アソビューは2021年12月24日、累計55億円となる資金調達を完了。さらなるプロダクト開発やインフラ整備に伴い、事業や組織の拡大を見据えています。その中で、これからアソビューの開発組織や、エンジニアが働く環境はどうなっていくのでしょうか。VPoE兼テックリード・兼平大資の視点から語ります。
悩んだ若手時代。20代後半からエンジニアにキャリアチェンジ
「組織やサービス規模が大きくなったとしても、個人やチームの裁量が大きい状態にしたい。今後は働く1人ひとりが自分の力を生かせる環境づくりを強化していきます」
テックリード/VPoEとしてエンジニア組織を率いる兼平大資は、こう力強く言い切ります。組織のあり方を重視するのは、事業やサービスへの想いと兼平自身のキャリアに紐づく想いがあるからです。
兼平が本格的にエンジニアを志したのは、20代後半。新卒から数年の社会人生活でキャリアについて考え続けた結果、たどり着いたのがエンジニアだったのです。
「新卒では、カーナビの開発会社に出向して、3年ほどプロジェクトマネジメントの補佐をやっていました。そこからキャリアについて悩んで、興味があったインテリア関連の仕事をしながら、ぶらぶらしていました。インテリアが好きだったので、インテリアコーディネーターの道を進むのもいいかなと思っていたのですが、前の会社でプロジェクトマネジメントする中で見ていたエンジニアの方が面白いのではないかと思ったんです。
もともと大学も情報系の学部だったので、エンジニアリングに興味はありました。でもプログラミングスキルがあったわけではなく、職業訓練校に行って半年ほど勉強してからエンジニアの仕事を始めました」
一度キャリアのリセットをし、エンジニアリングを突き詰めようと本腰を入れた兼平。その後大手旅行会社で、ホテル予約システムの開発に従事します。大企業での仕事を通して経験とスキルを積んでいく中で、新たな欲求が生まれてきていました。
「僕自身、旅行が好きですし、分野として旅行関連事業に今後も貢献していきたいと思っていました。その中で、大企業の一部分の業務を担うという立場から、もう少し小規模でスピーディーな動きができる環境に身を置きたいと思うようになった。それがアソビューに入ったきっかけです」
アソビューに入って「サービスを良くしたい」という気持ちが圧倒的に強くなった
▲「プロダクトの成長」を目的に足りない役割を補っていくという兼平(写真右)
2017年4月に入社した兼平は、一エンジニアからスタートし、バックエンド・フロントエンド・インフラと領域を限定せずに携わってきました。かかわってきた業務としては、アソビュー.comのメディア立ち上げプロジェクト、ギフト事業(アソビュー!ギフト)の開発、インフラ整備、ポイント機能の立ち上げ、パートナー向けCMSの立ち上げなど多種多様。
役職としてもPM、テックリード、EM(エンジニアリングマネージャー)、VPoEと、事業や組織の変化に合わせて移り変わっています。担当領域や役割を限定しない姿勢は、兼平のエンジニアとしてのポリシーです。
「自分はどこが得意でどこを伸ばしたいかということよりも、目的がちょっと先にあるんですよね。つまり、サービスやプロダクトを成長させていくことです。
そのためには、自分の領域を特定しない方がいいかなと思って、フロントエンドもバックエンドもインフラも含めて全部できるようになっておき、その時足りてないところを埋めていくように仕事をしてきました。社内に、どの領域に強いメンバーがどれだけいるかに合わせて自分の役割を決めている感じです」
あくまでも目的は「サービスやプロダクトの成長」。何よりもまずサービスを良くしたい、事業を成長させたいという強い思いを持つ背景には、やはり事業内容やミッションへの共感があります。
「旅行やレジャーに関する事業を推進したいと思って入社しましたし、会社のミッションも好きなので、その気持ちに引っ張られて行動してきた結果が今の仕事の姿勢をつくっています。
でも、この会社に入ってからの方が、圧倒的に気持ちは強くなっている気がします。やっぱりこのくらいの規模だと、『自分たちの力で自分たちのサービスを変えていっている』という実感が湧きやすいんだと思います」
兼平が大手からアソビューに移って感じたことは、この裁量権の大きさと動きの早さ、そして主体性が求められることです。
「大手だとある程度やることが決まっていたり、やり方にルールがあったりしますが、アソビューでは自分で考えて、自分で動きを決めることが求められるようになりました。そこが一番大きなポイントだったと思います。周りにもそれができるメンバーが多いので、自分も自然とそうなっていかざるを得ない環境でした」
