人手不足倒産は過去最多を更新、2年連続の大幅増 前年比1.3倍の342件、建設・物流業が全体の約4割
株式会社帝国データバンクのプレスリリース(2025年1月9日 14時33分)人手不足倒産は過去最多を更新、2年連続の大幅増 前年比1.3倍の342件、建設・物流業が全体の約4割
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000999.000043465.html
現代日本で起きている、少子高齢化による構造的な人手不足。私たちの生活の「当たり前」を支える物流の現場でも、人手不足は深刻化しています。
とりわけ2024年は、長距離ドライバーの労働時間規制による物流機能の低下問題(通称「2024年問題」)が話題に。対策を講じない場合「2030年には輸送力が約34%不足する可能性」がある*とされています。
2022年のサービス立ち上げ以来、物流業者の採用支援を行ってきたリクロジ事業は、この「2024年問題」をどう捉え、この先にどのような展望を描くのか。リクロジ立ち上げメンバーであり、事業部長を務める永田に聞きました。
━━ 今年注目を集めた「2024年問題」。渦中の物流業界に向けた採用支援を行ってきたリクロジとして、昨年までと比較して市場の変化を感じますか?
リクロジを立ち上げた2022年後半から2023年初め頃は、ドライバーの高齢化や採用難を背景に受注をいただいていたものの、ご提案をした際に「まだそこまで費用をかけるほど困ってはいないよ」と言われることも多く、物流業界の方々の焦りは世間で言われているほどには感じられませんでした。
しかしその後、特に建設業や物流業界では人手不足が顕著になっていき、若い労働力はおろか、今まさに必要な人手を確保できない企業が増えています。2024年には人手不足による倒産件数が過去最多を記録するなど、すでに深刻な影響が出始めています。
さらに、2024年4月の法改正によって長距離ドライバーの労働時間が制限されたことで、従来は残業で稼いでいた大型ドライバーの給与が下がるケースもあり、給与制度の見直しや従業員の雇用維持に悩む企業が増えています。こうした課題に対処する余裕がない企業が多く、目先の人材確保に追われているのが現状です。
また、この法改正の影響で1人のドライバーが一度に運べる距離が短くなるため、中継輸送拠点の整備が必要になります。しかし、近年の地価上昇により新たな拠点を整備するハードルも高くなっています。こうした背景の中、資金力のある大企業が中小企業をM&Aする動きが最も効率的な解決策として進んでいるように見受けられます。
━━ リクロジは2024年、従来の物流事業者向け採用支援サービスを、製造事業者にも展開してきました。これによって、市場の見方が変化した部分はありますか?
物流業界と密接な関わりがある製造業界にもご支援の幅を広げたことで、今市場で起きていることをよりマクロな視点で俯瞰できるようになったと感じます。
例えば最近は、「人手不足に陥った物流業者がお得意様からの依頼を断ることができず、仕事はこれまで通り受けた上で、実際の運送業務は他社に外注する」というケースが目立ってきてます。恐らく、小規模な物流事業者の大部分は、営業利益の大半を特定の荷主からの受注に頼っているため、そうしたお得意様からの依頼を断る訳にはいかないのだと思います。当然元の仕事を受けた物流業者に利益は出ませんが、そうしなければ業務を回していけないのです。
そしてこの荷主の多くは、製造系の企業です。製造業者からすると、物流業者が人手不足を理由に値上げなどをした場合、輸送コストが増えて痛手を被ります。一方で物流業者にとっては、賃上げや採用・PR活動の強化など人材を確保するための施策を打つためには、これまで通りの価格や仕事の受け方を維持するのは難しい段階にきています。
つまり、今市場で起きている問題を解決するためには、荷主側と運送側、製造業界と物流業界が協力して取り組む必要があるんです。実際に、製造系の企業が物流業者の採用支援、特に資本面の支援をするケースが見受けられるようになってきています。
━━ 物流業界の人手不足に関して、リクロジのサービス領域である「求職者の集客」の部分について言えば、課題の根本はどこにあると思いますか?
物流系の企業は日本に約6万社ある中で、従業員300人以上の企業はわずかです。つまりこの国の物流の大部分は、従業員100人以下の中小・零細企業が支えています。
リクロジはそのような企業に対し、主に採用の入口部分である求職者の集客をお手伝いしていますが、特に現場のエッセンシャルワーカーの仕事に対しては「体力的にキツそう」「大変さに見合う魅力がない」というネガティブなイメージも持たれがちです。求職者を増やすためには、PR活動や採用活動を通してそのイメージを払拭する必要があります。
ところが、実際にはほとんどの企業が人事や広報といったポジションに専任スタッフを配置する余裕がなく、総務の担当者がこれらの業務を兼任することが多い。企業や仕事の魅力を発信する取り組みがそもそも十分に行われておらず、結果として応募が集まりにくくなっているのが実情です。
数年前までは広報や採用、人材育成などの「間接的なコスト」をかけなくても人材を獲得できていたが故に、組織運営に必要な多くの取り組みが手薄な状態のまま残っているとも言えます。
━━ お客様の採用課題に対して、リクロジならではの提供価値は何ですか?
