村松 紗弥 | PEOPLE | SUISEI Inc.
coming soon
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株式会社水星に新しく入社した社員にインタビューをする入社エントリ。今回紹介するのは香林居のホスピタリティスタッフとして活躍する村松紗弥さん。前職ではセクシャルウェルネス企業の人事部で採用や広報に携わっていたという異色の経歴を持つ彼女が、業界の枠を飛び越えて水星への転職を決めた理由とは。現在は香林居のホテルスタッフとしてサービス業務に勤しみながら、清掃オペレーションや、自社アメニティのオンラインストア流入改善に積極的に取り組む村松さん。お話をうかがう中で、水星と前職の意外な共通点が見えてきました。
ー大学在学中は就活支援の学生団体に所属されていたとうかがいました。
村松:就活が終わってから友達に誘われて入りました。就活をする3年生の面談をしたり、面接対策やグループディスカッションの練習会を運営したりしていたのですが、就活生たちの思いを聞いているうちに、言葉が自分に跳ね返ってくる感覚があったんです。
「あなたは本当は何をやりたいの?」と就活生に問いかけることが、私自身、自分の気持ちに正直になれているのかを考える機会になっていて(笑)。転職するなら、人生のどこかのタイミングで必ず、自分が本当にやりたいことを仕事にしようと思っていました。
ー図らずも自省の機会になっていたんですね。大学卒業後は大手損害保険会社に入社、その後に前職の※セクシャルウェルネス企業に入社されたと。何度も言われてきたと思うのですが、異色の経歴ですよね。なぜ、この分野に関心を持ったのでしょうか?
※セクシャルウェルネス=性に関わるあらゆる面での「健康」を広い意味で表す考え方。身体的な面だけではなく、精神的、社会的な面においても健康な状態を指す。
村松:もともと性に関する領域や社会課題に興味があって、これが自分が関わっていきたい分野だと思っていました。自分自身が窮屈さみたいなものを感じてきたというわけではないものの、「性は命や人の権利にもかかわる分野なのに、あまりオープンに議論されてこなかった。性に関する選択肢って少ない。もっと増えたらいいのに」と思っていて、「現代の性の選択肢を増やしてく」という会社のビジョンに共感して、転職しました。
ー水星のビジョンである「ライフスタイルと観光の新しい選択肢をつくる」にも通ずるところがありますね。前職では人事を担当されていたとうかがいました。
村松:元々、人事を希望していたわけではないのですが、面接官だった部長が気に入ってくれて、その流れで配属になりました(笑)。業務内容としては、応募者の対応、求人媒体の手配、転職サイトのエージェントとの折衝といった採用実務から、採用サイトのリニューアル、SNS運用といった採用広報などの採用業務全般にあたっていました。採用以外だと評価制度や、担当部署の社員の目標設定にも携わるなど、人事領域の業務に取り組んでいました。
私が入社した頃は、まだ新卒採用の仕組みが整っておらず、コーポレートサイトの採用情報に、申し込みフォームが置いてあるだけみたいな状態でした。そこから、対外的な情報発信を強化しようとTwitterアカウントの開設や、説明会の企画、デザイナーに宣伝グラフィックの作成など新卒採用の立ち上げに動いていました。また、新卒採用が軌道に乗った後は、中途採用も担当させていただきました。新卒、中途の採用活動に取り組む過程で、私が入社した2022年時点で130人程度だった社員総数は、退職する2024年夏頃には200人規模になっていました。
