“終身雇用”、“年功序列”はもはや口にするのもはばかられる過去の遺物となり、“新卒一括採用”という日本独特の雇用システムは“通年採用”へと変化を遂げようとする中で起きたコロナという非日常。制限された環境での前例のない就職活動は、大学生自身にも大きな変化が求められています。
ウォンテッドリー株式会社では、学生が早い段階から“共感出来るシゴト“”ココロオドルキャリア“を考えるきっかけを提供するプロジェクト「Campus W,」を進めています。
なぜ今、Wantedlyは学生への発信に力を入れるのか。担当の五十嵐さんに話を聞きました!
◆登場人物:ウォンテッドリー株式会社 / 五十嵐萌子
2016年 法政大学キャリアデザイン学部を卒業後、Webメディアを複数運営するITベンチャー企業へ新卒入社。編集職を経て採用人事を2年経験。2019年にウォンテッドリー株式会社へ転職。カスタマーサクセスを1年半経験し、現在はビジネスチームの役員直下でユーザーコミュニティ「Lab W,」の運営 / 自社の中途採用 / 「Campus W,」の3つの業務を兼任中。
学生たちがキャリアを鮮明に描くために、いまWantedlyが出来ること
ー「Campus W,」、 一体どんなプロジェクトなのでしょうか?
昨年7月頃から、社内で立ち上がった学生向けのプロジェクトCampus W,は、毎月大学やキャリアセンター、小中高等学校などの教育機関とコラボレーション企画を開催し、多くの学生さんを対象に様々な発信をしてきました。
例えば、「やりたいことが見つからない」という学生さんに対し、どうしたらやりたいことが見つかるのか?のヒントになりそうなメッセージを教授と弊社役員での対談企画をしました。また、長期インターンを経験する人がなぜ増えているのか?インターンがキャリアや就活にどんな影響を及ぼすのか?というテーマで、人事とインターン生の方々との対談イベントも開催してきました。
コラボ先は教育機関のみに限らず、地域活性化伝道師とともに地方就職(Iターン・Uターン)や地方創生について考える企画や、ジェンダーに関連する活動を行うNPO法人と育児と仕事の両立についてをテーマに開催したこともあります。
これまでのイベントや企画は全国の様々な学生さんに参加いただいており、「就活の不安や懸念が晴れた」「仕事や就活を、もっと広い意味で捉えて良いと思えた」などの反響をいただいています。
以前も単発で取り組みは行っていたのですが、今後はしっかり継続して実施することで、より多くの学生さんへ発信する機会を設けていきたいと思っています。
ーWantedlyはなぜ今、学生マーケティングに積極的に取り組んでいるのでしょうか。Campus W,のミッションを教えて下さい。
このプロジェクトのミッションは、「大学生がキャリアの一歩目を踏み出すときに必要なリアルで確かな情報と、自信を与える存在になる」としています。
これは、学生さんにヒアリングした生の声を元に考えました。
学生さん曰く、「リアルで確か」とは、YouTubeやSNSで流れてくるような不確かな噂話ではなく、信頼できる企業の人事やOB・先輩・友人から聞いた「確かな情報」に最も価値があり、それには「誰が言っていた / どこの企業の人が言っていたか」が重要ということでした。
ただコロナの影響で、大学生活の中で人と関わる場面が減り、その確かな情報も手に入りにくいそうです。OBや企業とのマッチングサイトに登録する方が増えているのもその影響かなと感じています。
また、ヒアリングをした際に「不特定多数向けの情報より、自分だけに向けられた情報の方が価値が高い」こともわかりました。何百人、何千人向けの合同説明会・ウェビナーのような不特定多数向けのコンテンツより、1on1や少人数で真摯に向き合ってもらえる形が満足度・信頼度も高い傾向にあるようです。志望している企業や業界で働く人・内定している先輩たちがどのような行動・プロセスで今に至るのかを知り、自分のキャリア選択に活かしたいニーズが強そうだなと感じました。
この「リアルで確かな情報」を学生さんが仕事選び、就活時に得られていたら、大学受験や高校時代に触れられていたら、もっと今のキャリアの選択肢が広がるのではないか。自分のキャリアややりたいことが、より鮮明に思い描けるのではないか。やりたいことが見つからずに、ただなんとなくで選んだ仕事やミスマッチな環境に苦しむひとが減れば、シゴトでココロオドルひともふえる。そんな想いで学生向けの取り組みを積極的に行っています。
キャリアと向き合うのに、早すぎるということはない
ー先日の小学校での授業も記憶に新しいですが、Campus W,の対象は就活生に留まらないのでしょうか?
