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マネーフォワードの横田さんにFinTechの今を「聞いてみた」

色んな会社のエンジニアの面白い話を紹介したいと、前回から社外に出張しはじめた「聞いてみた」シリーズ。SmartHRさんに引き続き、さらに「xTech」な話を聞いてみようと、今回は「xTech」の元祖とも言えるFinTechを牽引するマネーフォワードさんにお邪魔しました。エンジニア・横田さんが語る、FinTechの奥深い世界とは?

株式会社マネーフォワードさん

自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」、ビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などを提供しています。

・開発部門の構成:「スモールチーム」で動くことを重視しており、機能ごとに少人数のチームに分かれている

横田 順平さん

大学院修了後、株式会社イプロスで Web やデータ分析基盤開発、機械学習による社内オペレーション自動化など経験。2017年、マネーフォワードにサーバサイド(Rails)エンジニアとして入社。金融機関向けプロダクトの開発チームリーダーを務める。

生活に大きな価値を提供するxTechに興味があった

(平木)まだ始まったばかりの企画、快くお受けいただきありがとうございます。

(横田)いえいえ、私も身内に医療関係者がいて、医療xTechも興味があります。ぜひお話聞かせてください。

(平木)おおお、ぜひ!それでは、まず横田さんのご経歴を伺いたいと思います。

(横田)エンジニアとしては5年目で、マネーフォワードには2017年11月に入りました。前の会社ではJava、Ruby on Rails、インフラにデータベースと幅広く携わりました。そのなかで、もっとサーバサイドの技術を身に付けたいというのと、世の中にインパクトのある事業に携わりたいという思いが生まれてきて、転職を考えるようになりました。マネーフォワードを受けたのは上場前だったんですが、FinTechという分野も企業自体も、今後も伸び続けるだろうと思って興味を持ったんです。あと、個人的にはお金にももっと詳しくなりたいなとw

(平木)人生においてすごく大切ですからねw

(横田)私の金融リテラシーは高くない方なんですが、もっと世の中のたくさんの人に使ってもらえるプロダクトを目指すためには、自分のようなユーザ視点も大切になるだろうとも思いました。

(平木)専門性が高い分野こそあえて「素人」としてプロダクトを使う側のユーザ視点はすごく大切になってきますよね。メドレーも、医療のプロである医療従事者の意見を、Webのプロであるエンジニアが受けて議論することで、誰にでも使いやすいプロダクトを目指しています。ところで、横田さんは転職先をFinTechに絞って探していたんですか?

(横田)いえ、いわゆる”xTech”と言われる業界全般を見ていました。それこそ医療、教育や料理とか。自分が作ったものが生活に大きな価値を提供できる分野だと思ったんです。なので、今回のこの企画はご縁があるなと思っていますw

(平木)それは嬉しいですね!その中からFinTechの企業であるマネーフォワードさんを選択されたわけですが、入社してからの感想はどんなものですか?

(横田)スタートアップらしい所と、らしくない所があるなと感じました。らしくない所としては、金融資産を扱うので当たり前ではあるんですが、セキュリティへの配慮はかなり厳しくて、不祥事が起きないよう組織の管理体制もしっかり整えられています。それがちょっと堅苦しいなと感じることはありますw ただそんな中でも、社員同士はSlackでフランクにコミュニケーションを取っているのは、スタートアップらしさを感じる点です。「User Focus」というバリューの体現に向けて、みんな自由に意見を言い合う風通しの良さがあります。

(平木)組織体制ってどうなってるんですか?

(横田)まずtoCとtoBに別れて、それぞれにカスタマーサポートやマーケティングなどの部署が存在しています。toBはさらに、プロダクトごとに区切られています。マネーフォワードでは「スモールチーム」を理想としていて、1チームの単位は細かいですね。とはいえチーム同士の連携はしていて、私の所属する金融機関向けプロダクトの開発チームと個人向けの家計簿のチームはプルリクエストのレビューをしあったり、密にコミュニケーションをとりながら開発しています。

(平木)聞いていると、疎結合っぽい組織体制ですよね。1チーム何人くらいなんですか?

