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「会社の売り上げに貢献できないCMは無価値」—クライアントの立場に立ったからこそ効果を追求するテレビCMを作りたかった

ノバセル事業本部 クリエイティブ部 部長/クリエイティブディレクター 西崎健太郎さん

▼経歴
2000年 葵プロモーション(現AOI Pro.)入社 プロデューサー
2012年 GREE入社 クリエイティブディレクター
2016年 サイバーエージェント入社  クリエイティブプランナー、クリエイティブプロデュサー
2019年 ラクスル入社 クリエイティブディレクター
▼ラクスルに転職を決めた理由
(1)「効果を追求するテレビCM」を作りたかった
(2)「マーケティングの民主化」という目標に魅力を感じた
(3)実技試験を経て、じっくりと人選する採用方法に好感が持てた

——ラクスルに入社されるまでの経歴について、改めて教えてください。

キャリアのスタートは、葵プロモーション(現AOI Pro.)というテレビCMの制作会社でした。同社に12年在籍し、プロデューサーという立場でCMのイロハを学びました。GREEに転職後は、自社サービスのテレビCMのみだけでなく、採用ムービーをはじめとした動画全般の企画制作も担当しました。CMである程度予算のある案件は代理店を通して制作するのですが、予算がない時にはプロダクションに直接発注したり、外注費がまったく捻出できなければ自分で企画・撮影・編集までやったり…と、制作会社時代の経験が役立ちました。一言で言うとインハウスの映像専門のクリエイティブディレクターのような役割をしていました。

その後、サイバーエージェントではデジタル広告のプランニングやクリエイティブディレクション、プロデュースの仕事を3年ほど経験を経て、ラクスルに転職しました

——さまざまな立場からCMに携われてきたんですね。

それが、自分の強みになっていると思います。プロダクションを経験して制作者としてのノウハウや視点を得られたことはもちろん、クライアントを経験して事業者の目線も理解できました。代理店は代理店でも、デジタル広告の代理店に身を置くことができた結果、データドリブンなCM制作についての視点も得られたと感じます

——西崎さんのキャリア展開をお伺いすると、ノバセルのテーマでもある「効果を出すCM」というところにどんどん焦点が当たっていった印象があります。

GREE時代に、『CMを打つ立場として、会社の売り上げに貢献できないCMは無価値』だということを痛感しました。例えば、自分がCMを担当するようになった当初、社内の人たちは『CMのクオリティが高くなった!』と喜んでくれたんですよ。12年間テレビCMの制作をしてきたので、制作に関するノウハウは貯まっていましたし、『クオリティの高いCM』を作ることについては自信もありました。ところがCM放映後、ゲームのダウンロード数はそこまで伸びなかった。そうすると、一気に周囲の目が冷たくなって…周囲の手のひら返しはすごかった(苦笑)。今思えば当たり前のことなんですが、売り上げが上がらなければただ会社のお金を無駄遣いしただけで、そこで働く人たちのお給料だって上がりません。冷ややかな目をされるのは仕方のないことでした。

制作会社時代の自分たちのKPIは『顧客満足度』で、お客さんが『良いCMを作ってくれてありがとうございます!』と言ってくれればハッピーでしたし、それがリピートに繋がると信じていました。なので、自分が作ったCMがクライアントの売り上げにどれだけ貢献したか、サイトへのアクセスはどれほど増えたかといった『効果』をあまり気にしたことがなかった。制作手法のナレッジは貯まっていたのに、効果を上げるためのナレッジがまったく貯まっていなかったんです。事業会社に入ってはじめて、そのことを本当に後悔しました。自分からもっと効果に対する情報を取りに行くべきだったと。

だんだん効果を上げるCMのコツを掴んできて、ある時、数十万の予算で自分で企画制作編集したCMが、ゴールデン特番の一回のみのO.A.で、放映直後にTwitterで話題になってめちゃくちゃ売り上げが上がった、という経験をしました。この時は逆の意味で、手のひら返しがすごかった(笑)。半期の全社MVPももらいましたし。改めて、TVCMのポテンシャルを感じましたし、効果を上げる事の重要性を感じました。

——その後、サイバーエージェントに転職されたのは、テレビよりもさらにデータドリブンなデジタル広告の現場で経験を積まれたいと考えたからですか?

GREEでの経験を経て、『効果を出すCM』を作るということに自信がついたので、ゲーム以外の商材に挑戦してみたいと思ったんです。なので、まずは広告代理店に行きたいと。その中でも、サイバーエージェントはデジタル広告専門の会社なので、効果に向き合えるだろうと考えました。


——ラクスル(ノバセル)への転職の決め手はなんでしたか?