Wantedlyを使い始める年齢、と考えた時に小中高生にはかなり早いのかもしれません。ですが、より早い年齢でキャリアの情報に触れることで、自ずと自分自身について考える回数が増えると思うんです。大学4年生の就活シーズンが本格化したタイミングではじめて「自分は何がしたいのか」を考え、そこで企業や職種を選ぶにはあまりにも時間が限られています。たった数ヶ月で答えを見つけられるかなんて、分からないですよね。
受験して良い大学に入れば、良い企業に就職できるというのは少し前の時代。今は、やりたいこと・成し遂げたいことのために自ら大学や企業も選んでいける時代です。自分が何のために勉強をしているのか、習い事や部活を頑張るのか。何のために受験までして大学にいくのか?常に目的が重要です。
だからこそ、少しでも早くから先入観や偏見を捨て自身のキャリアと向き合うことで、就活というキャリアの一歩目を踏み出すタイミングで「自分のやりたいことと、会社の目指す姿がリンクするところに行こう」と自然と納得感の持てる選択を出来るようになるはずです。それが「ココロオドル」状態になるための大事な要素ともなります。
そのことを伝えていくために、私たちは小中高等学校、大学、専門学校…関係なく全国の学生さんたちと一緒に「何のために今を頑張るのか?」を考えていきたいと思っています。
一歩を踏み出すきっかけを与えられる存在へ
ー学校での授業やイベント以外の施策もCampus W,は行っているのでしょうか。
私たちが運営するビジネスSNS「Wantedly」は、10万人以上の学生ユーザーさんが利用してくれています。長期インターンの選考や就活にWantedlyを活用した!という学生さんも多く、情報感度の高い学生さんたちには身近なサービスの1つかもしれません。
ただ、まだまだWantedlyを知らない方、長期インターンを知らない方、就活ナビサイトの情報にしか触れられていない学生さんは未だに多いです。弊社のミッションである「シゴトでココロオドルひとをふやす」を目指す中で、より多くの学生さんに仕事について情報を提供したいと常々思っていました。
大学やキャリアセンターとコラボしての授業や、大学生が関心のあるテーマでのイベントを数多く実施する中で、もっとライトにキャリアややりたいことへのヒントが得られるコンテンツはないか...?と考え、思いついたのが「性格診断コンテンツ」でした。
私もよく心理テストやなんとか占い、〜タイプ診断など、SNSで色々な人が受診しているとついやってしまうんですね。手軽にスマホで遊べて、自分の強みや弱みに当てはまる診断結果がちゃんと分かり、その上オススメの職種や共感できそうなミッションの傾向が分かるようなコンテンツを創れないか?と考えたんです。
そして完成したのが「新・RPGジョブ診断」です!
デザインやキャラクター・アニメーションやセリフの監修から、本格的な心理学に基づいた診断ロジックの構成、診断結果部分の細部まですべてにとことんこだわり作りました。ありがたいことに、リリースから既に2ヶ月が経ちますが未だに毎日新しいユーザーさんが増えており、最新の数値では約9万人ものユーザーさんに楽しんでもらっています。
他には新・RPGジョブ診断の結果を用いて、同じ診断結果の人は何を考えているぼかを知れるイベントを開催したり(異世界ジョブトーク!)、Wantedlyのプロフィールの作り方が分からない人には、ワークショップを開催して少人数向けにレクチャーをしたりと、今行っている全てのコンテンツに「大学生がキャリアの一歩目を踏み出すときに必要なリアルで確かな情報と、自信を与える存在になる」が反映されています。
今後は、読み物コンテンツなども出しながら、1人でも多くの学生さんがより早い段階で自分自身のキャリア・やりたいことを考え、一歩踏み出すきっかけにWantedlyがなればいいなと考えています。
ー最後にCampus W,の今後の目標を教えて下さい。
このプロジェクトは、まだまだ立ち上がったばかりの小さな取り組みです。ですが確実に、一緒にやろうと言ってくれる仲間が増えてきていると感じます。新・RPGジョブ診断のヒットも、「面白い取り組みだ!」とSNSでシェアしてくださった方々がいなければ成し得なかったでしょう。
また、小学校でのオンライン授業を皮切りに、翌月は東京都立のある高校から、さらにその翌月には、宮城県の中学校から「コラボしたい」というお声掛けをいただきました。全国の学校、教員の方々、生徒さんたちを巻き込み、1人でも多くの子ども達が「自分がどうしたいのか、どんな生き方をしたいのか」を考える時間を増やしたいと思っています。
私は、このプロジェクトを通じて、学生さんたちに「就活は義務じゃないよ、あなただけの権利なんだよ」と伝えていきたいです。就活は、やらなきゃいけないものではない。皆がやってるからやらなきゃ、親のためにいい会社に行かなきゃ...と、本来の目的を見失い就活を自ら苦しいものとしてしまっているケースが本当に多く、心苦しくなります。
自分が思っているより世界はもっと広いし、就活はもっと自由だし、社会人は学生のみんなが想像しているよりももっと楽しい。だからやりたいことに向かって頑張ろう。そんなメッセージを、色んなコンテンツを通じてたくさん伝えていきたいです。
今回のストーリーを見て、少しでもCampus W,の取り組みを知ってていただけたら嬉しいです。
それでは次回のストーリーもお楽しみに。
▼五十嵐さんのインタビュー記事✍