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こんにちは、採用広報の西木です。
今回はfreee finance labがリリースした新サービス「オファー型融資」についての特集!
事業開発に携わったメンバーを代表して、鬼木と山本に話を聞いてきました。
プロフィール
左
鬼木洋平(Oniki Yohei)
大学卒業後、航空会社へ入社。国際線WEBサイトの全面リニューアルプロジェクトのプロジェクトマネージャーなどを経験。その後、コンサルティングファームに転職し、M&A後の統合プロセスや北米ITベンチャープロダクトのマーケティングプラン立案などに携わる。2018年freeeにジョイン。
右
山本聡一(Yamamoto Soichi)
大学卒業後、経済産業省に入省。インドへの日本企業進出支援、東日本大震災後の電力産業改革、中小企業の事業承継支援など、幅広い政策の企画・立案に携わる。2018年freeeへジョイン。高知県出身。
〜freeeにきた理由〜
ーこれまでの職歴と、freeeに来た経緯をもう少し詳しく聞かせてください。
鬼木:新卒で入社した航空会社では、コールセンターや予約サイトなどBtoC向けシステム開発のプロジェクトマネージャーでした。案件ベースでずっと動いてて、最終的には国際線Webサイトの全面リニューアルとかも担当してました。そこからコンサルファームに転職し、3年ほどたった時にfreeeからWantedly経由で連絡をもらったんです。もともと確定申告で会計freeeを使ってたんで、興味本位でカジュアル面談をしに行きました。
当時は経理などのバックオフィス業務って、暗くて閉鎖的なイメージがありました。もっと言うと旧弊な慣習に囚われてて、〆切に終われてて、紙に埋もれてて、ずっと「数字が合わない」って言ってるみたいな印象が強く、関わりたくない領域だと漠然と思ってました(笑)だからfreeeで色々聞いてみたんです。
すると「大変だからこそやりがいがあるんだ。」とすごい熱量で言われて、しかも仕事を楽しんでる事が伝わってきて、自分も一緒にこのチームで働きたいなと考えるようになりました。あと、ちょうど上司と大きめの喧嘩したタイミングだったんですよね(笑)
ータイミング良かったってことですね!山本さんは、なぜ経産省から民間に?
山本:僕は将来的に高知県に帰って地元経済を元気にしたいと思ってるんですけど、役所から自治体に行く人ってけっこういるんです。そういう普通のルートで戻っても差別化して戦えるとは思わなかった。大きな価値を出す為にはやっぱり全然違う世界でチャレンジした方が良さそうだなと考えたんです。
地方は中小企業がほとんどですから、最後は希望して、中小企業庁で税制や補助金などで企業支援をやっていたんですけど、もっとサービスや技術の面で中小企業を元気にする仕事をしたいなぁと考え、転職活動を始めました。
大手を選ばなかったのは、意思決定のやり方なども含めて役所とそんなに変わらないかなと思ったから。あとベンチャーの中でもfreeeは、中小企業庁でもスモールビジネスに革命を起こしそうな会社って感じでけっこう有名で、自分のやりたい事にも近かったので、何の抵抗もなく面接に来ました。
ースーツ脱いでみてどうですか?
山本:楽すぎます。もうスーツ着れないです(笑)
〜freeeで何を?〜
ーfreeeに入って具体的に何をして来ましたか?
鬼木:会計freeeのPM(プロダクトマネージャー)やるのかなぁと思っていたら、「会社設立freeeのPMやって」って言われ、法人登記なんて全く知らなかったので戸惑いました。
でも触ってみるとすごく面白く、その時期ちょうどめっちゃユーザーが増えてたんです。実際自分も勉強を兼ねて会社を作ってみたんですけど、かなりサクサク作れてこれがマジ価値か!って思いましたね(笑)
しばらくして金融事業部(finance lab の前身)のPMも並行してやることになりました。もちろん融資に関しても知識はなく、ユーザー側・金融機関側どちらの事情も1ミリもわからなかったです。そこで金融機関側の事情は佐藤さんとかfreeeの金融リテラシー高い人に、ユーザー側の事情はユーザーさんに直接聞きました。
ー会計freeeのユーザーさんにですか?
鬼木:はい。そんな事まで教えてくれて良いんですか?ってレベルで話してくれたので、融資を受けることの大変さが理解できました。だからこそ「オファー型融資」のサービスは、めちゃくちゃやりがいあるなと腹落ちしました。蓋開けてみたら、えらい大変でしたけど(笑)。
山本:僕は入社してすぐ金融事業部に入り、そのままfreee finance labに子会社化されました。
〜新サービスと込められた想い〜
ー新サービス「オファー型融資」の概要を教えてください。
鬼木:サービスの内容としてはすごいシンプルで、freeeが持っている財務データを使って、融資を簡単に申し込めるようにするものです。実際に融資するのはfreeeではなく提携している金融機関。この手のサービスって世の中に先行事例はあるんですけど、新しいのは最初からいくら借りれるか分かるということです。
ー会計freeeに蓄積されたデータから?
