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ラクスルに入社した理由
もともと学部を卒業したら就職するつもりだったのですが、同期の9割が大学院に進学するような環境の中、どうしようかと思っているうちに気がつけば大学4年の春を迎えていました。6月になり大学院の願書を出さなければならないタイミングで「やっぱり就職しよう!」と思ったものの、大半の企業では新卒採用が終了している時期。とはいえ、最悪自分ひとりだけならなんとでも食べていけるだろうと高を括って、就職活動そっちのけで研究を続けていました。
ラクスルと出会ったのは、「ラクスルがいまどきの就活状況のヒアリングをさせてくれる学生を探している」と友人から木下さん(※16新卒)を紹介されたのがきっかけです。大きな声では言えませんが、選考に進むまでラクスルのことはよく知りませんでした。ただ、実際に話を聞くと、ファブレスやシェアリングエコノミーというビジネスモデルに俄然興味が沸き、一方で、CTOの泉さんがとにかく明るく、事業や業務に誇りを持っているんだな、本当に仕事が楽しいんだろうな、という強い印象を受けました。そして自分もその中で働きたいと思い、入社を決めたのが9月末でした。
ラクスル入社してからこれまで
入社して約2年半が過ぎましたが、これまでカスタマーサポートのオペレーション改善⇒印刷及び集客ECの商品開発を経験してきました。
現実の世界の複雑なプロセス、仕様をコードに落とし込む難しさ
中でも印象深いのは集客支援(新聞折込・ポスティング)商品周りの開発です。
新聞折込やポスティングの大きな特徴としてはバリューチェーンが長いことがあげられます。配布エリアを選ぶ、購入する、データを入稿する、データの審査、印刷、配送、配布、と大雑把にあげただけでもこれだけ多くのプロセスがあります。この長いバリューチェーンを扱う時に重要だったのはプログラミングの知識はもちろんですが、それ以上に各プロセスに対する解像度でした。
配布エリアってどうやって決まっているんだ?
審査って何をしているんだ?
配布って誰がどこで何をして行っているんだ?
例えば、新聞折込の場合は印刷物を印刷した後に各地域の新聞販売店へチラシを差配する納品センターへ納品するのですが、納品センターや販売店によって納品日が早かったり遅かったりします。そこを各販売店ごとに納品日を最適化することで新聞折込の配布にかかる時間を短縮する事ができました。
このような各プロセスに対する解像度を高めることで新聞折込やポスティングの短納期化を実現することができました。また、この新聞折込の短納期化では社長賞をいただきとても感慨深かったです。
今取り組んでいること
現在は印刷のサプライチェーン周りの開発を担当するチームに属しています。
printingと呼ばれている印刷発注基盤の刷新などがメインミッションとなりますが、最近この発注周りの開発業務がきっかけとなって社内プロジェクトを立ち上げました。
※プロジェクトとは
短期の成長にとらわれずに、ユーザーに選ばれる本質的な価値あるサービスを長期の軸で設計して作りきることを目的としたラクスルの事業/プロダクト開発の仕組みです。
チームは、起案者となるリーダーの提案内容に賛同した、部署横断のメンバーで構成されます。
プロジェクト発足のきっかけは社内のハッカソンイベント
ラクスルはパートナーの印刷会社様にチラシなどの印刷の仕事をお願いする際、「付け合せ」という仕組みを利用しています。
「付け合せ」を簡単に説明すると、印刷する版に異なる絵柄を割り当てることです。オフセット印刷では、大きな紙に複数の面を割り当てて印刷したあとに紙をカットします。ラクスルでは1,000部~10,000部くらいの小~中部数がボリュームゾーンになるため、1つの版に1つの割り当てをしてしまうと版が余ってしまい、その分の版代やランニングコストが無駄になってしまいます。そこで、複数のお客様の注文を1つの版にまとめる作業を行っています。
「付け合せ」にかかわる作業は一程度自動化を行っているのですが、まだまだ効率を上げる余地があるのではないかと数年前から言われていました。そこで6月に行われた社内ハッカソンイベント「Raksul Hack Week」でまずは「”最適な付け合せ”をした場合現状と比べてどれくらいインパクトが出るのか」というシミュレーションをアウトプットすることにしたのです。1週間という期間の区切りがあることで「やるしかない」という気持ちになれましたね、また、「面白そう」ということでエンジニアの岡田さんや同期の PdM平光さんが参画してくれたことも大きかったです。
シミュレーションをしてみた結果思った以上にインパクトが出せるということが分かり、ハッカソンは優勝、そして事業部としても実用化に向けて進めていこうという機運が高まっていきました。
ビジネスサイドも巻き込みプロジェクトへ
ハックウィーク終了後、さらに精緻な検証を重ねがらサプライチェーン担当の丸山さんと実行計画を立て、「発注最適化」というテーマでプロジェクトを起案しました。今は自分の80%のリソースをプロジェクト実行に充てています。プロジェクト期間自体は一旦半年で設定していますが、これはまだまだ第一歩にすぎません。パートナーの生産工程改善やプライシングまで踏み込んだ受注コントロールまでスコープに入れた完全な最適化には数年かかると考えています。
時間軸を意識した開発を学んだ
色々な案件を経験してきて、今開発で最も意識しているのは「負債をつくらないこと」です。負債というのは、その時はよくても一定の時間がたった後にシステムがブラックボックス化していて誰も手を付けられなくなることを指します。printingの開発や今回のプロジェクトのように影響範囲が広く、時間軸の長い開発では特に重要な視点だと思います。
自分もラクスルに入社してからいくつか負債をつくってしまった自覚があるのですが、すぐに捨てる可能性の高い機能なのか、将来的に何かと統合して動かすものなのかなど時間軸を意識して開発を行うようにしています。前者はクイックに、後者はブラックボックス化しないように適切に役割を分割して丁寧に、とメリハリをつけた開発を心がけています。
ラクスルについて
事業に近い立場で開発ができる
ラクスルの特徴という観点では、やっていることに「なんでやるのか」ということをちゃんと考えているというところかなと思います。なんでやるのか・なんでやらないといけないのか・どれだけ効果があるのか、これをしっかり考えて開発ができるので、モチベーションを高い状態で保ちやすいですよね。また、ビジネスサイドの人もシステムを理解しようという意識が強いことも特徴の1つで、事業と距離感近く開発を進めていけるところが良いところだと思います。
リスペクトできるチームメンバーの存在
一緒に働くエンジニアも個性があって、優秀な人が多いです。例えば、エンジニアマネージャーの二串さんは技術力が高いことはもちろん、「なぜやるのか」と周りに道を示せる方ですし、テックリードの岡田さんは周りが見落としがちなところや人があんまりやりたがらないことをきちんとやりきる方、ほかにもリスペクト出来る人が多く刺激をもらっています。
最後に
今後のキャリアについて「これ!」という具体的なものがあるわけではないのですが、より課題の解決ができる存在になりたいと思っています。よくわからない難しいことを考えたり、解き明かすことが好き、かつ得意なので、それを活かして「やりたいことがあるけどどうしたらいいのか分からない」という時、「岸野さんに聞けば解決できる」と真っ先に思ってもらえるような存在になりたいですね。