(横田)開発チームだと人数は3〜5人くらいが多いですね。Webとアプリの開発者は同じチームにいるので、例えばアプリ2人、サーバサイド3人といった編成です。マネジメントを重視するよりも、個人個人の動きが重視されていて動きやすいなと感じています。

業界の変化を牽引できる喜びがある

(平木)金融のプロダクト開発で、どういう醍醐味を感じていますか?

(横田)自分はtoC向けのサービスに関わっているので、ユーザを見ながら仕事できることは醍醐味ですね。あとは、経営陣をはじめ社員に元金融業界の方が多く、最新の金融動向の情報が絶えず入ってくるのも面白いです。金融分野は、国が未来投資戦略の柱の一つにFinTechを掲げており、業界全体が変化しているタイミングです。そうした業界の変化をリードする企業のメンバーとして開発できるのも光栄だなと思います。

(平木)国の動きって、レイヤーとしてすごく大きいじゃないですか。それがユーザに伝わるように翻訳できる仕事というのは複雑なことでもありますよね。

(横田)そういう意味では、医療も大変そうですね。

(平木)そうですねw この4月に診療報酬(保険診療の場合、それぞれの医療行為ごとに、国がその報酬が決めています)の改定があったんですが、こうした国の動きがダイレクトに自分達のプロダクトに反映したりします。特に「オンライン診療」という分野は市場が黎明期なので、情勢の変化への対応が度々あります。

(横田)金融と同じく、国が危機感を感じて、変化を起こしている分野という意味でも共通しますよね。

(平木) 医療分野も医師不足や医療費の増加など、大きな課題がありますからね。「オンライン診療」は、まさに診療の効率化や多様化などを実現して、医療の課題にアプローチする分野なので、国も積極的に推進しています。最近だと、診療の後の処方の部分で、薬剤師の服薬指導もオンラインでできるように議論を進めていたり。

(横田)実は妻が薬剤師だったりして、医療分野にも興味がありますw そうした新しい動きがスタートしたとき、業界のビックプレイヤーであることで、真っ先にお声がかかるじゃないですか。そういうのも喜びですよね。

全社に「User Focus」が定着している

(平木)プロダクトを作る上で、チームで大切にしている価値観とかってありますか?

(横田)代表の辻はリーンスタートアップにおけるプロダクトマーケットフィットを意識するようにとよく言います。まずはユーザーに価値が届いていることを確認することからはじめよう、と。私のチームは、新しいプロダクトを作ることが多いのですが、金融機関から要望を受けて作ることが多く、リーンスタートアップを実践するのが難しい場面も正直あります。ただ、デザイナーがリードする形で、作る機能はこれが適切なのか、ユーザーに価値を届けられているのか、よく議論していますね。

(平木)エンジニアとデザイナーで垣根を作らずやることも大切にしているように、外から見ています。

(横田)多分、先ほど挙げた「User Focus」という考え方が定着しているからだと思います。ユーザーに価値を届けるために、職種で垣根を作る意味はないのかなと。

(平木)デザイナーもGitHub使ってるチームがあるというブログも読みましたが、お互いの領域をかなり積極的に理解しようとしてると思いました。

(横田)そのブログを書いたメンバーはとくに少人数の新規事業チームなので、良いプロダクトを作るためにツールやコミュニケーション方法を工夫しようと様々な取り組みを試しているようです。私のチームでも、デザイナー以外もSketchを触れるように先日デザイナーが使い方をレクチャーしてくれました。ビジネスサイドの職種からGitHubに詳しくなりたいという話も出ていたりします。

(平木)会社全体が大切にする価値観があるからこそ、職種を超えたコミュニケーションも進みやすいのかもしれませんね。

専門知識を習得することで、相手の立場を理解する

(平木)現職と前職とでは、やり方が違うなあと思った点はありますか?

