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freeeが多様であることが、ミッションの実現に近づく——DEIチームの取り組みと展望

2024年1月、freeeにDEI(Diversity, Equity & Inclusion)チームが発足しました。メンバーはCCO(Chief Culture Officer)辻本と、採用チームから異動した吉村の2人体制。この記事ではfreeeにおけるDEIのこれまでの取り組みとこれからの目標を、チーム発足の経緯を辿りながら紹介します。

吉村:色々な視点から意見が交わされているフラットな組織を目指して

freeeのダイバーシティの取り組みは、「freeeのマイノリティの声を拾いたい」という経営サイドの想いから、ダイバーシティ推進室を設置し、2018年に吉村が室長にアサインされたことに始まります。

吉村:組織が拡大する中でも一人ひとりのメンバーが自らの才能を最大限発揮できるような環境を整えるために、ダイバーシティ推進室を設置しました。具体的な取り組みとしては、主に全社ダイバーシティ研修とダイバーシティよろず相談窓口の設置があげられます。

全社ダイバーシティ研修では、入社する人すべてのメンバーに向けて研修を行っています。マイノリティについての当事者性を感じるワークショップを経て、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)やアクセシビリティーなどの理解を深めてもらい、社内外の人との接し方について考える機会を提供しています。またジャーマネ(※)になったタイミングでも改めてダイバーシティ研修が行われています。

ダイバーシティよろず相談窓口というのは、あなたの「働きやすい会社」は、皆にとっての「働きたい会社」であることを掲げ、freeeで働く上での悩みや不安を気軽に打ち明けやすくするためのものです。相談内容に応じて、話を聞いたり対処方法などを一緒に検討していく体制をとっています。

なぜ吉村がfreeeでダイバーシティへの取り組みを始めたのか、原体験とともにその理由を語ります。

吉村:かつてトップダウンで、スピードを追求するあまり同質性が高いことを推奨されている環境で働いたことがあるんです。本音が言いづらく息苦しかったのを覚えています。その頃から、色々な視点から色々な意見が交わされているフラットな組織が理想だなと考えていました。

それからfreeeに入社して組織が拡大していったときに、経営陣に入る声と従業員間で耳に入る声が変わってきたタイミングがありました。経営陣はストレートに何でも話ができていると思っていたけれど、従業員側からは些細なことは声を上げづらくなってきた。ちゃんと従業員の声を聞けるような体制を作ろうと行動し始めました。

ヒアリングしてみると、声が上げづらくなった理由として組織が大きくなってきてしまって自分の話なんか聞いてもらえないんじゃないかと諦めかけている事例が出てきました。これは立場や性別の違いなどの表面的な理由ではなく、そもそも前提となる考え方に違いがあるからだと考えたんです。

この体験をもとにダイバーシティ研修の骨子が完成していきました。

吉村:あなたと私は違うのが当たり前で、異なった考え方の人が集まっているのが組織であり、一緒に働くということです。お互い気軽にディスカッションすることで新しい視点が生まれ、組織として物事が多面的に考えられるようになります。だからこそコミュニケーションをしっかり取っていきましょうというのが前提の考え方です。

当たり前のことを言っているんですが、入社のタイミングは、本人たちはナイーブになってしまっている場合もあるので、それをなるべく取り払い、みんなが意見を言いやすくなる環境づくりを行っています。

入社直後は誰でも社内ではマイノリティな状況にあります。自分自身が当事者であることに気づくことで、ダイバーシティの話題がぐっと身近になります。自分の意見を話すことを恐れずに、数ヶ月後には新しいメンバーを受け入れる側になりながら、多様な視点を持つことの重要性をダイバーシティ研修では話しています。

多様であること(Diversity)や公平であること(Equity)を前提に、組織運営においても、お互いの違いを当たり前だと思えることで、誰もが自然体で働ける環境を目指しているんです。

このように吉村は採用チームでリクルーターとして働きながら、freeeのダイバーシティをリードしてきました。

(※ freeeでは単にメンバーの上に立つ者のことではなく、“タレント”であるfreeeのメンバーを叱咤激励し、成長・活躍をサポートする役割だと考え、ジャーマネと呼んでいる)

辻本:ミッション実現のため自分たち自身も多様な存在でありたい

CCO(Chief Culture Officer)として社内のカルチャー浸透・組織での体現に取り組んできた辻本。DEIチームが作られることになったきっかけを語ります。

辻本:CCOとして社内カルチャーに取り組んでいるときに、組織内の状況を知るために女性管理職や女性従業員比率の正確な数字を把握したいと考えていたのですが、いざfreeeの状況を見たときにかなり偏っていたんです。

