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早期に栄養科が介入し、低栄養のリスクを防ぐために

ジャパンハートこども医療センター栄養管理部の桑原です。

今回は、現在実施している小児がん患者に対する栄養スクリーニングについてご紹介したいと思います。

スクリーニングとは

集団の中から対象となる人たちを導き出し、ふるい分けをする簡便な検査のことをいいます。日本ではSGA(主観的包括的評価:subjective global assessment)を使っている病院が多いのではないかと思います。栄養スクリーニングを実施することで、低栄養のリスクがある患者を抽出することができ、その後の栄養介入につなげることができます。

今回スクリーニングのツールとして選んだのは、入院児童の栄養スクリーニングとして開発された「STRONGkids」と呼ばれるものです。

質問項目は以下のようなものがあります。
・病歴、手術歴
・消化器症状(下痢や嘔吐など)の有無
・食事摂取量の変化
・身体初見(直近の体重変化)

これらの質問にYes/ Noで答えていき、合計ポイントによって低栄養へのリスク度と栄養介入の必要性がわかるものになります。聞き取りにかかる時間は5分ほどで、簡単に判定することができます。現在はこのスクリーニングに加え、身長、体重、上腕周囲長、自宅での食事内容などの聞き取りも実施しています。

【左:体重測定 右:上腕周囲長の測定】

入院時のスクリーニングを導入して良かった点は、入院時の栄養リスク判定のための聞き取り項目が統一されたこと、入院までの食事摂取状況や体重変化などを把握できるようになったことです。

今までは毎朝のミーティングや病棟回診による情報収集、定期的な身体計測の結果で個別介入の判断をしていました。当院に入院している小児がん患者さんは、長期の治療が必要な方がほとんどで入院期間も長くなるため、入院中の患者さんに対しては従来のやり方で問題なかったと思います。しかし、入院時のリスク判定については曖昧な状態でした。スクリーニングを導入したことで、必要な質問が明確になり、評価も簡単にできるようになりました。

また、入院前の様子を聞き取ることで、食事摂取量を確保できていたのかや、保護者の栄養の知識レベルなども知ることができ、その後の栄養教室の内容にも反映させることができています。

【スクリーニングを実施した後には、ティラ栄養士による集団の栄養教室を実施しています。カンボジアのフードピラミッドを使って食品の分類を学んだり、付き添い家族の方に患者さんの食事内容の記録をお願いしているので、書き方のレクチャーを行っています。】

基本的にスクリーニングはティラ栄養士と一緒に実施していますが、いくつかの質問は私もクメール語でできるようになりました。(もちろん患者さんの状態によっては詳しく聞き取ることが必要で、それは私一人では難しいのですが…)そのくらいわかりやすく簡便な評価方法で、栄養介入の第一歩として使うのに便利だと感じています。今後もこのツールを使用して、入院中の患者さんの栄養管理に役立てたいと思います。

栄養管理部 桑原

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