Plott(プロット)は、IPコンテンツの企画から制作、ビジネス展開までを一気通貫で手掛けるスタートアップです。
『混血のカレコレ』『全力回避フラグちゃん!』はチャンネル登録者数200万人を突破。『テイコウペンギン』は2022年にテレビアニメ化され、『私立パラの丸高校』はKADOKAWAグループ運営の「次にくるマンガ大賞2024」Webマンガ部門にてU-NEXT賞を受賞しました。
YouTubeの累計チャンネル登録者数は1,000万人、月間再生回数5億回を突破しました。また、webtoon事業(※)にも参入し、次世代ヒットIPの創出にも取り組んでいます。
※webtoonは、NAVER WEBTOON Ltd.の登録商標です。
そんなPlottでは、事業成長にあわせて組織も拡大しており、新しい仲間を積極採用中です。
今回は『私立パラの丸高校』原作と脚本を務める、ショートアニメ事業部・まつうら(松浦 太一)にインタビュー。
もともと漫画編集者を目指していたという彼に、Plottで脚本家となったきっかけやキャリアの展望について話を聞きました。
プロフィール
ショートアニメ事業部
松浦 太一(まつうら・たいち)
社内ニックネーム:まつうら
原作・脚本担当。学生時代から創作活動に携わり、中学・高校時代は演劇部で活動する。大学時代は放送研究会に所属し、脚本や演出を担当。幼少期から漫画が好きで、物語を生み出す仕事に就きたいという想いから2020年4月にPlottに入社。趣味は競馬。好きな競走馬は『タイトルホルダー』
漫画業界を目指すも不採用の連続。Plottとの出会い
── まずは、まつうらさんの学生時代について教えてください。
小学6年生の学芸会で演劇のおもしろさに目覚めたことをきっかけに、中学では野球部と活動日の少なかった演劇部をかけ持ちし、高校は演劇部一本で活動していました。
大学進学後は、活動の幅を広げるために映画やラジオドラマをつくる放送研究会に所属。もともと演者希望で入会したのですが、脚本づくりに挑戦したら意外と楽しくて。
最終的には脚本をメインで担当するようになりました。
── なぜ、脚本を書いてみようと思ったのですか?
サークルの先輩が制作したラジオドラマを聴いているとき「自分ならこう書くかも」と感じて。実際に元の脚本をアレンジして書いたところ思いのほか評判が良く、自分でもオリジナルの脚本を書くようになりました。
ラジオドラマは映画と違って、脚本づくりから音声収録、編集までの流れをほぼ一人で行えます。気軽に、自由に作品を作れる楽しさにどんどんハマっていきました。
サークル内の上映会で友人が「まつうら、こんなにおもしろい作品を作れたのか!」と目を輝かせながら伝えてくれたことも嬉しくて。
自分の作品に感動してくれる人を目の当たりにしたとき、大学卒業後もエンタメ業界に携わりたいと思うようになりました。
── 就職活動はどんな軸でしましたか?
小さい頃から漫画が大好きだったこともあり、出版社で漫画をつくる編集者を目指して就職活動をしていました。
大学で実写映画ではなくラジオドラマを作っていたのも、漫画のように現実離れした世界を描けるからだったんです。
ただ、出版社の面接はことごとく不合格で。今でも忘れられないのが、面接で「漫画をつくりたいなら、なぜ漫画家ではなく編集者を目指すのか?」という質問です。これに返す言葉が見つからなかったんです。
編集者の仕事は漫画をつくることではなく、漫画家の才能を引き出し、責任を持って公開に結びつけること。当時の私はそれを理解できていませんでした。
── そんななか、Plottに出会うと。
途方に暮れながらも、やはり漫画に携わることを諦めきれなくて。Wantedlyで「漫画 制作」と検索したところPlottの求人がヒットしました。
「漫画動画制作」の求人を見たときに、好きな漫画の知識や放送研究会での経験も活かせると思い、応募を決めました。
「人生という読み切り漫画を、Plottから始めたい」入社を決めたワケ
── 入社後は脚本家ではなく、ディレクターとしてキャリアをスタートさせたそうですね。
実は私が応募したポジションは、経験者を対象とした脚本家の募集だったんです。
そのことを知らないまま、代表の奥野に「脚本の仕事の経験は?」と聞かれて「ありません」と答えると、場の空気がおかしなことになってしまって(笑)。
危うく面接が終わりかけたのですが、せっかく来てくれたからとPlottやエンタメ業界の話をたくさん聞かせてくれました。
ショートアニメ『テイコウペンギン』の一視聴者でもありましたし、Plottの働く環境もおもしろそうだと感じたので、あらためて新卒向けのポジションに応募して。無事にディレクターとして採用されることになりました。
── 「おもしろそう」と感じたのはどんな部分ですか?
