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もし一歩踏み出したい人がいれば、ぜひ話をしたい
私がこの環境を選んだ理由と
楽しく、働く喜びを感じて生きている今のことを(宮本滉大)
成長産業支援事業の一環として世界で勝つ可能性のある国内の成長企業に集中的に人の支援をしているfor Startups。他社の、転職支援・採用支援とは何が違うのか。for Startupsで働くことの魅力は何か。元リクルートキャリアのハイパフォーマーと、スタートアップ歴10年以上・キャリアコンサルタント経験もあるメンバーが語り合う。
社会から期待され、いい仕事ができる大企業。一方で外の世界の動きの速さに不安も
神宮司
まず、自己紹介からお願いします。
宮本
立教大学の理学部化学科を卒業して、2014年4月にリクルートキャリアに新卒で入社しました。大学時代は、計算科学による、創薬の設計・開発というちょっと変わった研究をしていました。入社当初は、とにかく結果を出してMVPを獲りたいという気持ちが先立っていましたね。 その反動で、お客さんからたくさんクレームもらうわ、生意気だわで、上司からしたら相当扱いづらい新卒だったと思います(笑)。けど、今思うと、リクルートという会社に期待してくれているお客様に対して、いかに自分が無力であるかを実感することができました。怒られながらも、自分のビジネス人生にとって絶対に必要な時間だったと実感しています。その後結果を出し始めて、1年目後半に、新卒同期の中で最速で部全体の月間MVP、クォーターの準MVPを獲得しました。3年目には全社MVP表彰も。これはプロパー入社の中で最速の記録でした。4年目には、VMA(ビジョン・ミッション・アワード)という、全社員の前で、自分の仕事の取り組みや想いを発表する機会をいただきました。
ただ、MVPを獲りたいという想い自体は、次第に薄れていきましたね。きっかけは2年目の秋に、社内公募に応募して参加した研修です。被災地の福島に行き、リクルートとして新規事業を提案するという内容のものでした。一緒に行ったメンバーで、震災という社会課題に向き合ったときに、「自分たちは誰のために、何のために働くのか」と議論を重ねました。結局、自分、企業、社会という軸で考えると、私は広い社会のために何かしたいのだ、という大きな気づきをその研修で得ることができました。
その気づきを得て戻ってからは、今のfor Startupsの仕事につながる活動もしていました。ベンチャーキャピタル(VC)を介して、投資先のオーナー企業などに人材を紹介する仕事です。私は市場営業部という、ベンチャーや中堅中小企業担当の部署に新卒で配属されたのですが、全社表彰を狙うには、売上では大手企業担当の営業マンには勝てないです。それで、自分の部署がトップに立ち切らないのは本当に悔しくて。みんな本当に困っている社長の為に、めちゃくちゃ良い仕事しているのに。それで、自分の想いで視野の広い課題設定をし、それを解決しようとする当事者意識で勝負しようと想いました。実際、ベンチャーなどはかけがいのない一人の採用にかける想いも強く、社長と対峙する機会も多いので、社会視点や経営視点をたくさんお客様に教えていただきました。「本当に価値ある人材支援とは何か」を、全社員の前で証明したかったんですよね。そしてVCとの協働支援は、伸びるべき産業に対して採用支援するという、自分の想いで課題を設定した仕事でした。その想いと、実績での結果も出し、その取組が全社MVP表彰とVMA出場につながりました。研修で得た気づきと、日頃の活動のなかで見つけた課題。これらに基づいて自分らしく働いた結果、成果と評価が伴い、最高の成功体験になりました。「自分らしくいるということが、社会から評価される」というこの経験が、自分の確固たる自信につながり、次のステップを求めるようになりました。
その後、New Ringという制度で、リクルートホールディングスの新規事業を創出する部署のMTL(メディア・テクノロジーラボ)に行き、リクルートという大企業で事業を創ることとその責任、限界も知り、今はfor Startupsにいるという経緯です。リクルートには、結局4年いました。
神宮司
ありがとうございます。最後の限界を感じたという話は、よくわかります。
私自身、大企業とスタートアップの違いをずっと考えてきました。それは、大企業では、チーム単位までの仕事はできるけれど、その先の個人として、バイネームで仕事をすることは難しいということです。一方、スタートアップでは、個人として、自分の活動をSNSで発信するのも普通で、それを能動的にできる人でないとスタートアップの環境を活かしきれているとは言えない。また、大企業とスタートアップは、「どちらがいいか」というものではなく、「どちらが自分に向いているか」で考えるべきですね。宮本さんはスタートアップが向いているのでしょう。
