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JBAの事業や、働く人々の魅力を知ってもらおうと始まったこのインタビュー企画。
今回お話をお伺いするのは、2016年入社のクリエイティブディレクター、増田太一さんです。JBA京都オフィスを立ち上げられた増田さんのこれまでの働き方や仕事観についてお伺いしました。
―デザインに興味を持ったきっかけを教えてください。
私はもともと、小学校からずっとバレーボールに打ち込んでいて、美術なんて程遠い生活を送ってました。高校は建築学科に進んで製図などを学んでいましたが、相変わらずバレーボールばかりしていましたね。そんななか、高2のときに佐藤晃一というポスターデザインが得意なグラフィックデザイナーの展示を見に行く機会があって、そこで私の人生が変わりました。
佐藤さんの作品を見た時、「同じ紙なのになんでこんなに違うんだ」って、疑問が湧き上がったんです。自分のやってる製図も同じ紙に絵を描く作業なのに、彼の作品とは全然違う。その衝撃がきっかけで、だんだんデザインに興味を持つようになりました。その後調べていくうちに佐藤さんが多摩美術大学グラフィック学科の教授で、あともう少しで定年退職されることを知ったんです。彼に学ぶには、今ある全ての時間を多摩美術大学への進学準備に充てるしかない。そう決意し、高3になるときに高校も辞めて、美大予備校に通うために香川県から上京しました。
―かなり運命的な出会いだったんですね。それからどうなったんでしょうか?
アルバイトをしてお金を貯めつつ、高卒認定をとって。予備校に1年通い、無事多摩美術大学のグラフィックデザイン学科に合格しました。1、2年生では油絵や水彩画などずっと絵を描き続け、3年生でタイポグラフィーを専攻、念願の佐藤さんの授業をとることができました。タイポグラフィーとは皆さんがWordで打っているような文字、書体を作るもので、その書体を使ってポスターなどを作っていました。佐藤さんはその年で退職なさったので、本当にギリギリでしたね。
佐藤さんは常に、「デザインは問題解決、課題解決だ」と語っていました。何かの問題、課題を解決するために、デザインを作っている。彼の考え方を教わるうちに、その想いにすごく惹かれていったんです。自分が働くうえでも、そういった軸を持っていたいと思いました。
―その軸を持って就職活動をされたんですか?
そうですね。色々な会社を受けたなかでどうしてJBAを選んだのか、その理由は2つあります。まずは、課題解決、問題解決という思考がものすごく強かったところです。私はただデザインするだけでなく、お客さまと直接会える仕事がしたいと思っていました。なぜなら、解決すべき課題、問題は常にお客から出てくるからです。お客さまと直接やり取りをしながらものづくりができる会社は、実は本当に少ないんですよね。選考が進んでいく中で、JBAなら自分の望む「お客さまから課題、問題を吸い上げ、クリエイティブの力で解決していく」という働き方ができる、と感じました。
もうひとつは、面接で出会う社員さんの話に真実味があったところです。「やりがいは何ですか」ってよく聞くと思うのですが、その時に話してくださる具体例が、よくあるフォーマット回答みたいなのじゃない。その人が経験したことをその人自身の言葉で語ってくれるし、どの人の話にも「お客さまのためにどこまでやる」というのが共通してあるんです。それがすごい新鮮で、リアルで、惹かれました。そうしてJBAに入社することにしました。
―入社してから、どのようなお仕事をされましたか?
それまでの私はデザインを学んでいたので、お金の動きや企業での意思決定のなされかたなど、ビジネスを全然わかっていませんでした。最初に担当させてもらった大手食料品メーカーさまとの仕事で、顧客接点とは何たるかを学びましたね。
特に難しかったのはコミュニケーションです。デザインをするためには、お客さまから課題、問題を引き出さなければならない。それは質問すれば出てくるものと簡単に考えてしまっていたんです。でも、お客さまについて何も分からない状態で商談に行ってしまうと、こちらから情報を出せず、会話が成り立たないということに気づきました。それからは、自分で調べたり上司に聞いたりと、事前にお客さまを知っておく努力をするようになりましたね。お客さまから課題を引き出す努力というのをそこで学びました。今では、お客さまから悩みや希望を引き出しながら、その場でMacBookでデザインを組んで見てもらう、という自分らしいスタイルでデザインを進めることができるようになりました。
そうすると半年くらいで、その担当者さまに「まっすー」なんて呼んでいただけるようになって(笑)。「娘と一緒に楽しめるゲームはないかな」とかプライベートなことまでポロっとこぼして下さるんです。「何かあったらすぐに相談してもらえる関係」になれた感覚がして嬉しかったですね。それまでは、とにかくデザイン、見た目に頭がいきがちだったのが、何のためにやるのか、その目的を達成するために、本当にこのやりかたでいいのか、もっと根本的なところを考えられるようになり、それを確実に掴めるようにお客さまとのコミュニケーションに重きを置くようになりました。そうして仕事に慣れてくるうちに、社内にある課題を感じるようになったんです。
ー課題というと、どのようなものでしたか?
