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今回インタビューをしたのは、Goodpatchのクリエイティブディレクター/UIデザイナー兼コミュニケーションデザイナーを務める栃尾 行美。クライアントのビジネスに寄り添ったUIを作るべくチームのクオリティアップに努める彼女に、クライアントワークで重要なポイントやこれからのデザイナーに求められるスキルについて聞きました。
美大のビジュアルデザイン学科卒業後、制作会社に就職してWebデザイナーに。
コーポレートサイトやLP・バナー制作などのWebデザインに従事した後、大手人材会社の新規事業開発室に出向してサービスやアプリケーションの立ち上げに携わる。2018年、株式会社グッドパッチにUIデザイナーとして入社。現在は、クリエイティブディレクター/UIデザイナー兼コミュニケーションデザイナーとして活躍中。
はじめに、Goodpatchに転職した経緯を教えてください。
前職の制作会社では広告代理店とよく一緒にお仕事をしていたのですが、すでに企画や方針が決まっていることが多く、「もっとこうしたら良くなるのにな」と思ってもなかなか提案できないことがありました。そんななか1年、2年と時間が経つにつれて「本質的な課題に向き合いたい、改善したい」と思うようになり、会社を辞めて転職活動を始めたんです。
そのときにデザイナーの友人から「もし私が転職するなら今一番デザインに力を入れているGoodpatchに入りたい」と聞いて、初めてGoodpatchという会社を知りました。
私はとにかく一番になりたいタイプだったので、「Goodpatchがどんなものか見てやろう!」くらいの挑戦的な気持ちで応募しました。
Goodpatchでは当時、組織改革に取り組んでいたため『デザイナーが輝ける組織づくり』を軸にしたブログ記事を公開していて、その点に好感を持ちました。
また、面接の中でデザインについてかなり深く会話できたことも好印象でした。これだけデザインについてニッチな会話ができる会社であれば面白そうだと感じて、Goodpatchへの入社を決めました。
UIデザイナーとして入社し、マネージャー、クリエイティブディレクター、そしてコミュニケーションデザイナー。Goodpatchでのキャリアを振り返っていかがですか?
UIデザイナーとしては未経験だったので、まずGoodpatchのメンバーの一員としてしっかり価値を出すために情報設計やロジックを繋ぎ合わせたUIデザインという前段部分はかなり意識していました。
特に重視していたのは、ロジックをきちんと言語化して、それをクライアントにどう伝えるかということ。どんな資料にアウトプットして、どんな方法で伝えるかということは大事にしていました。
過去に携わった案件の一部
入社して3年ほど経ち、「そろそろ新しいことに挑戦したいな」と思い始めた頃に、タイミングよくマネージャー職に就きました。私自身、マネージャーの方には厳しくも親身に向き合っていただいた経験があったので、次は私がそれをGoodpatchのメンバーに還元したいという想いがありました。
その後、UIデザインチームのメンバーマネジメントや組織の仕事を担当しながら、プレイヤーとしてクリエイティブディレクターを続けてきました。そして、これまでUIデザインが内包してきたコミュニケーションデザイン領域を、今期からチームとして独立させることになり、新たにコミュニケーションデザイナーという肩書きでも活動し始めたところです。
コミュニケーションデザイナーの役割を教えてください。
Goodpatchでは、コミュニケーションデザインを “ソフトウェアデザインも含めたサービスを中心に置いたときに、その周りにあるタッチポイントをデザインしていくこと” と定義しています。
数年前までは“価値の高いプロダクトをユーザーに伝わるように作ること”に集中していました。しかし、現在は価値の高いプロダクトも伝わるデザインも飽和しており、プロダクトだけではなく周りのユーザータッチポイントも含めた全体のサービスで評価されるようになっています。
また市場を見るとサービスを「作るチーム」と「売るチーム」が別々であり、それぞれの考えでサービスを成長させようとしていることが多く、コミュニケーションやビジュアル制作において一貫した表現ができない課題がありました。
その課題を解決するために、ソフトウェアプロダクトから周辺のタッチポイント、そしてプロダクトとタッチポイントのつなぎ込みまで、全体の設計・制作をコントロールするのが、コミュニケーションデザイナーの役割となります。
Goodpatchはプロダクトデザインのためにユーザーにしっかり向き合うことを長年大切にし、リサーチや体験設計をご評価頂いていました。顧客起点をタッチポイント設計やマーケティング、デザインのありかたなどにしっかり一貫して反映できることが、Goodpatchのコミュニケーションデザインの強みになります。
現在、栃尾さんはどのようなプロジェクトに携わっていますか
この半年間取り組んできたのは、会計ソフトをはじめとして、中小企業・個人事業主向け業務ソフトウエアを提供していらっしゃる弥生株式会社様の、Webサイトの刷新とクリエイティブ開発です。
Webサイトのリニューアルや、グラフィックの制作など、一貫したプロダクトデザインに携わってきました!
