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これまでの経験から課題の共通項を見いだす
鈴木さんはフィンテック業界出身。なぜラクスへの転職を決めたのですか?
社会への貢献を、より実感できるサービスの営業に従事したいと思ったからです。
前職は近年さまざまな技術革新が進む業界である一方で、市場は飽和状態にあり、ひしめく競合と限られたパイを奪い合う状況が続いていました。部門を牽引する立場として、意識の中心にあったのは競合他社の動向。それはそれで価値のある仕事であると理解はしつつも、顧客視点よりも他社との競争優位に重きを置くスタンスに漠然とした違和感を抱いていました。
そのような時に、企業の課題解決に真正面から取り組み、業務効率化を通じて企業の成長に貢献するラクスのミッションに感銘を受け、自身もその一員として働きたいと感じ、ラクスへの転職を決めました。
他業界出身のマネージャーとして、どんな価値を発揮しようと考えていましたか?
「このお客様が抱えている課題には、この機能が活用できる」といった商談時の知見やスキルについては、「楽楽精算」を深く知る多くのメンバーにはとてもかないません。
では、自分にはどんな価値を提供できるのかというと、「抽象化された課題対処力」だと、入社当初から考えていました。
といいますと?
営業推進上の課題や、お客様対応などで生じる個別課題に対して、その具体的な対処法はケースバイケースで異なり、千差万別です。業界経験のない私は正直、その対処法の引き出しを多く持ち合わせていません。
しかし、それらの課題がなぜ起きるのか、根本的な要因を探っていくと、実は共通項が見えてくるのです。例えば営業目標と実績のギャップがある場合、まずその事象を俯瞰的に見ることによって、その要因がお客様やパートナー企業の状況変化によるものか、当社プロモーションやフロントに立ってくれている関連部署に起因するものなのか、個人のスキルでどこまで対処可能なのか、など対処すべきポイントが整理できます。
また、お客様対応での課題では、その多くがコミュニケーションの不備から生じていることが少なくありません。ならば、ご案内が不足していた点をおさえつつ、お客様との丁寧なコミュニケーションを徹底することで、課題の芽を摘むことができます。これらの考え方は、業種・業界にかかわらず、共通しているのではないでしょうか。
このように課題の原因と対処法を共通化・抽象化し、課題の根っこ=本質を抑えていく。それが、私のいう「抽象化された課題対処力」です。これまでのマネジメント経験をもとに、その引き出しについてはそれなりに持っていると思っています。
むしろ他業界出身だからこそ、抽象化もしやすい?
それはあると思います。
ある意味、現場慣れしていないからこそ、課題を客観的にとらえられ、どんな場面においても必ず提供できる価値はあると考えています。
メンバーから吸収し、借りは必ず返すと宣言
その一方で、マネージャーには経営指標から商材まで幅広い知識が求められますよね。
もちろんです。特に「楽楽精算」の機能や使い方、営業現場で飛び交う用語やデータの構造など、私にとっては初めて触れるものばかり。新鮮で好奇心がかき立てられた反面、戸惑いと難しさに日々直面していました。
どのように学び、打開していったのですか?
まずは、上司や同僚とのコミュニケーションを通じて、経営指標・営業目標の構成プロセスと、それぞれにおける組織の役割を、上流から理解していきました。
そのうえで、現場を理解するためメンバーの商談に同席しては、商談後すぐに「さっきのこれ、どういう意味?」と確認し、理解を深めるように努めました。
あらゆる会議にも出席し、その主旨や次回アクションを整理してフィードバックを受けるといった地道なことも日々行っていましたね。
ゼロから学ぶことは、大変でしたか?
想像以上に大変でした(笑)。でも、収穫がとても多かったです。
商品知識を蓄えることを目的としながらも、メンバーの商談に同席してあらためて感じたのは、「楽楽精算」の社会貢献度の高さ。多くの企業が経費精算の効率化にかかわる課題に直面し、「楽楽精算」がその解決の一助になっていることを最前線で実感できました。
それと同時に抱いたのは、メンバーへの尊敬の念です。それぞれが「楽楽精算」や経理業務に関する知見を研ぎ澄まし、お客様の課題解決に尽力している姿に触れ、純粋に「すごい!」と思いました。この思いは今も変わりません。
そのような課題解決を図る機能を開発した企画・開発部門や、導入・運用を支援するカスタマーサクセス(CS)のメンバーに対しても同様で、その対応力や知識量に目を見張ることも多いです。
そんなメンバーたちは、鈴木さんをどう受け入れたのですか?
