1
/
5

<前編>60%以上の返信率!徹底したデータ化で、企業の採用活動を支援する【カスタマーサクセス(CS)特集】



田中 慎代表取締役 CPO
新卒でベンチャー企業に入社。1年半で100案件程の上場企業・中小企業のWebサイト開発・デザイン業務に従事。株式会社サイバーエージェントにエンジニアとして入社し、会員数1,300万人のポイントプラットフォーム事業、フィンテック(仮想通貨関連事業)新規事業等の立ち上げ・開発運用に従事。2017年6月、株式会社overflowを創業。プロダクトマーケティング、カスタマーサクセス(CS)管掌。

採用企業が注目する、「Offers」の独自機能

—:「Offers」のα版が2019年5月にリリースされました。「Offers」公式サイトでは導入企業のロゴが増え続けており、順調な成長が伺えます。成長の背景にはどのような要因があるのでしょうか?

田中:まずは市場の流れとして、副業マーケット自体が拡大しているということが挙げられます。特にIT企業においては、自社プロダクトの開発/運用を強化するにあたって、エンジニアとデザイナーの採用を強化していますが、昨今ではますます採用の難易度は高まっています。

その中で、正社員採用に限らず、副業人材を活用することで事業を加速させていく動きも業界全体として増えており、今後ますます「副業人材」の活用は注目を集めていくものと考えています。



          「Offers」導入企業の一部(2019年10月時点)



—:さまざまな副業サービスがありますが、「Offers」が多くの企業に受け入れられている要因は何でしょうか?

田中:「Offers」の機能的特徴でもある『リファラル採用機能』と『タレントプール機能』、そして『検索の利便性』の3つが挙げられると思います。

特に最後の『検索の利便性』ですが、「Offers」に登録いただいているエンジニア/デザイナーの方々には、スキルセットに応じて独自にスコアリングを付与しています。

そのスコアリングによって採用企業は求める人材を的確かつ簡単に検索することができ、さらにSNSを活用して「人と人のつながり」を可視化しているため、「この人は誰とつながっているのか」も一目瞭然です。そのため、採用企業はより安心してメッセージを送ることができます。

一方で、採用企業からメールを受け取ったエンジニア/デザイナーも、知り合いとつながっている会社からのメッセージということもあり、あらかじめ一定の信頼性が担保されていることから、より両者のマッチング成功の可能性は高まっていくのです。

いわゆるリファラルリクルーティングとダイレクトリクルーティング、なおかつスキルセットが全部可視化されているこのような機能は「Offers」の最大の特徴ですので、そこが事業が伸びている要因になっていますね。




—:これまではプロダクトの優位性で伸びてきたと。

田中:そう自負しています。「Offers」の開発には、誰もが知る大手IT企業のPdMやデザイナー、エンジニア、アナリスト、マーケターなどが副業で参画してくれているので、今後もより品質の向上に努めていきたいと思います。

もちろん、企業側だけでなく、副業を探しているエンジニア/デザイナーの利便性向上にも注力しています。「Offers」登録までのUXも日々チューニングを行っており、リリース初期から「Offers」には有名企業のエンジニア/デザイナーにご登録いただいています。そこも採用企業から注目していただいているポイントですね。

—:ちなみに導入企業に特徴はありますか?

田中:リリース初期は、スタートアップや社員数100〜200人ぐらいのベンチャー企業が多かったのですが、最近では上場企業も増えてきました。

もはや上場企業でもエンジニア/デザイナー採用の難易度は上がっていると感じでいます。今後も企業の規模を問わず、どのような企業でも使いやすいプロダクトになるように、改善を進めていきたいですね。

あらゆるデータからファクトを読み解く

—:「Offers」というプロダクトは、使い続けていただくことが大事だと思います。その中で「カスタマーサクセス(CS)」は非常に重要な役割になっているのではないでしょうか?

