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▲エントランスに佇む、代表取締役の平田
Repro株式会社は、アプリのマーケティングツールの提供に留まらず、アプリの戦略立案から運用までを一気通貫で支援しています。会社倒産の危機に見舞われるも、有力なピッチイベントで優勝。その後、事業が軌道に乗り出した矢先、さらなる困難が……。代表取締役の平田祐介が振り返ります。
Reproを再び軌道に乗せた、メンバーの取り組みと一握りの“運”
(「創業4年で世界59カ国に展開。マーケティングにかけたReproの軌跡・前編」はこちら)
僕は焦りました。「目の前が真っ暗になる」とは、まさにこのことか、と。
突然、全クライアントが「Repro」で集計データを分析することが非常に困難な状況になったんですから。
B Dash Campでの優勝を機に、Repro創業後初めて事業が軌道に乗り出し、社内にハッピーな空気が流れ出した直後に発生したこの大障害。
原因は、「Repro」が急激なユーザの増加により、本来想定していたスケーラビリティが担保できないアーキテクチャとなっていたことにありました。
B Dash Camp優勝前の「Repro」のクライアントは、比較的小規模なアプリが中心でした。そのため何十万何百万というユーザーを持つビッグクライアントからのデータが何社も同時に「Repro」に集まる経験をしたことがなく、その負荷の増大に耐えられなかった……。
僕は当時の営業トップと話し合い、サービス停止という事実を真摯にクライアントに対して謝罪し、復旧には数カ月かかること、料金の請求は一切しないこと、ただサービスの復旧後には料金の請求をさせてほしい(!)ということを正直に伝えることにしました。
Reproのクライアントは、みなさん本当に懐の深い、素晴らしい人たちでした。
名だたるクライアントの方もいらっしゃいましたが、みな僕らの状況を理解してくださり、「ベンチャー企業の大変さは理解している。謝罪の必要なんてないから早期復旧に向け、頑張ってください」とおっしゃってくれた。結果、1件の解約も出ることはありませんでした。
そんな恩義に少しでも応えたいと思った僕は、エンジニアを支援して一刻も早くサービスを復旧するために全力を注ぎます。
▲創業初期から支えてくれているエンジニアたち。トラブル発生時は、昼夜を問わず全力で復旧にあたってくれた
今までの僕たちは、プッシュ通知やアプリ内メッセージなど、マーケティング機能の開発を最優先に取り組んできました。
ですがこの障害によって、僕たちはサービスの信頼性を担保する開発を最優先とする必要があることを悟ります。そしてもともとフリーランスとしてReproに関わっていた 橋立友宏 を新たにCTOとして迎え、創業当初から一緒に頑張ってくれているエンジニア陣総出で復旧にあたりました。
そして当初3カ月の予定であったところを、2カ月で売上が立つ状態まで持っていくことに成功します。
が、復旧時には会社の銀行残高はほぼゼロに。
僕の目の前には、B Dash Camp前のデジャヴが蘇ります。
この絶望的な状況の中、僕はReproの初代インターンであり、VCの株式会社ジャフコ(以下、JAFCO)に新卒入社した長島昭さんと再び連絡を取るチャンスに恵まれます。
僕はわらをもつかむ気持ちで、長島さんに増資の相談をしました。
そして彼は新卒1年目にも関わらず、JAFCOの投資委員会でReproに対する投資を全力でプッシュしてくれた。
当時知名度もまだまだで売上も少額しかたっていないにも関わらず、それなりの企業価値での増資を希望していたReproに対し、当然のことながらJAFCO社内では否定的な意見も出ていたのではないかと察します。それでも長島さんは、Reproメンバーがどれだけ真剣に、どれだけ真摯にクライアントのことを考え、最高のサービスをつくることに心血を注いでいるかを投資委員会でプレゼンしてくれたようです。
その結果、JAFCOからの投資が決定します。
僕は再び、人の縁に助けられました。
これはよく起業家仲間の間で話題になることですが、経営者にとって“運”は本当に大切です。会社が死にかけたときに誰に会うことができるか……僕は本当に運が良かった。
長島さんと、あの時再会することがなければ、確実にReproはあそこで死んでいたと思います。
こうして1年以上をかけて売れるサービスを考え、ここにきてサービスをスケールさせるための体制も整います。
ここから、「Repro」は再び走り出したのです。
見えてきた、クライアントを成功させるために必要なこと
「Repro」を導入してくださるクライアントが増えていく中、その一部で「Repro」を使いこなせていないがために商品の購入率や有料会員数などのKPIが伸ばせていないという課題が出てきました。
ここで僕は、2つの手を打ちます。
1つ目は、社長直下のカスタマーサクセスチームの構築です。
