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【IT業界地図?】WebとかSIとか自社開発とかSESとか、言ってることわけわかんねえんだよ!

猫で釣るスタイル・・・。


本件の元ネタはこちらです。フィードのネタ、あざます。

https://twitter.com/Amybunnycarry/status/1106218203183611905


さて。

元ツイの要望を要約しますと、
【ちゃんと学習してから自社開発行けとか、いいからとっとと経験しろとか、みんな言う事バラバラすぎね? 自分で考えようにも、まず整理されたなんかがほしいんだけど。】ってことかと思います。
なので、これからIT業界に来る人、一発目しくじって次しくじれない人、くらいの若手の層向けに作ろうかと思います。

しかしだな・・・。

規模が膨大。

このフィードはいったいどのくらいの長さになるのか・・・。
また、さすがに私もこの広大な広さの業界を把握しきってはおりません。随時修正して行く方針でおりますので、有識者の方々はひとつ、暖かいマサカリをお願いしたく。

また、【例外は多数発生する】認識でひとつ。全ての例外を想定すると、絶対に終わらない。


1.いろんな会社を業界ごとに整理してみよう。

乱暴に言うと発注者と受注者の関係に過ぎない、派遣とか請負とかそういう契約の話は一旦置く。
一旦、大きなくくりごとに、登場する会社を分類してみましょう。

〇エンタープライズ系

言葉の定義が既に難しい。SI業界、業務系、その他、大企業のサービスやEC。BtoBtoCやBtoBtoBなども含む。【エンドが法人】くらいのくくりが良さそう。なので、エンタープライズ系としておく。

※SIer(システムインテグレータ)
何者かによりExcel職人のイメージが付与されつつある業態。プライマリー(一次請)メインの会社と、セカンダリー(二次請け)メインの会社に分類できる。(※元請とか一次請とかの言葉がわかり辛いので、ここではプライムとセカンダリーの呼称に統一する。)なお、明確な区分けはない。

・プライムSI
大規模なシステム開発案件を受注、納品まで持っていく能力がある。よくゼネコンとか呼ばれる。
サブシステム単位でセカンダリSIに発注、マネージするのが彼らの仕事。プログラム単位の知識よりは、システム単位の知識が強い。プログラム書けないイメージがあるが、実際は部署とかによる。
一般的には上位層のマネジメント能力は、強い。

・セカンダリSI(大手ソフトハウス)
会社によって質の差がかなりある印象。サブシステム単位のシステム開発を行う。その際に、ソフトウェア単位で外部に発注したり、外部のチームにプロジェクト参加してもらったり。案件規模によっては、プライムも取る。メーカー系SIとかは子会社も多い。必然、このポジションになる。

・ソフトハウス
ソフトウェア単位での納品を行う会社。請負なら自社開発。常駐ならば準委任契約が一般的。
セカンダリとの大きな差は企業規模や資本力。なので、案件規模が小さければ、プライムも取る。
このなかの種類がもう、いろいろと・・・。


※よくあるやつ。下記から拝借。(Paiza開発日誌)

https://paiza.hatenablog.com/entry/2016/03/10/%E7%B5%8C%E7%94%A3%E7%9C%81%E3%81%AE%E8%A6%8B%E8%A7%A3%E3%81%AF%E5%8F%97%E8%A8%97%E4%B8%8B%E8%AB%8B%E3%81%91%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%82%92%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%81%AB

上記のほか、エンドユーザーのシステム子会社が分離独立したタイプもある。この場合、この会社がプライムのSIerとして振舞うことになり、その下に本来のプライムSIが入る。さらにメーカー系SIなどは子会社をセカンダリーとして噛ませるケースも多い。さらにコンサルファームが関わったりすると・・・。

大手メーカーの子会社で4次請け。孫会社で5次請け。 と言う事になったりする。一概に『商流が何次か』で会社の格を判断しようとすると、判断を誤るケースが出てくる。


〇Web・モバイル、コンテンツ製作 業界

こちらは、【広告業界の商流】ぽい。大きく言うとこちらも法人から発注されたエンタープライズの枠に入ってくるのだが、大手の広告代理店をトップに、やはり階層構造を作っている。(そもそも、当の広告業界・印刷業界あたりが階層構造)

・広告代理店
広告を出したい会社と、広告をしてくれる企業とを仲介する会社のこと。テレビのCM枠や新聞・雑誌の広告枠を企業に売るという仕事の他に、広告制作の企画や指示なども行っています。
そして、そんななかのひとつが【Webコンテンツ・モバイルコンテンツ】になります。
日本の場合、広告代理店と言ったら・・・?