しっかりした仕組みがあり、その仕組みの中で最大のパフォーマンスを出せる人は、大企業にいたほうがいい。宮本さんのように、自分で課題感を持って、仕組み自体をつくりたい、決められた枠から出たいという人は、スタートアップのほうがいい。選択肢に過ぎません。
だけど、これまでも今も、新卒で大企業に行くのが当たり前になっていて、スタートアップを選んだら、「よくわからない会社に行って、アイツは就職活動に失敗した。大丈夫なの?」的な見られ方をしていますよね。それは、選択肢が与えられてない中で一方しか知らず、それをマジョリティだと思い込んでいるだけなのです。今、これだけスタートアップで活躍している人が出てきているのだから、改めて、私たちが「選択肢は2つある」と提示したいと思います。
実際、私は新卒でスタートアップに入り、今もスタートアップですが、振り返って、大企業の人と比べて、決して悪い人生を歩んでいるとは思いません。社会とのつながりも感じ、将来に対して悲観もしていない。自分が社会に対して価値を発信し続けていれば、誰かが見てくれていると思っています。逆に大企業にいて、会社=社会になってしまうと、そこから一歩外に出たときに、社会と自分の距離が分からないことに恐れてしまうかもしれません。
宮本
前職もそうだし、大企業にいる人のなかにも、もしかしたら弊社のようなスタートアップのほうが生きやすいと感じている人は、少しずつ出てきていると思います。
リクルートキャリアには、まず社会から期待されているという良さがありました。そのリクルートキャリアに対する社会からの期待に答えきれない自分と葛藤し、「お前は、どうしたいの?」と上司に言われ、成長してきたと思います。でも一方で、その世界とは違うところで、社会がすごい速さで進んでいるという焦りもあったと思います。だけど、その情報を知る術もなかった。
神宮司
そうですね。大きな会社だとマーケットを広く見られなくなる不安はあるかもしれませんね。優良な顧客がいて、そこにどんどん人を紹介し、お客様から「あなたのおかげで、良い人がたくさんジョインしてくれました」と感謝されることは大きなやりがいで、モチベーションには繋がります。でも一度そのような大きな会社の中から飛び出たら、自分という人間は、社会でどのあたりの立ち位置にいるのかわからない。
スタートアップは、そもそも会社自体が、世の中での自分たちの立ち位置を決める作業をしているので、人や社会と繋がることに魅力を感じている人も多いと思います。
現在の仕事~産学連携×起業支援。技術と社会をつなぎ、新しい事業の創造へ
神宮司
今、どんなお仕事に取り組んでいますか。
宮本
タレントエージェント業務をしながら、産学連携と起業支援にも取り組んでいます。産学連携と起業支援は重なる事業で、国立大学をはじめとする有名大学が持っている確かな技術を社会実装するために、共同創業者を紹介し、起業と事業の成長支援をするというスキームです。大学の教授は、技術はあっても営業やビジネスは不得手な方が多い。そこに、起業できて、投資家からお金を引き出せる力量のある人材を紹介し、社会実装を実現するというものです。それに加えて、起業をより身近なものにするために、VCとの壁打ちの機会を起業家にサービスとして提供しています。スタートアップへの転職と同様、起業という選択肢は、これからもっと増えていくと考えています。
実際、ある大学では、教授が研究している技術の事業化に向けて人材を紹介し、事業計画書を作り、VCのGOサインが出次第、スタートするという段階にまでこぎつけている案件があります。また、ある大学には、学生や卒業生の起業支援を目的とした会社があり、そことも連携しています。弊社には、大手金融機関と共同で展開しているスタートアップ向けの総合コンシェルジュサービス、『forSEED(フォーシード)』があります。この他にもオープンイノベーションに関する事業展開をしていますいずれは大学生でも卒業生でも、起業したい人は弊社に相談に来るという流れができれば、エコシステムとして大きな価値を生み出せるのではないかと思っています。
この動きを、ほかの大学にも広げ、日本の有名大学をすべて結んだプラットフォームを創りたいと思っています。日本の全ての大学にいる起業したい優秀な人が、すべて弊社に相談に来てくれるようになったら最高ですね。大学の研究室の先輩からも、院に進み、結果、研究職として圧倒的に安い給料で働いているような人は非常に多いと聞きます。理系の頭脳と社会のつなぎ目役が絶対に必要で、私がその役割を果たせたら良いと考えています。
神宮司
そのほかの大学との取り組みも始まっていますよね。
宮本
そうですね。先週もある大学で、「いいモノはあるのだけど、教授の発想に基づいて作っているので、マーケットにフィットするかわからない」という相談を受けました。量販体制を構築するために、大手企業とつながりたいという希望も、よく聞きます。そのあたりは、ウチが手がけているオープンイノベーション事業につながる話です。「スタートアップのために」という動きと、「スタートアップとつながって新しい技術を取得したい」という大企業を引き合わせることも、産学連携の一つの形だと思います。