当時のオフィスの雰囲気があまりにも怪しかったんです(笑)。
こんなに人気のショートアニメを、薄暗い半地下のオフィスで4~5人で作っていることにギャップを感じて。自分にとっては見たことのない新しい世界でした。
再応募したときは「人生という読み切り漫画を、Plottから始めたい」という気持ちでしたね。まさかここまでの“長期連載”になるとは、と今では驚いています。
── ディレクターとして入社してみていかがでしたか?
自身の制作進行能力の低さを痛感しました。脚本、絵コンテ、編集、アフレコすべての制作ラインを統括する役割だったのですが、あまりにも向いていなくて……。
ただ、脚本の修正作業は唯一褒めていただいていて、当時の上司と今後のキャリアについて話し合っているときに「せっかくだし脚本を書いてみたら」と言ってもらえたんです。
いざ書いてみたら、なんと一発OKをもらえて!それが、『テイコウペンギン』の脚本で、その後3年ほど書かせてもらうことになりました。
──『テイコウペンギン』担当後、『私立パラの丸高校』を担当することになった経緯を教えてください。
当時、新規IPとしてYouTubeにおけるアニメコントの企画が進んでいたんです。
実は大学時代に友人とM-1グランプリに出場し、3回戦まで進出した経験を持っているので、「まつうらなら、おもしろいコントが書けるだろう」と私に白羽の矢が立って。
そこから『私立パラの丸高校』の制作がスタートしました。
「おもしろい」を追求する日々。原作・脚本制作の仕事とは
── 現在の業務内容を教えてください。
主な業務は2つあります。
まず、ヤングジャンプ編集部運営のWebマンガサイト『となりのヤングジャンプ』で連載中の『しれっとすげぇこと言ってるギャル。』、この原作ストーリーを書くことです。
加えて『私立パラの丸高校』の特別回の脚本執筆や、クリエイターさんから上がってきた脚本の編集、完成した映像のクオリティチェックと修正などを担当しています。
── やりがいを感じるのはどのようなときでしょうか?
やはり視聴者の方から「おもしろかった!」と好意的なコメントをいただくときに、一番やりがいを感じます。
携わった作品が誰かの目にとまり、楽しんでもらえていることを実感できる瞬間は、この仕事ならではのやりがいです。
また、脚本の執筆も、わりと自由にクリエイティビティを発揮できるので楽しいですね。
いわゆる商業的な視点から、作品のブランディングや世界観を統一する役割は、ディレクターや編集者が担ってくれているので、私としては好きに書かせてもらえている感覚です。
── 一方で、大変だと感じることはありますか?
ほとんどの職業に当てはまりそうですが、やはり締め切りに追われることですね。
とくにエンタメ分野では、原作や脚本がないと制作チームが動き始められないこともあって。私が遅れるとチーム全体のスケジュールに影響が出るため、プレッシャーを感じることもあります。
また、妥協せずに自信のある作品を公開しているなか、ショートアニメの再生回数が伸び悩む時期もあって。
作品のユニークな世界観を保ちながら、より多くの方に広く楽しんでもらえる方法を追求することにゴールはないと思います。
── 作品が伸び悩む期間を、どう乗り越えてきたのでしょう?