本当にたくさんのことを教えてくれました。
私は入社当初、メンバー一人ひとりに1on1で伝えました。「SaaS業界での私のキャリアは、ゼロからのスタート。最初の3カ月間は私から質問することばかりだと思うけれど、その借りは必ず返すから、それまでは申し訳ないけど我慢してほしい。」と。
初めから「ゼロなんです」とさらけ出して、知ったかぶりせず学びに徹したことが、振り返ってみると良かったのかもしれません。
鈴木さんの謙虚な姿勢がそうさせているのでしょう。では、メンバーに対してどのように「借り」を返しているのですか?
メンバーそれぞれの課題解決の後ろ盾になり、成長を後押しすること。マネージャーの私の真価は、ここだと思っています。
具体的には、日頃からメンバーの話に誠意をもって耳を傾けています。そして、メンバーからの相談事に対してはもちろん、会話の中で何気なく出てきた課題や悩みに対しても、たとえ小さなことでも聞くだけで終わらせないと約束することで、私なりに借りを返そうとしています。
メンバーそれぞれに数字を追うことは求めますが、その過程で障害になるものがあれば取り除くために動きます。もちろん全てを解決できるわけではないものの、私のこれまでの経験を注ぎ込み、アクションを起こすことをメンバーそれぞれにコミットしています。
トップダウンで指示されず、私から押しつけもしない
組織づくりについては、マネージャーとしてどう取り組んでいますか?
数字に向き合う以前に、大切なのはマインドセットだと考えています。つまり、ラクス全体と自組織・メンバーのベクトルを合わせ、めざす方向を一にするということです。
それはトップダウンによる組織づくりという意味でしょうか?
いいえ、トップダウンとは真逆です。
過去経験した職場の多くはトップダウンの傾向が強く、管理職自らが納得しきれない中でもメンバーに伝えきる、という片道一方通行的なコミュニケーションが常でした。ラクスでは違います。
社員それぞれの考え方や意見、チャレンジを尊重するラクスには、さまざまな価値観を持ち、自発的に行動できるメンバーが集まっています。私の組織も同様です。そうした多様なメンバーと一緒に、ラクス全体や事業部のミッション・ビジョン等と照らし合わせて自分たちのあるべき姿等について議論し、納得したうえで組織のめざす方向を一にしています。
そうすることで、メンバーそれぞれが果たすべき役割を「自分ごと化」でき、組織全体のモチベーションが高まります。めざす方向にブレがなければ、業務の優先順位、組織課題や知見の共有も全体でしやすくなり、それが組織全体の成果につながっていくと考えています。
多様なメンバーの方向を一にするというのは、大変なのでは?
マネージャーとしての新たなチャレンジだととらえています。私はかつて、何とか上位方針を伝えきろうと専念するあまり、メンバーからの意見を聴く余裕がなく、組織のモチベーションを高めることができなかった苦い経験があります。
その経験もあって、ラクスではしつこいくらいにメンバーとディスカッションする場を設け、お互いの考えをすり合わせるようにしています。そして、振り返りと軌道修正を繰り返しています。
タフで難しい役割のように感じます。
だからこそ、マネージャーとしての自身の成長にもつながると考えています。マネジメントについても日々学んでいるところです。
希望制のリーダーシッププリンシプル(行動指針)の実践に向けた研修には基本的にすべて参加しています。研修ではテストケースをもとに理解を深めたり、他部署のマネージャーと議論したりと、毎回貴重な学びと刺激を得ています。また、研修に加えて自ら学習する機会を増やし、マネジメントやリーダーシップに関する書籍を読むことを習慣化しています。
ラクスの営業力を国内トップに高める
では、鈴木さんにとって理想の組織像とは?
メンバー全員がリーダーシップを発揮できる組織です。
「自分自身の会社だと思う」「全体最適視点をもつ」など、メンバーそれぞれがリーダーシッププリンシプルを意識し、それぞれが考え、行動を起こすことができれば、その組織はとても強い。
そうした組織をめざし、メンバーには日頃から「そうなった場合、自分だったらどう対応する?」「XXさんから部署全体に発信してみようか」と、リーダーシップの発揮を促すような働きかけを行っています。
最後に、鈴木さん自身のめざす姿を教えてください。
ラクスの営業部門を統括するリーダーになることです。メンバー全員がリーダーシップを発揮できる組織をつくり、そのトップとして全体を牽引する。そして、ラクスの営業力を国内トップの水準に引き上げ、その結果として日本企業の生産性が向上している、それが理想ですね。
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