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salesforce×ネクストビートのコラボイベント開催レポートを配信!「営業成果を最大化するセールスイネーブルメントとは?」

クラウド型のCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)をはじめとする、さまざまなビジネスアプリケーションを提供するセールスフォース・ジャパン(以下、salesforce)。同社では近年の環境変化に対応するべく、営業部門と、営業人材の強化・成長を支援する「セールスイネーブルメント」が連携して営業の人材育成に取り組んでいます。

今回は、セールスイネーブルメント シニアマネージャーの金子 晶氏をゲストにお迎えし、「営業成果を最大化するセールスイネーブルメント」について、ネクストビート執行役員CPO/CIO/VPoE三井・CSO清末・CDSO烏谷も交えて、セールスイネーブルメントに関する組織・プロセス・人についてディスカッションを行いました。
※本コンテンツは、2022年11月24日に開催された「nextbeat Meet Up」の内容から構成されたものです

■登壇者紹介

salesforce

株式会社ネクストビート

「セールスイネーブルメント」は、現場の営業課題に特化して対応するために存在する。営業マネージャー、リーダーとは密に連携

ネクストビート三井:まずはじめに、salesforce社のセールスイネーブルメントの組織について、教えてください。

salesforce 金子さん:我々、salesforceにおけるセールスイネーブルメントは、各部門に共通する営業課題に特化して対応するために存在しています。基本的には営業の成果につながるために諸々の整理をすることを大前提として、データに基づいた施策を考え、実際にワークショップを行ったりしています。各営業メンバーの情報(商談が動いている状況など)も全てデータ化・共有されているので、「この人はここにつまずいているな」とか、「チーム全体でみると、ここがボトルネックになっているな」ということを把握して、営業マネージャーやリーダーと密にコミュニケーションをとっています。各部門独自の課題解決にも積極的に取り組んでおり、お取引企業の業界や規模が違えば、適切な売り方やノウハウは当然異なるので、現場でも「この研修はやる価値あるね」ということになれば、個人のトレーニングに落とし込んだりしています。あとは、新入社員向けのオンボーディングにも関わっていますね。
salesforceなので、イメージとして「全てデータドリブン」と捉えられがちですが、そういうわけでもなく、結構地味に営業チームのリーダー達と密にコミュニケーションさせて頂いているのが特徴的かなと思います。

社内でも、営業チームが数多く存在しているのですが(※資料A参照)、各チームのマネージャー、営業メンバーと定期的にコミュニケーションをさせて頂き、良い取り組みやアセットがあれば、他チームにも横展開していきます。また、コンテンツ化やツール化も、データで根拠を考えつつ、アナログな部分と並行しながら進めていくのもセールスイネーブルメントの役割です。また、新任マネージャーやインサイドセールスの育成も行っております。
組織体制ですが、現在セールスイネーブルメントは35名程(5チーム)おり、営業経験者、人材開発、コンサルファーム出身者で構成されています。

※資料A

ネクストビート三井:ありがとうございます。セールスイネーブルメント組織が35名ほどとのことでしたが、セールスイネーブルメント1名に対して、担当する営業メンバーは何名ほどいらっしゃるのでしょう?

salesforce 金子さん:1人あたり、100名くらいかなと思います。

ネクストビート三井:1人で100名をモニタリングするということは、相当仕組みが整っているようですね。

salesforce 金子さん:そうですね。担当している営業メンバーの方が、どういう状況なのかが一目でわかるよう、社内でsalesforceのシステムを活用してデータ化されていることもポイントだと思っています。

ネクストビート三井:なるほど、ありがとうございます。やはりsalesforceさんだけあって、プラットフォームとしてのsalesforceをフル活用されていて、かつ組織体制も非常に体系化されている印象を受けました。一方で、我々ネクストビートのセールスイネーブルメントの体制もお伝えできればと思います。当社は2年半ほど前からセールスイネーブルメントに本格的に取り組み始め、CEO直轄部門で役割・体制をアップデートしながら現在に至ります。まだ完成系ではなく、いろいろ試行錯誤中でございます。現在の体制になった背景を、清末からお願いします。

ネクストビート清末:もともとセールスイネーブルメント機能は、営業効率の最大化を目的として、仕組み化・オペレーションの標準化に注力してきました。セールスイネーブルメントが検討した打ち手を、現場のオペレーションに落とし込む際に、各チームの特性に合わせた「打ち手の最適化」を現場に一任していました。その「最適化」タスクが膨れ上がり、本来の営業業務に振り切る動きが取りづらくなってしまうという経緯がありました。その課題を払拭するために、営業はセールス業務に専念できるよう、その他の仕組み化はセールスイネーブルメントで巻き取るということで、現在の体制になったというわけです。また、経営企画・事業基盤とも連携し、数字を分析して傾向をあぶりだす部分を、データサイエンティストであるCDSO烏谷にも協力してもらっています。

