リクルートメントマーケティング連載第4回〜なぜ今採用で「WHY」が最も大事なのか〜 | リクルートメント・マーケティング入門
こんにちは、Wantedlyビジネスチームです!前回の記事では、いかに「自社を知って貰った」見込み候補者に「もっと興味を持って貰う」だったり、そのために「継続的に接点を持ち」温度を上げていくこと...
https://www.wantedly.com/companies/wantedly/post_articles/162165
こんにちは、Wantedly Vistチームです!前回までは、デジタル時代において、いかにオンラインプレゼンス(存在感)を高め維持するのが大事かという話をしてきました。
今日は、その先にある「知ってはいるけど詳しくは知らない」「知ってはいるけどそんなに興味がない」人たちにいかに興味を持って貰うかのナーチャリングの話になります。 おさらいですが、「ナーチャリング」とはNurtureのことで、何かを育てるとか育むといった意味があります。
ここで挙げるのは興味深いデータですが、なんと候補者は説明会等に来た後に大きく志望度が上昇する事が多い事がわかります。つまり、人は「志望度が高い」から企業を受けるだけではなく、「なんとなく知ってるから受けてみた」中で、次第に志望度が上がってくるのが当たり前だということです。
また、志望度を上げる中で大事なのが、社員との触れ合いを通じた文化やビジョンの理解が大事になってきます。
ナーチャリングというのはもともとマーケティング用語ですが、もともと「そこまで志望度が高くなかった」人が、少しずつ情報を得たり距離が縮まることで最終的に「志望度」が上がるプロセスのことを指します。
ナーチャリングは3つのステップに分解できます。「ソフトセレクション」「興味形成」そして「検討」の3段階です。
これがある意味、従来の採用活動との大きな違いになり、また採用のマーケ化を加速させている最大要因といえます。
まずはマーケティングの例をとって話しましょう。これまでは、不特定多数の人に足しいて画一的なメッセージを等しく単発で届けるのが一般的だったのに対し、マーケティングでは「スコアリング」という概念が導入されました。リードに対して、BAND〜Budget(予算)・Authority(決裁権)・Needs(必要性)・Timeframe(導入時期)〜といった情報、またどれぐらい商品理解が進んでいるかをスコア化し、そのスコアに対して営業が最適なアプローチをします。例えばまだまだ導入は1年先といったまだエントリーレベルのクライアントには、資料を送ったりイベントに招待して、まずは商品知識を高めて貰います。一方で今すぐにソリューションを求めているクライアントには営業が訪問するなどしてしっかりと手厚い対応をします。こうすることで、限りある営業リソースを最適配置し、クライアントのニーズに応えることが可能になります。
この流れが採用にも入ってきています。これまでは不特定多数の採用説明会を実施し、画一的なメッセージを同一チャネルから発信していました。しかし現実は、候補者の転職希望時期や転職意欲、会社の理解などはまだら模様です。そこで、ATS(Applicant Tracking System = 候補者管理システム)やSNS(Wantedlyは、ソフトセレクションに使えるという意味で代表的ですが、米国ではLinkedinが使われています)を中心に、「本エントリをしたわけではないけど興味を持ってくれている」人と接点を持ち、かつその人のタイプを元に提供する情報を変えることが進んでいます。
ソフトセレクションの方法は多様なので、候補者に合わせて適したものを選びましょう。
この「ソフトセレクション」はマーケティングではいちいちステップとしては明示的に入れられていませんが、リクルートメントマーケにおいては重要なのであえて明示的に入れています。
ソフトセレクションができ、候補者についての理解が深まった時点で各人に合わせてアプローチを変えながら興味を醸成していきます。候補者は下記に分類できます。
ここでナーチャリングをするべきは「高嶺の花」となっている象限です。また、「ファン」と呼ばれるセグメントの候補者は、長期的にみて可能性があるので、Talent Poolとして継続接点を持ち、数年スパンという長い目で関係を維持していきましょう。このように、それぞれのセグメントに合ったアプローチやフォローアップをしていきましょう。
では早速、アプローチしたい対象にいかに「興味を持ってもらう」かをみていきましょう。
まだまだ会社について知らない人、興味を持っていない人に対しては、突然「結婚を申し込む」よりは、少しずつ距離を縮めるために「デート」を重ねていきます。例えば気軽に参加できる社内イベントに招待したり、会社の広報資料を送ってみたり、会社の様々な部署の人と食事に行って貰ったりします。
温度が高まったタイミングで大事なのは、実際に選考に進むよう「ナッジ」(後押し)をするということです。
一方で選考に進む意思決定をするためには、候補者にも検討材料が揃っている必要があります。その候補者が働く上で大事にしている軸を把握し、そこに対して自社の良い部分、そして悪い部分もシェアし、検討して貰いましょう。世の中には400万社も企業が存在します。採用活動とは「マッチング」であり、それぞれの人には「合った」会社があります。ある人にとってはダウンサイドの部分が、ある人にとってはアップサイドになったりします。また同時に、万人にとって「良い」会社というのは存在しません。自社の良い部分、悪い部分を裏表なく伝え、検討して貰うのが大事です。
また、候補者の志望度を上げていく一例として、下記のようなステップが考えられます。こちらは第2回の「リードジェンレーション」のコンテンツの分類で挙げた図です。
この数字ごとにコンテンツや接点を設計することで、候補者の志望度を着実に上げていくことができます。
また、最初はオンラインでの接点、後半のナーチャリングになるとオフラインの接点が有効です。
ここまでナーチャリングについて話してきましたが、実行する上で3つの罠があります。
まず第一に、継続接点がないこと。これは同時にもソフトセレクションにつながりますが、相手の連絡先や、相手のニーズといった必要最低限の情報があるとその人に沿ったフォローアップが可能になります。Wantedlyだけではなく、ATSやLinkedinなど様々なツールがあるので、うまく補完しながら使えるといいかもしれません。
第二が接触タイミングが非科学的ということです。現代のマーケにおいては、それぞれのリードに対して最適なタイミングで自動でアクション(連絡等)が行われます。所謂「マーケティングオートメーション」と言われる領域ですね。それと似た機能が昨今のATSには実装され始めていますし、Wantedlyのタレントプール機能でも最適タイミングで連絡が可能になります。
第三が短期で効果を測りすぎるということ。ナーチャリングに投資ができる会社は「人が大事」と認識できている企業です。優秀でカルチャーマッチがある仲間を、時間がかかってもいいからしっかり採用していきたい、というスタンスの企業にしか向きません。 流行りに乗って形だけ「ナーチャリング」をするのではなく、そもそも何のためにナーチャリングをするのか、といった認識合わせを社内で行うのがよいかもしれません。
以上、リードナーチャリングについてみてきました。次回は「リクルーティング」についてみていきましょう。
<次回に続く>