みなさんこんにちは、エンジニアの平木です。
5月末に、 医師たちがつくるオンライン医療事典「MEDLEY」 が大きなリニューアルを完了しました。デザインはもちろん、技術的な面でもがらりと変わった本リニューアルについて、PM(プロダクトマネージャー)の 波切さん と、エンジニアリーダーを務めた 竹内さん に聞いてみました。
※写真の左から、平木、竹内、波切
<リニューアル前後 トップ・病気詳細画面> ※左がリニューアル後、右がリニューアル前
<リニューアル前後 薬一覧・ニュース画面> ※左がリニューアル後、右がリニューアル前
(平木) MEDLEYのリニューアルおめでとうございます!
(波切) リリース後にやるべきタスクもまだ残っていたり、これからの成長のための仕込みもあったりと、まだまだやることは山積みですけどね。
(平木) やっぱりリニューアル直後はいろいろありますもんね。今回デザインも大きく変わったMEDLEYだけど、最初にリニューアルの話がでたのはいつ頃だっけ?
(竹内) 本当に最初の話が出たのは去年9月くらいですね。MEDLEYは2015年2月のリリースから1年半が経って、コンテンツもかなり拡充されてきたタイミングでした。そこで方向性を改めて見直そうという話が出たのが最初ですね。
(竹内) とはいえ具体的にプロダクト設計が動き始めたのは去年末でした。社長の瀧口さんとも議論をして、運用まで含めた全体の構造を見直すリニューアルにしようということがまず決まりました。それで年明けに波切さんがPMに就任して、具体的な検討を開始。データは基本的に今のデータベースを使いながらも整理して、アプリケーションはRuby on Rails(以下Rails)に書き換えることが決まりました。
(平木) そういえば年末にデータベースの整理もしてたよね?
(竹内) MongoDBからRDBにしようという前提でやってました。調査の意味合いも兼ねていて、このデータいらないよね、とかこのリレーションおかしいよね、ということはこの年末の整理から分かりました。
リニューアル前後の技術スタックの違い
医療事典の姿を追求するリニューアルに (平木) 波切さんは、ジョインしてまず何をやったの?
(波切) MEDLEYのこれまでを知らなかったのもあり、まずはいろんな人に話を聞きましたね。話を聞いていくと、リニューアルするとはいえ、今までやっていたことも間違っていないと感じるようになりました。
(平木) というと?
(波切)信頼性と更新性が高い医療情報を優しく分かりやすく伝える「医療事典」 という姿です。MEDLEYは信頼性の高い医療情報を、更新性を持ってインターネット上に提供しています。MEDLEYが医療に関わるコミュニケーションの共通言語となることで、医師と患者さんとがよりよい形で向き合うことができる状態を作りたいと思っていましたし、「病気のことならまずMEDLEYを見てもらうという世界を作りたい」という想いで運営してきました。その目指す姿に近づけていくためのリニューアルをしようと。もちろんその上でプロダクトを成長させなくてはならないので、SEO強化などグロースの仕組みもきちんと入れ込む必要もありました。
(平木) まず打ち出すことが決まったと。デザイン面では、何を伝えたいというのが一番強いの?
(波切) 元々MEDLEYのデザインで良いポイントは”誰のものでもない”感じ。もちろん我々が意思をもって発信している内容ですが、あくまで コンテンツは中立で公共的なものというスタンス を伝えていたんです。その良さは保ちたいと思いました。
(平木) デザイン期間はどれくらいだったの?
