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日本の人材マネジメントはヤバい!労働生産性が先進国ワースト1である理由

カオナビ代表取締役社長の柳橋仁機です。

当社はクラウド人材管理システム「カオナビ」を提供し、人事課題の解決支援や、脱・労働集約を追求した働き方の確立など、日本の労働市場に変革をもたらすべくプロダクトの開発に取り組んでいます。

「カオナビ」は2020年9月現在、1,900社を超える企業に導入され、5年連続でシェアNo.1を樹立。2012年の誕生以降、HR Tech市場におけるSaaSとして成長を続けてきました。おかげさまでサービス開始から約7年半の2019年3月には上場を果たしました。

人材マネジメントがベンチャーの成功を左右する!アイスタイル人事部長時代の気づき

かつて人事部長として所属していたアイスタイル時代に、僕は「カオナビ」を生む上で大きな気づきがありました。当時は、まだまだ成長の真っ只中の過渡期だったということもあって、人事部長の目から見てもアイスタイルのマネジメントに関しては誇れるものではなかったです。周囲からは成長している企業と見られていたけれども、どこかワークし切れない、もどかしさもありました。

一方、成長している他ベンチャーは人材マネジメント戦略によって、圧倒的に結果を出していることを知ります。アイデアやサービスの独自性はすぐに追いつかれるのが市場の原理です。

それよりも「人材マネジメントこそがベンチャー企業の成功を左右するのではないか」。この想いに至ったことで猛烈にこの領域について研究し始めたのが、「カオナビ」着想のきっかけとなります。

僕はもともと、仕事もプラベートも効率的に進めたい合理主義者です。そして知れば知るほど旧来の日本の働き方は「非効率で猛烈にダサい」と感じます。そして、それは人材マネジメントの在り方に大きく起因する。だから本気で変えたい、と思ったんです。

そこでこれから3回に分けて、少子高齢化社会の中で理想となるであろう「脱・労働集約型の働き方」について、僕の考えをお話ししていきたいと思います。

第1回目の今回は、日本の労働市場にはびこる課題について。

労働生産性は先進7カ国で最下位!日本が衰退に向かう強烈な危機感

少子高齢化問題は昨今メディアでも盛んに叫ばれていますが、実は現在、日本の労働市場という観点でも危機的な状況にあります。15〜64歳の生産年齢人口は、1995年をピークに減少を続けている。生産年齢人口の減少は今後も続くと推計されています。

また、世界の中で、日本は労働生産性が非常に低いことでも有名です。就業者1人当たり労働生産性は、主要先進7カ国(G7)の中で最下位という結果。このような統計からも日本人の多くが、効率的に成果を出すことからかけ離れた働き方をしていることがわかります。

衰退を避けるためには今の状況を変えなくてはいけません。しかし少子高齢化は非常に深刻な問題であり、それに比例して起こる労働人口減少はもはや避けることはできないでしょう。

ならば仕事の生産性を高めるしかない。しかも今すぐにやらないと手遅れになる!そんな危機感から、僕は今から7年前「人材マネジメント」の変革するためのビジネスに、自分の身を投じようと決めました。

日本の人材マネジメントが変革できない理由 ①製造業での成功体験

なぜ人材マネジメントなのか──それは労働者が組織に所属している以上、人材マネジメントが日常的に発生しているからです。つまりその組織の人材マネジメントの在り方を変えることは日本の労働市場の構造改革にあたる。非常に大きなインパクトをもたらすビジネスだと考えました。

そもそも、僕は日本の人材マネジメントは古くて、過去の成功体験から抜け出せていないんだと常々思っています。その理由を歴史からひも解いて解説していきましょう。

日本は1960〜70年代、製造業の発展によって先進国の仲間入りを果たします。

製造業が盛んだった時代は、設備を動かすスイッチを入れる人は誰でも良くて、とにかく工場を長時間稼働させて商品をたくさんつくることが重視されてきました。安定供給していくためには、その方が効率的で、個人の能力の違いが組織の成果に影響を与えることを、むしろ良しとしなかった。

しかし、現在日本を含む先進国では第二次産業から第三次産業へ、メインとなる産業が移り変わっています。第三次産業がメインになると、これまで製造業で実施されていた画一的な人材マネジメントでは機能しない局面が増えている。「あいつはできるのにお前は何故いつまでもできないんだ!」とか、以前は檄を飛ばしていればマネジメントできたことも現在は通用しなくなっています。

対外的なコミュニケーションが苦手でもプログラミングがすごく得意な人がいたり、パソコンはできないけど営業で次々と仕事を受注する人がいたり。

「個」の能力はまったく違うことを前提とした人材マネジメントなら、それぞれの能力を生かす組織配置や役割を与えることを正義とするので生産性は向上します。全員が得意分野を生かしている状態ですから当たり前です。 世界的な競争力をつけて第三次産業で勝ち残るためにも、個人がハッピーに働くためにも非常に理にかなっていると言えます。

日本の人材マネジメントが変革できない理由 ②労働時間が美徳という固定観念

労働生産性が低いもうひとつの要因として、日本人は固定観念を捨てるのが非常に苦手という習性が挙げられると思います。

人材マネジメントにおいての典型例は、労働時間に対する考え方。端的に言うと「長く働く人が偉い、頑張っている」という考え方です。長時間働いたという事実が、生み出した成果よりも勝り、評価に直結する、ということは現在も日常的に起こっています。働き方改革が叫ばれている今でもその価値観は根強い。結果、社員は無駄に残業するようになる。その方が得ですから。生産性が落ちるのは当たり前です。

固定観念は文化です。もしも自分が属する組織にこの考え方が根づいているのであれば、それは文化を変えるつもりで取り組まなくてはいけない。簡単な話ではありません。

では、それをどう解決していくのか──それはまた次回、「HR Tech」というしくみの話と併せて語っていきたいと思います。

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