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2019年12月、中堅・成長企業向けのセールスとしてfreeeに中途入社した山本 晴香。新卒以来、人材業界で営業・人事を担当していましたが、自身のキャリア観と照らし合わせ、転職を決意します。
前職での経験を活かし、成長著しいfreeeをさらにグロースさせようと意気込む彼女のキャリアビジョンとは——。
freeeの目指す世界観に心からわくわくできた
(2021年現在の山本)
新卒で株式会社パソナ パソナキャリアカンパニーに入社した山本。人材紹介事業の営業とキャリアアドバイザー業務を経験した後、人事部の新卒採用チームで新卒採用を担当しました。
山本 「新卒採用担当として組織拡大期のど真ん中に携わり、当時30名程度だった新卒採用人数を100名近くまで伸ばすことができました。採用を起点として、研修・人材開発とも連携しながら、組織の成長に関わることが出来て、大きなやりがいを感じていました。
さらにその後、グループ再編を受けて、ホールディングスでグループ全体の新卒採用チームのマネージャーも経験しました。会社として大切にしているカルチャー・価値観や全社の経営戦略を踏まえた、新卒採用全体の戦略・戦術を任されたことも、いい経験になりました」
一定の成果を出した山本は、自分自身のキャリア観と照らし合わせ、転職を考え始めます。
山本 「人材以外の異なるビジネスも経験してみたいと思うようになりました。というのも、私は『あらゆる企業・組織のミッションに向けて成長していくために、さまざまなリーダーたちの右腕でありたい』というキャリアビジョンを持っています。そこで、人材のアプローチに限らず、もっと組織・ビジネスを育てていく上での武器を増やしていきたいという想いが強くなったんです。
そんな中、SaaS業界などの全く新しいビジネスの中で、多様な組織の経営を支援できるビジネスに興味を持つようになりました。また、しくみが整っていないベンチャー企業の環境下で、むしろ自分がしくみをつくり、組織を育てて行けるような人になりたいと思ったのも理由のひとつです」
freeeのカジュアル面談にやってきたのは、そんなときでした。
山本 「採用担当のポジションでカジュアル面談を受けました。選考に進むと、私の志向などを踏まえて、セールスのポジションも薦めていただいたんです。その段階では、採用担当・セールスとは決めずに、どちらも並行して面接を進めてくださいました。
実は、セールスを提案されたときにもあまり不安や迷いはありませんでした。それは職務内容として何をするかより、freeeの中で、自分の強みを活かして組織の成長に関わっていくことにわくわくできたんです」
山本が最終的にセールスに決めたのは、挑戦を志す自身の気持ちの表れでした。
山本 「採用に関わる仕事を7年弱経験してきて、ある程度成果を出す自信もついてきていました。一方でfreeeの仕事においては、専門知識も畑違いであり、営業も3年半のブランクがある状況で成果が出せるんだろうかという気持ちも少しありました。
でも前向きに捉えると、そんな業界経験ゼロ・職種経験ゼロの真っ新な状態でも挑戦させてもらえるのは、めちゃめちゃチャンスなんじゃないかなと思えたんです。今までに培ってきたマインド・スタンスは大切にしつつ、経験・スキルをもう一度培いながら新しい挑戦ができるのはすごくおもしろそうだなと感じていました。
また世の中でSaaS企業が注目されていて、その中でも圧倒的なスピードで成長しているfreeeはじっさい何が評価されているのか、最前線で知りたいと思ったことも大きかったですね」
セールスとして大事なのは、課題解決型の提案がどれだけできるか
(初めて受注を取ったときの記念写真)
2019年12月、中堅・成長企業向けのセールスとしてfreeeに入社した山本。freeeのセールスには、珍しい特徴があると言います。
