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【JD徹底解剖】CPOとDoPが語る、タイミーのプロダクトマネージャーとは?(前編)

企業が社員に求める目標や必要となる能力などが明記されるジョブディスクリプション(以下、JD)。採用においては「こんなはずではなかった」というお互いの認識のズレを防ぐ役割をはたします。

この度、タイミーでは「プロダクトマネージャー(以下、PdM)」のJDをアップデート。プロダクトづくりの中核を担うポジションが担う重要なミッションや求められる人物像への想いをより詳細に表現しました。

本記事では、JDのアップデートを主導したDoP(Director of Product)の大歳 華王志(以下、Kaoshi)とCPOの山口 徹(以下、ZIGOROu)の2名が、JDの内容を丁寧に読み解いていきます。

※本記事の内容は2024年9月時点のものです。

会社が目指す方向との「接続」を意識したPdMのミッション

ZIGOROu:今回アップデートしたJDでは、冒頭のミッション部分からタイミーのカラーが強く出ていますよね。Kaoshiさんはどんなフレーズを意識しましたか?


Kaoshi:全体的に、会社として目指す方向との接続を意識しました。

「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」というミッションを掲げ、一人ひとりが持つ限られた時間を豊かにしていくために様々な挑戦をしています。

まず、この一文目ですが、PdMのミッションは会社としてのそれに接続していないと元も子もない。その意味で、最初にこの文を置くことを最重要視しました。

スキマバイトアプリ「タイミー」では、社会課題でもある労働人口不足に真正面から向き合うと同時に、働き方の選択肢を拡げ、働くことの意義をも変えていきたいと考えています。

続く二文目は、タイミーというプロダクトがどのように社会へ影響を及ぼし、人々の行動変容を引き起こそうとしているのかを説明する目的で記載しています。


ZIGOROu:ドラッカーのいう「社会的責任(※1)」の位置付けになりそうですよね。


Kaoshi:そうですね、それは意識しました。


ZIGOROu:最後の一文には、多様なステークホルダーと関わりながら、自身が一定の専門性を発揮しつつ組織内での分業もするという、タイミーにおけるPdMの仕事の進め方が凝縮されていますね。見落とされがちな「グロース」という言葉がついているのも良いな。

様々な専門家やステークホルダーと協力し、オポチュニティ(ユーザーやプロダクトの抱える課題、ニーズ、アイデア)の発見、探索を通じた掘り下げ、プロダクトの開発、顧客に届けるためのプランニング、使い続けてもらうためのグロース推進などをリードしていただきます。


Kaoshi:そうですね。バリューストリーム上「(プロダクトを)出して終わり」ではないということを強調するようにしました(※2)。


※1 経営学者ドラッカーは著書『マネジメント』において「会社の存続と繁栄に関わる8つの目標」として、マーケティングやイノベーションなどと並んで「社会的責任の目標」があり、企業の戦略に組み込まなければならないと説いている。

※2 タイミーのプロダクトづくりでは「インフラ」になるというミッションのもと、ユーザーが継続して使い続けられるように運用・改善し続けることを重視している。

プロダクトイニシアチブの実現を目指す、PdMの業務内容

ZIGOROu:ここからは具体的な業務内容についても気になる部分を深堀りしていきましょうか。「プロダクト戦略に基づいたプロダクトイニシアチブの立案・実現」についてはもう少し解像度を上げたいですね。


Kaoshi:プロダクトづくりにおける戦略を立てる段階では、PdMも関わろうと思えば関われます。ただ、タイミーはあくまでCPOがつくる方向性に基づいて戦術を練り、運営を進める体制になっています。そこが「プロダクト戦略に基づいた」プロダクトイニシアチブの立案・実現、という言葉の意味なんです(※3)。


ZIGOROu:「ロードマップ」というワードを出していないのは面白いですよね。


Kaoshi:そうなんですよね。ロードマップはあくまで、戦略を他の人に説明するためのアウトプットの一つであり、コミュニケーションツールに過ぎないと考えています。PdMの主たる役割として記載するのは違うかなと。


ZIGOROu:重きを置いているところが違いますよね。どういった上流の戦略に基づいて、イニシアチブをつくっていくかの方が大事だと考えています。また、プロダクトイニシアチブを実現する上で重要になってくる初期フェーズの取り組みとして「定性、定量調査をもとにしたオポチュニティの発見」や「価値の探索と優先順位の検討」があり、これは以前の業務内容にも書かれていましたよね。

タイミーでは比較的実現できている部分なのかなと思っていて、プロダクトマーケティングマネージャー(以下、PMM)がプロダクト側にオポチュニティをプッシュしてくれるカルチャーが以前からありましたよね。


Kaoshi:あったと思います。ちなみにオポチュニティの意味について認識を合わせておくと、一般的には顧客の課題やニーズ、インサイトといったものを総称したもので、ビジネスの場面ではビジネス機会として使われることが多いと感じています。それをプロダクトの話に置き換えると「僕らが取り扱うべき課題や目的となりうるもの」の総称と言い換えることもできますね。


ZIGOROu:バリュープロポジション(※4)におけるゲイン・ペインと似たような概念ですね。「価値の探索と優先順位の検討」はどのような形でやっているんですか?