鬼木:はい。「この金融機関は100万まで、金利はこれだけ」「ここは150万、金利はこれだけ」と、色んな金融機関目線でユーザーの与信に値段をつけます。それが一覧で見られます。僕は当初「与信の価格ドットコム」って社内で説明してました。
ーなぜそういった仕様に?
鬼木:サービスを開発する前に会計freeeのユーザーさんにインタビューすると、みんな融資は申し込みが面倒臭いっておっしゃるんですよ。実は提出する書類もあまり決まってなくて、とりあえず財務諸表を持っていっても、追加で「あれ持ってこい、これ持ってこい」って言われると。
しかも金融機関ってメールの受け付けできないところが多く、直接店舗に持っていくかFAXなんです。例えば、地方だと最寄りの金融機関まで車で片道30分の場所とかあると思うんですけど、「これ何往復するの?」みたいな人がけっこういるんですよ。
しかも本当に借りれるのかとか、いくら貸してくれるか、1ヶ月くらい待たないと分からない。それってすごいストレスですよね?
だから申し込みが簡単にクラウド上で出来ること以上に、申し込む前からいくらぐらい借りれるかわかっているのに価値があると思っています。
他のメリットとして、融資申し込まなくても自分が今いくらまでだったら借りれるか常に最新の結果を頭に入れておけるんですよ。資金繰りの不安って中小企業の経営者について回るんです。今は大丈夫だけど将来困ったらどうしようとか、体調崩して事業が止まったらどうしようとか。そこでオファー型融資の画面で借入可能額が事前に分かっていれば、少しは経営者の精神的負担が軽くなるんじゃないかと考えました。そうなると、単なる融資サービス以上の価値がある。だから絶対に実現するんだって強い気持ちで取り組みました。
でもこの実現には法的な制約や、金融機関側の思惑も含めて本当に大変でした。例えば審査する前から借りられる額を見せるって金融機関からしたら、あんまりやりたくないんですよ。
ーそれはなぜですか?
鬼木:もし後で貸せなかった時にクレームになるし、法的にも絶対に借りられるという風に誤解させないように配慮すべきとなっています。
僕らは金融機関側の都合も理解した上で実現を目指さないといけないので。どうやったらお互いに納得する形でユーザーに案内出来るのかとかいうのを考えながら協議を続けました。
ーすごい事をやってますね。
山本:別の視点で意味があると思うのは、大企業と中小企業のファイナンス格差を是正できるかもしれないことですね。大企業はすぐにお金を借りられるけど、中小企業は全然借りられない。でもそれは貸してくれない金融機関が悪者なのかと言うと全然そんな事はなくて、彼らも当然貸したいんです。
でも中小企業の中でも比較的規模が小さなところが、例えば「2ヶ月40万貸して下さい」っていうものに対して、金融機関の担当者が行って審査するって、その時間だけでもう赤字なんですよ。金利も低いので。だからそんな事出来なくて、中小企業が気軽に利用できるファイナンスがないんです。銀行でガッツリ審査するか、消費者金融みたいに法人ではなく経営者の個人信用での融資になっちゃう。それを解決しようとしたら、もうデータでやるしかないわけですよ。だって銀行は人数を割けないから。
だからデータでAI審査っていうのは、今まで融資が受けれなかった人も受けれる可能性があるって事なんです。金融機関さんも最初はfreeeが行くと構えちゃうところあるんですけど、説明したら事情をわかってくれました。freeeの持ってるデータとデジタル力を使って、手の届かない所にもちゃんとアクセスしてみませんか?という提案を繰り返しました。
〜開発秘話〜
ー苦労したポイントについて教えてください。
鬼木:この手のサービスをやる時に、法的にどこまでがオーケーか線引きがすごく曖昧なんです。最初はサービスのラフな絵を描いて、弁護士にチェックしてもらったんです。そしたら片っ端から「ダメ」って言われて、いやいや、待って下さいと。
競合のプロダクトなどを調べて「あの会社は既にこういう風にやってますよ」と言っても、「あれは私の法解釈だとアウトです」って(笑)
鬼木:利便性を追求すると、法律とバッティングする事がこの領域は非常に多いんです。その絶妙な所をつくのは難しい。でもこのクラウド時代に従来のオフライン融資だけしてても、誰も得しないし、あえて僕らがチャレンジする意味がない。
山本:でもこうした悩みはリーガルに限らず、開発含めて全てでした。どこまでやれば良いのかっていう全体像がローンチ直前ぐらいまで見えなかった。僕らは正しい方向に今進んでいるだろうかって、自問自答する日々でした。
鬼木:今考えると金融機関側も大変だったろうなと思います。彼らは自分達の審査業務を組み換えないといけなかったりする。審査業務って金融機関ごとにこだわりが強い部分なので、そう簡単に変えれないんですよ。
ー1件ずつそういうのを喋りに行ってるっていう事ですよね?
