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合併企業に社長の思いを伝える、絵本プロジェクト

数々の大企業に対して「コンサルティングxクリエイティブ」で領域不問の課題解決を行うJBA。でも「JBAって何屋さん?」と聞かれると、一言では答えにくいんです。そこで、実際のお客さまとの具体的なプロジェクトを通して、担当した社員は、何を考え、どんなことをしたのか。やりがいや苦悩や仕事観に至るまでをリアルにお伝えする「事例紹介」シリーズです。

こんにちは。2017年入社のコンサルタント高尾美春です。今回は、JBAの重要な仕事である「周年記念事業のサポート」のなかから、私が2019年に担当した、大手通信会社A社さまの事例をご紹介したいと思います。

A社さまは4つの会社が合併した、約7,000人の社員を抱える大企業。統合・創立から5周年を迎えるのを機に社員の機運を高める仕掛けがしたい!とのご要望をいただき、そのツールとして「絵本をつくるのはどうか」というご相談をうけました。

そこでまず、私と上司の二人でA社さまへ訪問に伺うことになりました。

実際に話してみて分かった企業課題

私はA社さまについては「誰もが知る大企業」という安定したイメージを持っていましたが、訪問に行って相談されたのは、意外にも、課題山積みな実情でした。4つの会社の全く違う血筋の人たちが集まっただけで、文化を統合しきれていない。日々の業務は部署内だけで完結するので、他の社員が何をしているかも知らないし、興味もない。社長をはじめ誰一人として全体を把握している人がいないので、皆が共通の目標を持って頑張るなんて、とうていムリ。

こうした状況を打破しようと考えられたツールが「絵本」でした。絵本という視覚的に受け入れられやすい媒体を用いて、社内にどんな仕事があるのか、どんな人々がどんな思いで仕事をしているかをシェアすることで、社内一体化の1歩目を踏み出したい。社長の任命で集まった絵本プロジェクトチームメンバーのそのような切実な思いを、私はそこで初めて知りました。

実はそれまで、JBAには絵本制作の実績はなく、社内のだれに聞いてもノウハウはありませんでした。それでも私は目の前のお客さまが悩み抜いてたどり着いた絵本というツールを使ってお客さまの課題を解決したくて、「やりましょう!」と二つ返事で承諾しました。絵本の経験はなくても、クリエイティブのプロとして、なんとしてでも絶対にご満足いただく結果を出すぞ、という思いでした。

入社3年目での大型案件受注、「できることはすべてやる」

競合他社とのコンペプレゼンまでの準備期間はたったの1週間でした。コンペというのは、企業が「Webを作りたい」「イベントをしたい」などのプロジェクトを企画するにあたって、複数の外注先候補に提案を競わせ、その中からベストを見極めて発注先を決めるプロセスです。そこで競合他社の中から選ばれるためには、プロジェクトが大きければ大きいほど、大変な準備が必要です。

すぐに社内のイラストレーターやコピーライター、アートディレクターを加えたチームを編成して、プロジェクトが始動しました。合併前の企業文化のリサーチなど、社内を巻き込んだ大規模な企業分析をしたり、実際の店舗へも連日足を運んで、お客さまのリアルな声を引き出すことに全力を注いだり。間に合うだろうかという不安を抱きながらも、タイトなスケジュールのなかで提案をまとめあげた結果、なんとコンペを勝ち抜くことができたんです。入社して3年目のことでした。こんな大型案件を受注できたのは、JBAだからこそだったと思います。

後日談ですが、お客さまと少しずつ仲良くなっていくうちに、コンペで選ばれた理由を聞くことが出来ました。「JBAさんを選んだわけじゃなくて、高尾さんを選んだんです」との言葉をいただきました。思い返すと、コンペまでの私はお客さまの課題に対して真摯に向き合い、できることをすべてやってやろう、と、常に前のめりでした。凄く嬉しかったです。自分の姿勢が評価されて結果につながったことを知った瞬間、この仕事の醍醐味を味わった気分でした。

まさかの社長インタビューに挑戦

コンペを勝ち抜いた後は、全国に多数ある地方支店を片っ端からインタビューのために訪問して回りました。A社さまのことを知れば知るほど、お客さまの要望をどう叶えて行けば良いかがだんだんと見えてくるようになりました。

印象的だったのは、やはり、絵本のキーメッセージを決めるために行った、社長インタビューです。これほどの規模の会社の社長となると、当日のインタビューに同席する40~50代のA社さまのプロジェクトメンバーでも、顔を合わせたことのある人がいないほど。そんな緊張感の中、JBAの高下社長の後押しもあって、私が直接インタビュアーを務めることになったのです。私が社会人3年目だということを知っている担当者さまは、口には出さないものの、本当はすごく心配されていたと思います。だからこそ私は、絶対にお客さまを失望させず、この大きなチャンスを絶対にものにするんだという気合満点で臨みました。

結果的にインタビューは大成功。今まで誰も聞いたことがない、社長の心の声を引き出すことができました。その場にいたA社さまの社員の方々も、感極まった様子でした。成功した理由は、徹底的な企業理解をしようと努めたこと、プロとして何が何でもこの会社を良くしたいという思いを持って行動したことだと思っています。私の頭の中には常に、絵本の制作プロジェクトが終わった後には、お客さまにはこうなってほしい、そのために何をすべきか、という考えがありました。

成果を肌で感じられる仕事

思いを込めた絵本が出来上がった時、分断されていた社内で、今まで誰も伝えることができなかった社長の思いを社員のみなさまに伝えるツールを作り、そこに立ち会えたというのは最高の気分で「このために仕事してたんやなぁ」と感じることができました。

しかし絵本はあくまで一つのツール。本質的な組織の課題を解決するために、引続き、何に注力すべきか、どうアプローチしていくべきか常に考え、これからもお客さまのために、積極的にコミュニケーションを取っていきたいと思っています。

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