(横田)ユーザ向けの機能であれば、必ずユーザインタビューやプロトタイプを触ってみてもらうユーザテストを入れることですかね。前職はログからの数字だけをみて改善していたんですが、マネーフォワードでは、ユーザ向けのイベントなどもやって生の声を拾いながらの開発を重視しています。自分はこういう文化はすごく好きです。デザインとかに対する人の感覚って、数字では測れないことも実際には多いよなと思うからです。

(平木)「使いやすい」っていう数字って、なかなか出ないですもんね。メドレーでも、社内の医師や医療事務と議論しながらプロダクトを作っていき、導入していただいている医療機関からのフィードバックを取り入れていくというサイクルを繰り返しています。そういったユーザが使いやすいものを目指す開発のなかで、内部では複雑な業務知識が必要になることも少なくないですよね?

(横田)そうですね、特に会計チームなどは、深い知識が求められます。そうしたチーム以外でも、やりとりする相手が気にしているであろう文脈をしっかり捉えておく必要はあると思います。例えば銀行向けのプロダクトであれば「この銀行の要望は、銀行法のあの項目をを気にしているのかな」と察したり。もちろんエンジニアとクライアントの間に営業などが入ってはいますが、意識できるように勉強はしています。

(平木)相手の立場や考え方が分かることで、より本質的な解決策を提案できるということもありますよね。CLINICSでも、診療の流れや基本となるルールが分かると、医師からの要望の裏にある本質的な課題が見えてきたりします。マネーフォワードさんの社内でもそういった勉強会などあったりするんですか?

(横田)最近、銀行法の改正が適用されて、情報提供ポリシーなどが大きく変わったんです。そのタイミングで、チーム合宿で役員の瀧や坂から関連知識の講義を受けたりもしました。事業者によって影響を受ける法律も違うので、どういうものがあるかインプットしたり、ということもやっています。

スピード感がある業界のなかで、新しいプロダクトを生み出す面白さ

(平木)今日お話を伺いながら、FinTechを牽引していくという強い自負を感じました。そういえば、国税庁のサイトがリニューアルして、リニューアル前のリンクから一部閲覧できないという問題があったじゃないですか。あの時も、御社がすぐに検索サービスを開発していました

(横田)自分はSlack上での開発のやりとりしか追っていなかったんですが、困っている人たちに解決策をいち早く届けようという熱意と、話題になったら面白いじゃん、と楽しみながら取り組んでいた印象を受けました。すごい勢いでサービスが作られていましたねw

(平木)すごいスピード感と使命感だなあと感銘を受けました。最後に、xTechに興味を持つエンジニアに、こうした環境で働く楽しさについて一言お願いします。

(横田)ものづくりをしたい、世の中に価値あるものを届けたいという人には、かなりフィットする環境だと思います。いろいろなバックグラウンドを持ったビジネス職の方が働いているのも面白いなと思います。金融業界は、関連するあらゆる知識が要求される場所。そうした知識を持つプロフェッショナルが揃っています。業界がどんどん変わり、それに合わせて自分たちのあり方が変わっていくという世界で、エンジニアとして新しいものを出していくというスピード感のある環境は、かなり楽しめるものだと思います。

(平木)世の中の変化を牽引するという自負を持って働ける環境は、やっぱり面白いですよね。今日はありがとうございました!

(取材を終えて)

FinTechが起こす変化を多くの人に実感させ、普及させていったマネーフォワードさん。その変化の裏側には「User Focus」など強いポリシーがありました。

横田さんが医療にも興味を持っていらっしゃったことで、医療業界と金融業界に共通する要素についても色々と話すことができて、それぞれのxTech文化や醍醐味でも盛り上がれました。

「社外に聞いてみた」シリーズをスタートさせてみたら、色んな方から「とりあえずうちにおいでよ」と呼んでもらえています。xTechに限らず様々な企業のエンジニアやデザイナーの方と話ができると嬉しいので、こちらの記事を読んで「うちのエンジニアと話を…」という方いらっしゃったらご連絡ください!

過去の「社外に聞いてみた」シリーズ

第一回:SmartHRの宮國さんにHRxTechの裏側を「聞いてみた」

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