「エンジニアにとってSaaS型プロダクトの魅力は何か」をテーマに、プレイドで働く2人のエンジニアがSaaSについて語った対談企画。後編となる本稿では引き続きSaaSの特徴を語りつつ、SaaSに携わるエンジニアに求められる考え方やスキルについても話してみました(前編はコチラ)。
プレイド固有のものも含まれてはいますが、何となくでもSaaSに興味があるというエンジニアの方は、ぜひ参考にしてみてください。
【柴山 直樹】プレイド CTO(写真左)
東京大学工学部にて神経科学、チューリッヒ工科大学にてロボティクス、東大大学院にて分散環境における機械学習の研究に従事。2009年未踏本体採択。2013年同大学院博士をドロップアウトし、同社CTOとして参画。
【池上 純平】プレイド エンジニア(写真右)
東京大学経済学部金融学科卒業。2015年、富士通株式会社にSEとして新卒入社し、自治体向けシステム開発に携わる。2016年11月より株式会社プレイドに参画。
SaaSのエンジニアには「視野の広さ」と「折れない心」が必要
ーー 前回の話を踏まえると、エンジニアに求められるスキルや活躍の幅もSaaSならではの部分がありそうですね
池上 : そうだと思います。受託開発のようにクライアントの要望に沿って開発するような場合の方が、技術に対してひたすら向き合いたい人には向いているかもしれません。SaaSの場合はどちらかというと技術だけを追求するのではなく、そもそも何をどのように作っていくのかという設計や、プロダクトのコンセプトを守りながら開発するという部分もエンジニアに求められる気がします。
特にうちの場合は何を作るのか、何を作らないのかを考えていく所からエンジニアが主体的に関わっていく文化があるので、よりその要素は強いのかもしれません。
柴山 : SaaSの場合は「視野の広さ」みたいなものが必要ですよね。あとはやっぱり何が正解かはわからないので、「壊されても折れない心」(笑)。他の人にこれダメでしょと壊されても、基本的には笑って許容できる心が大切です。
池上 : 確かにそれはありますね。基本的に壊す前提だから、あとで全く別のものに作り変えるというのは日常茶飯事ですし。
前提としてSaaSで安定した収益基盤を築けるからこそやりやすい部分はあるかもしれません。この環境で開発できるので、本質的な機能の改修や改善に集中できる。これはエンジニアにとっても良いことだと思うんですよ。日銭を稼ぐというか、短期で儲けるような開発ではなくて。ある程度長期で考えてみたり、ダメかもしれないけど作ってみたりといったことができる。明日売り上げがゼロになるということは基本的にないわけで、そういう面での安心感はSaaS全般にあると思います。
柴山 : だからこそコンセプトとかビジョンを大きく持ちやすいということも言えるかも。現在地からとてつもなく遠いところに、いきなり目標地点をポーンと設定できるのは、意外とSaaSならではなのかもしれないですね。
ーー 池上さんは前職(SIer)からガラッと環境が変わったと思います。特に大きな違いを感じる部分はどの辺りですか?
池上 : SaaSの場合、カスタマイズがないことがエンジニアにとっては幸せな部分かなと思います。カスタマイズを安易にどんどんしていくと、管理するべき対象が増えてシステム全体の複雑性が一気に増すんですよ。バージョン管理の負荷も大きくなります。
一方でKARTEも含めてSaaSは基本的にバージョンが一つしかないので、その一つのバージョンをどう作りこんでいくかを考えていけばいい。本質的なところだけに集中して取り組めるのは良いところです。
柴山 : そこはめちゃくちゃ大きいと思います。逆にクライアントの要望をそのまま叶えるという意味だと、カスタマイズした方が良いしオンプレの方が適しているかもしれません。SaaSの場合はある種「うちのサービスの方針では、それはできません」と断るシーンもよくありますから。
クライアントを近くに感じながら、同じ目線で開発
ーー そうなるとクライアントとの関係性も重要になりますよね。その辺りの距離感はどのような感じなのでしょう?
池上 : 以前BtoCのプロダクトに携わっていた社内のエンジニアが「実はBtoCよりもBtoBの方がユーザーを近くに感じられるのではないか」と話していました。確かにtoCの場合、SNSなどでユーザーの反応を見ることはできるけど、直接会って話を聞いたりできる人数は限られますよね。
BtoBの場合は普通にクライアントに会いに行けるし、何より一番大きいのは同じ目線をもてること。クライアントのビジネスを我々がサポートしていくという意味で、同じゴールに向かって「じゃあどんなプロダクトを作っていこう」と日々考えていきます。
柴山 : プロダクトによるかもしれないけれど、うちの場合は、クライアントがKARTEのスタンスに共感してくれている部分がとても多いんです。なのでベータ版でどんどんサービスを出していくことが会社として選択できるし、開発者としてもクライアントをテストユーザーかのようにどんどんプロダクトを作って当てられるのは本当にありがたい。toCだと使ってみてちょっと完成度が足りない場合、ユーザーが離れるスピードも早かったりしますしね。
もちろんBtoCとBtoBそれぞれに面白い部分があると思うんですけど、開発の感覚がすごく違うなというのは他のメンバーに聞いていても感じますね。特にSaaSはお金を払って使ってもらっているからこそ厳しい面もありつつ、同じ方向を向いて期待してもらえる部分もあって。
池上 : KARTEの将来性に期待してくれてるような節は感じますよね。ベータ版で改善の余地があった場合にも、そこに対して丁寧にフィードバックをくれて一緒にプロダクトを良くしていこうとしてくれる。そういう関係性が築けると、プロダクトの開発もかなりやりやすくなってきます。
柴山 : その一方で、KARTEの場合は少しtoCに近い部分もあるのが特徴かもしれません。要は僕たち自身がクライアントのサポートをする過程で日々KARTEを使っているんです。
カスタマーサクセスの文脈で、自分たちもクライアントと同じ目線でKARTEを使うため「一番最初のユーザーが社内にいる」というのが構造的に面白いところでして。ビジネスとデベロッパーが離れないという意味でも良い効果があると思っています。
池上 : 社内で使っているといろいろな角度から要望が出てきて、それに対応した結果クライアントからも喜ばれるということは実際にありますよね。「大規模に社内システムを作っている」というような構造に近いかもしれません。
柴山 : その表現は良いですね。確かに社内システムを外に出して、一緒に使っているような感覚に近いのかな。
SaaSに関心のあるエンジニアの方へ
ーー ありがとうございます!最後にSaaSに興味のあるエンジニアの方に向けて一言ずつお願いできますか?
柴山 : 腰を据えて、スケーラビリティのある基盤をじっくりと開発したい人には凄くハマりやすいと思います。(BtoBのSaaSは)いろいろな業界のクライアントを後ろから下支えする仕組みを作れる面白さもあるので、興味のあるエンジニアの方には是非とも飛び込んできて欲しいですね。
池上 : 個別のクライアントに最適化するというアプローチではなく、もっと大きな視点で問題を解いていくために、1番適した解決方法をひたすら考えていくことができます。「真理を追求すること」が好きな人には良い環境だと思いますね。
いかがでしたでしょうか? 今回は2回にわたり、エンジニアの視点からBtoB SaaSの魅力について対談形式で紹介してきました。SaaSに関心のある方にとって少しでも参考になる内容になって入れば嬉しいです。
また、現在プレイドでは一緒にこれからのKARTEを作っていく同志を募集しています。柴山や池上たちと共に新たなチャレンジをしたいというエンジニアの方がいれば、ぜひエントリーしてみてください。お待ちしています!
プレイドは、共に働く仲間を探しています!