学生さんや若い人から「まちづくりの仕事したいんですがどうしたらいいですか?」と聞かれていつも答えに困ってます。
自分の中に「まちづくりの仕事」という主語がないから。
新卒からいまに至るまで、自分の中にあるのは「ワクワクする仕事がしたい」。というとゆるーい話になりがちですが、結構、真剣に考えて行き着いたことなんです。
ワクワクの源泉は、ぼくの場合は、自分なりに、所属する組織にとって新しいコトにチャレンジしてること。そしてその結果、関係する人が笑顔になってるか?です。
「新しいコトにチャレンジ→ワクワク」を繰り返していく中で行き着いたのがまちづくり。
ぼくにとってのまちづくりはやってる仕事の範囲や特徴をまとめた結果論的なものでしかありません。
まちづくりをやりたい!という思いは大切ですが、それ以上に大切なのは、自分なりの目的やこういう感じになったら楽しいぞ!というスタンスを見つけて決めることだと思ってます。
1.ベンチャー
講演会やはじめての方にお会いすると、いまの仕事とまったく関係ないので、よく「なんで新卒でポーラ化粧品に入ったんですか」って聞かれます。
何社か面接した会社で、ポーラは唯一、新卒採用を新卒社員が主担当でやってました。「うわっ、あたらしいな、自分も来年採用担当できんのかな?」とか想像してワクワクしてポーラに決めた、というのがまぎれもない事実です。
その後、化粧品メーカーに入りながら、化粧品以外の新規事業をやりたい!と研修の1ヶ月間、毎日人事の人に言い続けたらその通り配属してくれた 笑。
言ってみるもんだ、はいまでも変わらないスタンス。
ワクワクするのが判断基準なのは、全然かっこいい話ではなく、理屈で考えててもやりたいことが思い浮かばず、将来のビジョンもまるでなかったので、ワクワクしたら自然と動けてただけの話。
ワクワクの源泉が新しいコト、といっても、別に起業できるほどの新企画や発明したいというレベルとはほど遠く、自分が属する集団において新しくて楽しそうであればOK、という控えめな新しさ。
化粧品メーカーなのに100円のキャンディー(飴)をつくる仕事につかせてもらい、事業開発の大変さややりがいを体感。その後、MINTIAなどヒット商品にもつながり、自分のキャリアの軸をつくらせてもらったことはいまでも大感謝。
その後も転職したり起業したりしてきましたが、共通しているのはワクワクするか、その源泉となる新しいことへのチャレンジがあるか。
働き出して35年目、いまもなお、もっともワクワクできるフィールドはベンチャー企業だと思ってます。
ベンチャーが自分のアイデンティティそのものになりました。これは多分、死ぬまで変わらないと確信。
2.地方
20代で縁があって新潟県上越市に家族で移住。
「移住」というしゃれた言葉もなかった時代、誰も20代の若夫婦が出産を機に東京から縁もゆかりもない地方へ移住してなくて、それ自体が新しいチャレンジだったのでワクワクしてました。
なぜ「移住」したくなったのかといえば、当時13万人の地方の町、上越市の砂利採取業の社長が、国内初、最大規模(当時)のショッピングモールを自社開発するという構想のあたらしさとデカさにワクワクを超え衝撃を覚えたから。
20代でそこそこ仕事ができるようになり、下手するとこのまま効率化したり、出世したりしてそれなりの管理職に、というキャリアしか描けなくなってきたことにつまらなさを覚えてたました。
行ったこともない地域、
会ったこともないような人、
見たことも聞いたこともない事業、
というないものづくしを前に、行くしかないの一択。
社長のNo.2的立ち位置で、開発ど真ん中の実務して、国内初、最大のショッピングモールを完成。全国から視察や取材を受けて感動しました。
日本で初めてガソリンで100円をきって新聞に載ったり。
このとき感じたこと
No.2で関われたのは、地方に人材がいなかったから
東京で同じ仕事したら、上司が2桁いてもおかしくなかった
地方は日本を変えられる可能性が無限にあるのに、実現する人が少ないこと。それは、ぼくのような経験も能力もない若手にはチャンスだと確信。
50代になって都農町に移住したのは、自分が体験させてもらったように、地方だからこそ可能な20代で活躍する人を増やしたかった次第。
3.こども
上越市でこどもが産まれて父になり、自然と子育てやこどもの教育に関心が芽生え、不安や問題意識をもってたころ出会ったのがキッザニア。
キッザニアのあたらしい発想とビジネスモデルにゾクゾクし、筆頭株主として出資、自らも経営、実務両面でつっこみました。
キッザニアのすごいところは、内装費をはじめ何十億という費用をすべて企業のスポンサーで得ようという大胆なモデル。
日本の企業は手強かったけどCSRやブランディングを切り口に予定していたスポンサーを集め切って感じたこと
こんな投資するほど、こどもに価値をもってるんだ
自分で集めておきながら怒られますが、どこの企業も人口減少、少子高齢化の日本において、未来の顧客であり社員にもなりえるこどもたちには損益を超えて投資する価値が十分あると判断したのだと学ばせてもらいました。
この時以来、子育てそのものや、教育そのもの以上に、「企業とこども」「まちづくりとこども」「地方とこども」など、社会におけるこどもの関係性を考え、新しいコトを起こしてくことに一番ワクワクするようになりました。
4.結果論的まちづくり
①ベンチャー×地方
ベンチャーがもっと地方にあればいいのに、と思って地方でベンチャー企業イツノマを起業。
②地方×こども
人口減少、少子高齢化が加速する地方で取り組むべきはこどもだな、と都農中学校での総合学習「つの未来学」をはじめこども参画まちづくりを実践。
③こども×ベンチャー
こどもを対象とするとどうしても公共機関やNPOになりがち。あくまで株式会社のベンチャーとしてチャレンジしたい、といまも悪戦苦闘中。
④3つ掛け合わせた先
こんな感じで、3つの要素を掛け合わせてたら、そのフィールドがまちづくりに結果論的につながっていきました。
ぼくの場合は、ワクワクを起こすことがありき。そのために、行く先々で小さな新しいコトにチャレンジし続けてたら、結果的にまちづくりにかかわることがふえたというだけ。
最初の質問、「まちづくりの仕事したいんですがどうしたらいいですか?」と聞かれたら、「ワクワクを起こす」みたいな幼稚なレベルでいいので、まちづくりの手前で、一体どんな気分になりたいのか、なにを判断基準にしたら仕事楽しめそうか?をおすすめします。