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2協業案件のリードに、PdMとしての役割も。経験が複利で増えるカスタマーエンジニアの多面性

プレイドでは、顧客とプロダクトの間をつなぎ、プロダクトの可能性を最大化する「カスタマーエンジニア(以下、CE)」が活躍する場面が広がっています。

BtoB SaaSのプロダクトを提供するプレイドにとってなくてはならない存在になっているCEたち。半年ほど前には、その多様なキャリアを紹介するnoteを掲載しました。

今回は、CEとしての新たな可能性を示した渡辺育海(ikumin)に、直近手掛けたプロジェクトを中心に話してもらいました。

渡辺育海(ikumin)
東京外国語大学を卒業後、2019年に野村総合研究所に新卒で入社。大規模システム開発に従事した後に、株式会社サンブリッジにてSales Cloud・Pardot・Experience Cloudの導入・活用支援、ソリューション提案に従事。2022年1月よりプレイドに参画。Customer Engineerとして、テクニカルサポート・プリセールス・パッケージ開発などに携わる。

顧客とプロダクトの間に立ち、事業全体の成長につなげる

──半年前に行った座談会でもお話を聞かせてもらいました。そこからなにかCEとしての仕事に変化はありましたか?

渡辺:

CEは、お客様とプロダクト開発を担当するエンジニアとの間にギャップが生じている場所に立って翻訳することで、事業全体の生産性やスピードが上がり、フィードバックのループが回るための潤滑油のような役割を担っています。

その役割は以前から変わりませんが、開発組織の体制変更に伴って、CEのチームが「General Customer Engineer」と「Product Customer Engineer」という二つのチームに分かれました。私は「General Customer Engineer」に属しています。

変更の背景には、KARTEのマルチプロダクト化が進んできたことがあります。DatahubやSignals、Messageなど、プロダクトの切り出しが進み、それぞれのドメインに必要な知識が異なっています。

各プロダクトの開発チームからも「専属のCEがいてくれるとありがたい」という話があるものの、CE全員が各プロダクトのドメインの知識をカバーするのは困難でした。そこで網羅的にカバーする「General Customer Engineer」とプロダクトを主にカバーする​「Product Customer Engineer」​に分かれました。

──「General Customer Engineer」ではどのような動きをしているのでしょう?

渡辺:

特定のプロダクトにこだわらず、お客様のニーズに合わせて、必要なソリューションを検討・提案しています。お客様のシステムに対する理解も必要ですし、自社のプロダクトの特性に対する理解も必要です。

先程、すべてのプロダクトに対して知識をカバーするのは困難とはいいましたが、特性について理解することは大切です。例えば、広告に関するプロダクトであるKARTE Signalsについて詳細は把握していなくても、要所は抑えて技術的に活用する案を考えられることは大切です。


渡辺:

これまでも実態としてはそうなっていたのですが、改めて組織としてしっかり整理が行われたイメージです。CEはやることが無限にあり、それがやりがいでもあるのですが、一人ひとりのフォーカスする範囲が明確になりました。

事業価値を高めるためのプロジェクトをイチから主導

──最近リリースされたバニッシュ・スタンダード様との協業による『KARTEでSTAFF STARTライト導入プラン』の開発を手掛けたと聞いています。

渡辺:

はい。バニッシュ・スタンダード様と協業してリリースした「KARTEでSTAFF STARTライト導入プラン」は、STAFF START導入に必要なページ制作に機能を絞ってKARTEを活用いただけるプランです。

これまで、STAFF STARTの導入に必要なサイト改修は、実装まで概ね3ヶ月、数百万円のコストがかかっていたそうです。このプランであれば、最短で2週間・月額3万円〜でサイト改修なしに必要なサイトページ制作を実現し、STAFF STARTの導入が可能になります。


──この取り組みはどのようなきっかけで始まったのでしょうか?

渡辺:

カスタマーデータの活用可能領域をパートナー企業と共に拡大し、企業の事業活動における広い領域で顧客中心の新しい価値創出を促進する取り組みであるPLAID Ecosystemの活動の一環としてスタートしました。

取締役の高柳から「これやってみる?」と声をかけられ、担当することになりました。そのときは、まだスライド3枚分くらいのコンセプトしか固まっていない状態。どんなものをつくるのか、どう開発を進めるのか。ほぼイチからプロジェクトを担うことになりました。

──普段とは少し異なる業務になるかと思いますが、プレッシャーなどありましたか?

渡辺:

これまでのキャリアをSIerで積んできたこともあり、自分で考えてなにかをつくる経験は多くはありませんでしたが、課題を分解して解決するための形に落とし込んでいく経験を重ねてきました。要件を定義して、開発して、実装テストして、という必要なフローは共通しているので、できるだろうと。

ただ、実現しようとしていた機能は、例えるならCMSとしてKARTEを使うようなもの。社内でも技術的には可能ではあるものの、本流の使い方ではなく、検証が進んでいなかった部分でした。

「そもそも、これは実現できるのか?」がスタート地点。KARTEという制約の中でやらないといけない、そしてそれが本当に実現できるのかわからない、というのは不安でしたね。


限られたリソース内でPdMとしてものづくりも担う

──挑戦的なプロジェクトだったと思います。まず何から取り組んだのでしょうか?

渡辺:

まず、「やろうとしていることは、本当にKARTEで実現できるのか」を確認しなければなりません。KARTE全体に詳しい人、KARTEの接客表示に詳しい人など、社内の有識者に話を聞いて回りました。実現可能性について入念に確認し、「これならできそうだ」という合意を得て、2022年9月頃に開発をキックオフ。開発にはエンジニアの方をアサインして進めていきました。

──他のエンジニアの方をアサインしたんですね。自分で開発するという選択肢は?