ネクストビート烏谷:salesforceで素晴らしい機能があっても、使いこなせていないと意味がないので、事業基盤チームとしてデータでもアウトプットしています。Slackも活用しつつ、プッシュ型でアウトプットすることで、より営業の方が効率的に成果をあげやすい仕組みづくりを日々検証しています。

セールスイネーブルメント組織の目標設計について

ネクストビート三井:これまで両社のセールスイネーブルメントの役割について簡単に伺いましたが、salesforce社のセールスイネーブルメント組織の目標設計についてお伺いしても良いですか?

salesforce 金子さん:我々のセールスイネーブルメントの根本的な考えとして「営業=売れる人と売れない人の二極化に陥りやすい 」というものがあり、総中流化による全体的な底上げを目指す取り組みを実施しています(※資料B)。

※資料B

格差社会型から、分厚い中間層型へ。ボトムにいる層をどれだけ中間層に増やせるかが、組織全体の売上をあげる鍵となります。この中間層を増やすため、各営業担当者別の詳細数字をもとに、売上参加率(各チーム内でしきい値を超えている営業担当者の割合)を出し、うまくいっているチームとそうでないチームを分析し、根拠のある育成ターゲティングを行っています。この売上参加率が極力100%を超えることを1つの目標として定めています。

ネクストビート三井:売上参加率というのは、非常にわかりやすく、直感的に理解しやすい考え方だと思いました。一方で、弊社のセールスイネーブルメントの目標設計はどうでしょうか?

ネクストビート清末:基本的には、セールスの目標達成に寄与するためのさまざまな指標があるのですが、セールス一人当たりの「生産性」をどれくらい上げられるかが根幹の目標値になっています。新入社員のオンボーディングも担っており、入社後3カ月以内の達成率もひとつの指標としています。
また、営業組織の受注額もセールスイネーブルメントの目標として設定しています。当社は行動指針のなかで「∞当事者意識」を公言しているのですが、「セールスイネーブルメントもフロントラインの営業である」という基本思想の元、トップラインにコミットする意味で共に数字を追っています(時にはセールスイネーブルメントのメンバーが率先して売りに行くことも)。加えて営業職の採用業務も担っており、当社のカルチャーにフィットする適切なメンバーの採用にも注力しています。

※ネクストビートの行動指針

ネクストビート三井:今ご説明させていただいた目標の実行モニタリングに関しては、烏谷よりご説明します。

ネクストビート烏谷:実行モニタリングには、日々どう変化しているのかをリアルタイムに確認していくことが非常に重要ですので、そこはsalesforceのレポートをそのまま利用することもありますし、プラスαでデータを移管して、スプレッドシートでレポート化してアウトプットを行っています。レポートの中で「ここのチームの調子が悪い、この人にはもう少しフォローが必要」という情報もセットで提供することで意義のあるダッシュボード化を目指しています。

セールスイネーブルメントに向いているのは、他人の成功を素直に喜べる人、答えを出せる人。

ネクストビート三井:金子さん、最近はこの「セールスイネーブルメント」に積極的に取り組まれている企業も多いのではないかと思っているのですが、セールスイネーブルメント担当者のキャリアパスや、どういう人がセールスイネーブルメントに向いているかなど、教えていただけますか?

salesforce 金子さん:セールスイネーブルメントに向いている人の特徴は「他人の成功を素直に喜べる人」に尽きると思っています。私がセールスイネーブルメントに初めて部署異動した時期に、師匠だった山下さん(「セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方」の著者)という方がいたのですが、その方の教えでもあります。加えて、必要な要素を付け加えさせていただいたのがこちらの表です※資料C