その偏りについて、毎回経営会議の場では口を揃えて「課題だね」と言うのですが、そう認識するだけでは進んでいかない。誰かがちゃんとオーナーシップを持って取り組む必要があると考えていました。意識して変えていかないと解決しないような難しい課題なんです。

そこで2022年10月、CEOからアサインを受けて私がオーナーになりました。さらに組織を強化するために、2023年7月から吉村に採用チームと兼務という形で手伝ってもらい、2024年1月からは本格的に異動してもらって2人チームになりました。

チーム結成前、2022年6月にfreeeはダイバーシティポリシー『freeeのDiversityは、多様なスモールビジネスを支えるためにある』を発表しました。これはDEIチームの全ての活動の下敷きとなっています。

吉村:2021年、CEO・佐々木と話をしているときに、「freeeはなぜDEIに取り組むのか」について、ちゃんと世の中に打ち出した方が良いよねという話になりました。

そこで2022年6月に言語化したのがダイバーシティポリシーです。
辻本:スモールビジネスは世の中の事業者の99.7%を占めていて、その99.7%の人たちは当然ながら多様な人たちで構成されています。

freeeは『スモールビジネスを、世界の主役に。』をミッションに掲げていて、スモールビジネスを営んでいる方々がアイデアやパッションを形にするのを、テクノロジーで後押ししたいと考えていますが、そういった方々に必要とされるプロダクトを作り、ミッションを達成するためには、まずスモールビジネスを解像度高く理解しないといけません。そのためには自分たち自身も多様な存在でなければいけないなと。
吉村:freeeが目指す『スモールビジネスを、世界の主役に。』が実現している世界は、前向きなチャレンジがしやすく、多様なビジネスが次々に生まれていて、スモールビジネスを通じてみんなが最高の自己表現をできている世界です。だれもが各々の個性を活かし、公平な環境でビジネスができ、人生が豊かにオモシロくなっていく世界をfreeeは作っていきたいと考えています。

freeeのお客さまやアプローチをしている方々は、どうしても自分たちに近いIT業界が多くなっています。freeeの価値をまだ社会全体には届け切れてはいないんです。

これからさらに多様なお客さまに向き合うにあたって、組織として色々な意見が取り入れられるようになることや、そもそもの前提が違う人たちの「違い」に気づくことが大切です。freee自体が多様であることが、ミッションの実現に近づくことに繋がると考えています。

2030年、freee全社で多様な意思決定ができている状態を目指して

freeeのDEIチームは、2030年に「freee全社で多様な意思決定ができている状態」を目指しています。

多様な意思決定ができている状態にするには、freeeが多様な状態であることが必要です。

では多様な状態とは何か、いかに実現しようとしているのか———その定義から語ります。

吉村:多様な状態っていうのを、身体・社会・感情・認知の4つの観点における多様性(Diversity)や公平性(Equity)が保たれていることと定義していて、この4つは相関関係になっていると考えています。

つまり身体の多様性、年齢・性別(sex)・人種・障害などが担保されることで社会的な多様性・文化・宗教・雇用形態・ジェンダー・セクシュアリティ・階級などが存在しやすくなる。そして感情の多様性、ポジティブ・ネガティブ・外向性・内向性などが担保されると、最終的に認知の多様性、つまり異なる考え方や学習方法など物事の捉え方ができている状態になるということです。
辻本:もちろん最終的には認知の多様性を満たして、問題のあらゆる側面を考慮できるように、チームにさまざまな思考スタイルを持つ人々がいる状態に持って行ければミッションが実現できると考えています。しかしfreeeはまだ個々の身体の多様性も担保できてない状況です。

例えば2023年6月期のデータでいうと、従業員における女性比率は25.23%、女性の管理職比率は12.55%です。(freee ESGデータ

もちろん男性ばかりのグループの中でも、その中での多様な意思決定はできているとは思っていますが、freeeがターゲットとしているスモールビジネスや社会というものはもっともっと多様で、それを社内でもっと再現する必要があります。

男女比以外を考えても、だいたい大学で教育を受けた人たちで、ほとんどのメンバーが健康体で、社会的ステータスとしては結婚して子供がいる人が多く、年齢もだいたい30〜40代。そう考えたらすごく偏っていますよね。

今現在freeeは一部の属性の中で頑張って多様に意思決定しようとしている状況とも言えるので、それをもう少し前提から多様にしていきたいんです。
吉村:「色々な意見を聞いて反映する」という意味ではヒアリングで良いじゃんと思われるかもしれませんが、ヒアリングだと反映する/しないの判断が結局こちら側になってしまいます。私たちは多様な人が働いていて意思決定に関わってもらうことが大切だと考えています。