社会全体で人手不足が顕在化する中で、物流や製造業界に向けた採用支援サービスも増えてきました。しかし、その多くはこれまでと変わらず「求人掲載場所(プラットフォーム)の提供」や「単発での人材の紹介」であることがほとんどです。サービスによって「物流業界特化」「マネージャー採用に特化」などという特色はあれど、本質的な構造は同じだと思います。
こうした従来型のサービスでは、多くの企業が抱えている採用課題の根本は解決されない、というのが僕たちの考えです。なぜなら、求人プラットフォームは掲載して終わりではなく上手く運用してこそ成果が出ますが、専任の人事担当者がいない中小・零細企業では、近年の採用市場のめまぐるしい変化に対応するリソースやノウハウが不足しがちだからです。単発での人材紹介に関しても、即効性はありませんが費用が高く、あくまで一時的な対処療法に過ぎません。
リクロジが提供するのは、自社の求人媒体やプラットフォームではなく、目の前のお客様の課題にしっかり寄り添った中長期的な「課題解決のご提案」です。リクロジのコンサルタント一人ひとりが市場の変化を素早くキャッチアップし、それを踏まえた提案を行うことで、お客様の採用活動をサポートしています。
あえて自社の媒体を持たないことで、「当社のプラットフォームに出稿してください」「この期間で掲載してください」といった限られた提案にとどまらず、目の前のお客様にとって本当にベストな解決策は何かを柔軟に考えられます。その時々の採用トレンドに合わせて、どのツールやサイトをどう活用すればお客様にとって最適かを提案できるのは、リクロジならではの強みだと思っています。
お客様が求めているのは求職者からの応募を増やすという成果ですが、そのプロセスの”継続的な改善”においても、リクロジがお客様の「人事チーム」として寄り添い、課題解決に伴走する存在でありたいという思いが根底にあります。
━━ 創業から約2年半、お客様に価値提供するために、リクロジが磨きをかけてきたものは何ですか?
リクロジが提供するサービスには形がないので、コンサルタント一人ひとりの成長と、業界全体で積み上げてきたノウハウが最大の資産です。
これまで物流・製造業界に特化して多くのお客様の採用をご支援してきた中で、個々のコンサルタントが会得した採用ノウハウや現場で活用できるアイデアを、成功事例だけでなくうまくいかなかった事例も含めて多く蓄積してきました。創業から2年半の間に溜まったこの膨大な知見を事業部全体で再現性の高いノウハウへと昇華させ、それぞれのコンサルタントがお客様へのご提案に取り入れています。
こうして業界全体で積み上げてきたノウハウを、同じ業界の似たような課題を抱えるお客様に提供することでお役に立てていると自負しています。
△会議をするリクロジ幹部メンバー
━━ 一方でリクロジのサービスに「伸び代」があるとしたら、どんな部分だと思いますか?
リクロジのサービスは現在、採用の入口部分、つまり求職者を集める「集客」に大きな期待をいただいていますが、今後リクロジが関与する領域や提供できる価値は、今後さらに広がっていくと確信しています。
先ほど挙げたように、業界全体の採用課題として、企業や仕事の魅力を十分に伝えられていなかったり、選考の過程で求職者を惹きつけるノウハウやリソースがない企業も少なくありません。そもそもそうした発想や概念自体が浸透していない場合もあります。
まずは集客をサポートし、次にオペレーションの整備や面接の進め方、面接後の内定承諾から入社までのプロセスを戦略的にサポートする。これをサービスのオプションやパッケージとして広げ、より分かりやすく提供できる形にしていきたいです。
サービスの範囲を採用全体に広げたあとは、やはりその入り口である「集客」の強化が重要になってくるでしょう。例えば、企業のコーポレートサイトや採用サイトをリニューアルしたり、社員インタビューを記事化してSNSで拡散したりするなど、企業全体のブランディングを支援できるようなサービスへと広げていきたいと考えていて、最終的には「採用」だけでなく、「人事」や「広報」まで包括的にリクロジにお任せいただけるような形が理想です。
━━ 最後に、リクロジの成長戦略や今後の展望について教えてください。
リクロジが今後さらに成長していくために必要なのは、「物流・製造業界に骨を埋めること」だと思っています。あえて特定の業界に特化し深く関わることで、市場の変化にどこよりも詳しくなり、変化にも素早く対応することができます。これまでもリクロジは、ご支援する業界を絞って常にサービスをアップデートすることで、お客様に素早く価値提供する仕組みを構築してきました。今後も専門性と柔軟な対応力を兼ね備えることでリクロジの提供価値を磨き、長期的な事業の持続につなげていきたいと考えています。
Mission:挑戦を当たり前にする