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お花の定期配送サービス「ブルーミー(bloomee)」を提供するユーザーライク。エモーショナルの事業をしているイメージが先行し、あまりビジネス的な価値が取り上げられることはありませんが、実は総額40億円もの資金を調達した注目のスタートアップでもあります。
それほどのビジネス成長を可能にしているのが、徹底した「ユーザー起点」と「データドリブン」。一見、相反する2つの概念を両輪に進めてきたからこそ、今の成長があります。最近では、新しい花の規格も作り出し、これまで市場に出回らなかった花も流通させるなど、業界を巻き込む存在に。
今回は私たちがどのようにデータドリブンとユーザー起点を両立させているのか、CMOの戸口とUX Div シニアマネージャーの大﨑に話を聞きました。
ビジネス経験豊富な2人がユーザーライクに惹かれた理由
―まずはお二人がユーザーライクにジョインした経歴を聞かせてください。
戸口:私は学生時代からスタートアップに関わってきて、小さな事業をグロースしてゆくフェーズを何度も経験してきました。中には上場する会社もあれば、逆に途中で事業を続けられなくなる会社もあり、スタートアップのいいところも悪いところも見てきました。
ユーザーライクにジョインする前は自分でEC事業を運営していたのですが、大きなリスク背負いながら事業を急成長させ、社会的インパクトを目指すスタートアップに再び携わりたいと思い、自分のビジネスの舵を変えて調達に動くか考えていた時に出会ったのがユーザーライクです。
―これまで様々なスタートアップを見てきたと思うのですが、ジョインする際に判断している基準はありますか?
戸口:私が重要しているのは「マーケット」と「人」そして「プロダクト」です。ユーザーライクはそのどれもがよくて。まずはマーケットについてですが、私がジョインした5年前は、日本ではまだフラワーテックの領域は確立されていなかったものの、海外では資金調達する企業が増えており、大きなポテンシャルを感じました。
人とプロダクトに関しては、明確な基準はないものの自分のフィーリングに合って。特に人は、長く一緒にコミットすることになるので、相性が良いと思えるかは重要ですよね。当時は代表含め4-5人しかいませんでしたが、このチームとプロダクトなら日本のフラワー業界を良くできると思いました。
―大﨑さんの経歴も聞かせてください。
大﨑:私はもともとワークスアプリケーションズという会社で、人事給与システムを大企業向けに提供する仕事をしていました。ただ、働いているうちにもっと小規模なスタートアップで働いてみたいと思い、友達が立ち上げた会社にジョインすることにしたのです。
しかし、私の力不足で半年ほどで辞めることに。次にチャレンジする場所を探している時に見つけたのがユーザーライクでした。前の会社で力を発揮する前に辞めてしまったのが悔しくて今度こそここで成長し、チームに貢献したいと思ってジョインしました。
花の色から産地まで全てをデータ化。だからこそ実現できる業界の変革とは
―会社の文化や雰囲気について聞いていきます。経営陣の一人として戸口さんがどのような文化を作ってきたのか聞かせてください。
戸口:私たちが特に徹底しているのが「ユーザー起点」と「データドリブン」という考え方です。一見相反しているように見えるかもしれませんが、実はこの両方がなければいいサービスは作れません。
データがなければ、お客さんが何を求めているのか解像度が上がらず、自分たちが作りたいものを作ることになります。昔はそれでも花が売れていました。花に限らずかもですが作りたいものを作れば売れた時代もあったかと思います。花業界ではガーデニングブームもあり、盛り上がっていた時期もあります。
しかし切り花の出荷量は年々落ちてきており、お客さんが何を求めているのかから考え花を作らなければ売れなくなってきています。仮説の精度を高めるためにもデータが必要で、私たちはあらゆる判断でデータを活用します。
―大﨑さんはユーザーライクにジョインして、このデータドリブンのカルチャーをどう感じましたか。