アソビューにあるこれらの環境が、兼平の帰属意識や事業成長への想いをより強くさせてきたのです。
事業成長には、組織と技術はセット。テックリードのやりがいとは
テックリードとして、マネジメント業務もこなす兼平は、そのやりがいを「技術面での今後のビジョンを描けるところ」「メンバー1人ひとりの能力を把握したうえで自分の知識や経験をフル活用してカスタマイズしていくところ」だと語ります。
「今は、サービス全体のスケーラビリティを上げるプロジェクトの基本戦略を担ったり、新規サービス開発の技術戦略の立案・実行の指揮を執っています。このときたとえば、先人を切って導入してきた技術が、メンバーそれぞのの能力とうまくハマって基盤となり、組織、そして事業の成果につながるとやりがいを感じますね。」
また、「サービスやプロダクトの成長」を前提に考え、一エンジニアとしての領域を限定しないだけでなく、プレイヤー/マネージャーという役割についても柔軟に変えていけるのが兼平の強みです。
「事業を成長させていくためには組織と技術はセット。両方とも重要なので、それを実現するための方法として最善の配置であればいいと思っています。特に、事業が大きくなっていくと技術だけで解決できない問題は必ず出てきます。
よくあるのは組織的な問題です。開発にあたって部門をまたぐことでハレーションが起きたり、個々人の考え方の違いでぶつかり合って進みが遅くなる。これを解決するためには一定のマネジメントは必要です」
兼平はマネジメント業務を行う一方で、技術を突き詰めたい気持ちも失ったわけではありません。「両方やればいい」というマインドで、その都度必要なロールをこなしているのです。
「とはいえ、プレイングマネージャーなのでやることが多い問題には常に突き当たりますし、どれを優先するかはいつも悩んでいるポイントです。優先順位を決めるときには、『その先にある目的は何か?』を常に問うことにしています。
その上でクリティカルパスがどこにあるかを考え、組織課題を先に解決すべきだったら組織を優先しますし、技術が先に問題になる場合は、まず技術に手を打ちます。これを自分1人のリソースだけではなく、組織的に考えてコミュニケーションを取りながら進めていくことが重要です」
よりよいプロダクトのために、あえて正攻法を採らない
▲大型犬とマイクロブタを飼うのが夢
資金調達を終えてさらなる事業拡大を見据えるアソビューは、もちろん積極的な採用や組織の拡大も目指しています。会社が大きくなっていくと、組織内の枠組みやルールが増え、1人当たりの裁量権が小さくなるのではないかと考える方も多いことでしょう。ただ、兼平が目指しているのは、必ずしも正攻法の組織拡大ではありません。
「個人的には、サービスが大きくなっても開発チームや開発メンバーが大きな裁量を持って、サービスを改善していける状態を組織としてつくっていきたいと思っています。これは僕にとってとても大きなテーマです。
働く側からすれば、『自分の力を本当に生かせるのか?』ということはかなり考えるはずです。だから僕は事業規模が大きくなっていっても、裁量を持てる環境をつくることにコミットしようと思っています。それは僕自身、裁量の大きい環境だったからこそ、やりがいを感じながら仕事してこられましたし、評価もしてもらえたと思っているからです」
もちろん、短期的に考えると機能ごとの分業制にしたほうが作業効率は高くなるかもしれません。一方で、「プロダクトの価値」という観点で長期的に見ると、効率性の見え方が変わります。
「僕らがつくっているのはプロダクトで、そこに正解というものはありません。プロダクト開発のためには、主体的に仮説検証を繰り返していろいろな実験をしていく必要がある。機能別で分かれている組織だと、この仮説検証サイクルが回しづらくなるので、結果的に効率が悪くなるのではないでしょうか。
このように最終的な目的を『よりよいプロダクト』に置くと、分業しない方がむしろ効率的になる。そう考えて、自分たちで意思決定し、検討から改善まで行うことでサービスを作り変えられるようなクロスファンクショナルなチームを増やしていきたいと思っています。」
「個人やチームがイノベーションを起こせる環境をつくる」と宣言した兼平。そのためにクロスファンクショナルチームを編成し、自律自走できる組織を構築していこうとしています。どのような規模であれ、裁量の大きさを担保した組織にする。アソビューはこの新たなチャレンジを通して、組織としての成長の階段を登っていきます。