山本 「freeeのセールスは売るプロダクトが個別に制限されておらず、マルチプロダクトの提案を基本としています。というのも、freeeは統合型クラウドERPというカバー範囲が広いシステムを提供していることもあり、プロダクト別に営業組織があるわけではなく、1社の顧客に対して、1人の営業が最適なソリューションを提案します。
さまざまな顧客の経営課題や事業計画などをヒアリングしながら、課題を一緒に洗い出し、freeeで何が解決できるのか考え、freeeのプロダクトを活用することで未来像を提案していくのが業務です」
総合的な業務理解と、柔軟な提案が求められるセールス。山本はまずプロダクト理解と専門知識などのキャッチアップから始めました。そして入社して2週間程度で、自分の顧客を持つことになった山本を待っていたのは最初の難関でした。
山本 「たとえロープレで上手くいっても、多様な業界・規模の企業の経営課題を把握し、企業ごとに業務フローも異なる中で改善提案を行っていくには、まだまだ理解が追いつかないこともありました。
freeeの価値を顧客ごとに合わせて提案することができず、セールスとしての課題解決力の低さを実感して、とにかく悔しかったことを覚えています」
それでも数をこなしていくことでなんとか慣れていきました。
山本 「もともと組織づくりに携わっていたこともあり、組織の抱える課題の仮説を設定し、その原因を構造的に分析していくことは得意でした。
業界・業種・規模に応じた経営課題・業務課題の仮説を、毎回初回の打ち合わせ前に立てて、それを打ち合わせ時にぶつけてみる。その上でfreeeは何が解決できるのかを提案するということを繰り返した結果、自信につながっていきました」
顧客課題を理解する上でとくに大切なのは、抱える課題の深掘りだと言います。
山本 「たとえば最近ですと『クラウドを利用して紙を減らして工数削減したい』とのお問合せをいただくことも多くあります。ただ大切なのは、工数削減の先にバックオフィスとして、会社として実現したいことは何なのかを擦り合わせることです。これをとにかく意識していました。
せっかくシステムを導入するのであれば、現場担当者の負担を減らすことはもちろん、経営層の意思決定を支援するようなしくみをバックオフィスとしてつくっていけると良いですよね。
そのため、顧客の『こうしたい』と言う目の前の情報だけではなく、潜在的な課題を見つけ出し、その解決策としてfreeeを提案していく、つまり相手にインサイトを与えることを意識しています。
プロダクト営業って、機能を紹介して導入メリットを提案するというイメージを持たれがちですが、その先の未来を理解し課題解決していくことに一番の意義があると思っています。『SaaSサービスは永遠のβ版であり、成長し続けていくもの』と言われることがありますが、だからこそ目の前の効果・メリットだけでなく、中長期的な課題解決をするための提案力がより重要になるのではと思います」
新プロジェクトにジョインし、広がった視野
(zoomで会議中)
入社して3カ月、セールスとして業務に精が出てきたころ、コロナ禍でのリモート業務が始まりました。
山本 「2020年の3〜5月は、お客さんのアポイントも多くがキャンセルになってしまいました。完全に受け身になってしまい、セールスとして何をしたら良いのかわからなくなり……。数字は考えて動かないとつくれないですし、当時は成果を出さないといけないことへの焦りも大きく、追い込まれましたね。
だからこそ、そんな状況下でもアポイントをくれるお客様には絶対に価値を届けようと、事前準備と課題の把握に全神経を集中させました」
その後、社内では新たなプロジェクトが立ち上がり、山本もメンバーとなりました。
山本 「freeeのプロダクトは基本的にはさまざまな業界・業種の顧客にご利用いただいており、私たち営業もあらゆるお客様の対応をします。しかしながら、私が担当している中堅・成長企業の規模になってくると、より業界特有の経営課題・業務課題が複雑化し、周辺システムとの連携など、広い範囲での提案が求められることが多くありました。
そこで新たなアプローチとして、セールス・マーケティング合同で特定業界に特化した取り組みをスタートさせることになりました。その取り組みの第1弾として、人材・SES業界向けの戦略・戦術を担当することになりました」
