こんにちは、ウォンテッドリーでデータサイエンティスト及びデータを活用したプロダクトのマネージャーを務めている松村です。2020年9月22日から9月26日にかけてオンラインで開催された RecSys 2020 に当社のデータサイエンティスト及び機械学習エンジニア5名で聴講参加及び、そのうちの3名が併設の RecSys Challenge の Workshop において口頭発表を行いました。その参加報告を行いたいと思います。
本記事では概要報告に留まりますが、明日からは参加メンバーが実際に発表を聴講して気になった論文や keynote などの内容についてまとめた内容を順次お届けしていく予定です。
ちなみに明日はデータサイエンティストの石崎より、実サービスにおける推薦システムの運用において大きな問題となる、 「推薦システムのバイアス」 というテーマでブログを公開予定ですので是非楽しみにしていてください!
↓ここに各記事へのリンクが並んでいく予定
Wantedly RecSys 2020 参加レポート② - 推薦システムのバイアス by 石崎
Wantedly RecSys 2020 参加レポート③ - Industrial Session by 関根
Wantedly RecSys 2020 参加レポート④ - 推薦システムにおける「Similarity / 類似性」とは ~ Netflix における事例 ~ by 松村
Wantedly RecSys 2020 参加レポート⑤ - Embeddings を用いた推薦システムの発展 by 縣
Wantedly RecSys 2020 参加レポート⑥ - Offline Evaluation in Recommender Sysntems by 合田
↑ 完走しました!🏃💨🎉
RecSys とは RecSys とは推薦システムについてのACM主催の国際学会であり、この分野ではトップカンファレンスにあたる会議です。毎年この時期に開催されており、今年の RecSys 2020 で14度目の開催となります。今年は本来はブラジルのリオデジャネイロでの開催予定でしたが、昨今の情勢により初のオンラインでの開催となりました。
以下公式Webページより引用
The ACM Recommender Systems conference (RecSys) is the premier international forum for the presentation of new research results, systems and techniques in the broad field of recommender systems. 推薦システムの分野は近年ますますの盛り上がりを見せており、(今年はオンラインだからというのもありますが)今年は 初の1000名を超える参加登録者 を記録しました。
(RecSys 2020 初日の Welcome Talk より)
この盛り上がりの背景としては、近年、 推薦システムの社会実装 が進んでいることが考えられます。推薦システムは、研究対象として研究室で研究用のデータを使ってシミュレーション実験が行われるだけの領域ではなくなってきています。実は、Amazon や Netflix などのような誰もが知っていて実生活で利用しているようなサービスも推薦システムの技術に大きく支えられているのです。また、巨大なデータを蓄積・利用する手段がかなり一般的になってきたおかげで、最近ではさらにたくさんの企業が自社のサービスに推薦システムを導入しようと開発や研究を進めています。もはや高度な推薦システムの存在が前提となっているサービスさえも存在しています。そして、わたしたちウォンテッドリーも、推薦システムを活用することでユーザにさらなる価値を届けようとしている企業の1つです。
少々見づらいのですが以下の写真のように、 なんと全体の64%もの割合が学術分野(大学や研究所など)からではなく産業分野(企業など)からの参加者だったようです。
(RecSys 2020 初日の Welcome Talk より)
以下のように(これもまた見づらいのですが)、去年は「Algorithms」についての論文投稿が一番多かったのですが、今年は 「Applications」についての論文が逆転して最多の投稿数 となりました。このあたりからも、推薦システムの社会実装が進んでいることが伺えます。
(RecSys 2020 初日の Welcome Talk より)
なぜ参加したのか 今回は、現在ウォンテッドリーに所属するデータサイエンティスト及び機械学習エンジニアの大部分がこの RecSys 2020 に参加する形となりました。もちろん参加するためにはお金がかかりますしメンバーの負担も大きいですし、業務時間に参加するためメインのプロジェクトは一時的にストップすることとなってしまいます。しかし、それでも参加することに価値があると思い参加することにしました。
その理由として、今回の RecSys 2020 がオンライン開催であったことはもちろん大きいです。本来ならば日本から見て地球の裏側であるブラジルにおける開催でしたので、予算やメンバーの負担などを考えてもさすがにみんなで参加しましょうとはならなかったでしょう。今回は各自の自宅から参加できてかつ一人あたり200米ドルでの参加が可能でした。加えて、オンライン開催にあたり基本的にそれぞれのセッションが時間をずらして2度に渡って実施されたことも大きかったです。地球のどこにいても現実的な時間で参加できるように工夫してタイムスケジュールが組まれていました。(日本からブラジル時間の会議に参加するとなると完全に昼夜逆転生活となってしまいます!)