大﨑:私が最初に驚いたのはスピードです。前職でもデータを意識しながら仕事をしていましたが、ユーザーライクのサイクルはとても速くて。毎日データを取りながら、そのデータをもとに戦略を調整していくので、新しく入った人は誰もが驚くと思います。
私がいたBtoBの世界では、一つの施策の結果を見るのに1年掛かることもざらでした。しかし、ユーザーライクでは、新しい施策を始めると早ければ2〜3日、遅くとも一週間で反応があって。そのデータをもとにPDCAを回していくので、最初はスピードについていくのに戸惑いました。
―具体的にどのようにデータを活用しているのか教えてください。
大﨑:例えば誰にいつ、どの花を送ったのかが全てデータ化されているので、品質の維持にも使われています。例えば「この季節にこの花を送ると配送の過程でしおれやすい」ということが分かると、加盟店さんに注意を出せますし、逆に「この季節はこの花がおすすめ」と提示することもできます。
また、花の種類だけでなく色もデータ化しているので「このユーザーさんには赤が続いているから、違う色にしよう」という判断も可能です。さらに言えば花の産地もデータ化しているので、同じ花でも「〇〇県産はOKだけど、△△県産はNG」ということもわかります。
そういうデータを使っていくと、今後はどこの農家さんから仕入れるのが最適か判断もできますし、農家さんの生産計画まで踏み込んでいくことができるんです。将来的には農家さんに買取保証で契約するなどして、生産者の活性化もしていきたいと思っています。
「ユーザー起点」を支えるシステム化されたユーザーヒアリング
―ユーザー起点の文化についても聞かせてください。
戸口:まず、社内では「ユーザー」と呼ぶのは禁止で、絶対に「ユーザーさん」と呼ぶのがルール。これは顧客と近い距離感覚を持って欲しいからです。
そして継続的に欠かさず行っているのがユーザーヒアリングです。入社してすぐに始めたのでかれこれ5年目になりますが、コロナ前はユーザーさんの自宅に伺って話を聞いていました。今はオンラインでお話を聞いていますが、そこで得たインサイトをサービスに反映していきます。
―データだけでは見えてこないものがあるのでしょうか?
大崎:データで見えてくるのは、あくまで結果です。なぜそのような結果になったのかは、ユーザーさんに話を聞いてみないとわかりません。
例えば以前、初めてサービスを利用するユーザーさんに届ける、お花のお手入れなどが書いてあるチラシをリッチな冊子にしたことがあるんです。これで満足度が高まると思っていたのですが、実際は逆に解約率が上がってしまって。
実際にお話を聞いてみると、冊子の場合、後から読もうと思ったまま、結局読まないユーザーさんが多いことがわかったんです。データを見ることで、施策が成功したかどうかはわかりますが、その先の「なぜ」までは、実際にお話を聞いてみないとわかりません。
ユーザー起点とデータドリブンとは切り離せない関係なんです。
―そのような徹底した「ユーザー起点」を実現するために、どのような取り組みをしているのか教えてください。
戸口:ポイントは「しつこさ」と「仕組み化」と思います。毎月アルバイトも含めた全従業員で、ヒアリングした一人の顧客についてディスカッションする会を実施しています。メンバー全員にユーザー起点の意識を持ってもらうために、経営陣がしつこく啓蒙しています。
ユーザーヒアリング実施の仕組み化については、どんなユーザーさんに話を聞きたいか条件を指定し社内チャットで送ると、次の週には対象のユーザーさんとのヒアリングが設定されてカレンダー予定に入るようになっています。これがユーザーさんに話を聞くたびに手間がかかっていたら、ヒアリングするのも億劫になりますよね。
大﨑:その仕組み化を私たちの部署が行っています。どんなユーザーさんにヒアリングしたいと要望がきたら、条件に合うユーザーさんをリスト化して、ヒアリングさせてもらえるかメールを送ります。返信があったらカレンダーに予定を入れるという一連の流れです。
ユーザーさんのセグメントもとても細かく設定できます。例えばプロダクトチームは解約前のことを聞くことが多いので「解約ページに来たことがあるユーザーさん」とか。マーケチームなら「〇〇の施策をしていた○日から○日の間に契約したユーザーさん」など、目的によって細かく選べるようになっています。
―ユーザーヒアリングは、誰もがうまくできるものですか?