山本:はい。金融機関ごとに「この項目が追加で欲しい。」などいっぱいあります。そして金融機関の中でも、僕らの窓口になっている事業部と審査部門でも議論をしてもらわないといけない。「何でこれをこう変えたらダメなんだ?」とか。そういう中で、リリースする時点で何が本当に最低限必要なのかについて、線引きするのが本当に難しかった。
結局僕らとして譲れない所と、そうでない所を上手く組み合わせる。譲れない所は絶対譲らないし、そうでない所は金融機関の意見がなるべく反映できるように。これがすげぇ大変でした。
ーめちゃくちゃ現場の生の声って感じします。ひとつのサービス作るってこんなに大変なんですね。
鬼木:freeeって物事を進めながら柔軟に変えていくの得意じゃないですか。エンジニアも含め。でも金融機関は最初にちゃんと仕様を全て決めて、その通りに作る事を業態的に宿命づけられている。
山本:最初はうまく擦り合わせ出来なかったんですけど、途中から上手く出来ました。最初に決めてその通りに作る部分と、金融機関に迷惑かからず自由に変えれる部分に分けたのが大きかったと思います。その辺の見極めが出来るようになってからは、たいぶ物事が進みやすくなりました。
〜サービス開発を通して感じたfreeeの特徴〜
ー開発を通して感じたfreeeの特徴って何かありますか?
鬼木:現場の裁量が本当に大きいですね。金融機関とのミーティングで向こうは10人〜20人とかの時もありましたけど、僕らは1人か2人で行きます。
内容によっては、僕らだけではその場で決めれない事はあるけど、その場で役員にチャットして「これで良いですか?」と聞きますね。金融機関も「freeeさんって持ち帰りとか本当にしないですね」と言ってくれます(笑)。
freeeからしても、要はお前に任せてるんだから決めて来いよって感じです。PMでしょ?決めるのが仕事でしょ?みたいな。
もちろん困ったら前のめりで相談に乗ってくれるんですけど、最前線に立つのはあくまでも自分です。その仕事のオーナーとしての自覚があるのが大前提で、上司に聞かないと決めれませんっていう人はスピード感がもうfreeeに合わないと思います。
ー例えば何かを決めに行く時、妥協してもこのラインまでってポイントは、行く前からチームで共有出来てるんですか?
鬼木:ケースバイケースで、事業の方針や経済条件に抵触する場合は、譲歩可能なラインや調整余地がどこまであるのかを事前に握っておくんですけど、そうでないもの、例えばプロダクトの仕様などだと基本的に全部こっちで決めます。で、後で「こうなりました。」って。
山本:当然譲っちゃいけないものは、皆わかってるんで。じゃあそれをどういう仕様で、どう実現するかみたいなのは基本的には現場に任されています。
ーそれは全員の意思が統一出来ているからって事ですか?
山本:そうですね。価値観は統一、細かいタスクは自由って感じです。
鬼木:意思決定すると、本当にそれで良いのか?とか、何でそうしたの?っていう説明を色んな局面で求められます。必ずしも全員が賛成してくれる意思決定ばかりではないので楽ではないですよ、裁量が大きいのは。だから責任を負えない人には向かない会社だとは思いますね。
山本:12年ちょっとの社会人人生で言う事でもないですけど、今までの経験からすると、本当の失敗って決まらない事なんですよね。AかBか決まって失敗する事もあるけど、そしたらまた改善していけばいい。世の中の失敗とか上手くいってない事って、決まらないから進まない、検証ができないってことが多いと思います。
鬼木:考え抜いた結果が間違ってたら、素直に「すみません」するしかないです(笑)
山本:そうそう、心から謝って、次にどう活かすか考えれば良いんですよ。
鬼木:実際、何度も「すみません」してますが、それでネチネチ責められたりもしないです。
〜夢〜
ー最後に仕事での夢を教えてください。
鬼木:僕は、世の中を自分の子供の世代にとってより良いものにしたいですね。そのために新しい事にチャレンジする際のコストを、少しでも下げたいです。いつか子供がチャレンジしたい事を見つけた時に、その障壁は出来るだけ低いほうがいいじゃないですか。freeeでの仕事は、それに通じるものがあると思ってます。
山本:僕は将来、地元の高知に戻って、高知の経済を元気にする仕事に就きたいと思っています。そのために行政の経験に加えて、freeeでのスモールビジネス向け事業開発の経験が活きると信じています。