会社組織の中でそれをどこまで実現できるかはわからないけれど、ヒアリングで全てをカバーできた気になるのは絶対に違うと思っています。意思決定をする人が、自分で見えないことは意識できないからこそ、違う視点を持っている人がそこにいるべきだよねっていう素朴な発想なんです。


(▲従業員における女性比率、女性の管理職比率のロードマップ)

DEIチームは、2030年の目標達成に向けて具体的に動き始めています。

辻本:社内の多様性を確保していく上で、今実際の目標として置いているのが、最大のマイノリティである女性の採用と登用です。2030年には管理職の構成も含めて、男性比率45%、女性比率45%、残りの10%にどちらにも性別分類が難しいケースを含む、と設定しています。

ただこれは単純に達成したい数値目標ではなく、あくまで多様な意思決定をするために、どこにでも当たり前に色々な人がいるという状況にするために立てた目標です。

数字を達成するために同じレベルの応募者がいたときに女性を採用します、というような浅い話ではなくて、ちゃんと各ポジションに同じだけ応募者が来るように母集団の形成をしようとか、面接で偏らないように面接官の属性を設定しようとか、最終的にフラットな状態で判断できるようにするためにあらゆることをする取り組みです。

テクノロジー以外の分野からもfreeeとして何か言えるように

(▲国際女性デーの一コマ。freeeのメンバーたちと一緒に。)

多様であることを目指し、多様な価値観やものの見方が混在することを目指しているfreee。しかし絶対に譲れない条件があると言います。

辻本:これまでのような文脈で「多様性」という言葉を出すと、多様であることがいかにも素晴らしいことのように聞こえてしまうんですけど、実はそうではなくて、freeeにとって「これだけは多様性を認めない」ところも同時に存在しています。

それはfreeeのミッションに賛同しない人とは一緒に働けないということ。

freeeにとってはミッションの実現を目指すことが前提で、そのために価値基準が定められていて、これはfreeeで働く人には全員意識してほしいことです。だからこそダイバーシティーポリシーはミッションに紐づけて作られたんです。

一緒にミッションを追いかけたいという想いが一致してるのであれば、それ以外の属性は基本的には関係ないというのが大前提のスタンスです。

ダイバーシティへの取り組みの一環としてDEIチームが発信することはもちろん、freeeのメンバーに期待していることがあります。
吉村:もちろん私たちは、折に触れて、国際女性デーでの発信や東京レインボープライドへの参加も行います。

ただfreee全体として、例えばプロダクトであったり、その他のfreeeの発信であったり、全てがダイバーシティーポリシーが前提になるようにしていきたいと考えていて、まさに取り組んでいる最中です。バックオフィスのうち特に外部発信に関わるようなチームにはDEIチームの目標を共有し、これからプロダクトチームとも連携もしていきます。

本当は、ダイバーシティの文脈で私たちが出るんじゃなくて、他のメンバーに出て欲しい。誰に話を聞いて、どこの角度で話を切り出しても、絶対にダイバーシティの文脈がでてくるというのが理想ですね。

最後に、それぞれがこれからの目標を語ります。

吉村:理想と現実に「何故かわからないが埋まらない差がある」という時には、前提としてアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)があることが多いです。なのでまず課題に向き合うという部分でアンコンシャスバイアスに目を向け、会社として気づけるようにしていくことが直近の目標です。
辻本:私はCCOとして社内の制度を整えて、従業員をより働きやすくする取り組みを行ってきましたが、スモールビジネスの方々の中にはそうしたくてもできない人も存在します。例えば育休が取れなかったり、子供が熱出しても休めなかったり。

そういうことに対して今は福祉みたいな受け皿しかないけれど、もっとこうできるんじゃないとか、社会として何か変わっていけるんじゃないかってことをfreeeのミッションに紐づけて言えるようにしたいなと思います。

『スモールビジネスを、世界の主役に。』を実現するっていうのは、プロダクトでテクノロジーを提供することだけじゃないと思うんです。

スモールビジネスで働く従業員も、個人事業主であったとしても、フリーランスだから仕方ない、自己責任だよねと冷たく見放す社会にするのではなく、主役になってもらうからこそ、テクノロジー以外の分野からもfreeeとして何か言えるようにしたい。企業の社会的責任という言葉がありますが、『スモールビジネスを、世界の主役に。』と掲げているfreeeだからこそ、スモールビジネスに対する責任はあると考えていて、そういう意味で社会に対してのインパクトを出していきたいです。


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