- テクニカルディレクター
- フロントエンドエンジニア
- オープンポジション
- Other occupations (43)
- Development
-
Business
- テクニカルディレクター
- Webディレクター/実務経験無
- Webディレクター/プロマネ
- Web Director
- リモート/プロジェクトリーダー
- コンテンツディレクター
- ディレクター
- 企画・制作ディレクター
- Webディレクター
- 企画・運用Webディレクター
- webディレクター
- Webディレクター(業務委託)
- ディレクター・プランナー
- ディレクター/マーケティング
- Webディレクション
- 経理・会計
- Finance / Accounting
- 総務
- アカウントプランナー
- Digital Marketer
- 採用広報
- SNS運用アシスタント
- SNS運用ディレクター
- SNS運用インターン
- SNS運用
- Webマーケター/ディレクター
- デジタル広告の企画・運用
- デジタルマーケティングの提案
- 社会人インターン|副業ライター
- webメディアライター・編集
- Other
「普段本業の仕事で使っているスキルや知識は、会社の外でも役立てることはできるのか?」、多くの会社で副業が解禁されていることも後押しとなり、興味を持つビジネスパーソンは増えているでしょう。
デジタルエージェンシーTAMのEコマース事業部でディレクターを務める笹谷仁寛さんは、本業の傍ら、週末は夫婦2人で立ち上げたアパレルショップの店頭に立ち、お客様とのリアルなコミュニケーションを楽しんでいます。
どのようないきさつで夫婦での起業に至ったのか、本業での経験をどのように活かしているのか、話を聞きました。
経営の経験を積むために夫婦で起業
―本業のTAMではどのようなお仕事をされていますか?
株式会社TAM ディレクター 笹谷仁寛
1993年生まれ。製薬会社の営業、フリーランスエンジニアを経て、2022年にTAMにWebディレクターとして入社。現在はECサイトの新規構築や運用の案件に主に従事。「Shopify」を使ったECサイトの構築提案を数多く担当している。社外では妻のみことさんとアパレル店「601」を京都で経営
TAMの正社員としてはまだ1年半ぐらいなんですが、実は入社前にフリーランスのフロントエンジニアとしてECサイトの製作に携わっていました。それを1年半ぐらいやった後で「そろそろディレクターをやりたいな」と思っていたところ、声をかけていただいたので入社しました。
フリーランスのときは、中小企業の案件が多かったんですが、今は一部上場企業の新規事業に関わることが多いですね。
―入社前はフリーランスだったんですね。その前は何をしていましたか?
新卒では製薬会社の営業をやっていました。お医者さんたちに薬をPRするっていう。北海道に配属されて、4年半ほどそこに住んでいました。
製薬会社にいるときからコーディングを勉強し始めて、好きなので仕事にしようかな、と思って。当時コーダーのコミュニティに入っていて、そこでフリーランスの人たちと交流する中で仕事をもらえるような関係になりました。
それだったら、どこかに転職するよりも一旦独立して、交流の幅を広げていったほうが面白いんじゃないかと思って、そのまま独立。製薬会社の仕事は楽しかったし、自分にも合っていたんですが、いろいろ経験したいというのが僕の根底にあったんです。
ただ、大きい会社と一緒に仕事しようと思うと、一旦企業に入って経験を積んだほうがいいなあ、と思ってフリーランスを辞めて、TAMに入社しました。妻にはよく「先を考えすぎ」と言われるんですけど(笑)。
―そんなパートナーである、みことさんとこのたび一緒に起業された。
開店祝いに来てくれた同業者の方(一番右)とお店にて
はい、京都で「601」というレディースアパレルのセレクトショップをやっています。オープンしたのは今年8月なので、まだ3〜4カ月なんですけど、1年くらいかけて準備をしました。
僕は経営の経験が積みたいという気持ちがあったので、別の事業をやろうとしたんですけど、そっちは話がなくなってしまって。それで、ほかになにかいいアイデアないかな、と探していたところ、彼女が学生のときからずっとアパレルのお店をやりたかった、という話を聞いて、「じゃあ一緒にやってしまおう」って。
僕の経営をやりたい気持ちと、彼女のアパレルをやりたい気持ちがいい感じで融合できるんじゃないか、と思いました。
本業で身につけたフレームワークをフル活用
―お店をオープンするまで1年くらいかけたというお話でした。実際にどのような準備をしましたか?
まずはブランディングとか、お店のコンセプトづくりですね。そのときには、「STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)分析」とか、「カスタマージャーニー(顧客が商品やサービスを購入するまでの一連の体験プロセスを時系列で可視化するもの)」とか、TAMで身につけたフレームワークを自分なりに使わせてもらいました。
―具体的にはどうやってそのフレームワークを使いましたか?
