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クリエイティブ・テックエージェンシーTAMには、AIやECなど専門分野を独自に追求しているチームがいくつかあります。その中で自治体や企業のソーシャルメディアの活用を支援しているのが、『しゃかいか!』チームです。
『しゃかいか!』チームは、その名前の由来にもなっているオウンドメディア『しゃかいか!』を運営中。日本中のモノづくりの現場を訪問して記録する活動を続けています。
なぜ、クライアント業務の傍ら、独自のメディアを運営しているのか?『しゃかいか!』チームの加藤洋さんと市岡祐次郎さんに、その成り立ちと魅力、それを通じて見つけた「新しい仕事のカタチ」について語っていただきました。
青いヘルメットが行く、『しゃかいか!』がつなぐモノづくりの物語
加藤:『しゃかいか!』は日本中のモノづくりの現場を取材するWebメディアです。工場や伝統的なものづくりをしている工房、研究所などを取材して、そのレポートを発信しています。
「自分たちが興味があるところに取材に行く」という、シンプルなルールで運営していて、自分たちの仕事が忙しくなると更新が少なくなるというマイペースなメディアです。
取材先の候補になるところはさまざまですが、地方創生や事業承継、新規事業開発などで現在(いま)を感じるところや若い人がチャレンジしている現場が多いかなと思います。
また、取材させていただいた人や企業は継続して応援していきたいので、「しゃかいか!ニュース」というコーナーで、彼らの最新の活動も紹介しています。
加藤:僕らはこの青いヘルメットをかぶって、日本中をうろちょろして取材をしているんですが、頻繁に訪れる地域では、このヘルメットかぶっていたら、「あっ、『しゃかいか!』が来た」みたいに言ってもらえるようになりました。
市岡:このヘルメットは僕らのユニフォームで、最初は「自分の身ぐらい、自分で守ります」みたいな意味合いだったんですが、ヘルメットをかぶっていると目立つのか、面白がってくださるので取材がスムーズになったりします。
ーーちなみに今って、どんな記事が閲覧数ランキング1位になっていますか?
加藤:「軍艦島」の記事ですね。
市岡:「軍艦島」に取材に行ったのはもう10年ぐらい前ですよね。『しゃかいか!』の記事はストック型で、時間の経過に関係なく、取材先がテレビなどで取り上げられたりすると人気ランキングに上がってきたりしますね。PV(ページビュー)もコツコツと積み上げるメディアです。
例えば、これも古い記事なんですが、山梨の富士吉田市では「ハタオリマチフェスティバル」が毎年開催されているんです。元々は産業観光的な視点で、富士吉田市が機織りの街だということがあまり知られていなかったので、有志メンバーが市役所とも手を組んで始めたプロジェクト。今では毎年4万人ぐらいを動員するビッグイベントになっています。
その第1回を取り上げた記事がすごく読まれたんですが、それ以来、毎年訪れるたびに主催者の人たちに「あのときは来てくれてありがとう」と言ってもらえます。
『しゃかいか!』の魅力とは? 取材を通じて広がるフラットな関係とモノづくりの真髄
加藤:『しゃかいか!』を始めたのは2014年です。2011年にTAMのソーシャルメディア事業部を立ち上げて、僕がFacebookマーケティングの本を書いたんです。それをきっかけにセミナーやワークショップでいろんな会社を訪問したんですが、それがすごく楽しくって。
昔からNHKの教育テレビ(いまのEテレ)や社会科見学が好きでしたし、「もっといろんな会社に行きたいなあ」みたいな思いがずっとふつふつとあったんです。そう思っていたときに、市岡さんがTAMに面接で来てくれて。
市岡:あのときはたしか、『しゃかいか!』のロゴだけができていて、加藤さんがこれから、実際にメディアを立ち上げるために(TAM代表の)爲廣さんに向けて社内プレゼンをする、みたいなフェーズでした。
僕は当時、大きな会社で働きながら、デザインの勉強をしたり、写真を撮ったりしていて、「僕、この仕事向いていると思います」って加藤さんに話して、それで入社して、『しゃかいか!』が立ち上がったのが2014年でしたね。
加藤:『しゃかいか!』はバナー広告も入れないし、記事広告でお金をもらっているわけでもないので瞬間風速的なPVはあまり気にしていません。大事にしているのは、取材をした人が喜んでくれること。これは普段のクライアントワークでもそうですが、僕らは「ひとをエンパワーすること」をすごく大切にしています。
市岡:『しゃかいか!』をやっていてよかったなと思うのが、ひととフラットな関係で出会えるみたいなところがあって。
クライアントワークではどうしても、「発注者と受注者」みたいにして始まるし、上下関係ではないにしてもなんらかのバランスみたいなのはあって。それが「メディア」という形になると、「取材をする時間をいただく代わりにコンテンツでお返しします」みたいな、等価交換的な関係で出会える。「社会人の友達の作り方」としてすごくいいなと思っています。
加藤:例えば、下着メーカーの「ワコールさん」は、クライアントワークとしてもお付き合いのあるTAMのお客さん。そのワコールさんの長崎の島原にある工場を『しゃかいか!』として訪れたんですが、工場って「閉じている」イメージがあるじゃないですか? だけど、取材してみると楽しそうに働いてる人がたくさんいて。