(タイムスケジュールの例。公式 Web ページより引用。)
しかしそれ以上に大きな理由があります。 ウォンテッドリーでは現在、「推薦システム」を最も重要な領域の一つとして技術戦略上での位置づけをしております。その上で、その領域の最新のトレンドをキャッチアップすることや、この領域に関わる様々な方とコミュニケーションを取ることは大変重要なことであると考えているからです 。もちろん、最新の研究が私たちのアプリケーションにそのまますぐに反映されるということは少ないのですが、最新のトレンドまで知って増やした手札のもとで今現在必要な技術選択をするのと、そうでないのとでは大きな差があると考えています。また、この領域に関わるメンバーのモチベーションの向上や今後のキャリアといった点でも、この経験はきっと活きてくるだろうと考えています。
RecSys Challenge 2020 での口頭発表 冒頭でも触れたとおり、当社データサイエンティスト及び機械学習エンジニアの 合田 ( @jy_msc )、縣 ( @agatan_ )、松村 ( @yu_ya4 ) の3名が、RecSys の併設 Workshop である RecSys Challenge 2020 にて3位入賞を果たし、その技術報告を論文の形式でまとめた後に口頭発表を行いました。
慣れない英語での発表でしたので大変でしたが、ウォンテッドリーとして学術分野における国際カンファレンスでの登壇は初めてのことでしたので、大変誇らしいですし良い経験となりました。
カンファレンスの Reception 内でもベストペーパーなどと並んで表彰されていて嬉しい限りでした!
おわりに 今年はメンバーのみんなと RecSys に参加することができ、何よりも発表者側としての参加が叶ったことが一番良かったです。来年の RecSys 2021 はオランダのアムステルダムでの開催予定とのことです。次こそは是非とも現地で参加したいですし、できたらまた発表者として参加できるように1年間頑張っていきたいです!
また、去年に引き続き RecSys への参加者有志で論文読み会(オンライン)を企画しておりますので、興味のある方は是非ご参加ください!実際の RecSys2020 の本会議や併設 Workshops の発表者よる自身の論文紹介や、普段業務で推薦システムの開発に携わるエンジニア・データサイエンティストが今回の会議に参加して気になった論文の紹介を行います。 (イベント終了後でしたら発表資料がアップされていますので是非ご覧ください。)
今後としましては、とりあえず平常業務に戻りますので、ぼくたちのビジョンである 「シゴトでココロオドルひとをふやす」 ためにデータを活用したプロダクトや推薦システムの開発を引き続き進めていきます。今回の RecSys 2020 への参加を通して、私を含めてメンバー皆のモチベーションもかなり高まっていることを感じていますので、引き続き推薦システムやその周辺領域の技術の最新のトレンドのキャッチアップを行いつつも、今目の前の課題を解決することで少しでもたくさんのユーザのみなさまにたくさんの価値を届けられるような開発を行っていきます。
最後になりますが、Wantedly ではまだまだデータの力で解決可能な課題がたくさん残っています。推薦システムの改善の余地も本当にたくさんたくさんあります。一方で、データサイエンスチームは発足から2年が経ちある程度の体制が整ってきたとはいえ、まだまだ仲間が足りません。私たちと一緒に 「シゴトでココロオドルひとをふやす」 ためにデータを駆使してサービスを成長させていただける、 データサイエンティスト・機械学習エンジニア・データエンジニア などの仲間を探しています。少しでも興味を持っていただけたら是非以下の募集から「話を聞きに行きたい」ボタンを押してください。 Twitter の DM でも構いません。まずは私たちとカジュアルにお話しましょう!