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既存のデザイン組織を超え、新たなステージへーーデザインマネージャー・新免孝紀

2023年8月、デザインチームに経験豊富なデザインマネージャーが入社し、新たな組織づくりに向けた気運が高まっている。

入社したデザインマネージャーの名は、新免孝紀(しんめん・たかのり)。黎明期のChatworkに入社して以来17年間、急拡大する組織の中で、プロダクトやロゴのリニューアル、ブランディング組織の立ち上げを経験してきたベテランだ。

経験豊富な新免は、なぜ長年在籍した前職を離れ、ウォンテッドリーへの入社を決めたのか。これからウォンテッドリーで取り組む挑戦の中身とは?インタビューにて話を聞いた。

<写真・編集:後藤あゆみ / 執筆:藤田マリ子>

新たなスキル学び続け、Chatworkの急成長を支えた17年間

ーーまずは、これまでのご経歴について、教えていただけますか。

新免:最初は、ポスターやパンフレット等のグラフィックデザインからキャリアをスタートしました。3年ぐらいやっていたんですが、ウェブデザインも勉強したいと思い始めたところで、友人に誘ってもらい入社したのが、前職のChatworkです。

ウェブについて何も知らない状態から、UIデザイン、ブランディング、マネジメントなど様々な経験をさせていただきました。

ーーそれから17年。まさに創業メンバーとして急成長を支えてこられたわけですが、ご自身のキャリアの中で転機になった出来事はありましたか。

新免:まず、それまでウェブデザインをやっていたところから、本格的にUIデザインをやるようになったのが、プロダクトリニューアルのタイミングです。

当時はまだ、UIデザインのプロトタイピングツールのようなものがあまりなくて。静止画を何枚もつくってUIデザインを進めていたんですが、実際に実装してみたら全然使えないということがあり、計画が頓挫しかけたんですが、それでも何とか、リニューアルに漕ぎつけることができ、UIデザインの難しさを実感したと共に、デザイナーとしての幅が広がった経験になりました。

その後、CEO直下で、ロゴのリニューアルをはじめ、ブランディングに関わるプロジェクトに携わるようになったんです。

プレイヤーから、チームの成果を最大化するデザインマネージャーへ

ーー最終的には、ブランディングを専門に手がける部署・BX(ブランドエクスペリエンス)部を立ち上げられたとのことですが、組織づくりやマネジメントに新たに携わる中で、どんな変化がありましたか。

新免:ものの見方が変わったというか、視座が上がったような感覚はありますね。それまでは、デザインの依頼に対して自分でヒアリングしたり、解釈をしながら進めていればよかったんですけど、マネジメントとなると、その依頼をチームの他のメンバーにお願いしないといけない。そのためには、依頼の背景をより深く理解する必要があると感じました。

また、どうすればチームのメンバーによりモチベーション高く仕事に取り組んでもらえるのか、といったことも考えるようになりましたね。

ーーマネージャーかプレイヤーか、というところでキャリアを悩まれるデザイナーの方は多いように思いますが、新免さんとしては「マネージャーが向いているな」という感覚などはあったのでしょうか。

新免:いや、正直なところ向いているとは思っていませんでした。マネジメントに携わるようになったのも、自分から手を挙げたのではなく、前任のマネージャーが抜けて、という経緯によるものでした。

しかしながら、実際マネージャーになってみると、部署として何をどう目指していくのかを考えるようになり、デザイナーとしての視野が広がりました。また、一人ひとりが活躍できるようなチームをつくることで、アウトプットの質を上げ、成果を最大化する、というところを目指せるようになったことで、大きく成長できたのかなと思います。

転職の理由は「外の世界で、新たなチャレンジをしてみたい」

ーー17年間慣れ親しんだ会社を、今回離れようと思ったのはなぜなのでしょうか。

新免:ブランド組織のメンバーも増え、業務がある程度回り始めたタイミングで、「次は何にチャレンジしよう?」と考えるタイミングがありました。また、17年も同じ組織に居たので、一度外に出てみたい、自分の市場価値を知りたいという気持ちもあったところに、「デザインマネージャーを探している会社がある」とお声がけをいただいて、そこで「まずは話を聞いてみよう」と最初に面談に行ったのがウォンテッドリーでした。


ーー入社前、ウォンテッドリーに対してどんな印象を持っていましたか。

新免:前職でのデザイナーの採用活動で、Wantedlyをかなり活用していました。事業会社のインハウスデザイナーがどんなことをやっているのかは、外から見えづらかったりするので、「まずは話を聞いてみる」というカジュアル面談の仕組みが、デザイナーの採用に非常によくマッチしていたように思います。

また、ウォンテッドリーはデザイナーによる発信が多く、アウトプットもよく見ていました。素敵なデザインだなと思いましたし、強いデザイナーが沢山いる会社だな、という印象がありました。