市岡:『しゃかいか!』を普段から見てくださっていたワコールの担当者の方から、「会社の公式サイトのほうでも、社会科見学のコンテンツを作ってほしい」というオーダーをいただいたんです。
『しゃかいか!』でもクライアントワークでも、「相手のいいところを見つけて、それをコンテンツ化する」っていう意味では同じ筋肉を使っている感覚があります。ただお金の流れが違うっていうだけで。
加藤:たしかに『しゃかいか!』をやっていることで、クライアントワークに向き合うときのスタンスが変わったり、会社を見る目が養われている気はしますね。
加藤:例えば、ワコールさんのとある工員の方が、工場の作業椅子の車輪を、荷物を運ぶ台車に付いている丈夫な車輪に替えていたのを見つけて。そうすることで、毎回立ったり座ったりせずに移動できるようにしていたんですね。そういうところが面白くて。
市岡:僕らが取材させてもらうのは、本当に素敵な工場が多いんですけど、なんかこう、「どうしてこの会社は、いいモノづくりできるんだろう」っていうのが、空気で分かるようになりました。
ワコールの工員さんは、工場ですれ違ったら、僕のことは全然知らないはずなのに、「お客さん」としてとても丁寧に挨拶をしてくれたり。あとやっぱり、オフィスが綺麗な会社に行くと、「ああ、素敵なモノづくりだってしますよね」みたいな。やっぱりイキイキされてますよ、そういうところで働いている人は。
好奇心が生む『知の探索』と『知の深化』:『しゃかいか!』がつなぐ学びと成長
加藤:『両利きの経営』っていう本があるんですが、この先行き不透明な世の中において、自社の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうとする「知の探索」と、自社の持つ知を継続して深掘りし、磨き込んでいく「知の深化」が大事だって言っていて。後付けなんですけど、僕らが『しゃかいか!』でやっていることって、これだなっていうふうに思っています。
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加藤:普段のクライアントワークを通じて、コンテンツを作るという「知の深化」を頑張っている一方で、『しゃかいか!』を通じて「今の若い人の働き方ってこうなっているんだ」「伝統工芸に携わる人たちは後継ぎがいなくて本当に苦しいんだ」みたいな、リアルに触れて「知の探索」もできている。それがまた、「知の深化」であるクライアントワークにも活かされている感覚はあります。
市岡:知の探索の燃料になっているのは「好奇心」。仕事だけやっていたら、それを消化しきれない。『しゃかいか!』は、好奇心を満たすための装置にもなっているんだと思います。
加藤:その好奇心の根っこにあるのは、なにかを「好きだなあ」という気持ちですよね。「私はこれが好きなんです」っていうのがある人のほうが、コミュニケーションが生まれやすい。コミュニケーションが生まれる人じゃないと、たぶん生存だってできないと思うんですよ。好きなものがある人には「いいな。僕も力になりたいな」みたいに思えて、そこでコネクトされるので。
市岡:そうしていろんな会社や工場を訪れるたびに、「自分がほぐれる感覚」があるというか。会う人みんな、TAMと考え方やカルチャーが全然違うんですよね。「こういうのもありなんだ」って思えるようになるんです。
加藤:今後、『しゃかいか!』では、働き手や事業継承者がいなくて困っている会社がたくさんあるという日本の課題や、それでも地方で頑張っている若い人たちにフォーカスしていきたいですね。
若い人でも、有名で大きな会社に入って3年もすれば視野が狭くなったり、やりがいが見えなくなったりすることもあると思うんですが、そういう人にこそ、『しゃかいか!』の記事を読んでもらったり、一緒に工場見学に行けたりしたらすごくいいなと思います。副業でライターをやってみたい人だとか。
市岡:学生インターンも大歓迎です。僕が今後やっていきたいのは、これまで『しゃかいか!』を10年やってきて、いろんな人と仲間になれて、そういう人たちと一緒に、自分たち自身もモノづくりができたらいいんじゃないかなと思っています。
加藤:そんなふうに、『しゃかいか!』がそれぞれの人がそれぞれのやりたいことを手繰り寄せるための道具になれたら、と思っています。
TAMの代表の爲廣さんは、僕が10年前に「『しゃかいか!』をやりたい」と言ったとき、ほんの数秒で、「やったらええやん」って言ってくださって。「でも、たぶん年に150万円くらいかかります」「やってみなはれ」って、それはもう本当に一瞬でOKをもらいました。
『しゃかいか!』の取材に同行した爲廣さん(左から3番目)
加藤:たぶん爲廣さんは、『しゃかいか!』の僕らみたいに、TAMの中で「勝手にやる人」がもっと増えたほうがいいと思っているのかな。
だれかが会社で好き勝手することによって、「線引き」ができるじゃないですか、『しゃかいか!』が自由に楽しんで仕事やってるから「あそこまではやっていいんだ」っていう。その限界を『しゃかいか!』が拡張している感じはあって、たぶん爲廣さんもそれを分かってくれているんだと思います。
[取材・文] 岡徳之 [撮影] 蔡昀儒