基本的には、マインド・スキル・知識にわけられるのですが、マインドは非常に重要だなと感じています。僕も外勤営業でしたから、やはり自分自身が達成したり、賞賛されることが嬉しかったりしたのですが、セールスイネーブルメントだと、自分が成功するとか成果をだすというのは、二の次です。現場の達成を心の底から喜べるか、他人の成功を素直に喜ぶことができないとずっとこの業務をやっていくのは難しいと思います。ですので、このマインドは非常に大切ですね。
あとは、「答えを出す」ということも重要です。例えば、現場の営業の方が「金子さん、今こういう商談をしていて、次にどんなネタを提供するべきか相談に乗ってもらえますか?」という相談に来るときがあるんですね。この場合は、現場の上司である営業マネージャーがいい答えを出せなくて、困ってこちらに来たというケースが多くて、通り一遍で答えても「それ、マネージャーに聞きました」となってしまう。そうならないように、僕のところに来たからには何かしら価値を出さないといけない、それも事前情報もなにもないなかで「相手が求めている答えを出す」というマインドも責任として持っておかないといけないと思っています。
また、スキルの部分(体系化スキル、プロマネスキルなど)はあった方がいいと思います。知識としても、営業土地勘や、各セグメントが何をしているのかしっかりキャッチアップすることも重要です。やはり、現場の営業チームは他のチームがどう成果を出しているか気にしている方が多いので、成功事例の取り組みなどにも情報感度高くもっている方が向いていると思います。
今後のキャリアについては、セールスイネーブルメントに携わったことで経営的観点に興味を持ち、社長になった方もいます。また、営業マネージャーになった者、マーケティング部門の責任者になったケースもありますね。部門横断で仕事をするので、会社のいろんなところが見え、他の仕事に興味を持つことも多いのかなと思います。

ネクストビート三井:マインドの話は深いですね。今の話をお伺いして、salesforceのセールスイネーブルメントの方って、ものすごく現場から頼られる人なんだと思いました。

ネクストビート清末:やはり、セールスイネーブルメントの必須条件として「営業のスペシャリストである」ということは重要な要素だと感じました。弊社は目標として受注金額を設定しているので、目標数値に届かなかったときに、自ら数字を補填するマインドとスキルセットを持つことが重要であると思います。その行動自体が「自らを営業の見本として現場をアップスキリングする」ことにつながると考えています。同時に、複雑な事象や多様なメンバーの営業行動を構造的に整理しファクトと課題仮説に落とし込むスキルも必須となります。「営業スキル」と「ロジカルシンキング」スキルを両面で磨くことで、今後の多様なキャリアにつながると考えています。

ネクストビート三井:ここからは、逆にセールスイネーブルメントがうまくいかない状況についてお伺いしたいのですが、なにか事例があれば教えていただいても良いですか?

salesforce 金子さん:うまくいかないケースは、パターンAのように、トップダウンでアプローチしてしまうことですかね(※資料D参照)。関わるステークホルダーが多すぎて、合意形成が進まずということがありました。そこで、パターンBのように、営業部門が解決したいビジネス課題の特定を実施し、セールスイネーブルメントで体系化するということをやり始めました。要は、現場の課題に応じたアプローチをハイパフォーマーにヒアリングして教科書を作成して横展開する。営業に必要な能力、行動特性、それらを実現するために必要なスキルセットを定義したスキルマップを作成しました。そこに掲載されているスキルを優先度の高い順に並べ替え、無理なく取得できるよう独自のオンボーディングプログラムを作成し、社員向けに提供しています。実際にこのスキルマップをみて、「自分にはこういうスキルが足りないからトレーニングをしないと」という当事者意識も生まれるようになりました。

※資料D


ネクストビート三井:なるほど、現場優先ということですね。ネクストビートのセールスイネーブルメントはCEO直轄の組織ですが、当社CEOも常々現場優先である旨を言及しています。
さて、今日は「セールスイネーブルメント」というテーマで営業を科学する前提で色々なお話をお伺いしてきたのですが、最後に科学ではない質問をさせてください。
先程、底上げの話がありましたが、仕組みを整えただけで底上げが実現できるわけではないと思います。実際にパフォーマンスが不足している営業担当者を引き上げるには、マインドセット面でのアプローチも必要ではないかと思うのですが、その点で取り組んでいることはありますか?

salesforce金子さん:そうですね、やはり「共に戦っている」ということをきちんと営業メンバーに示さないといけないですね。僕は、営業と育成はほぼ一緒だと思っています。人対人の話になるので、いくら仕組みがあったところで人を100%育成できるのか。そういうわけでもないですよね?結局最終的に行きつくところは、「人対人」の部分なのかなと思っています。そういった苦労している人たちに、どれだけコミュニケーションをとれるかというのが一番のポイントなのかなと思うのです。結局、これをやったら営業成績があがるというのは個人によって全然違うので、セールスイネーブルメントはそういう人の支援者である、サポーターである、ということを植え付けてあげることで、「一人ではない」と感じて頑張れるのかなと。寄り添ってあげることもポイントだと考えています。

ネクストビート三井:ありがとうございます。セールスイネーブルメントは、非常に心強い存在ですね。本日はありがとうございました!

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