例えば、「STP」の「セグメンテーション」では、アパレル市場内のお店の位置づけを「コンサバ市場」「ハイエンド市場」などに分けて捉えていきます。それから立地では「地方」にあるか「都会」にあるか。あとは、お客様の職業から分析して、「アパレル関係者」が買うところはどこか、みたいな。
STP分析
その結果、僕たちは、どちらかというと尖っていて、デザイン性の高いブランドを扱うお店で、一般消費者というよりはアパレル店員の方とか美容師さんをターゲットにすることにしました。
そして、僕たちのお店を「トレンドに捉われないデザイン性」「お客さんとの距離」「取扱商品ジャンル」などの軸で、ほかの店と比較しながら位置付けて、基本的に「トレンドを追わず、京都周辺の他店に置いていない商品」を取り扱う、という結論に。
お店のコンセプトとしては、「本当に自分に合うお洋服やモノに出会ってほしい」という想いがあるので、一人ひとりのお客様としっかりお話したいなと思っています。
ターゲットとなるペルソナもフレームワークを活かして決めました。
例えば、アパレルショップ店員、25歳の女性。まだ若いけど、ちょっと大人の女性の格好をしたい人。ほかにもライフスタイルとか、どんな価値観を持っているかとか、どんなことをしたいと思っているのか、どういう風に人間関係を作っているのかなど、細かく設定しました。
ペルソナ像
お店との関わり方では、ちょっと立ち寄ってお話して、いい服があったら買って……みたいな、アットホームなところを探している子ですね。僕たちのお店については、「自分だけの隠れ家を見つけた」みたいなのを感じてほしいと思っています。
実際、ご来店いただいているお客様の中には、2〜3時間、僕たちとコーヒーを飲みながら話していかれる方もいらっしゃいます。そんな感じで、お客様と親しみやすい関係性でやっていきたいですね。
こういう感性的な部分を言葉にするのはすごく難しいので、言語化しておくとすごく助かりますね。特に彼女はフィーリングタイプなので、僕にどう伝えていいのか難しい場面がよくありました。夫婦間で「ああ、あの子のことを言っているのね」という共通認識を持てるようになったのは大きかったです。仕入れる服を選ぶときやインスタに写真を上げるときなんかにもブレずにやっていけるのかな、と思います。
融資や資金繰りなど経営の知識も本業で吸収
―いよいよ京都に出店。立地の選定や資金はどうされましたか?
京都の経済センターで、中小企業診断士さんに人口分布データをいただいて考えた結果、お客様がアクセスしやすい中京区の河原町あたりにしました。繁華街の近くですが、ビルの3階にあるので、次々に人が入ってくるという感じではないです。
初期投資は、事業用貯金と融資で賄いました。内装の業者さんもいい方を紹介していただいたり、家具もイギリスから仕入れているお店から安く譲っていただいたりして、みなさんが思うよりも初期費用はかからなかったと思います。
銀行から融資を得るときにはスライドを100枚ぐらい作ってプレゼンしたんですけど、その見せ方なんかもTAMの本業で教わったことを取り入れましたね。
融資を得るためのスライド
―資金繰りとかもTAMの本業で身につけたりできるのでしょうか?
全体会議などで、ときどき、「今会社の資金繰りはこんなんです」とか、財務諸表などを見せてもらえるので、いつもそこは食いついて見ています(笑)。「ああ、会社ってこうやって回っているんだ」って。あとは、TAMの先輩たちが勧めてくれた経営に関する本もたくさん読みましたね。
―パートナーの方の強みはどのような形で活かされていますか?
彼女はマーケティングというより、繰り返しになりますがフィーリングで動くタイプです。
僕が本業で身につけたマーケティングの知識はもちろん活かされているんですが、アパレル店を経営するにはやっぱりそれだけではうまくいかなくって。それをベースにしつつも、最後は感性とかクリエイティブの勝負になるんです。
セレクトショップは特にどのブランドやどんな商品を選定するのが大事なんですが、それはやっぱり経験や日々の生活によって培われるフィーリングやセンスがないとできない。そこを捉えられる力は僕には全くないので、そこはもう彼女頼りですね。
あとは、提案力。ショップ店員時代から彼女のスタイリングの提案は定評があって、ファッション好きの方からはよく褒められるみたいです。「みことさんの提案、すごく面白いから買っちゃった」みたいな話は、人づてに聞いたりします。
―お互いの強みが噛み合っていますね。社長とCFOみたいな感じで。
そんなにカッチリ役割を分けているわけではないですが、基本的にビジュアル面は彼女、財務的なところは僕がやっています。ただ、妻が財務をやらないとか、僕がビジュアルをやらないとかではなく、割と2人で相談しながら2人3脚でやっています。どっちが上とかにはしたくないので。
ただ、ビジネスパートナーである前に、もちろん夫婦。プライベートの時間は大切なので、一応、「自宅ではお店の話はしない」ことを意識しています。
でも、つい僕がお店のことが頭に浮かんじゃって、「今後このペースだとちょっと資金繰り的にまずそうだなあ」みたいな話をすると、また「先のことを考えすぎ」と言われます。お店に出勤する土日まで、こういう話をしないように我慢する練習を今しています(笑)。
自分は社外でも通用するか?大事なのは「棚卸し」
―夫婦として、あるいはご自身の今後の目標は?
まずはお店が軌道に乗ることを目指しています。あとは、パリコレの時期などに年1~2回はパリに行けるようにしていきたいな、とも。海外のお店やブランドとも関係を構築して、じっくり自分たちのお店を育てていきたいと思ってます。
個人としては、今後、全然違う事業にも挑戦したいという気持ちもありますが、とにかく今は、本業でマーケティングやテクニカルなことなどを引き続き身につけつつ、お店の経営と両立できたらと思います。将来は学んだことを統合できたら、と。
―笹谷さんのように企業で働きながら社外でもチャレンジをしてみたい人にはどんなアドバイスをしますか?
やりたいと思っていることを思い浮かべて、それに対して、今自分はどの位置にいて、どういうスキルを持ってるのか、あとなにが足りないのか、というのを整理して、棚卸ししてみるといいと思います。もし今の職場はなんか違う……と違和感を感じているなら、転職して環境を変えてみるのもいいと思います。
でも、やりたいことが思い浮かばなくっても、急いで見つけようとしなくていいと思いますね。急いで転職しなきゃとか、自分はこのままでいいのだろうか、と焦っている人は僕のまわりでも結構いますけど、全然急がなくていい。「やりたい」と思った時にやったほうがモチベーションは高くなるし、どんどん行動していけますから。
[取材] 岡徳之 [構成] 山本直子 [撮影] 藤山誠