田中:はい。「Offers」を導入していただく企業は増え続けているので、今後はいかに成功事例(採用成功)を増やせるのかが重要だと認識しています。

また、単純に採用して終了ではなく、採用したクリエイターが継続的に活躍していただかないと、「Offers」は採用企業に使われない/選ばれないプロダクトになっていくと思っています。

そこで、採用からオンボーディングまで、企業の担当者と伴走する役割を「カスタマーサクセス(CS)」と我々では定義しています。

—:「カスタマーサクセス(CS)」の活動について詳しく聞かせてください。

田中:「カスタマーサクセス(CS)」として、大事にしている考えがあります。

先ほども話した通り、「Offers」はダイレクトリクルーティングかつリファラルリクルーティング、なおかつスキルセットが可視化されている新しいプロダクトになっていて、そこが1番の競合優位性になっています。

事実、「Offers」では採用企業がスカウトオファーを送ると、その返信率は60%を超えており、「カスタマーサクセス(CS)」では、このようなマッチング率などの数字をかなり大事にしているという訳です。

—:60%超は業界水準以上ですね。

田中:そうかもしれませんね。「Offers」ではスカウトメールを一斉配信、たとえば100通配信して1〜2返信あるかどうかという旧来のダイレクトリクルーティングのツールではありません。今後もこの返信率はさらに高めていきたいですね。

—:返信率が60%を実現する上で、大事なことは何でしょうか?

田中:データからファクトを読み解くこと、です。先程紹介したその返信率は、さまざまな要素の積み上げがあって60%になっています。

—:さまざまな要素、というと?

田中:あくまで一例ですが、ある会社の採用担当者が、エンジニアを採用しようとします。

その際、「カスタマーサクセス(CS)」では事前に募集するポジションでの技術スタックだったり、現場の開発環境を詳しくヒアリングし、そこで浮かび上がったターゲット像が「Offers」で何名登録しているのか、どれくらいログインしているのか、どれくらい1日に他社からメッセージを受け取っているのか、何時だとメッセージを開封するのかといった傾向を詳細に分析していきます。

—:そこで導き出したタイミング(仮説)をもとに、送信タイミングを見計らっていくのですね。

田中:いえ、それで配信するだけですと、旧来のダイレクトリクルーティングと差異はありません。

そのほかにもターゲットのインサイトに響くようなメッセージを企業と一緒に考え、ときにはメッセージ文面をこちらから提案し、返信率を出来る限り高めていく取り組みを行っていきます。

—:そのためには、採用企業の新たな魅力も引き出していくと?

田中:そうですね。採用企業よりも採用のことを考え、かつエンジニア/デザイナーの「Offers」上での動向なども細かく分析し、その瞬間の最善の手法を導き出していきます。場合によっては、企業の採用広報活動を提案させていただくケースもあるんですよ。

—:オーダーメイドのイメージでしょうか?

田中:そうかもしれません。ただ、最近ではナレッジが蓄積されていますので、たとえば返信率が高いメッセージ文面をテンプレート化し、企業の採用活動に貢献できればと思っています。


—:数値化して徹底的に分析しているんですね。

田中:そうですね。そこはoverflowらしさかもしれません。ただ、数値で分析するだけでは不十分だと思っています。あくまで相手は「人間」です。企業からのメッセージを受け取った人の気持ちを想像してメッセージを考えたりと、ハート的な部分も大事にしています。

こちらも先程と重複しますが、採用企業とエンジニア/デザイナーのファーストコンタクトを支援するだけでなく、そこから長期にわたって良い関係性をフォローできるところまで支援していくのが、我々の「カスタマーサクセス(CS)」の考えですね。

—:そのような取り組みで、実際にうまくいったなと思ったエピソードはありますか?

田中:先日導入いただいた某スタートアップ企業の場合には、最初にオンラインでキックオフのミーティングを行いました。その時点で、エンジニア採用の責任者の方に入っていただいたんです。

その上で詳細な「Offers」の活用方法の設計や、メッセージ作成のサポートなどの支援をさせていただき、契約初月で3名のエンジニアを採用することができました。

我々から「この文面だったら、エンジニアが気持ち良く受け取れる」というメッセージを作成し、それをオペレーションに組み込んでいくことが重要で、成功したケースかなと思います。

積極的なBIツール活用で、さらなる仕組み化へ

—:それでは分析方法について教えてください。実際に「Offers」の「カスタマーサクセス(CS)」はどんな項目の数値を管理しているのでしょうか?

