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2021年に新卒入社した吉野幸長はこの8月にシニアヒューマンキャピタリストに昇格した。特徴はよく質問すること。自分の抱えている課題に対して知見を持っていそうな周囲の人に、臆することなく聞きに行く。入社後、2週間で自分の無力を思い知り、以後、意識して「聞く」を徹底するようになった。その真っ直ぐな意欲に、みんなが力を貸す。こうして受けたたくさんの恩は、後輩たちに返すつもりだ。「恩送り」と吉野は言う。そんな新卒一期生の歩みを紹介する。
2度目の就職活動で出会ったフォースタ。日本の再成長を本気で目指す姿勢に共感
吉野は、フォースタートアップス(以下フォースタ)の新卒1期生だ。偶然が重なって、フォースタにたどりついた。それは、大学の授業でベンチャーキャピタリストがゲストにやってきたこと。はじめて、ベンチャーキャピタルという言葉を聞いて興味を持つ。実はこのとき、吉野は2度目の就職活動を控えていた。
1度目の就職活動では、ある有名ベンチャーの若き執行役員の話を聞く機会に恵まれた。「講演を聞いて、ベンチャーっておもしろそうと思い、就職活動ではベンチャーしか見ないと決めました。魅力に思ったのは部活感。目標に対してチームが一丸となって向かう雰囲気が、自分に合いそうだと思いました」。しかし、就職活動の結果には納得できず、再チャレンジをした形だ。おかげでベンチャーキャピタル、スタートアップという世界に目が向いた。その流れで知ったのがフォースタだった。代表、志水雄一郎の話に心を惹かれた。
「もともとHRには興味があり、大学の研究もキャリア、モチベーション、組織などに関わるものでした。ただ、よくある人材サービスにはあまり興味がありませんでした。でもフォースタは、日本の再成長のためにHRという観点から企業を支援するのだと。それが新鮮で、そしてそれを本気でやろうとしている50歳の社長がカッコイイと思いました。日本を代表するスタートアップに対して、ヒューマンキャピタルで支援するというのが、誠意あるビジネスだとも思いました」。
加えて吉野の心をとらえたのは、フォースタが掲げる3つのバリューの1つ、「The Team」だ。吉野の原体験にフィットした。吉野は言う。「僕は、中学から20歳までサッカーをやっていたので、チームへの特別な思いがありました。サッカーは、自分1人では何もできないし、もし自分が11人いたとしても、勝てないと思います。11人の個が集まるからこそ、チームでやる意味がある。それを全面で押し出すバリューだったので、とても共感できました」。こうして2021年4月、吉野は、やや肩の力が入った状態で入社した。
何もできない自分を自覚。社内の英知を頼り、取り込んで日々改善。次第に自信がつく
▲新卒第1期生の仲間たちとの集合写真(上段、左から2番目が吉野)。
「入社当初は、何か爪痕を残そうという気持ちがすごくありました。でも、2週間で自分は想像以上に何もできないと気づきました」と、吉野は振り返る。8人の同期と比較し、無駄に焦りもした。だが、8人が違ってこそ「The Team」。それから自然体になった。
「『HRという観点から日本の再成長を目指す』に立ち返り、そのために自分のやるべきことをやろうと思いました」。そう考えた吉野は、さまざまな知識や情報のインプット、日々の行動改善に加え、社内中を見渡して、自分の課題に対して適切に解決できそうな人に聞きに行くことを徹底した。そんな地道な行動で、徐々に「気負い」とは異なる「自信」をつけていった。
ヒューマンキャピタリストとしては、それこそ最初はカウンセリングも満足にできなかったが、候補者の方と話をするたびに改善ポイントを見つけ、一つひとつクリアした。難しい支援も実現した。30代後半の、役員経験のあるハイレイヤーの方の支援。当初なら気後れしていた人材だが、そのときはもう自信を得ていた。
「初対面で『若いですね』と言われて、『1年目です』と堂々と答えました。『年次は正直、関係ないです。プロフェッショナルとして接しています』と言って、実際、最後まで信用してもらえました」。最初の頃は、聞かれると「若手」「3年以内」など微妙にぼかしたこともあった。だが、このときには堂々と言えるほど自信がついていた。そして、吉野が勝たせたいと願い、候補者の方のキャリアにも間違いなく活きると確信していた企業と引き合わせ、先方企業とも連携し、新規事業立ち上げの責任者として入社に至った。大きな手応えを得た事例だ。
企業担当をもった影響も大きかった。フォースタのスタンスは、最優先は、日本の再成長のために、勝つべき企業へ適した人材を支援すること。結果的に、候補者の方ももっともキャリアを活かせる会社に行き、三方よしとなる。だが、最初はつい目の前の候補者に気持ちが振れてしまう。担当をもち、起業家と深い話をすることで、吉野はマインドセットができた。