freeeで初の試みとなる業界特化型のプロジェクトは、従来のやり方とは方法が違いました。
山本 「今までの業務フローだと、セールスはマーケティングやインサイドセールスから見込み客を引継ぎ、フィールドセールスとしてアプローチするのですが、このプロジェクトに限っては、マーケティングセクションの見込み客をつくる部分についても一部協働して施策を考えていきました。
それには、対人材業界向けにサービスを展開している企業と連携してウェビナーを企画したり、さまざまな業界紙に出稿したり、業界特化型のシステムとfreeeを連携させるようにサポートしたりと、顧客がfreeeを知る最初の接点から、実際にご利用いただく部分まで考え、一貫性を持って取り組む必要がありました」
山本個人としてもまた挑戦の連続でした。
山本 「対人材業界向けに他の領域でサービス展開しているコンサルティング会社さんなどとも壁打ちを行いながら、freeeの価値をより人材・SES業界に合わせた形で解像度を高めていきました。そこでfreeeの視点と客観的な視点が合わさり、バランスが取れていきました。そこから実際に商談につながり、freeeの導入が決まるようになりました。
インサイトに届く提案ができるようになると、『確かに』とか『社長がやりたいことと同じ』という声も増えていきました。業界などの特定セグメントに特化し、外部の客観的な視点を得ることで、仮説解像度が飛躍的に上がってきたのだと考察しています。
結果的には有難いことに、2020年7-9月と比べて、10-12月はQ対比で2倍以上のお問合せや導入をいただいています。そして今では、人材・SES業界で培ったマーケティングからセールスの連携ナレッジを他業界に転用していくことで、より専門的な提案ができるような取り組みもスタートさせています」
未来志向の行動と組織の成長を第一に
(freeeメンバーと会社近くの神社へ参拝。左から三番目が山本。)
人材業界の営業・人事からfreeeのセールスに飛び込んできた山本。ただ、ふたつの仕事には共通点もあると言います。
山本 「社内なのか社外なのかという違いだけで、どちらも目の前の問題を俯瞰的な視点で捉えて、短期的・中長期的なビジョンを描いて提案していく点では非常に似ていると思います。
とくにfreeeの提供するプロダクトは、長く使い続けて経営の根幹を支えていくことにもなる統合型クラウドERPなので、経営者やバックオフィス担当者の方、その組織のさまざまなセクションの方々にfreeeを活用してもらう必要があります。仕事を通じて関わる方も幅も数も一気に増えたため、日々緊張感があります」
違う畑から入社し、過ごしたfreeeでの日々。大きな喜びを感じることもありました。
山本 「顧客の抱える課題と自分の仮説がぴったり一致し、freeeの導入がその課題の解決の糸口として感じていただけたときは本当に嬉しいです。そこからさらにfreeeを使ってどんどん描いた理想像に近づいていっていただけると最高ですね。
売り切って終わりじゃない、その先に答えがあるというのがSaaSのセールスの醍醐味なので、そういう意味では未来志向の行動ができていると思います。
実際、あるお客様が今いる従業員を倍に増やして事業成長させていくために、『freeeは社運をかけてでも導入すべきだ』と仰っていただけたことがあり、その経験は糧になっています」
入社して1年が過ぎ、自分の社会人人生を振り返る山本。前職での経験も生かしながらfreeeの組織に貢献することがこれからの目標だと語ります。
山本 「私のキャリアを言語化すると、自分の『やりたいこと』より『やるべきこと』を大事にしてきました。
言い換えると『want』で仕事をするよりも、自分が真正面から向き合えて共感できる組織・チームには何が必要かを考えアウトプットする『should』で仕事をしたいと思っています」
次のステップとしては、前職で経験した組織のしくみづくりを、成長途中のfreeeでも実践してみたいと話す山本。社内外のさまざまな人たちを巻き込みながら、組織を成長させる存在になっていくはずです。