Webサイトでは課題を棚卸ししながらどんなターゲットにどのように伝えるかなど、足元の問題も解決しながらデザイン全体の統一を図りました。弥生様社内の意思をワークショップを通して吸い上げつつ、市場への伝わり方を意識した、サービス全体を前進させる施策とデザインのバランスを重要視したプロジェクトでした。
特に、このプロジェクトで強く意識したのは「スピード」です。
というのも、これまでGoodpatchではデザイナーが上流から参画する仕組み上、考えて作るところまでを一人で担当する必要があり、アウトプットが出るまでに時間がかかっていました。
じっくりと時間をかけて練り上げてクライアントに出したものがやり直しになることもあり、それがすごくもったいないと思っていたんです。
そこで今回は、ラフでもいいので1週間くらいで提出して、まず方向性を決めることにフォーカスしました。そうすれば、あとはクオリティを高めることに時間を充てられます。現場やクライアントの皆さんと高速かつしっかりと意思のすり合わせを行うことがサービスを前進させるデザインの肝になると思っています。
スピーディなPDCAを何度も重ねてのリリース。手応えはいかがでしたか?
リリースしたばかりなので成果の分析はこれからですが、クライアントからは「今まで大事にしてきたブランドを守りつつ、デザインに新しいチャレンジを取り入れてくれて本当に助かりました」と評価いただきました。
クライアントには、自社では思いつかない・思い切れないような新しい風を吹かせたい気持ちが少なからずあると思っています。今回のクライアントも、従来のブランドイメージに囚われるあまり、挑戦的なデザインを提案されることがなかったという課題がありました。
今回、ブランドイメージを損なうことなく挑戦的な要素を取り入れたデザインが評価いただけたことは成功といえますし、短期間でサイクルを回しながらブラッシュアップを重ねていった手法が、うまく機能した結果だと思います。
栃尾さんがクライアントワークにおいて重視していることはなんですか?
手を動かしてデザインを作ること自体ももちろん大好きなんですが、私にとっては、成果を出すことが1番なんです。
成果とは何かというと「収益を上げたい」「コンバージョンを上げたい」「ブランディングをしたい」など、クライアントが“ビジネスやサービスの狙い”をどこに置いているのかを正しく汲み取り、それに対して100点の回答を出すことだと思っています!
そのために、クライアントとのコミュニケーションはかなり重視していて、「本当のところどうしたいですか?」など、しつこいくらいにヒアリングしています。
その前段階さえしっかり決まれば、あとはどう表現していくか。初めに定めた軸から、いかにズラさないかを意識して進めています。
ーGoodpatchのメンバーや社風について、栃尾さんはどのように感じていますか?
やはり、デザインが好きなメンバーが多いのは私にとって魅力的です。
たとえば、興味深いデザインの記事などをSlackで共有する文化があって、みんなどんどん情報発信しますし、それに対してコメントもつけてくれるんです。
『物作りが心から好きなメンバー』に囲まれて働けることに、毎日喜びを感じています。
また、びっくりするくらい裁量を与えてもらえるのもGoodpatchの魅力です。
上下関係やルールや暗黙知といったものはあまり感じず、「とりあえずやってみたら?」とどんどん背中を押してくれる社風です。好きなことに挑戦させてもらえて、すごくありがたい環境だと思っています。
栃尾さんのデザイナーとしての強みは、なんだと思いますか?
一人のデザイナーとしては、正直それほど強みがあるとは思っていません。ただ、仕事をする上での私の強みは、物怖じしないところと、やり切る力だと思っています。
今までやったことのないものを目の前にすると、不安になったり一歩引いてしまったりすることがあると思います。
でも、私は未知のものに物怖じすることがあまりなく、はじめてのことでも「やります!」とすぐ飛び込めるんです。未経験だったコミュニケーションデザインの領域を切り拓けたのも、まさにその強みが活かされてのことだと思っています。
そして、やったことがないものでも絶対にやり切りたいですし、品質の高いものを出したいと強く思っています。
ー栃尾さんが考える、これからのデザイナーに必要なスキルやスタンスはなんだと思いますか?
クライアントワークをやっていて特に思うのは『どれだけ自分ごと化できるか』ということ。アウトプットだけ作っていればいい、ということは本当にないんです。
例えば、今自分にサービスのUIデザインのアウトプットを求められていたとしても、実はクライアントにとってはデザインシステムを運用していく仕組みや組織が必要というケースもあると思います。そこも含めてクライアントを支援していくべきだというのは、Goodpatchに入ってからより強く感じました。
自分ごと化ができる人は、サービスをよくするためにどうするかを考える延長線上で「みんなが使えるようにデザインシステムを作ろう」「組織にもテコ入れが必要なのでは」と、自然と目が向いてくるんだと思います。
そういった観点はクライアントに満足いただける高い品質を生み出すデザイナーにとって、必要不可欠です。
最後に、栃尾さんが一緒に働きたいメンバー像について教えてください。
自分ごと化ができる方、目の前のことに全力で取り組める方、そして自分の軸をしっかり持っている方と一緒に働きたいです!
ただ言われた通りにアウトプットを作るだけではなく、Goodpatchのデザイナーだからこそ提供できる価値をクライアントに届けたいと考えています。
「デザイナーとして考えた結果、こうあるべきです」とクライアントに言えるよう、自分の軸をしっかり持ったうえで柔軟にすり合わせていける方と一緒に働いていけたら嬉しいです。
栃尾さん、ありがとうございました!
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