(波切) 最初に1ヶ月間ほどトンマナも含めて検討して、その案を持って、プロダクト面から見て議論するために平山さんやデザイナーの前田さんにレビューをいただきつつ1ヶ月ちょっと作りこみをしていきました。
(平木) トップページは最後の最後まで頑張ってたよね。もうそろそろリリースじゃないっけって、横で思ってた記憶がw
トップページのデザインとともに、最後までこだわって作ったプロダクトメッセージ
PHPからRailsへのフルリニューアル (平木) エンジニアサイドの話も聞きたいんだけど、もともとPHPだったのをRailsにしたのはなぜ?もうPHP見たくないとか?w
(竹内) いやいやw 自社の他のプロダクトがRailsなので、 プロダクト間のエンジニア移動がしやすくなりますし、知識の共有という意味でも良い と思ったんです。
(平木) 社内のエンジニア比率的にもPHPメインの人は少ないしね。ちなみにデザインに2ヶ月かかるというのは、エンジニアサイドからみると進め方難しかったんじゃない?
(竹内) 波切さんがデザインしてる間に、主に既存のデータ構造を吸収できるようなRailsによるモデルの開発を進めました。それがある程度落ち着いたら、仮画面でコントローラーの実装をして。簡素な画面でリニューアル前と同じページ構成を作って、デザインを待ちましたね。デザインが上がってきた段階で、その簡素な画面にデザインを当てていく作業を繰り返しました。
(平木) 無駄になるかもしれないけど、PHPのものをそのままRailsに置き換えた状態を作ったということか。
(波切) デザイン面で手戻りも多々あると思い、そのやり方で進めてもらいました。きちんとそこまで動いていれば、多少手戻りがあってもタイムロスにはならないと判断したんです。
(竹内) 手戻り自体は悪いことではないと思っています。確かにウォーターフォールでがっちり仕様を詰めたほうが作りやすいんですけど、そこは現場に合わせるのでよいかなと。
(平木) 仕様や機能についての「要る要らない」は現場のみんなで統率は取れていたの?
(波切) 中身を詳しく見ていくと「こんな機能あるんだ」というのが多くて、悩んだポイントでした。これどうしようか、という会話がリニューアルの中で多かったので、そこは反省ですね。
(竹内) 機能の取捨選択についての優先付けが曖昧になっていたなと。デッドラインがあるものなので最低限の機能に絞りたいけど、このページのためには開発した方がいいとか。そういうのを作りながら確認していましたね。
(平木) それを関係者に相談しながら開発するのは大変だね……。
今後のコンテンツ拡充に備えて整理した (平木) リニューアル自体は、実際2-5月で3ヶ月くらいかかったのか。デザイナー・PMどちらの視点でもいいけど、波切さんが一番こだわったことは?
(波切) PM視点ですけど、コンテンツの置き場は意識して、 将来コンテンツの追加や編集がしやすいように情報の整理をしなおしました 。旧来のMEDLEYを紐解いていくと、実はあまりリンクが貼られてないけどこんなコンテンツもある、という隠れコンテンツが散在していて。そこを整理し切ったのが一番大きい点です。
(平木) いまは隠れたページがなくなった状態だということか。
(波切) このコンテンツを追加するならここにこれも置かないといけないよね、という議論がしやすくなりました。
(平木) 竹内さんが一番気をつけたことは?
(竹内) 複雑にならないようにということ。PHPはPhalconというフレームワーク使ってましたが、かなり自由度高くて。わりとカスタマイズしてたのが前のメドレーだったのですが、今回はなるべくRailsのレールから外れないようにと。
(平木) すごい複雑になるとかRailsでもありそうですしね。
(竹内) まあ結果的に外れたりとかありましたけどw
(平木) なんで外れたんすか、というか外した?
(竹内) Railsの実装よりこっちの方がMEDLEYに合ってるという部分とかあって…。
(平木) なるほどなあ。
(平木) 今回一番大変だったことも聞いてみたいw
(波切) 色々な人の意見を聞くことが一番大変でしたね…… MEDLEYは弊社の医療への想いが詰まっている、社名を背負うプロダクト です。当然、関係者全員それぞれ想いを持っています。とはいえ、コンテンツ1つ変えるにしても影響範囲が広くて、そこをフォローするためにデザインを直す必要も出てきたり。かつ事業・プロダクトをグロースさせるための仕組みも入れていかなくてはならない。全ての要望を反映することは不可能なので、どう落とし所を作ろうかなと悩みましたね。
(竹内) 途中から入ってくれたエンジニアには、リニューアルの目的や今やっていることの背景など「なんでこれをやるのか」ということをきちんと説明することに一番気を配りました。僕自身も大変だったことはたくさんあったけど、それはとにかくやるしかないw
(平木) 逆にやって良かった、楽しかったということは?
