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開発組織における「自ら律する」ということ

このストーリーは、Wantedly Advent Calendar 2024 の2日目の記事です。

「自律」という言葉を聞くと、自己管理や一人で物事を進めることをイメージするかもしれません。しかし、私たちウォンテッドリーの開発組織では、それ以上の意味を持っています。自律とは、メンバーが責任を持ちながらも自由に力を発揮し、リーダーがその力を一つにまとめて、チーム全体として成果を生み出すための基盤です。この考え方が、個人やチームの成長、そして組織の進化を支える原動力となります。

私たちが実践する「自律」の具体的な意味や、その文化がどのように組織作りに影響を与えているのかを紹介します。

目次

  • わたしたちの Culture と自律の関係とは

  • 自分の目標達成や成長に対する満足感が持続する

  • 「自律」であって「自立」ではない

  • 「自由」とは気ままにやっていいことではない

  • 甘えず、自ら厳しい環境に身をおき管理すること

  • 自律性を感じるために

  • リーダーは自己ではなくチーム単位で律する

  • おわりに


わたしたちの Culture と自律の関係とは

ウォンテッドリーは「究極の適材適所により、シゴトでココロオドル」というミッションを掲げ、究極の適材適所を通じて、あらゆる人がシゴトに没頭し成果を上げ、その結果成長を実感できるような「はたらくすべての人のインフラ」を構築することを目指しています。この想いは、事業やプロダクトに込められていますが、それを実現するためには、私たち自身がこの価値観を体現することが必要不可欠です。

私たちは「没頭し成果をあげ、成長実感を感じる人を増やす」を一貫して体現するために、「自律」「共感」「挑戦」の3つをどう実現するかを常に考え、 組織設計に反映するために日々取り組んでいます。



組織作りに価値と行動の「軸」を通す 」のストーリーにも書いた通り、ビジョン・ミッションを起点に、バリュー(価値観)やコンピテンシー(行動特性)、さらに組織の軸となる考え方に一貫性を持たせることを意味します。この一貫性がなければ、組織のアイデンティティは失われてしまいます。一貫した軸を通すことで、組織全体が共通の方向に向かい、メンバーそれぞれが自律的に行動しながらも一体感を持つことが可能になります。

自分の目標達成や成長に対する満足感が持続する

行動するための源泉はさまざまです。たとえば、周囲からの評価や承認は、多くの人にとって行動を促す大きな原動力となります。こうした源泉は、『外発的な動機』と呼ばれています。一方で、私たちが重視する『自律』とは、評価や承認を超えた『内発的な動機』を基盤としています。これは、自分の価値観や興味に基づいて行動することを指します。

「自律」と「周囲からの評価や承認」を比較してみると、次のようになります。


私たちが求める「自律」とは、自分の意思に基づいて自主的に行動することを指します。その原動力は外部からの評価や承認ではなく、内部の欲求や興味に根ざしています。この特徴により、自律は長期的なモチベーションを維持しやすく、行動の質を高める重要な要素となります。

さらに、自律的な行動は創造性や革新性を促進するだけでなく、自分の選択や行動に責任を持つ姿勢を育みます。結果として、自ら設定した目標を達成した際の満足感が持続し、成長に対する喜びを感じられるようになります。これらの要素を組み合わせることで、自律は単なる行動の手法を超え、個人の成長や組織の発展を支える原動力となることを期待しています。

「自律」であって「自立」ではない

「自律」と「自立」は似た言葉ですが、それぞれ異なる特徴を持つ概念です。自律は、前述通り自分の意思に基づいた自主的な行動をすることを指します。一方で、自立は他者に依存せず、自分自身で生活や判断を行う能力を意味します。主に経済的・社会的な独立に重きを置いており、経済的安定や生活能力が必要となります。

一方で、シゴトの場において私たちが重視するのは、自己決定と行動の自由を持ちながら責任を果たすことです。これは単なる独立性(自立)ではなく、組織の一員として、自分の役割を理解しながら、自ら選択し行動する「自律」に他なりません。この「自律」が、組織や個人の成長の支えとなります。

「自由」とは気ままにやっていいことではない

「自由」と聞くと、気ままに行動できることをイメージするかもしれません。しかし、特にシゴトにおいての「自由」とは、そのような意味ではありません。ここでの自由は、与えられた権限の範囲内で責任を持って行動することを指します。権限委譲された範囲で、自ら選択や判断を行い、それに伴う結果に責任を持つ必要があります。

たとえば、職場では上長やリーダーから権限を委譲された場合、その範囲内で成果を出すことが求められます。この過程では、進捗や結果を適切に報告すること、さらには自ら決断し責任を果たすことが必要です。これが、いわゆる「裁量」の本質です。

