の仕方など、様々な観点から詳しく議論を重ねながら、開発を進めていきました。
企業ブランディングを次のステージへ
一人じゃ全く手が足りない。現場を巻き込んでさらに加速させる。
生成AIを実際の業務に導入しようとしたとき、次の壁が現れました。それは「既存の業務プロセスを完全に作り変える必要がある」という課題です。社員それぞれで、業務内容も、考え方も、AIへの理解度も異なります。そんな中で、全員に向けて生成AIの活用方法を説明し、新しい業務の流れを作り、実際に動かしていく。しかも、進行中の案件を止めることなくやらなければならない。自分だけでは、影響力もスピードも足りな過ぎました。
「もっと多くの人を巻き込まないと」
しかし、日々の業務に追われる社員たちに、AIの価値を理解し、協力してもらうのは容易ではありません。そこで私は思い切って、マネージャーと社長に直接かけあいました。社員に具体的なAIの使い方を理解してもらうため、社内AIセミナーを企画。講師として立った私は、その冒頭でこう切り出しました。
「JBAには30年分もの企業との対話が生の情報として日々蓄積されていますが、その価値ある情報の多くが有効活用されないまま眠っています。しかし、生成AIという革新的な技術を活用することで、これらの蓄積された情報を効果的に分析し、企業のブランディングを大きく加速させることが可能です。AIの活用が一般化していく時代において、重要なのはその使用方法です。企画の目的を明確にし、最適な結果を導くためのAI活用方法を見極めるという本質的な判断に、私たちは注力すべきです。」
セミナーをきっかけに、変化は加速していきました。「こんな使い方もできないかな」「他の使い方も知りたい」と、次々と試してくれる社員が現れます。ただそれでも、日々の業務に追われ、なかなか本格的な業務でのAI活用まで手が回らない。実装までもっていくためには、実践の場でのトライアンドエラーが必要。やはりこれだとスピードが落ちてしまう。
そこで次に始めたのが、週末の「AIブートキャンプ」です。平日は忙しい社員でも参加できるよう、土曜日に開催。実践的なAIの使い方を共有し、現場の課題に即したプロンプトを、参加者と一緒に開発していきました。
生成AIのファーストペンギンとなるために。
最初の成果は想像以上でした。社内の簡単なライティング業務は、今ではほとんどAIが担っています。例えば、とある企画では、これまで数日かかっていた作業がたった20分で完了。このスピード感に、AIの可能性を強く感じました。
しかし、これは私たちの目指す姿の第一歩に過ぎません。本当にやりたいことは、もっと先にあります。それは、企業ブランディングの在り方を根本から変えること。今までのように人手をかけて一つ一つ制作するのではなく、AIを活用して企業の魅力を効率的に、かつ深く伝えていく。そんな新しいプラットフォームを作ることです。
そのため、私たちは次のステップとして、画像生成、Webデザイン、動画編集など、クリエイティブの様々な領域でAIの活用を進めています。プロのクリエイターの技術とAIを組み合わせることで、制作のスピードと質、両方を高められることが見えてきました。
JBAには30年かけて築いてきた、企業との深い関係があります。その中で得た知見と最新のAI技術を組み合わせることで、企業の本当の価値をもっと効果的に伝えられるはずです。私たちにしかできない、新しい形の企業ブランディング。その未来は、既に動き始めているのです。
100年に一度のゴールドラッシュ
その最前線で新時代の扉を開く
間違いなく、100年に一度のゴールドラッシュが起きている、そう確信しています。最も劇的な変化は、生成AIの台頭によって、「下剋上」が可能になったことです。
数年前まで、AIと言えば一部のエリートエンジニアだけのものでした。しかし今は、コードが書けなくても、数学が得意でなくても、誰もが実験できる時代です。必要なのは「こうしたらどうなるだろう?」というシンプルな好奇心と、試してみる勇気。それだけで、テクノロジーのチカラで新たなビジネスを生み出すチャンスが与えられるのです。
やりたいことは山のようにあります。企業データのAI活用、新しいプロンプトの開発、クリエイティブ領域への展開—。アイデアが次々と浮かび、手が10本あっても足りないほどです。しかし、このチャンスは永遠には続きません。既に多くの企業がAI活用への取り組みを加速させています。数年後には、生成AIの活用は企業にとって当たり前のものとなるでしょう。だからこそ、一刻も早く挑戦しなければならないのです。
私たちは未知の領域を走っています。AIの可能性は日々広がり、その"正解"をまだ誰も知りません。だからこそ、経験も年齢も関係なく、企業のビジネスを自分の手で変革できる。そんな時代が始まっているのです。この革新の波を起こすために、新しい仲間を求めています。プログラミングスキルも、統計学の知識も必須ではありません。大切なのは、AIの可能性を信じ、果敢に挑戦する意欲だけです。
私たちは、企業のブランディングを根本から変える革新的なプラットフォームを創造しようとしています。時間との戦いではありますが、その分だけワクワクする挑戦でもあります。この歴史的な瞬間に、共に未来を切り拓いていく仲間を、心から待っています。
今回の記事では、オンライン大学に通いながらJBAにフルコミットしている佐藤から、プロジェクトを通して感じたことや今後の展望について語ってもらいました。JBAのことが少しでも気になった方、ぜひ以下のリンクから採用情報をのぞいてみてください!
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