今、JBAでは基本的にお客さまから直接お話を伺い、デザインまで担当することができます。でも、当時はスケジュールの関係で依頼だけもらって作業するケースも発生していました。そういう場合、デザイナーさんはその依頼の背景にあるお客さまの想いが見えにくいせいで、どうしても自分のやり方でやろうとしてしまいやすくなるんです。デザイン系の会社ではありがちな問題なのですが、このような体質はお客さまのご要望に対応するスピードにも影響します。ここに課題を感じ、組織自体を変える必要性を感じました。もっと具体的に言うと、お客さまとデザイナーの間に壁のない組織を作れるリーダーが必要だと思ったんです。そこで、リーダーとして育てるなら、プロとしての経験が少ないため自分のやり方にとらわれず、柔軟に吸収力を発揮してくれそうな学生がいいのではないかと考え、美術系の大学や専門学校が多い京都で新しい拠点づくりを進めることにしました。
私はお客さまから直接お話を伺い、デザインまで担当できる。でも、依頼だけもらって作業しなければいけないデザイナーさんは、その依頼の背景にあるお客さまの想いが見えにくいせいで、どうしてもお客さまとの間に距離が生じてしまうんです。それは、お客さまのご要望に対応するスピードにも影響します。ここに課題を感じ、組織自体を変える必要性を感じました。もっと具体的に言うと、お客さまとデザイナーの間に壁のない組織を作れるリーダーが必要だと思ったんです。そこで、リーダーとして育てるなら、プロとしての経験が少ないため自分のやり方にとらわれず、柔軟な吸収力を発揮してくれそうな学生がいいのではないかと考え、美術系の専門学校の多い京都で新しい拠点づくりを進めることになりました。
何もない状態からのスタートだったので、作業用のパソコンを運び込むところから始め、学校を回って説明会や面接をさせてもらいました。そうして集めた優秀な学生たちに、まずは教育カリキュラムに挑戦してもらうことに。そのカリキュラムは、とにかく「いいデザインをたくさん見て、それを再現できるようになること」を軸にして、一生懸命考えたものでした。でも、正直学生にプロと同じようなデザインができるかどうかは半信半疑だったんです。自分が学生の頃はそんなことしてなかったですし。1~2年はかかるだろうなとみていました。
しかし3か月後、その予想はいい意味で裏切られました。本気でやろうとしている人、常に新しいものをインプットして自分のデザインに落とし込もうと努力できる人の成長速度のすごさを目の当たりにしました。そこで一度、実際の案件をお試しで学生にやってもらってお客さまのところに持っていったことがあるんですが、それがすごい高評価をいただいて。 学生の可能性の証明になり、今までやってきたことは間違いじゃなかったんだなと思いました。
―増田さんは、そのときからずっと京都を中心にお仕事されているのですか?
立ち上げ当時は、週の半分は東京でお客さまの仕事、半分は京都で拠点立ち上げという生活をしていました。京都にお試しじゃなく実案件を任せるようになったのは立ち上げから1年後くらいで、その頃には社員がもうひとり京都に合流して、学生の育成を一緒にやっていけるようになったんです。リーダー的存在が増えたことで京都が加速し、また手応えを感じましたね。
さらに、2018年からは、新卒でJBAにデザイナー入社した子たちを京都に置くようにしました。同じころ東京からベテランのチーフデザイナーさんも入っていただき、私は遠隔でコミュニケーションを取るようになっていきました。その1年生には「次世代クリエイティブのリーダー」になってほしいと思っているんです。実際彼らに任せてみることで、京都の運営を自分事化してくれるようになり、色々な取り組みに繋がっています。
こうして京都が力をつけていくなかで、良いデザインができる学生が育っていったんですね。これは社員のデザイナーにとってもいい刺激になり、お互い高め合う関係になっていける、これが、成長の次の段階として期待していることです。実際にJBAのデザインのレベルがどんどん上がってきてますし、これからの可能性にワクワクしますね。
―増田さん個人として何か変化はありましたか?今後の展望もお聞かせください。
待ってたら何も始まらないな、と思いました。自分で動かないと環境は何も変わらない。現状維持も、周りが成長している以上、よくいっても衰退ですよね。それに、動いてみて悪くなったら、また動けばいいんです。私が作りたい「リーダー」とは、この「自分から動く人間」です。それにJBAには、「動かせてくれる環境」があります。
これから、京都をリーダーに導かれる力強い集団にし、ディレクター側とデザイナー側が一体となった組織を実現できるようにしていきたいです。お客さまの窓口となりその想いをディレクションするリーダーと、伝えられた想いをスピード感をもって実現するデザイナーが密接に連携を取れるようになれば、JBAはさらに強くなります。
もっと言えば、京都にいるマーケティング(企業調査を通じてお客さまの課題を洗い出す、コンセプトを考える役割)の学生たちと一緒に、自発的に提案物をあげてくれるようになったらいいですよね。今後もより強い組織を目指して、取り組んでいきたいと思います。