これまでのキャリア 大学卒業後、製造業向けに機械部品や金型部品を販売しているミスミという会社に入社しました。初めから製造業やビジネスに強い興味を持っているわけではなかったのですが、たまたま就職活動中に三枝匡さん(当時ミスミ社長)を知る機会があり、「創って作って売る」「small is beautiful」といった経営哲学に触れ、早いうちから商売の川上から川下まで携わりたいと考えたことが理由です。
入社後、まずは営業として主に自動車業界と半導体業界に携わった後、新規事業のインサイドセールス立ち上げを行いました。日々お客様とコミュニケーションを取る中で、商品を購入して頂く楽しさと難しさを直接肌で感じられたことは、その後のキャリアにおいても大きな経験になりました。余談ですが、私が初めてお客様から受注を頂けた日、出張に出ていたため当時の上司が電話と共に受注画面のスクリーンショットを送ってきてくださったのですが、その場面は鮮明に覚えており、受注画面の画像は今でも大切に持っています。その後、事業作りに携わりたいとの想いから事業開発部に異動し、2つの領域においてサプライチェーン構築・事業戦略の立案実行・海外現地法人の事業立ち上げなど様々な活動に従事してきました。
ラクスルとの出会い・入社 ラクスルに出会ったのはミスミでの生活が10年を過ぎ、新しい成長の機会を求めていた時です。数ある会社の中でラクスルに決めた理由は、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる。」というビジョンに強く共感したことです。背景として前職で仕組みに関わる2つの経験をしたことが挙げられます。
1つめは営業時代の話です。当時私が携わった営業は常にお客様に通い続けるのではなく、競合からの奪取を目的とした短期の活動が中心でした。そんな中、ある営業会議の場で見た1枚のチャートが私に衝撃を与えます。それは、営業がお客様に訪問を始めると急速に売上が伸びるのですが、活動が終了し営業が離れると徐々に売上が減り、数年後にはすっかり元通りになっているというものでした。営業としてお客様に提供できたと考えていた価値の継続性の低さに、愕然としたことを覚えています。今振り返ってみると、お客様に引き続き購入して頂くための仕組みもメリットも提示できておらず、ただ現状の優位性をPRしているだけだったと分かるのですが、当時の私にとっては存在意義を否定されたのと同じでした。
2つめは、事業開発部に異動し、サプライチェーンを再構築した時の話です。この時は事業成長の足かせとなっている課題(CVR率の低さなど)に対して、その問題を引き起こしている要因は何か、それを解決する手段としてただ競合に追いつくのではなく、追い越すために自社だからこそ出来る施策は何かを分析・調査した結果、サプライチェーンの再構築という打ち手に辿り着きます。EC事業の特性を生かした顧客基盤や物流といった構造的な強みを活用し、多くの新規取引先との提携を進めた結果、当時日本で最大とも言えるネットワークを創り上げることが出来ました。この取り組みでは、お客様に対して自社でしか感じて頂くことのできない価値を提供することができ、対競合の観点では参入障壁が高く恒久的に競争力を担保できるモデルを描けたことで、私が離れてからもその事業は順調に売上を拡大し続けることが出来ました。
これらの経験から学んだことは、「強い事業はそれを支える強い仕組みの上に成り立つ」ということです。事業を一本の木に例えれば、サプライチェーンなどの仕組みは土の中に張っている根っこです。外から見える華やかな部分ではありませんが、商品やサービスが綺麗な花を咲かせるためにはどんなに風当たりが強くてもそれに負けず倒れない太く強い根っこが必要です。事業家として更に成長するため、この「強い仕組み作りを数多く行っていきたい」との思いから、ラクスルに入社する決意をしました。
ラクスルでのミッション 現在は主にパートナーである印刷会社様のサプライチェーンマネジメント(SCM)に携わっています。
ラクスルは自社で印刷を行っておらず、全国の印刷会社が保有する設備を活用してお客様から受注した商品を印刷しています。ただ、ひと口に印刷会社と言っても各社によって持っている設備や物理的な立地は様々で、これらをどのように組み合わせることが最適かを日々考え、サービスを展開する上で足りないところがあれば全国から新規の提携先を探し、より強固なネットワークを構築していきます。さながらチーム編成を行うスポーツチームのGMのようです。
またラクスルでは売上責任をカテゴリマネジャーが持つ一方で、売上総利益はSCMが責任を持ちます。それは利益を生み出す源泉となるサービスの高付加価値化と原価低減・パートナーの生産性向上を実現するには、SCMの働きが欠かせないためです。原価を構成するドライバーに対してテクノロジーとプラットフォームの力を活用し、日本中の印刷に関わる人たちを巻き込んで最適化に向けた取り組みを進めています。
まだまだ絶賛成長中であるラクスルのサプライチェーンを構築、コントロールする仕事は大変なこともありますが、成長痛を感じながら仕事が出来るのは幸せでもあり、事業と同じく、いやそれ以上に自身も成長していきたいと考えています。
ラクスル株式会社について ラクスルを象徴するキーワードは幾つかありますが、組織文化で最も誇れることを1つ挙げるとすれば、私は互助連携(Cooperation)を挙げたいと思います。ラクスルには多様なバックグラウンドを持った人が集まっており、その道で確固たる実績を築いてきた人も多いですが、非常にフラットな環境の中で、課題に対して最適な解決策を見つけようという姿勢が共有されています。
例えば新しいサービスを企画する際は、ビジネスとエンジニアの担当者が集まってお客様が抱えている課題は何か、それを解決するにはどういう形が最適か、実現するにはどのような仕組みが必要かという議論を交わします。時には白熱して夜遅くなることもありますが、このやり取りによって思考が深まり、企画が研ぎ澄まされていく過程で事業家として多くのことを学ぶ機会に恵まれています。
今後やりたいこと 印刷業界には、外から入ってみると驚くような慣習や非効率が数多く残っています。お客様は知らず知らずのうちにそれらのコストを払っており、本来予算の中で出来ることが100あるとしても、これらの無駄なコストを払うことで実際には80しか実現出来ないという事態が起きています。また、印刷会社も適切な生産体制を組むことが出来ず、得られる利益を最大化出来ていないのが実情です。ラクスルはユニークなビジネスモデルで日本の印刷産業全体の変革をリードできる存在と思いますので、それをSCMという切り口から実現することにまずはコミットしていきたいと考えています。
そのためにも、私たちには一緒にチャレンジして頂ける熱き心を持った事業家が必要です。 次の成長の場として、印刷産業の変革に取り組んでみませんか。 沢山の成長機会と優秀なメンバーが揃うラクスルでお待ちしています!