・Webマーケティング会社
SEO対策、リスティング、アフィリエイト、などの広告を売りにしている会社です。
正直、あまり絡んでいないので、内情や業界内のポジションはわからない・・・。

・各コンテンツ制作会社
Webやモバイルのコンテンツの企画や制作を行う会社です。
デザイン・マークアップ・バックエンド開発・モバイルアプリ開発。ほかには3DコンテンツにVRコンテンツなども含む感じですかね・・・。一社で兼ね備える事は難しく、デザインはデザインの会社に、バックはバックの会社に、モバイルはモバイルの会社に、と、再発注されていきます。(なので、自社の守備範囲外のことも【できます】って言う。まさに広告・印刷業界の文化)

SIの業界と似ているかもしれませんが、良くも悪くもけっこう雑で、スピード感が要求される業態になります。しかし、基本的には自社内の作業になります。一件ごとの案件規模が小さいので、複数件に同時に関わることなどがあります。なので、どこかに常駐している場合ではないのです。
また、契約形態も請負契約を要求される率が高いです。



〇ハードウェア業界

組込みとか回路の世界。製品を作って、工場で量産化して、流通させて、ようやく販売となる。そのため、すこし業界内の地図は違うものになる。

・メーカー
多くは、大手メーカーの製品。企画し、機能によっては外部発注する事もある。が、派遣契約が多い。
ほか、日本には中小のメーカーと言うものも多く、そういったところからの仕事もあるにはある。

・ファブレスメーカー
生産能力を持たず、設計能力を売りにするメーカー。量産の際はそれができる工場に発注すればよい。
ここも、開発関連の発注元となりうる。

・ソフトハウス
組込みやハードの専門人材を多く抱えた会社も結構ある。受託や派遣がメインかと思われ。(受託の場合は、まず開発環境や評価資材をそろえるのにかなり金がかかってしまう。また、製品のコアな部分を外部で開発するのは危険と言う事もあり、契約形態は派遣が多そう。仕方ない。)

・派遣会社
もともとIT系の派遣会社は上記のメーカーをメインの取引先としており、組込み・回路設計・メカトロニクスの分野の人材を派遣していた。今では各業界に守備範囲を広げているが、わかりにくくなるので、一旦。ここ。


〇ソフトウェアベンダー(パッケージベンダー)

ソフトウェア製品や、パッケージを作って売ることで収益を上げる形態の会社です。売り先は商品によって様々。さらに現在は、クラウド経由でサービスを提供する会社も増えています。多くはやはり法人向けであるため、SIerに販売代理店として商品を担いでもらう事も多いですし、アトラシアンの様にSIerを初めとしたシステム開発を行っている会社そのものをターゲットにするもの、Freeeのようにフリーランスや零細企業をターゲットにしたものもあります。

〇自社サービス・ソーシャルゲーム運営

IT業界扱いされることが多いですが、本来の区分けとしては【事業会社】です。ソフトウェア等の納品によって利益を得る構造ではなく、サービスを提供した結果得られる利益でメシを食うことになります。
ソーシャルゲームの運営会社も、近い構造です。

自社で技術者を雇用して開発する方法のほか、上記のSIerやソフトハウスに発注して作ってもらう方法も取る為、会社によって所属技術者の担当作業は様々なものとなります。少なくともWebマーケティングや運用・障害対応の機能は、自社で持っていることがほとんどではないかと思われます。




2.SES系って、なによ?


システム・エンジニアリング・サービスらしいです。 【常駐で技術的支援をすること・その業態】といったん考えましょう。言葉の意味が広すぎる為、今日では下記の様に、相反するニュアンスも含んでしまうようになっています。曖昧すぎる為、個人的には利用を避けてほしい言葉です。

.人材を準委任契約で又貸ししまくる業態。またはその会社。
.請負専門会社以外のすべてのソフトハウス(場合によってはセカンダリーSIも含む)

B.常駐作業すべて(準委任契約・派遣契約・一括請負契約すべてを含む。)
.準委任契約(のみ)

C.システムエンジニアが常駐作業する。
.常駐作業をする。(非IT職種も含む)

はい。グチャグチャです。

SESを非難する人と、SESを擁護する人では、おそらく『SESの定義が違います。』なので、SESと言う主語のまま理解しようとしても無駄です。

シロウトが『SES』と言う言葉を理解するのは不可能です。混乱するだけなので、コレの理解はいったん捨て、別のもっと範囲を絞った表現を使いましょう。


・SES(派遣常駐・常駐請負・準委任常駐)が関与する範囲。

1で説明したいくつかの業界、その上流から下流まですべてがその範囲となります。

・派遣契約
多重派遣は違法行為である為、かならず派遣先の所属扱いとなります。しかし、派遣先のチームがさらに常駐作業をしているケースがけっこうな率であります。下記の常駐請負先に入るケース。セカンダリーSIの社員として、プライムの案件に入ったりと言うケースが発生することもあります。派遣先の上位会社より指揮命令を受けてしまうと、偽装請負・多重派遣で満貫確定するので、気を付けましょう。

・常駐請負
金融系などセキュリティ面での縛りがキツいケースでは、持ち帰ると手続きが煩雑で逆に大変だったり、そもそも開発不能だったりする為、常駐作業を行うケースがあります。(資本力があるプライム・セカンダリーSIで多い。)請負ですので権限はあります(たとえば面談とかは無い)が、納品責任も負います。(やりきるしかない)

・準委任常駐
再委託可能である為、複数社を経由することが可能になってきます。詳しくは下記のフィードで。

契約を知らずに高稼働している人が多い件。
https://www.wantedly.com/companies/trash-briefing/post_articles/80280

なお、自社がブラック傾向、法律知らない、営業力弱い、だと、利点も活かせない事が多いです。
その場合は、偽装請負+納品義務も負う感じでの作業になるので、死ねます。




3.自社開発って、なによ?