社会のニーズやこれから世の中で必要になることに合わせて事業を創り出していますが、前職やこれまでの人生で感じた課題や違和感を、解決できているという実感を持つことができています。私自身、理系学生の時には、学生時代の研究や実績が就活でなかなか評価されなかったという経験があります。しかし、働く喜びを諦めたくなかった。
神宮司
前職でやりきれなかった、踏み込めなかったのはなぜでしょう。
宮本
リクルートは、モチベーションがあれば、基本的にできないことはない会社だとおもっています。そのおかげで、多くの成長の機会をいただいてきました。ただ、どうしてもリーディングカンパニーなので、リスクヘッジ等の問題で、制限がかかってしまうことはあります。既存の社会のルールを破るという立ち位置に今のリクルートは、良くも悪くもなりきれないのかなと思います。
例えばある大学のVCには、前職でも出入りしていましたが、そのときは、研究室単位まで訪ねて行って一人の人材を紹介する、というところまでは支援でききれず、その分本当の課題も見えてきませんでした。採算も合わないし、そのような未知のところへ、会社のデータベース上の候補者を紹介するリスクの高さなど、様々な理由があったのだとと思います。それは当然のことで、それだけリクルートが社会的影響力の大きい会社だということだと思います。
神宮司
会社として、リスクを取れる範囲が仕組みとしてできあがっていると、そこを超えて新しいことはやりづらいですね。その点、ウチは「ミッションがズレていなければ基本的にGOだよね」というスタンス。宮本さんの活動は、スタートアップのためになり、個人のキャリアにもベクトルが向いた活動なので、採算を超えて、for Startupsの世界観として必要な活動だという認識があります。加えて宮本さんが、タレントエージェンシー業務でしっかり成果を出しながらやっているという点も、説得力を持たせていると思います。
宮本
言うほどの成果は、まだ出してないですけど…
神宮司
いやいや。入社4カ月で月間MVP獲得ですから。さすがです。
宮本
ただ、前職でも、目の前の実績と信頼を勝ち取った上で、「社会のために」といった自分自身のモチベーションに人を巻き込む権利を得る、という風潮はありました。「まず、目の前のことを頑張る」というプレッシャーは、前職のほうが強かったです。周りを見ても、目の前の仕事のボリュームが大きくて、やりたいことにたどり着かないという人は、多かったと思います。
神宮司
ウチは両方をやるのが当然ですからね。目の前のことと、自分の課題感に根差した活動の両輪で、自分をけん引していくような。タレントエージェンシー業務に加えて、事業創造が大前提。マインドとしても、実際の動き方としても、それは浸透していますね。
宮本
そうですね。だから今、同業他社で成果を出している人が、そのままfor Startupsに合っているかどうかはわかりません。リクルートなら、部署やカンパニーを越境して、人を巻き込んで成果を出している人は、ウチにはまると思います。自分の欲求に基づき、行動を先立たせることが習慣になっている人。そうでなければ、むしろ戸惑うと思います。
神宮司
自由さに戸惑う人は、向いていないということですよね。
宮本
はい。私は、前職との対比をすごく楽しんでいます。リクルートとfor Startups、両方を知ることができたのは強いと思います。
for Startupsの魅力~日本のために未来価値の幸せを実現する活動ができる喜び
宮本
僕は、既存の産業を幸せにする人材紹介というサービスは、すごく好きなんです。家族を幸せにするために大企業に行きたい人もいて。大企業を支援することで、個人のキャリアとしての自信や、既存の社会など、多くのヒトを幸せにしている実感をもって仕事をしていました。
ただ、僕の場合は、自分の働くモチベーションを追求したいと思ったときに、適した場所がスタートアップでした。お客様の支援だけでは満たされない、自分の溢れだすモチベーションや、「こうなりたい」という思いが噴出するタイミングがあって、リクルートには、それを大事にしてくれる文化がありました。そこで「自分はどうしたいのか」と冷静に考えたとき、僕は、既存の産業を幸せにするより、もっと色々な人を幸せにできる可能性がある場を求めたのです。働くモチベーションが、利他的なところにあると気づき、それを具体的な仕事として取り組めるのは、リクルートキャリアよりfor Startupsだと思いました。どちらがいい、悪いではなく、選択肢の一つとしてこちらだったということです。
それはなぜかとさらに深掘ると、今の世の中に存在していなものを新しく創りにいくという活動をしているからだと思います。現在の幸せではなく、未来価値の幸せを、世のため、日本のために実現する活動であり、時間軸は未来を向いている。その幸せの実現に、スタートアップの支援がつながっていくということは、入社前に思った以上に実感しています。
