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ソフトウェア開発の現場で技術力を研鑽し、開発チームをリードする役割も担えた、マネジメント経験も積んだ、さてその次は.....? ベンチャー企業で活躍するシニアエンジニアにとって、まだまだ気力もたっぷりなうちに「次なる挑戦」をどうデザインするかは決まった正解のない問いです。
今回インタビューした要徳幸は、2019年にWantedly Peopleの開発チームに加わった後、今ではWantedlyプラットフォーム全体の体験の質向上を担うチームのリーダーを担うほか、若手育成を中心に組織開発にも携わっているシニアメンバー。
200人規模のベンチャー企業で開発部部長を務めた後、40代にしてウォンテッドリーにジョインした彼は、どんな挑戦機会を新天地に見出したのでしょうか。
組織戦略としての「育成」をキャリアのテーマに
ーー要さんのこれまでキャリアについて教えて下さい。
要:エンジニアとしてのキャリアスタートは所謂SES企業で、エンジニア兼SIとして20人規模のプロマネを担うなど面白いプロジェクトを沢山経験させてもらったのですが、自分の作ったものを背負って成長させたいという思いから事業会社でのキャリアを選びました。
入社したのは当時40人規模だったベンチャー企業でしたが、プログラミングだけでなくPJM(プロジェクトマネジメント)やQA(クオリティアセスメント)など発揮できるスキルがたくさんある環境で、ベンチャーの面白さにのめり込んでいきましたね。
ーー大手の現場を経験した要さんが、ベンチャーの開発組織に持ち込んで役立ったのはどんなスキルでしたか?
要:大手やベンチャー問わず、多くの事業会社のエンジニア組織がPJMで苦労しているんです。なので前職でも別のエンジニアがテックリード的な立場を担当して、自分はピープルマネジメントとPJMを担当という風に役割分担したうえで課題解決を行っていました。
小さなベンチャーが組織開発において抱える構造的な問題に、どうしても育成が苦手でメンバーの定着・活躍を阻んでしまうというものがあります。僕は育成プロセスを自前で用意できている大手メーカーの現場を経験していたので、どこにテコ入れすべきかについてある程度は把握できていたのが役に立ったと思います。
ーー要さんが育成において特に重視していることはなんですか?
要:人によって成長スピードは違いますから、その人にあった適切な環境を用意してあげることが大切だと思っています。「育成」というのは目的ではなく事業を持続・成長させるための手段ですから、そこを極めることが自分自身のキャリアのテーマとして浮かび上がってきたのも前職での貴重な経験でした。
優秀な若手世代との出会いと、伸びしろの発見
ーー2019年に転職する前、ウォンテッドリーの開発チームにはどんな印象を持っていましたか?
要:技術力が高い、いわゆる「強い」エンジニアが多いことは知っていました。ただ、採用面談を通じて現場の若手メンバー含めたくさんの人と会った際に、若手からチームリーダーまで「まだ爆発しきっていない」という印象を受けたんです。つまり、プロダクトを作るのが大好きでエンジニアリングに没頭できる人が集まっているけれど、事業を伸ばす上でその素質を100%発揮できているかといえば、そういうわけではなさそうだと。
過去のリリースをみても「これを若手中心で作ったのか!」と眼を見張るような出来栄えなのですが、まだまだプロダクトにとって爆発的な成長トリガーとなるところでの機能開発には至っていなかったりする。そこでまず独自のカルチャーをメンバーと同じ目線で知った上で、成長のためのボトルネックを解消してあげられれば一気に伸びるのではと思いました。
ーーまず現場チームに加わったことにはそんな背景があったのですね。では実際に開発の現場に加わってみて、どこにボトルネックがあると感じましたか?
要:ウォンテッドリーには若手にも決裁権があり、リーンに開発する文化があることは間違いないのですが、フレームワークとしてのリーン開発を理解できているところ/理解できていないところがあって、その運用においても改善ポイントがたくさんあると思いました。
たとえばボトムアップで施策を考えて、数字責任を持って進めるという習慣があっても、やること・やらないことの判断基準が明確になっていないと場当たり的に施策を乱れ打ちすることになります。なので実際に現場に加わってからは「スコープの定義から順にプロジェクトを管理していこう」と交通整理をすることを大切にしましたね。
ーーまさしくPJMの役割ですね。要さんのキャリアテーマでもある「育成」についてはどうしていこうと思いましたか?
要:どんなに地頭がよくても、ピープルマネジメントが不在の状況で「これでいいのか?」という疑問が解消されないままだと、開発に没頭する環境の妨げになってしまいます。加えてリーダー陣も「こんな1on1のやり方でいいのか」と手探りだったりする。いわば名監督もファンタジスタもいるけれど、コーチ陣が圧倒的に不足しているのが当時のウォンテッドリーの状況だと思いました。
これから組織として大きくなり、圧倒的な成功をつかむためには社内にコーチングのノウハウを蓄積できる仕組みが必要です。まずは自分が先陣を切って各Squad(プロジェクトチーム)やChapter(技術/職能グループ)のリーダー陣と1on1をする中で、ステップアップのためのアジェンダを組みつつ課題発見のためのプロセスやフレームワークを伝えています。
シニアエンジニアの「次の一歩」を考える
ーーシニアエンジニアのキャリア選択について、要さんの考えを聞かせてください。
要:ベンチャー企業で一定の成功体験を積んだエンジニアに多い選択肢としては、大企業へのキャリアアップを目指すか、よりアーリーステージのスタートアップで再挑戦するかの2つだと思っていて、同じくらいの規模のベンチャーで横に移動する人はあまり多くない印象を受けます。
とはいえ、たとえ規模感が似ていても2つとして同じ組織課題はないですし、それまでの経験に再現性があるかといえばそうでもないんですよね。たとえば僕が前職のパターンをウォンテッドリーの組織開発にそのまま持ち込んでしまえば、才能ある若手を型にはめることになってしまう。なので、まずは僕自身が次のやり方を作っていかなくてはいけない。
ーーステージが変わるごとに、ご自身の引き出しを増やさなくてはいけないと。その挑戦意欲のトリガーになっているのは何なのでしょうか?
要:新鮮な環境に飛び込み続けると、常に何らかの悩みを抱えた人が周囲にいることになるんですよね。そこで自分自身のツールをアップデートしながら、周囲の成長に貢献できることの喜びが一番のトリガーだと思います。ウォンテッドリーにはその機会が揃っているので、僕自身の挑戦の場としてはうってつけだと思いましたね。
ーー最後に、もし要さん自身のようなシニアエンジニアにウォンテッドリーをお勧めするとしたら、どんなメッセージを贈りますか?
要:これは社内のストレングス・ファインダーでも結果が色濃くでているのですが、ウォンテッドリーの若手層は学習意欲が異様に高い人たちの集まりです。さらに、積極的に意見を出してディスカッションをする文化もあります。いわばマネジメント経験者にとってはまたとない条件が揃っている環境ですし、うまくいけば自分の想像をはるかに超えるような成果をあげることができる。
「打てば響く」人たちがここまで集まっている場所はそうそうないと思っているので、天才たちの成長スピードを最大化させる“名コーチ役”にチャレンジしたいのであれば、まさしくウォンテッドリーはうってつけだと思います。