ービジョンに強く共感して入社した企業で活躍する中、転職を考えた理由について教えてください。
村松:コーポレート部門ではなく、直接お客様と関わる仕事をもう一度やりたいという気持ちがありました。人事も社員個々の目標設定を行うことで稼働をサポートし、売り上げを伸ばすための間接的な貢献ができて、やりがいを感じていたのですが、やっぱり自分の手で価値を作って、それをお客様に直接届ける、その瞬間に立ち会いたいなと思いました。高校の文化祭で劇の制作統括をしたり、居酒屋のアルバイトで常連さんと仲良くさせていただいたり、今思えば、昔から自ら何かを生み出して、周りの人に喜んでもらうことにやりがいを感じていました。
転職を考え始めた時、当時自分が楽しく働くことができていた理由は、会社が掲げるビジョンに心から共感していたからだと気付いたんです。なので、次の転職先を探す際にもまずは、その会社のビジョンに共感できるかどうかを重視していました。
ーどうして水星に関心を持ってくれたのですか。
水星の「ホテルはライフスタイルを試着する場所」という捉え方を知った時に、とても面白い会社だと思いました。自分がこれまで取り組もうとしてきた、社会に新しい選択肢を増やしていく、という生き方が、この会社ならできると感じました。また、自分と同じ世代の人たち、それもホテルじゃない異業種から転職してきた人たちが自ら物事を考えて事業を進めていくところも面白いなと。入社までにnoteの社員さんのインタビュー記事を読みあさっていたのですが、特に岸さんの支配人業務を超えたキャリア形成の話や、笠井さんの支配人選挙談、野村さんの東京から金沢への移住経緯談などは印象的でした。
実は初めてカジュアル面談をしたのは、2023年の秋頃なのですが、その時は今の職場でもう少し頑張りたいことがあるので、選考を受けるのはもう少し先にします」と、一度保留にしていたんです。その後、今年の4月に東京で行われた翔子さんの著書『クリエイティブジャンプ』の出版イベントに行く機会があって。お話を聞いている中で、だんだん志望度が高まってきて、サイン会で思いを伝えて、改めて、選考を受けることになりました。
ーそんなことがあったんですね。カジュアル面談を再開されてから、会社の解像度もさらに上がったと思うのですが、最終的に入社の決め手となったのは何だったのでしょうか。
村松:大きく2つあって、今後の事業計画を聞いた時に、売り上げ目標や新規ホテルの開業スピードに圧倒されたこと、そして、将来独立すること考えたときに、ホテルの支配人になれば、オペレーションから経営面まで一貫して経験できるので、水星でのキャリアが財産になると思ったことです。
1つの場所の責任者としての経験を持つことはすごく大事だと思っていて、水星なら、それをスピード感を持って吸収できそうだなと。支配人になることを目標としながら、ポストが空いている空いていないに関係なく、それに値するだけの力を身につけたいです。個人的に支配人の仕事って究極は2つしかないと思っていて。1つは売上を立てること、もう1つは仮に明日自分が死んでもホテルが回る体制を作ることかなと。この2つを意識の軸に、経験を積んでいきたいです。
ー香林居の現場で、支配人を目指して日々様々な業務に取り組まれている中で、特に注力したいと考えている領域はありますか?