Kaoshi:まず価値の探索ですが、タイミーでは主にPMMがリードするプロダクトディスカバリーというアプローチを取っています。ここでは、顧客の課題やニーズ・欲求といった顧客のインサイトを積極的にリサーチしていて、そこにPdMも参画しています。

また、データ分析も重要な役割を果たしています。タイミーにはプロダクト分析の専門チームが存在しており、主に定量面からユーザー行動を分析し、そこから見える相関や因果関係を探っています。PdMは、こうした専門領域を持った他の職種とともに活動しているんです。


ZIGOROu:なるほど、優先順位はどんな感じで決めているんですか?


Kaoshi:今は戦略的意図やプロダクトイニシアチブが明確に決まってきているので、いくつかの手法でインパクトを評価しながら決めています。その中でも、どこから順に探索するかという大きな方針はイニシアチブベースなのですが、イニシアチブで取り扱われない細かい粒度のものに関しては、PdMがそのチームの中で状況を見て判断しています。


ZIGOROu:そうですね。基本的にはサバイバビリティ(生存性)とビジョンフィット(中長期的な目標との一致)という2軸を4象限で評価して優先順位を付けていますよね。いずれにも合致するのが理想で、サバイバビリティは高いけどビジョンフィットが低いものはビジョン負債、サバイバビリティは低いけどビジョンフィットが高いものをビジョン投資といった形で。ここに短期的に投資するべきもの、長期的に投資するべきものという投資割合がちょうど良い感じになるための調整も入っているし、Cost of Delayというプライオリタイズ・メソッドも使って遅れることでどれくらいのコストが発生するかの評価もしています。 ただその評価はあくまでアウトラインでしかなくて、最終的には人の手で決めていますよね。あと触れておきたいところだと「リリース内容の効果検証と改善の実施」ですね。この表現は結構板に付いていて、効果検証と改善をしっかりやっているよ、と最後にしっかりと入れてるのが良いなと思います。ビルドトラップにハマらないように、アウトプットが目的化しないようにするためにここは欠かせませんから。


Kaoshi:「ミッション」のグロース推進という箇所でも述べていますが、うちのプロダクト組織の特性であり強みだと思うので大切ですよね。ベースとしてPdMが出すべきものはアウトプットではなくアウトカムだということに意識を持っている人が多いゆえに、こうした文化が根付いているんだと思います。


ZIGOROu:漸進的な改善というのが根付いてきている印象なのですが、DoPとしてどう見てますか?


Kaoshi:漸進的な改善という意味だと、チーム内での効果検証や改善はうまくできていると思っています。それぞれのチームが自主的に探索しながら、自分たちのプロダクトゴールに対して少しずつ価値を積み上げていることはできているかと。一方で、サービス全体に影響を与えるような、もっと根幹となるような変数をもう一段深く探索していく余地はまだまだあると思っています。


ZIGOROu:たしかに、プロダクト全体を俯瞰で見たときに「プロダクトの先行指標として重要な指標がこれで、今の検討状況はこんな感じです」ということに行き着くのは今後の課題ですね。


※3 「タイミーにおける戦略・戦術・運営の考え方と、それを遂行する Product Manager の Role について」を参照。

※4 顧客に提供する価値の組合せという意。(参考:「バリュー・プロポジション」グロービス経営大学院)

いかがでしたか?前編では、PdMのミッションと業務内容について掘り下げていきました。

「【JD徹底解剖】CPOとDoPが語る、タイミーのプロダクトマネージャーとは? 」は後編に続きます。後編もぜひご一読ください。

【JD徹底解剖】CPOとDoPが語る、タイミーのプロダクトマネージャーとは?(後編) | 株式会社タイミー
DoP(Director of Product)の大歳 華王志(以下、Kaoshi)とCPOの山口 徹(以下、ZIGOROu)の2名による対談インタビュー。前編に引き続き、「プロダクトマネージャ...
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