・エンタープライズ商流における、持ち帰り開発を行っている会社。(一括請負・ラボ契約)
・Web・モバイル、コンテンツ製作 系の多くの会社(一括請負)
・ソフトウェアベンダー(パッケージベンダー) (製品開発・保守)
・自社サービス・ソーシャルゲーム運営 (ゲームの受託会社も含む)

が、自社開発と呼ばれる会社群。

それぞれは別の業界・業態となっており、それぞれに特徴があるので、【自社開発】と言うくくりはあまりに乱暴。また、自社サービスに至ってはサービス内容ごとに業界が違うとも言え、なおさら個別の企業研究が必要になる。

4.Web系ってなによ?

今日においては『SES』なみに曖昧な言葉。元々『Webシステム開発者』『Web制作会社』等の意味を持っていたのだが、現在は下記の企業群と、そこで働くエンジニアを指す言葉に変わった。さすがに発生源はIT業界以外かと思われ。人材系やスクールのアフィリエイト広告だろうか・・・。

・Web・モバイル、コンテンツ製作 業界すべて(広告代理店も含みそう)
・ソフトウェアベンダー(パッケージベンダー)のうち、クラウドでサービス提供してる
・自社サービス・ソーシャルゲーム運営

なお、自社サービス系の採用傾向を雑に分けると

・サービスにコミットメントがある人を採用。DeNAやメルカリ、ドワンゴなどもこの傾向強いと聞く。
・技術トレンドにコミットメントがある人を採用。
・運用担当者が離職した。同等レベルの技術者が必要だ。(育ったRailsシステムの保守ができる系)
・とにかくだれでもいいから来てくれ。

新卒以外の未経験で狙えるのは4つ目のものになるが、当然多くはないので入社しました報告も多くは無い。それでも入れれば、即戦力として開発作業させてもらえると思う。しかし、手取り足取り教えてもらうなどは期待しないことだ。ここで二兎追うのは無理。




5.ロースキル系ってなによ?

ソフトハウス・派遣会社の層の一部の会社が、準委任や派遣契約でやるビジネス。
ブラックSESとか闇のSESとかいわれるやつ。

とにかくロースキルを採用して、ロースキル案件に詰め込みまくる。給料は微増で単価交渉をしまくることで金額にギャップを創出、その差額で利益を得る。この際はなるべく長期案件がベター。短期だと営業の工数を食うし、そもそもロースキルから成長させていないので待機発生しやすい。顧客はなぜか若い人や女性を好む傾向があり、それらの人材が本来スキルを得なければいけなかった20代という時間を換金する仕組み。そら爆発的に利益が出る。利益が出るのでまた求人をかけまくる。その為、求人の上ではかなりの数が掲載されることになる。加速度的に被害者の数が増えていく。

人材側もスキルがつかないので離職するわけだが、もともと年取ったらいらない子なので、会社側のダメージを限定させる結果につながっている。完成されたビジネスモデルと言える。

『SESだからスキルつかない。プログラム経験できない。』というのはこのパターン。

IT業界にはこういう危険が存在すると言う認識は、絶対に持っておいてほしい。


6.まとめ

基本的には、1の項で書いた業界の分類が、企業研究の上で役立つかと思います。

IT業界は、構造の問題(下記IT人材が不足というウソとSE35歳定年説の謎を参照の事)があって、常に人材を欲している業界です。その中の業界間で人を移動させると、人材関連業界は儲かるわけです。

ですので、一番規模の大きいエンタープライズ業界から他業界への人のスライドを喚起したいと言うニーズが常にあります。(エンタープライズ業界がサイコーな業界であるとは言いませんが。)そんななか、『SES』や『Web系』のように意味が歪められていく言葉であったり、一部の業界の一部の状態が全体である(プラスもマイナスも)かのような認識の誘導も発生します。

さらに、次々現れるトレンドとも付き合っていかなくてはいけません。煽られて戻れないハズレを引くと、そこで引退の危険すらあります。

この業界を志望される方は、『トレンドや他人の意見は参考意見。常に自分の頭で考え、決断する。』という事を心がけて頂けますと幸いです。ハズレを引いた場合常に、『自己責任』って言われますから。

その他の記事へは、下記リンク先が記事一覧となっておりますので、そちらからどうぞ。
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