「裁量がある」とは、好き勝手に行動してよいということではありません。それは、権限委譲された範囲で成果を出す責任を果たすことです。行動と責任を意識し、適切な裁量を行使することで、組織や個人の成長に貢献することができます。この考え方を理解し、実践することが、持続的な成功につながります。

甘えず、自ら厳しい環境に身をおき管理すること

自律を実現するためには、「甘えず、自ら厳しい環境に身をおき管理すること」が欠かせません。これは、自分自身を律するための基盤であり、成長を促す環境を積極的に選び取る姿勢を意味します。自律を支える要素には次のようなものがあります。

  • 選択の自由
    • 他者に依存せず、自分の意思で行動や決定を選択する能力です。これにより、目標に向かって主体的に進む力が養われます。
  • 自己管理
    • 時間やリソースを効果的に管理し、計画的に目標達成に向けて行動する能力です。このスキルは自律的な生活や仕事を支える柱となります。
  • 責任感
    • 自分の選択や行動の結果に対して責任を持つ姿勢です。成功も失敗も自分のものとして受け入れることで、より良い判断を下せるようになります。
  • 内発的動機
    • 外部からの報酬や圧力に依存せず、自分の興味や価値観に基づいて行動することです。この内なる欲求が持続的な行動を支える原動力となります。

自律性を感じるために

自律性を感じるためには、自分自身が主体的に物事を決め、実行している感覚を得ることが重要です。そのためには、タスクやプロジェクトに対して明確な方向性を持ち、自ら選択しながら進めることが求められます。以下に、自律性を高めるための4つの要素を挙げてみました。

  • 何をするのか
    • 目標やタスクを明確にすること。達成したいことや取り組むプロジェクトを決定し、方向性を定める
  • いつするのか
    • 行動を起こすタイミングを決定すること。時間管理や優先順位を考慮し、効率的にタスクを進める
  • どのようにするのか
    • タスクの実行方法を選択すること。具体的なアプローチや戦略を考え、実行可能なプランを立てる
  • 誰と一緒にするのか
    • タスクを実行する際に誰と協力するかを決定すること。チームメンバーや関係者との連携を重視する

これらの要素を意識することで、行動に対する自律性をより強く感じることができます。自律性を高めるためには、単に与えられたタスクをこなすのではなく、自分自身が主体的に選び取り、計画し、責任を持って進めることが重要です。このプロセスは、日々の充実感や達成感を高め、個人としての成長にもつながります。結果として、チームや組織においても大きな価値を発揮することに繋がります。

リーダーは自己ではなくチーム単位で律する

リーダーに求められるのは、自分自身だけでなく、チーム全体を律する力です。チームの成果を最大化するためには、個々のメンバーが自律的に行動するだけでは不十分です。リーダーは、組織全体を統制しつつ、メンバー同士が協力し合う文化を育む必要があります。特に、共通の目標に向かって進むためには、チーム全体で「一緒に律する」姿勢を重視することが欠かせません。

具体的な例として、開発プロジェクトのマネジメントが挙げられます。「アジャイルだから柔軟に進めればいい」という考え方は誤解を招きかねません。実際のアジャイル・スクラムなどのプロジェクトマネジメント手法では、スプリントごとに厳格な目標設定と進捗管理が求められます。このように、計画性を持ちながら柔軟性を活かすことで、チーム全体での成果を最大化することが可能になります。

リーダーの役割は、個々の自由な創意工夫を尊重しながら、チーム全体のバランスを取ることです。それには、チーム全体を統率し、メンバーの力を一つにまとめる力が必要です。さらに、適切なルールや枠組みを設け、メンバー全員が目標達成に向けて責任を持ち、主体的に行動できる環境を整えることが重要です。このような環境を作ることで、リーダーはチームの成長を促進し、組織全体の成功につなげることができます。

おわりに

自律は、個人としての成長を促し、チーム全体の力を最大化するための重要な要素です。一般メンバーにとって、自律は自己管理と責任を伴う行動を通じて、充実感と成長を実感する手段となります。一方で、リーダーに求められるのは、チーム全体を律し、メンバーが力を発揮できる環境を整えることです。

自由や裁量を正しく理解し、責任を持って行動することが、自律的な組織を作る鍵です。個人の内発的動機が引き出され、リーダーがチームの方向性を明確に示すことで、組織全体が一丸となり、大きな成果を生み出します。

ウォンテッドリーが目指す「究極の適材適所により、シゴトでココロオドル」というビジョンの実現には、メンバー一人ひとりの自律が不可欠です。この文化を共に築き、成長し続ける組織を目指しています。





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