2018年度にサイバーエージェントで制作・配信したYoutube動画広告の中で、最もブランドリフトした1位2位が、自分が制作したクリエイティブだったんです。効果を上げる事にさらに自信がつき、デジタル広告で得たノウハウをTVで試したいと思うようになっていました。

その意思と、自分が歩んできたキャリアにノバセルのビジョンがマッチしたことで、魅力を感じました。

それと、ノバセルの事業責任者である田部が当時インタビューで話されていた『テレビCMの民主化』という理念にも興味を持ちました。ただ価格が安いだけでなく、ABテストを実施して、ブラッシュアップして効果を上げていくという手法についても、これまでの経験が活かせるだろうと思いました。

加えて、採用試験の際に、面接だけで判断するのではなく、2時間半の実技試験をして判断するという、その本質を見抜こうとする会社の姿勢がいいなと思ったんです。これを通過した人はみんな優秀だろうなぁと思いました。

——現在はどんなお仕事をされていますか?

ひと言で言えば『クリエイティブディレクション』なんですが、調査から訴求ポイントの割り出し、戦略・企画を立ててプレゼン。制作フェーズではプロダクションやディレクターとディスカッションしながらクリエイティブを作っていきます。その過程でクライアントとの対話は僕がやってます。

ノバセルのいいところは、クライアントの多くがスタートアップや中小企業の方々なので、最終決定をする決裁者と直接やり取りができることです。クライアントが大企業になると、窓口になっている担当さんと方向性を固めても、持ち帰っていただいたあとに180度ひっくり返ってしまうこともあるので…伝言ゲームのようになると、どうしても意図が伝わらないことがありますが、決裁者と直接話せば理解してもらえることも多い。制作を担当する者としては、その点でストレスがないことは大きな利点だなと感じます。また、初めてのTVCMのお客様が多いので、世の中でまだCMされてないものをどう料理するかという挑戦は、日々楽しいですね。認知があまりないところがスタートなので、CM放映後の効果も顕著に表れますし。

——これまで担当されたお仕事の中で、印象に残っているものはありますか?

最近ですと、石井食品さんの『朝ミートボール』のテレビCMが印象的でした。実はプレゼンをさせていただいた当時、僕の娘が5歳で、ちょうどターゲットでした。プレーン味のCMだったので、「チョイ足し」を提案しようと考え、醤油をかけてみたり、ポン酢をかけてみたりして娘にいろんな味を食べさせたところ、『何もつけないのが一番美味しい!』って言ったんですよ。何も手を加えなくても美味しいならば『それが答えだ!』と思って、その時の撮った動画をそのままプレゼンに使いました。その動画がクライアントの共感を誘い制作決定となりました。ただ、コロナ禍で大掛かりな撮影は避けたいし、親御さんが撮影しているリアリティもテーマにぴったりだろうと、同じようにスマートフォンで撮影した自然な子どもたちの食べている様子をたくさん集め、1本に編集することにしました。嬉しいことに、CM放映後、売り上げも一気に伸びました。

——クリエイティブを追求してきた中で、それ以上に費用対効果を重視するとなると、葛藤はありませんでしたか?

良いクリエイティブを作りたいというのは変わっていません。ただ、良いクリエイティブの判断基準が変わっただけですかね。『なんのためにCMを打つのか』という、当たり前のことを考えるようになったんです。例えば、面白いCMを作って話題になったけど、何のCMかわからない、売上に貢献していないでは意味がないですよね。面白いだけじゃなく、売上にも貢献できるCMを作らなければいけない。ゴールが『話題性』や『顧客満足度』から『効果』に変わっただけなんです。

——今後、ノバセルひいてはラクスルの会社全体で実現していきたいことチャレンジしていきたい事があれば教えて下さい。

我々は『テレビCMの民主化』『マーケティングの民主化』を掲げてノバセル事業を立ち上げました。だからこそ、まずはこの目標を成功させなければならないと思っています。その上で、次のステップとして、クライアントとよりwin-winな関係を作っていけるようにしたい。それは、自分たちが作ったCMがクライアント企業の売上に貢献し、そこからまた成長に合わせてCMをブラッシュアップして、より効果的なCMを作り続ける。そうやってお互いに前進していく中で、1社でも多くの企業がナショナルクライアントにまで成長していけるよう、お手伝いができればと思っています。そのためには、効果が出るクリエイティブ作りをより追求し、ナレッジをどんどん貯めていく必要があります。効果に確信を持ったプランを提案・制作をして、確実に成長してもらえるようにしたいですね。僕たちは、クライアントのCM・広告を請け負うというよりは、成長や売り上げアップを請け負うパートナーでありたいと思っています。

▼参考記事

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