戸口:ユーザーヒアリングについては参考マニュアルがあるので、ある一定の質で誰でもヒアリングができていると思います。マニュアルにはアイスブレイクから、目的によって聞く内容の整理など、それに沿って聞いていけば初めての方でも実施して頂けます。
―コロナ禍でヒアリングもオンラインになりましたが、何か影響はありますか?
戸口:メリット・デメリットがあります。メリットは以前よりも多くの方に話を聞けるようになったこと、移動もないので遠方の方ともお話することができます。例えば先月は大きな投資施策のために、30名のユーザーさんと一人一人お話させて頂きましたが、オンラインでなければ時間が足りなかったと思います。また、これまでは都内のユーザーさんしか話が聞けませんでしたが、地方のユーザーさんにも話を聞けるようになったのは大きなメリットです。
デメリットは情報量が減ったこと。自宅に伺うと、それだけでも様々な情報が得られます。玄関の様子や読んでいる本、花をどんな風に飾っているかなど。それらの情報が入らなくなったのは残念ですね。状況が落ち着いたら、オフライン、オンラインを状況に合わせて両立していくのだと思っています。
事業の成長の先にある社会貢献。ユーザーライクで働くやりがいとは
―最近はSDGsの文脈で取り上げられることもありますが、どのような取り組みをしているのか聞かせてください。
大﨑:例えば最近では「ブルーミー規格」といって、これまで「規格外」として流通させられなかった花を買い取り、サービスとして提供しています。規格より長さが短かいなど今まで販売流通できなかった花も、パッケージで届ける私たちのサービスなら問題ありません。
これまで捨てるしかなかった花を適切な価格で流通できる仕組みを作ったことで、多くの生産者さんから感謝の声を頂いています。
戸口:そのような取り組みができるのも、事業がここまで成長できたからです。例えば私たちの事業規模が10分の1しかなかったら、きっと市場との提携も難航していたでしょう。
サービスが成長したからこそ社会貢献活動もできて、それが取り上げられてまた成長に繋がっていく。そのような成長のループがようやくできてきたのだと実感しますね。
―様々なやりがいを感じられると思いますが、大﨑さんは実際に働いてみてどんなやりがいを感じていますか。
大﨑:いくらでも成長できるチャンスがある環境ですね。優秀なメンバーが多いにも関わらず、会社に生かせる環境がなく、力を持て余している人がいる。そんなもったいない事態が発生している話を見聞きしたりしますが、ユーザーライクでは自分の力を持て余すことはまずありません。
業界にはまだまだ課題が残っていますし、新しいプロジェクトが毎月のように始まって。会社もそれを任せてくれる文化があるので、常に緊張感を持ってワクワクしながら仕事ができています。自分の腕に覚えはあるけど、今の仕事に物足りなさを感じている方にとっては、自分の本気をぶつけるのに最適な環境だと思います。
―最後に、このタイミングでユーザーライクにジョインする面白さを教えてください。
戸口:組織の人数に対してチャンスがたくさんあることです。社内にはチャレンジングなプロジェクトはたくさんあるのですが、本当にチャレンジする意気込みのある人を絞って採用してきたので人が足りていません。
腕に覚えのある方であれば、そのチャンスを自分のものできると思いますし、一緒に働く周りのメンバーからも刺激を貰えるはずです。決して簡単な仕事ではありませんが、優秀だなと思える仲間と一緒に本気になれる仕事はとても刺激的だと思います。ちょっとでも気になるなと思えば、ぜひ気軽に話を聞きにきてください!