1歳上の若手起業家が国家レベルの課題に挑む姿に心酔。応戦すると決意して行動
▲右から3番目が吉野
その企業は、立ち上がって間もないアーリーフェーズにあるが、実は国を挙げて取り組むような大きな課題を扱い、未知数ながら可能性の大きな企業だ。しかも、その課題に立ち向かうのは26歳の若き社長。吉野の1歳上だ。知れば知るほど、応援したい気持ちが高まった。
とはいえアーリーゆえ、社内的には認知が取れていない。自分の努力で協力者を増やすしかない。吉野は考えた。「その会社の魅力、可能性を、社内で興味を持ってくれそうな人を何人かつかまえて話しました。100人をファンにするのではなく、5人のコアなファンをつくる動きをしたのです」。魅力を伝えるために、猛烈に勉強した。これがうまくいった。結果、まだ正社員がいなかったその会社に3人の支援ができた。成果を出し、起業家からの信頼も得て、今では頻繁に採用や組織について話し合う間柄になった。二人三脚は始まったばかり。企業の成長と自分の成長が重なる、そんな嬉しい体験を、今まさに吉野はしているところだ。
ヒューマンキャピタリストの活動に加え、もう1つ注力しているのが、チューターの活動だ。吉野は、志願して2022年新人のチューターになった。理由は「恩送りをしたいから」。カウンセリングの仕方から社会人としての基本的な立ち居振る舞いまで、愛ある指導をしてくれた先輩たち。わからないことがあれば聞きに行き、快く答えてくれた社内のたくさんの人たち。その恩を次の世代に返すために、チューターに立候補した。
チューターのミッションは、新人を12月までにヒューマンキャピタリストとして一人立ちさせること。そのためのロープレ、日々の業務のPDCAの補助などに加えて、吉野が重視しているのは「心を育むこと」だ。吉野は言う。「想いがあれば、やり方は自分で見つけられます。課題があれば解決方法を探り、興味のある領域や支援したい企業があれば、自分でいろいろ調べる。人はそう動くものだから、自身の想いと、僕らが組織としてやっていることがちゃんとつながるように、その梯子をかけることを意識しています」。
意識し、心がけるも実践は難しい。改めて自分自身を振り返り、反省することばかり。迷いながらのチューターだが、新人の伸びしろは大きく、随所で心の成長を見せてくれる。それがまた吉野の喜びになっている。
ヒューマンキャピタリストとして高みへ。長期的には人の生き方そのものを変えたい
吉野の目標は、起業家、投資家、候補者にバランスよく伴走できるヒューマンキャピタリストになること。自信がついたといっても経験はまだ1年強。見えていないことも多い。企業担当としては、より大きな成果を出すために、さらなる巻き込み力も必要だ。この1年余りで担当企業も増えた。それぞれの会社を資するためには、社内の応援団をもっと増やさなくてはいけない。
そして、もう少し大きな視点でみると、フォースタの組織に対しても思うところがある。「フォースタとしていろいろなスタートアップを支援したい。そのためには今より人を増やし、入社した人がしっかりとワークする組織をつくって、支援体制を整えないといけません。それは自分のテーマでもあります」。そう思うのは、スタートアップが盛り上がり、若者がスタートアップへの就職や転職を選択することがより当たり前になれば、きっと世の中が変わると信じているからだ。
「非常に長期的な目標としては、人の生き方そのものを変えたいです」と吉野は言う。卒業が1年遅れたため、仲間たちは一足先に社会人になった。入社前から、必ずしも楽しそうではない彼らの姿を目にしていた。
「仕事がおもしろくないという人が多かったんです。一緒に部活をやっていた頃は、あんなに打ち込んでいたのにと、悲しく思いました。それはキャリア選択の問題なのかなとも。新卒の就職活動では、21年間、自分自身について考えることなどなかったのに、突然自分を見つめ、合う会社を探さないといけません。となると、自然と目に触れ、志望するようになるのは、採用プロモーションがうまく、お金を持っている大企業。この構造が変わってほしい。スタートアップから日本を代表する企業が生まれ、チャレンジする人にフォーカスがあたることで、大企業に限らず、自分のやりたいことを実現するキャリアを選ぶ人が増えれば、この閉塞的な状況が変わるのではと思っています」。
そのような社会創りを目指せるのが、まさにフォースタだ。自分自身が頑張るとともに、周りを巻き込み、素晴らしいパフォーマンスを発揮するチームをつくりたい。そのために積極的にボールを拾い、やれることをやる。シニアヒューマンキャピタリストとなった、吉野の決意だ。