(竹内) リニューアルに着手する前に、1ヶ月くらいかけて工数見積りして実際にプロトタイプを作ったんです。結果、 開発の工数がほぼ見積り通りになった ので、それはよかったなと。
(平木) 見積りはあくまで見積り、としてズレちゃう風潮が世の中的にありますもんね。それは嬉しい。
(波切) 個人的な部分ですが、デザイナーからPMになって初の案件だったので、一通り全部やらせてもらったことがまず大きな経験でした。さっきも話したように、みんなの想いをまとめながら試作しつつ1つの落とし所を見つけることができたのはよかったなと。
事典として自走する仕組みを強化したい (平木) 今後、MEDLEYをどうしていきたいですか?
(竹内) 技術的には、まだやるべきことが多くて。今回はフロントとかユーザー側の画面をRailsで置き換えたんですが、CMSや社内メンバーが使う画面、バッチはまだ前のままです。それらをPHPからRailsに置き換えないと。あとは新機能追加。今回のリニューアルは「普通に便利」を強化する位置づけでしたが、前のMEDLEYになかった機能追加もやっていきたいですね。
(波切) デザイン的にもやることはまだまだあります。ただプロダクト全体で見ると、たとえ器を変えても、メディアとしては中に入っているものが変わらないと何も変わらないという思いはあります。患者にわかりやすく医師にも納得できるコンテンツ作りというのは本当に大変ですが、そこに対してやれることはいっぱいあります。その土台を作るためのリニューアルだったと捉えています。
例えば、MEDLEYに登録している協力医師の方に編集へ参加してもらう度合いを強めたり。MEDLEYには既に550人以上が協力医師として登録して、コンテンツの共同編纂に関わってくれています。ただ、これまで社内の医師が充実させてきたコンテンツのなかには、まだまだ様々な分野の医師の方による磨きを入れていただきたいところも多いです。より協力医師の皆さんにコミットしてもらい、 中立的な視点を保ちながら新しい知見が頻繁に更新される事典 として、自走する仕組みを強化したいですね。
(平木) さて、大変さやプロダクトへのこだわりが伝わって来るインタビューでしたけど…リニューアルはそんなもんですよねw
それにしても竹内さん、リニューアルの達人みたいなところありますよね。 オレ知ってるだけで3回やってる もん。
(竹内) そうですかねw
(平木) まず2015年の夏に ジョブメドレーのPHPからRailsへのリニューアル に関わってたし。俺が入社したとき(2015年11月)にその話を聞いて、大変そうなことやってすごいなと思ってたら、今度はジョブメドレーのデザインリニューアルに突入して。
(波切) 自分も、入ったタイミングで コーポレートサイトのリニューアル を手がけて、少ししてからこの案件に入りましたし。
(平木) では最後に、リニューアルに点数をつけるとしたら?
(波切) うーん……(苦笑)
(平木) じゃあ悔いのなさ度にしましょうか。もちろん力をみんな出し切ってるのは知ってるけど。
(波切) やり切っただけで100点ではあるんですけど、さっき話したとおり、反省も多いですしやるべきことはいっぱいあるという意味で、60点。今後あと40点分は積み上げたいです。
(竹内) 開発的には、リニューアルプロジェクトが完了したところでまず合格点。進め方の改善の余地についてはお話した通りで、もう一回同じことをやったら、もちろんもっとうまくできるので、50-70点……。
(平木) よし、 トータル60-70点 ということで!
(竹内) なぞの合意感で終わりますねw
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