これは、前職ではできなかったことでした。間違いなく、目の前のお客様を幸せにできていましたが、for Startupsでは、「今後の日本を支える」みたいな、より広い範囲で幸せにできそうなのです。
もし今、HRの仕事に魅力を感じていて、でももっと広いことを考える気持ちが芽生え、それに挑戦したいと想っているのなら、for Startupsを考えてみてもいいのではないかと思います。
神宮司
日本の未来を見据えたら、for Startupsは有力な選択肢ですね。個人の人生を幸せにして「ありがとう」は、ある意味あたり前。その先の、その人がその会社に入ることで実現できる世の中への価値提供、インパクトも期待できる点が、さらにワクワクしますね。
宮本
HRの仕事に従事している人は、本来、企業成長の為に、なくてはならないヒトを支援するという想いで仕事に携わってきた人が多いので、自分で事業を創りたいという欲求は高くなる人が多いと思います。僕もそう。ここに入社して感じたのは、起業家やCEOから生で、具体的なビジネスモデルまで、思った以上に聞けるなということ。世の中のビジネスモデルが見え、世の中の潮流が見え、事業を学べる点も、非常に魅力的だと思います。
神宮司
1日1社、多い時は3社くらい、起業家が来てくれますものね。お金をいただく立場で、自分たちから営業に行かずに来ていただくのは、他の会社の方から見たら異様な光景に見えるかもしれませね(笑)。本当に勉強になる話ばかりで、外部のセミナーであの話を受講しようとしたら、普通は何万円と払わないといけない。ただ、「勉強したい」だけでは、ウチに来る動機としては弱くて、それを社会に対してアウトプットするところまでを織り込んでやりたい、という人が向いています。勉強自体は個人に属するものなので、各人がすればいいのですが、ウチの仕事は、それをアウトプットすることを重要視していますよね。
どうでしょう、実際、今、HRの仕事に従事している人のなかには、モヤモヤ感を抱えている人も多そうですか。
宮本
いると思いますね。僕はリクルートキャリアの人材紹介しか経験ありませんが、社会から大きな期待が来るというのが当然な状況と、いただいた求人を充足するという行動になれてしまうと、変化感や成長実感が湧きにくくなるという相談を後輩からたくさん受けてきました
とはいえ、辞めようと腹をくくるのは難しい。やっている仕事自体は手応えがありますし、あの会社は、自分がいつか何かできそうだと思えるし、してくれそうだと社会から期待されますからね。
自分が一歩踏み出すきっかけを、自ら取りに行く必要があります。
神宮司
for Startupsは、HRの仕事に魅力を感じ、次のステップに行きたい人にはおもしろい環境でしょうね。市場を広く見られることもおもしろいし、あとは、決まったポジションに人を紹介するだけでなく、「この人が、このフェーズに入ったら、この会社はもっとおもしろくなる」と、こちらから働きかけることができる点ですね。実際に、それで採用決定に至るケースも多いです。リアクティブではなくプロアクティブ。その会社の成功、拡大に向けたアクションは、ほかの紹介会社以上にできます。お客様の期待や予想をいい意味で裏切り、感謝されるのは、なかなかできない経験だと思います。
要求されていないオーダーの人を紹介したら普通、怒られますよね(笑)。その会社を知って、競合やマーケットの状況も知って、経営者の性格や人柄を知って、その上で「この人」という紹介ができるから、説得力がある。それはAIに取って代わられない、人間的な能力だと思います。
宮本
リクルートキャリアでも他の会社でも、社会のために何かを成し遂げたいという想いがあれば、ウチに来て、パフォーマンスを上げられる人は多いと思います。もし一歩踏み出したい人がいれば、ぜひ話をしたいなと思います。僕がこの環境を選んだ理由、その結果、楽しく、働く喜びを感じて生きていること。しかも企業に依存しなくても、個人で生きていけそうだと自信が持てること。そのようなスタンスには到達できると伝えたいですね。
神宮司
結局、選択肢ですよね。
宮本
そうです。新卒で大企業に入って…と、既存の正解を選んできた人に、それ以外の選択肢を考えてほしい。あとはきっかけだと思います。あと本音は、リクルートの人たちにもっともっとスタートアップに挑戦してほしいなと思ってます。私は、リクルートで「働く喜び」という本当に大事なことを教わりました。大学生まで自信がなかった自分に「働く」は、周りと繋がるきっかけをくれたし、何者でもない本当の自分に向き合うきっかけをくれました。今は、「生きる喜び」かもしれません。今この世で自分が生きてることに溢れる喜びを感じてます。リクルートの人がもっている圧倒的当事者意識と社会起点は、スタートアップに間違いなく必要とされるし、これからの日本を支えていく大事なエネルギーです。まずは、覗きにくる、という感覚で、一度来てくれればと思います。
※リクルートの送別会の様子
「リクルートには感謝しかない」と話す宮本。送り出してくれた前職の仲間にもいい影響を与えれるように日々努力を続ける。