ーーどのような部分が、入社の決め手になりましたか。

新免:Wantedlyはよく使っていたサービスでしたし、「デザイン組織が強い会社」というイメージがあったので、そうした組織の中のデザイナーがどんな仕事の仕方をしているのか知りたかった、というのがひとつ。あとは、いまの組織の課題感について誠実に話してくれたメンバーの人柄ですね。「この人たちとだったら、一緒に仕事ができそう」というイメージができたんです。

いまのデザイン組織は、全盛期に比べるとメンバーが減り、少し大変な状況ではあるんですが、優秀なデザイナーが集まっているので、その人たちがきちんと能力を発揮できないのはもったいない。デザイナーが十分に成果を発揮できるような組織づくりに貢献したいと思い、入社を決めました。

これまでのデザイン組織を超えていく

ーー8月にデザインマネージャーとして入社されてからの2ヶ月間、どんなことに取り組んでこられましたか。

新免:まずは、会社のことを理解し、顔を覚えてもらわないことには始まらないと思ったので、マネージャーや各チームリーダーの方を紹介していただき、2週間くらいにわたって、1on1を行いました。事業や各チームの業務内容について教えていただき、デザイン組織と仕事をする中で感じている課題についてヒアリングをしてまわって。

その後は、1on1の中で出てきた課題感を整理し、どのあたりから取り組んでいくかという方針を立てていきました。

ーー具体的に、どんなことに注力していくのでしょうか。

新免:やはり課題は、デザイナーの人員不足です。ウォンテッドリーには「Wantedly Visit」や「Engagament Suite」をはじめ複数のプロダクトがありますが、現状それぞれのプロダクトに専任のデザイナーをつけられてはいないので、まずはプロダクトデザイナーの採用が急務だと感じました。

そのために今は、面談で使う会社説明資料のアップデートや、イベント登壇に向けたアプローチから着手しているところです。また、採用しても定着しなければ意味がないので、オンボーディングの仕組みを整えたり、ドキュメントを整備したりと、しっかりとした受け入れ体制をつくっていく、ということも同時に進めています。

ーーたしかに、採用には地道な活動の積み重ねが必要ですよね。他にも何か取り組まれていることはあるのでしょうか。

新免:ウォンテッドリーでは、デザインフィロソフィ(知的・大胆・洗練)が定義されています。新しいメンバーもいるなかで、この言葉だけではデザイナー全員が十分に理解するのが難しい状態でした。自分たちはどういったところを大事にしてデザインをしているのか、デザイナー全員でワークショップを行い、デザインに対する考え方の言語化作業を進めながら、共通認識をつくることにも取り組んでいます。

その他にも、既存のUIデザインシステムに対し、アップデートを進めるべく、プロジェクトチームを立ち上げました。

Design System Guild を立ち上げました | Wantedly, Inc.
こんにちは。ウォンテッドリーで Frontend Chapter Leader をしている原(@chloe463)です。9月に Design System Guild という組織を立ち上げたので...
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/547117

UIデザインシステムを使ってプロダクトの開発やデザインを進めてはいるものの、仕様面で言語化できていない部分があったり、デザイナーとエンジニアで共通認識が持てるドキュメントが揃っていない状態です。そこで今後は、定期的にミーティングを行い、継続的にアップデートをして、今あるデザインシステムをよりよいものに進化させていきたいと考えています。

ーーこれまでつくられてきたものを、超えていくと。

新免:そうですね。既にあるものを継承してアップデートしていくことは、私自身にとって、新たなチャレンジであり、ウォンテッドリーへの入社を決めた理由のひとつでもあります。

具体的には、勉強会やワークショップなど、さまざまな対話の場をつくりながら、さまざまな部門と連携して進めていきたいですね。

目指すのは、デザインマネージャーの新たなロールモデル

ーーデザイナーの働く環境として、ウォンテッドリーにはどんな魅力があると思いますか。

新免:一番大きな魅力は、デザイナーの裁量の大きさ、上流から関われるところです。基本的に「これをやってください」と上から降りてくることはなくて、課題を解決するために何をしたらいいのかを考えるところから関われるので、より本質的な価値提供について考えることができる。これは、ウォンテッドリーならではの面白さじゃないかと思っています。

また、既存の制度やシステムをアップデートしたり、組織が新たなステージに向かうための様々なチャレンジができる環境にも、魅力を感じています。

ーー最後に、今後のキャリアにおいて個人として実現したいことを教えてください。

新免:デザインマネージャーってあんまりイメージがよくないというか、「面白くなさそう」「一度マネージャーになったらもうプレイヤーに戻れない」と思われることがあります。でも、マネージャーになったからといって、つくることができなくなるわけではない。マネージャーとプレイヤーを行ったり来たりすることもできると考えています。

今はデザインマネージャーという立場ですけれど、あんまりそこに囚われないようにしようと思っていて、必要があればコミュニケーションデザインもするし、プロダクトデザインもするといった、柔軟なキャリアを歩んでいきたいと思います。

その中で、自分に今求められていることは、組織をデザインしていくことです。しっかり組織課題に向き合い、これまでの経験も活かしつつ、デザイン組織のアップデートに挑戦していきます。





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