田中:「Offers」の場合は、今は『re:dash』というBIツールを使っていて、すべての登録者(エンジニア/デザイナー)とすべての導入企業、さらに企業の採用担当者ごとの行動ログを計測しています。

具体的には、我々の事業KPIであるスカウトメッセージの返信率や採用数、チャーンレートなどはもちろん、10項目以上を細かく見ています。必要に応じて随時『re:dash』でSQLを書いて、ダッシュボードを作成しているので、今後さらに項目数の見直しを図っていきたいと思っています。


                  ダッシュボード一例
            各メンバーは自由に閲覧できるようにしている


こうして登録者(エンジニア/デザイナー)の行動ログをモニタリングし、かつ採用担当者の行動なども常に把握しています。しばらくログインしていない採用企業の担当者に対しては、「こういうアクションをしてみませんか?」とアドバイスをさせていただく場合もあります。

そのサポートのために、Slackで個別チャンネルを作って対応させていただいていますが、最近では『HubSpot』というツールを使いつつ、社内の各メンバー(マーケティング、セールス、カスタマーサクセス)の行動履歴をデータ化し、誰でも質の高いサポートができるように独自の手法を生み出しています。

—:細かく数値を見ることで、どのような気付きを得ているのでしょうか?

田中:例えばオファーが特定のエンジニアに対して集中した期間がある場合、その期間の返信率は下がる傾向にあります。なぜなら1人で受けられるオファーの数/案件は限られているので、その人が5件のオファーを受け取ったら、他は一旦無視してしまうことがあります。

そうすると1社あたりの返信率は下がっていくので、「このエンジニアは最近登録したばかりで、メッセージ受信が多い」「昨日登録したエンジニアは求める技術要件が近く、副業への熱量が高い」というように、他の登録者をレコメンドするなど、採用企業にどう満足いただけるかを深く考え、それを「Offers」 の機能改善に役立てています。

もちろん、他にも採用企業に合わせた細かい分析があり、どうしたらマッチングでき、企業に入った時に長期的な関係性を築けるかを意識するようにしています。

—:かなり細かく分析/集計していますが、田中さんは元々そういう性格なんですか?

田中:僕はずっと大学4年間で株式投資をやっていて、数字が好きというのもあります(笑)。期待値計算とかをやっていて、「このタイミングでこの株を買う」みたいな数値を全部出してやってました。

また、元エンジニアでもあるので、いつになっても破綻しないことを作り上げるということが、かなり身に付いているのだと思います。

ヒューマンエラーなどで「破綻しない状態」を組織やプロダクトに対しても仕組みとして導入し、誰でも扱える状態にすることが相当重要だと日頃から思っています。


利益を創出する重要ポジション

—:田中さん1人で「カスタマーサクセス(CS)」をやってきたと思うのですが、導入企業が増えていくと、リソースも足りなくなると思います。今後はどのようにリソースを分配しながら取り組んでいくのでしょうか?

田中:2パターン考えています。正社員を増員するパターンと、副業の方がカスタマーサクセス(CS)にコミットしていただくパターンです。

まず後者の場合、各メンバーがどれだけの稼働時間で、どれだけの社数を担当しているのかを、HubSpot・kibela(ドキュメントサービス)・スプレッドシートで一覧化しています。これによって、稼働時間の適正化が見えてきますので、ナレッジの平準化を進めつつ、オペレーション体制を強化できればと思います。

前者の正社員採用についても、広く門戸を開けています。最近では、営業兼カスタマーサクセス(CS)として、大佐和さんが正社員でジョインしてくれました。これから大佐和さんの個性/考え方なども「カスタマーサクセス(CS)」の現場に浸透させて、新しい体制や文化を築いていきたいですね!

特に「Offers」では『コンシェルジュプラン』というアップセルのプランや成果報酬プランもあり、今後「カスタマーサクセス(CS)」はさらに重要な役割になっていきます。

そういった意味で、「カスタマーサクセス(CS)」はコストセンターではなく、利益を生んでいく重要なポジションです。このような僕らの考え方に共感してくれる方を、副業や正社員など関係なく迎え入れていきたいと考えています。

—:ありがとうございました!後編では、大佐和さんがジョインした後の変化などをインタビューしていきたいと思います。よろしくお願いします。

【カスタマーサクセス(CS)特集】後編はこちら

Invitation from 株式会社overflow
If this story triggered your interest, have a chat with the team?
株式会社overflow's job postings
4 Likes
4 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like Yuto Suzuki's Story
Let Yuto Suzuki's company know you're interested in their content