Reproのようなサブスクリプション型のビジネスモデルを採用する企業において、クライアント視点でサービスの利用状況を把握し、課題解決をサポートしていくカスタマーサクセスは非常に重要です。
Reproのサービスに合ったカスタマーサクセスのあり方を考え、実践しない限り、僕らが抱えている課題は解決できないと考えていましたので、僕が直接チーム組成に関与しました。今ではコミットメントの強い社員が団結し、カスタマーサクセスの提供価値を更に上げてくれているので頼もしい限りです。
※Reproのカスタマーサクセスの取り組みについての詳細は、こちら
そして2つ目は、より短期的にKPI向上を求めているクライアント向けのコンサルティングチームの構築です。僕のコンサルファーム時代の最後の上長であり、僕が一生努力してもコンサルティング業務では絶対に敵わないであろう先輩をこのチームの責任者とし、クライアントに対して価値を提供できる状態を担保しています。
こうして、アプリの戦略立案から運用までを一気通貫で支援する現在のReproのビジネスモデルの形ができあがります。
今、直面する人材不足の壁
▲2018年5月現在のReproメンバー
Reproは今、「人」の課題に直面しています。
会社がスケールするスピードに、会社が求めるようなスキルを持つ人材を採用するスピードが追いついておらず、人材不足に起因する成長の停滞が発生しているんです。
各組織の平均的なスキル以上の人材を常に前倒しで採用するのが理想ですが、優秀な人材のフリーランス化や労働人口が減少していくという流れを鑑みると、社外から優秀な人材を取り続けることは、日々難易度が上がっていくと感じています。そこで、やる気とポテンシャルがある人材を社内で教育し、なるべく最短で自分たちが求めるプロフェッショナルに育てていくことを模索しはじめました。
会社のミッションとして、まず「人を育てる」。
その人たちと一緒に、クライアントに価値を提供し、ビジネスに貢献する。
そしてクライアントのビジネスが成功し、彼らがつくったサービスが広まり、世の中がより豊かになっていく。
Reproでは人の育成を通じてこういったループをつくれたらと思っています。
今までReproは、クライアントの「成長」に対してどの会社よりもコミットし、結果を出してきたと自負しています。しかし、その分仕事が厳しかったはずにもかかわらず、Reproを去るメンバーがほとんど出なかったんです。これはReproがクライアントと同様に社員の成長にもコミットし、彼らにもReproにいる意味を感じてもらうことができていたからではないかと思います。
社員数が前年度の2倍以上に増えた2018年現在であっても、常に彼らに対してストレッチな成長環境を提供し続け、「人を育てる」という文化を失わないことがこれからのReproの「成長」にとっても非常に重要であると考えています。
アプリマーケティングから、デジタルマーケティングのNo.1企業へ
▲Reproの強みをさらに磨き、アプリにとどまらずデジタルマーケティングの世界でNo.1を目指している
社員が圧倒的に成長するための機会を提供するには、Reproが常にNo.1である必要があります。
では、どの事業領域でNo.1であるか。
Reproの圧倒的な強みは、アプリからデータを取得(Input)し、価値のあるデータへと加工(Process)し、マーケティングに活用(Output)するまでを一気通貫で実現できる技術的基盤があること、クライアント視点でデータをマーケティングに活かすためのノウハウがあること、の2点です。
この強みがあるおかげで、現在はアプリ向けマーケティングツールとして国内でトップクラスのシェアを取らせていただいています。
Reproの強みを更に磨き、今後はWebや実店舗、IoTなど様々なデータにまつわるIPOの問題を解決し、アプリにとどまらずデジタルマーケティングの世界でNo.1を取ることが、経営の責任だと考えています。
そしてゆくゆくはデジタルマーケティング業界の「人材輩出企業Repro」にするべく、短期間でどこの会社よりも優秀な人材を育てられる会社にします。Reproで圧倒的に成長し、力をつけたメンバーが、何人の人を幸せにできるかということが、究極的に成し遂げたい個人的な目標であり、自分の仕事であると思っています。
実際に僕も、Reproを通して大きく変わりました。
Reproを起業する前、僕は自分の幸せのためだけに働いていた気がします。だから、何もかもうまくいかなかった。
しかし、Reproを起業して、クライアントの幸せを本気で意識して仕事に取り組むようになったんです。ふと気づいたら、Reproを通して自分も成長していたんだな。
起業家として、今後も辛い思いをすることはたくさんあるだろうし、乗り越えなければならない壁も数多あると思いますが、この姿勢で仕事をしていれば今後も乗り越えていけると信じています。
数年後どんな自分と出会えるのか、今から楽しみです。
Story from https://www.pr-table.com/repro