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はずさない新規事業の立ち上げ方とは? 160万ユーザー突破の名刺アプリ「Wantedly People」のビジネス開発秘話(前編)

新年明けましておめでとうございます。

新規事業推進室 マネージャーの逆瀬川です。

2016年11月11日に名刺管理アプリ「Wantedly People」をリリースしてから、ビジネス側のメンバーも増えました。最近ではTVCMも開始し、お陰様で昨年1年間は充実の年となりました。

2018年は飛躍の年にすべく、更に人数を増やし様々なことを仕掛けて行きたいと思っていますが、「新規事業って何をやるの?」、「そもそも逆瀬川って何をやっているの?」と聞かれることが多くなってきたので、これまでやってきたことをまとめてみました。

今回は新規事業を始めるにあたっての「起案〜リリース後初期の改善フェーズ」までの内容です。

一つ一つの内容は地味ですが、リリース前の限られた時間で、しっかり一つずつ実行することで、成功確率を上げた状態で新規事業をリリースすることが出来ると思います。新規事業ですので、絶対成功するという保証までは付けられませんが、準備して損はしない!事項だと思うので、是非参考にしてみてください。

また、内容についてのご指摘はもちろん、このテーマについて触れてほしい等要望は大歓迎ですので、いつでも、TwitterやFacebookにDMください!

この記事でまとめたこと

1. 事業計画をたてる上で大切なこと (前編)
2. リリース前のTODO・進め方 (後編)
3. リリース後の改善方法 (後編)

1. 事業計画をたてる上で大切なこと

2016年の8月に全社横断で、プロジェクトチームが作られました。社内で「ヤシマ作戦」と呼ばれたこの作戦を成功させるべく、私は、ビジネス開発の唯一のメンバーとして加わりました。

ヤシマ作戦に関する詳細はこちら

https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/42496


複数枚一気に名刺を撮影し、OCRで自動認識するアプリを3ヶ月でリリース

そのことだけが決まっていました。私の役割は、エンジニアリングが強いWantedlyのヤシマチームで、エンジニアリングとデザイン以外の全てを進めることでした。

リリース前のビジネス開発がやることを具体的に伝えると、下記4点です。

①プロダクトがユーザーに今・本当に使われるかチェック
②その事実をチームに伝達・可視化
③成功させるためにTODOリストを作成、愚直に実行
④将来の戦略作り・事業計画を立てる

ヤシマ作戦は、人的・金銭的に会社のリソースをかなり投入して挑んだプロジェクトなので、負け戦にする訳にはいきません。本当に使われるか、スピード感を持って何度も調べ判断し、チームに勝てるイメージを共有する必要がありました。

後編で書きますが、チームに「勝てるイメージ」を共有することはとても大事です。チームで同じ方向に向かって走るためには、勝てるイメージと具体的なペルソナ、ユーザーストーリーが常に共有されていなければなりません。また、今回は特に名刺アプリというエンジニアから疎遠なサービス(自分がユーザーではない)だったため、調査結果をキチンと伝え、いつも以上に納得感を感じてもらう必要がありました。

とはいえ、共有する作業は名刺管理アプリを今世の中にリリースして使われるか、を調べた後の話です。一番最初にすることは、勝算があるかどうかの確かめ算です。

市場選び、タイミングは適切か?

会社の新規事業の場合、前提として会社の理念に合っている必要があります。もっと言えば、既存の事業と親和性があればベストです。

今回は、会社としての理念と既存のサービスと親和性のある分野でしたので、市場に受け入れられるかどうかを中心に調査しました。定量・定性の両方のアプローチで、市場調査をしていきます。

調べる際に大事なのは、「市場規模」「競合」そして「タイミング」です。

今回調べた数字のうち、重要な数値を紹介します。

・潜在ユーザー数(初期ユーザーとなる可能性の高い営業の人数と役職者の人数)
・顕在ユーザー数(デジタル名刺管理をしている人数)
・1ユーザー当たりの獲得コスト
・労働人口の年代別割合
・競合サービスの想定ユーザー数
・使われる可能性のあるビジネス向けサービスのユーザー数
・デジタル名刺管理サービスの認知率

Wantedly Peopleを使う可能性のあるユーザーを割り出すために、上記の数字を「ニュース検索」や「調査機関や政府発表の統計情報」、「ユーザーアンケート」、「ユーザーインタビュー」などから調査します。

調べても出てこない数字は、想定して出します。また、世の中に発表されている数字に納得感がない場合は、ターゲットとなるユーザーへアンケートをしたり、そのユーザーに実際に話しを聞いて数字が適切かを判断します。

Wantedly Peopleも実際アンケート実施し、ターゲットとなる人に協力してもらいました。

注意点

・一般企業発表の統計情報の多くはバイアスがかかっている可能性が高いので、確めが必要。
営業目的に都合のよい数値を作っている、統計の知識がない人が作った調査等
・ニュース検索や、統計情報を使う場合は、日付に注意。古い情報は使える情報かどうかをしっかり考える必要がある。
・ターゲットユーザーを想定する時に、どのくらい条件をしっかり出せるかが大事。たとえば、シニア向けのスマートフォン向けサービスなのに、スマートフォンの普及率を考慮しないとターゲットユーザー数が、想定よりかなり大きくなる。
・新規参入する場合、該当する数字がない場合があります。その場合は、海外の数字や、他の類似性のある数字を参考にします。たとえば、仮想通貨の取引は、現状において投機目的の場合も多いので、「FXの市場規模」を参考に「仮想通貨取引の市場規模」を類推など。


調査を進めると、何らかの方法で名刺管理をしているユーザーは多いが、その大半がアナログ管理をしていることがわかりました。

また、アンケートやインタビューの中で、デジタル名刺管理サービスの存在は知っているが、何らかの理由でデジタル管理をしていないということもわかりました。

多くの競合サービスがリリースされていて、そのうち一部サービスはマスプロモーションもされているので、認知はされていても良さそうです。調査結果と自分の知っている事実より、デジタル名刺管理市場は認知はされているが、強い理由がないので使っていない人が多いという仮説が立てられました。

認知されていない市場を取りに行くのはコストがかかり大変ですが、認知されている市場であればコストを抑えたプロモーションが可能です。

Wantedly Peopleは市場規模の十分大きく、これから伸びる市場で、かつ比較的安いプロモーションが可能という判断し、今リリースしても相当数のユーザーが使ってくれると信じてプロジェクトをすすめることになりました。

2. リリース前のTODO・進め方

上記の調査で、プロダクトのクオリティが高ければ十分勝算があることがわかりました。ここからは、リリース前のTODOをひたすら実行していくのみです。

Wantedly Peopleの場合は、リリースまで3ヶ月、ビジネス開発1名というかなりスリリングな状況でした。新規事業の場合、スケジュール通り進むことはまずないですが、予めタスクを可視化して、スケジューリングしておくことで、不測の事態にも対応しやすくなり、また優先順位が高いものを漏れずに行うことができます。

※新規事業事業におけるTODOリスト

「発見」と「調査・設計」のフェーズはほとんど前述していますので、後半では、「デザイン」から「リリース」までのフェーズについて、優先順位の付け方と、大まかなスケジュールをご紹介しようと思います。

後編に続きます。

また、他にも下記のような内容を今後お話しようと思っています。ご希望等あれば御連絡ください。

・Wantedly PeopleにおけるWEBマーケの考え方
・KPIツリーとリリース後の改善プロセス
・新規事業におけるビジネス側のTODOリスト (詳細編)

今年も飛躍の年となりますように!

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