渡辺:

このプロジェクトだけが自分の仕事ではなかったので、他の仕事も含めてどうリソースを配分するかが重要でした。自分でも開発できたとしても、人にやってもらったほうがいいと判断したんです。

これは今回のケースに限らず、CEの難しいところです。自分が手を動かして開発したほうが早いだろうと思う場面も、しばしばあります。CEとして常に考えるべきなのは、事業の成長に対して最もインパクトのあるリソースの使い方はどれか、ということ。

その点を考慮した際に、開発はエンジニアの方に依頼し、自身は他の活動にもリソースが割ける状態をキープしたまま、開発することになりました。

──なるほど。開発はどのように進めていったのでしょうか?

渡辺:

先方とコミュニケーションしながら仕様や要件をまとめ、その内容をエンジニアの方にテキストベースで依頼を行いました。SlackやBacklogなどのツールでコミュニケーションをして、3ヶ月ほどかけて実装を進めてもらいました。

「これでいけそうだ」と判断できた段階でデザイナーの方にもジョインしてもらい、開発してきた画面をブラッシュアップしてもらいました。最後には、社内のデザインエンジニアを巻き込んで、3人体制で非同期でコミュニケーションしながら進めていきました。

──非同期のコミュニケーション中心だったのはなにか理由が?

渡辺:

本当なら、開発を進めるときはスタンドアップミーティング的な時間を設けて、進捗を管理したほうがいいと思います。ただ、CEは他にも様々な案件を同時に抱えるため、それを実施するだけの時間がありませんでした。その環境において、どう開発を進めるかを考える必要がありました。

非同期で開発を進め、コミュニケーションに齟齬なく、スケジュールにも遅れがでないように、プロダクトをマネジメントする立場として配慮しながら進めていきました。とはいえ、プレイドは社内外共に開発に関わる人が優秀で、コミュニケーションもしやすいので、そこに苦労はなかったですね。

自分の役割は、関わる人がスピーディーにアウトプットが出せるように丁寧に依頼して、期限を設定すること。あとは、開発するモノがお客様にとっての価値につながるようにとりまとめる。そこに集中して取り組みました。その結果、無事にリリースまで進むことができました。

──プロダクト開発の経験はこれまでなかったかと思いますが、なにか学びはありましたか?

渡辺:

実は、CEになる前には、PdMとして仕事をすることも考えていたんです。今回、初めてエンジニアとデザイナーと一緒に開発を経験できたことは楽しかったですね。「こうやってモノができていくんだ」「こうやってデザインとエンジニアリングを組み合わせないといけないんだ」と開発に関して経験できたことも多々あり、プロダクトへの解像度が上がりました。今後も自分で機会をつくって、なにかしらの形で開発には関わりたいですね。


機動力を活かし、素早くプロダクトの価値検証を進める

──お客様にとっての価値となるものを開発する上で苦労はありましたか?

渡辺:

社内で任せてもらえたので、フロントに立つのも自分ですし、プレイドにおける意思決定も基本的に自分が担いました。そのため、自分がオーナーとして間に立って両社の合意をとり、どんどん進めていくことができました。

開発に関しても、CEである自分がPdMの役割を担っているので、両社で考えたことを共有するコミュニケーションコストも低く、開発人数も最小化できたと思います。限られたリソースの中で、開発をリードして進めるのは初めてでしたが、CEの新たな価値を発見できた手応えがありますね。

──顧客とプロダクトの間をつなぎ、プロダクトの可能性を最大化する動きがここでもできたわけですね。

渡辺:

CEから働きかけて、KARTEの新しい価値を引き出そうとする動きはこれまでにもありました。今回のプロジェクトでひとつの型をつくれたと考えています。今後、CEが起点となってKARTEを用いたソリューションをつくろうという動きもやりやすくなると思います。

小回りの効く存在としてCEが価値検証をゴリゴリと進めるのは、事業全体にとって効率が良いはず。CEがオーナーシップを持って動けば、プロダクトの開発を担うエンジニアが稼働せずとも、機能が立ち上がっていく可能性もあります。その先には、CEの動きから新たな事業が立ち上がる可能性すらあるのではないでしょうか。

──今後、CEとして挑戦したいことはありますか?

渡辺:

新しいプロジェクトが動き始めているので、そちらでも事業に貢献したいと思います。CEとして、技術観点からKARTEを活用した新しいマネタイズポイントをつくり、売上に貢献する事例を増やしていきたいですね。そのためには、お客様のシステム環境や他社のプロダクトについても知る必要がありますし、それらを踏まえて自社のプロダクトの活かし方を柔軟に考えていかなければなりません。

お客様の技術課題を自社プロダクトを活用して解決するのはCEのすべての業務に通じることですが、お客様の中にはエンドユーザーとして自分が日常で利用するサービスを提供されている会社もいらっしゃいます。そうすると、CEとしての自分の仕事が間接的に人々の生活体験を良くすることにもつながっているんだな、と実感できる瞬間もあって。それもCEの仕事のやりがいのひとつですね。

KARTEのお客様は多岐に渡るので、いろんな業種の、いろんな課題を解決することになります。それだけ学習が必要になりますが、好奇心が刺激される日々が過ごせているので、今後もCEとして活動しながら、様々な経験を積み、レベルアップしていきたいと思います。

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