村松:今は物販の売上向上を任せていただいているのですが、現地販売とオンラインストアの整備、新しい商品の開発など、まだまだできることがあると感じています。まずは小さいところから始めて、最後はホテル全体の数字責任を持てるようになりたいと思っています。年間の予算や傾向などを常に把握して、より戦略的に動けたらなと。あとは前職での経験を活かして、採用を中心とした人事領域の業務には積極的に関わっていきたいです。
また、地域の方々とは既に協同関係ができているように感じるので、それをもっと強固なつながりにしたいと思っています。食にしろアートにしろ、香林居が金沢という街のキュレーター的存在になれると良いですよね。周年祭のようなイベントを定期的に開催できれば、香林居のイメージはさらに良いものになると思います。金沢や香林坊の街が持つ魅力を、より多くの人に伝えられるホテルをチームみんなで目指したいです。
ー多方面への活躍が期待されます。初めてのホテルの現場はいかがですか。
村松:上手く伝わらないかもしれないですけど、日々「生きている」という実感があります(笑)。
1時間チェックアウト対応をして、2時間全力で清掃をして、そのあとチェックインでたくさんのお客様とお会いして、、、そのような目まぐるしい中でも、それぞれがプロフェッショナル意識を持って、役割を全うしている現場に充実感を感じています。イレギュラーな対応に即レスが求められる状況というのはこれまでの職場にはない環境でした。
最近だと、インバウンドのゲストのディナーの予約を代理で取って、翌日に「あなたが昨日予約してくれたところ、めっちゃよかった」と感想をいただいたことが印象に残っています。前職では、デスクワークが中心でお客様のために仕事をしていてもその声を直接聞くことはなかなか難しい、ということが当たり前でした。でも、香林居では、難しいリクエストに試行錯誤して応えた結果、ゲストから直接温かい反響が返ってくるというのは体験として新鮮でやりがいを感じています。
また、社内slackのtimes文化(個人のslackチャンネルで情報を発信する)でメンバーそれぞれが考えていることやアンテナの張り方が見えるのはすごく面白いですね。一緒に働くメンバー、他施設、他部署の人たち、翔子さんの脳内までもわかって。私からしたら「なんでこんなの知ってるの?」っていう話なので、企画の背景や過程、会社の現在地がそういったところからも知れるのは結構ありがたいです。
ー現場の臨場感がひしひしと伝わってきました。「社会の選択肢を増やす」というビジョンを体現していると感じたエピソードがあれば、ぜひ聞かせてください。
村松:今現在HOTEL SHE,KYOTOで行なわれている「詩のホテル」の企画は、まさに社会の選択肢を増やしているなと感じます。ただ本で読むだけでなく、ホテルを起点に南九条の街全体を使って詩を味わう体験は、人と人、人と地域のつながりをつくるための新しい方法を提案しているなと。街のキュレーター的存在を先んじてやっているのがHOTEL SHE, KYOTOのように思いました。
私の働く香林居の事例では、嚥下食対応の宿泊・旅行プランを開発する「やわらかい旅行社」のプロジェクトもそうですよね。前職が※就労継続支援の活動もしていて、私もハンデのある方を巻き込んだ事業を水星でやりたいなと思っていました。「やわらかい旅行社」の活動に共感した人たちが、「自分たちもやってみよう」「嚥下食支援ではないけど、うちはこんな取り組みをしている」と、新たに提供を始めたり、発信したりするよう機会を増やせたらなと思います。
※就労移行支援=障がいのある人の就労に向けたトレーニングを支援する障がい福祉サービス。
そのためにも1回の実施で終わらず、水星自ら発信を続けることで、そうした思いを世の中に伝播させていきたいです。次回のイベントからプロジェクトメンバーとして参加することになったので楽しみです!
ー金沢での新生活はいかがですか。都心から地方への移住にハードルはありましたか。
村松:引っ越す前は不便になるんじゃないかと思っていましたが、香林坊は金沢市内の中でも都市部なので全然そんなことはなくて。21世紀美術館をはじめ、美術館や工芸館も多く、アートが充実しているし、前田家のお膝元というところで武家文化の歴史も感じられる。そして何よりご飯が美味しい。今まで住んだ街の中で一番好きかもしれないです。改めて移住して良かったと思います。難点をあげるとしたら曇りの日が多いことですね。おかげで青空に幸せを感じられるようになりました。(笑)
ー最後に村松さんが考える水星に合うと思う人や一緒に働きたい人物像について教えてください。
村松:自分の中の「こうなったらいいな」を、世の中に発信したい人は、ホテルでの企画や、体験プランのアレンジ、他企業とのPOPUPなどを通して理想を反映できるので、王道ではない一風変わったホテルで働きたい人にはうってつけです。
また、今いる会社のビジョンに対してしっくりこない人は、自分が望むものを自らの手で生み出すことができるといった点でおすすめしたいです。水星なら、自分で愛せるものを作り、届けることができると思います。