「家づくり」に例えてITインフラエンジニアの仕事を紹介するシリーズ、今回は3回目です。
1.ユーザーの要望をヒアリングし、提案する
2.要望に沿って設計する
3.設計書通りにITインフラをつくる<今回>
4.ユーザーが快適に使い続けられるよう見守る
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3.設計書通りにITインフラをつくる
前回の「2.要望に沿って設計する」では、お客様が要望するものを、具体的にどうやって作るのかを明確にするのが「設計」、というお話をしました。
設計が完了して、ようやく作り始めることができます。
家づくりでいえば、大工さんの出番です。
施工図や設計図をもとに、必要となる資材を集め家を建てていきます。
私たちの業界では、ITインフラを作ることを「構築」と呼びます。
構築する対象は「物理」と「論理」の2つがあります。
「物理」は機器やケーブルなど物理的に触れるもの、「論理」は機器に入力する設定のことを指します。
前回ご紹介した1つ前の工程である「設計」では、それぞれ「物理設計」「論理設計」として実施されます。
ITインフラはたくさんの機器で構成されていて、それぞれが色々な種類のケーブルで繋がれています。
この写真のように、機器はラックと呼ばれる棚に設置されることが多いのですが、「この機器はどの棚の何段目に置いて、この機器のこのポート(ケーブルの差込口)は、あの機器のあのポートと●●ケーブルでつなぐ」ということを物理設計で決めます。
また、「こういうことをするために、この機器のこの機能を使ってこういう設定を入力しよう」ということを論理設計で決めます。ポート(ケーブルの差込口)一つから、どんな動きをさせるのか設定を決めていきます。
こういった設計内容が事細かに記載された設計書・手順書・構成図などの資料を見て、ITインフラを構築をしていくのです。
一度に何十台もの機器と何百本ものケーブルを使うITインフラもあります。そのうちのケーブル1本でもつなげるところを間違ってしまえば、そのITシステムは正常に動きませんし、設定が1か所でも間違っていても正常に動きません。
ですので、構築では正確に仕事をすることが求められます。
また、思わぬトラブルが多いのもこの工程です。
「Aケーブルが必要なのにBケーブルしかない!」「届いた機器の電源が日本の規格にあってない!」「設計書に書いてある設定が入力できない!」「想定通りに機器が動かない!」……
こういった予期せぬトラブルが起きても、技術的なトラブルシューティングや関係者との調整など、動じずに対応できる能力も構築では必要となります。
次回はITインフラエンジニアの仕事4「ユーザーが快適に使い続けられるよう見守る」です。