常に正解を模索していますが、良かった施策としてはYoutubeをたくさん見ることです。
視聴者が何を求めてYouTubeを見ているのか、トレンドを地道に分析し、作品に活かすことは実践していることの一つです。
一方で、トレンドや万人受けばかり考えてもファンは増えないので、多くの方が共感するポイントにいかに作品の「癖」を乗せられるか、そのバランスを大切にしています。
── 脚本を書くときのこだわりはありますか?
脚本執筆で意識しているのは、見ている人が「これでウケてるの自分だけだろうな」と一人でニヤけてしまうエッセンスを入れることです。
本当に一人にしか刺さらないのはNGなので、これをいかに多くの方に思ってもらえるかが重要だと考えています。
──「おもしろい」の感覚は人それぞれですが、まつうらさんの「おもしろい」の基準を教えてください。
やはり自分が笑えるか、ですね。そのうえで主観的になり過ぎないように、公開したYouTube動画のコメント欄で視聴者の方々の反応も参考にします。
ファンの方の反応は、かなり分析していますね。
「まつうらに頼みたい」と指名される作り手を目指して
── そうした地道な努力もあり、社内表彰で「ベストスペシャリスト賞」を受賞したのですね。
YouTubeアニメから漫画連載が決まったり、『しれっとすげぇこと言ってるギャル。』が「次にくるマンガ大賞 2024」の特別賞であるU-NEXT賞を受賞したりした実績を評価してもらえたと思っています。
PlottはIPの創出に加え、二次利用を通じたさまざまな展開を目指す会社です。
作品を1つのプラットフォームだけでなく、世界に大きく羽ばたかせられることは、Plottの作り手としての醍醐味だと思います。
── 原作者・脚本家のキャリアについては、どう捉えていますか?
珍しいキャリアではあるものの、YouTubeやwebtoonの台頭によって、昔と比べて脚本家が活躍できるチャンスは確実に増えていると思います。
多くの職業でAI代替の危機が迫っていますが、感性がものをいう脚本家の仕事はAIに奪われないはずです。
主観・客観・俯瞰を柔軟に使い分けることは、人間にしかできませんからね。
主観で書き、客観的な視点で推敲したうえで、「本当におもしろいか?」と作り方のスタンスまでさかのぼり俯瞰して考える。
そうすることで世間やファンの方々を感動させられるのは、原作者・脚本家がこの先も失うことのないやりがいだと思います。
── まつうらさんの今後の目標を教えてください。
『私立パラの丸高校』のYouTubeチャンネル登録者数で100万人を突破したいです。地上波アニメ化や実写ドラマ化など、多様なかたちで二次展開されるIPに育てていきたいと考えています。
個人の目標は、社外から指名のオファーをもらえる作り手になることです。原作・脚本の仕事を「Plottのまつうらに頼みたい」と思ってもらえる存在となり、会社やチームの成長に貢献していきたいな、と。
「ちょっと変で、優しいオタク」が集まるPlott
── Plottで活躍している人の特徴はありますか?
「ちょっと変だけど、優しいオタク」でしょうか(笑)。自分の「好き」を追求して、芯を持って活動するメンバーが多いように思います。
ただの自分勝手とは違い、他者の「好き」を尊重できる器の大きさもあるメンバーがそろっているからこそ、働きやすいのかなと。
また、オタクの視点を仕事に活かしているメンバーもかなり多くいます。ビジネスとして利益を追求しながらも、「ファン」の想いを大切にできるのはオタクならではの強みです。
── 今のフェーズのPlottで働く魅力は何ですか?
ショートアニメ、webtoonをフィールドに急成長をしている会社ではあるため、カルチャーの最前線に立ちながら働けることです。
一方、少数精鋭で組織としてはまだまだ成長過程にあるので、入社してすぐのメンバーにも大きなプロジェクトを動かすチャンスがあります。
これを読んでいる皆さんが入社して携わった作品が、1年後には信じられないほどの巨大IPに成長している可能性も十分にあるわけです。
チームでありながら主体性を存分に発揮してエンタメに携わりたい方には、ぴったりの環境だと思います。
── 最後にPlottで働くことに興味がある方へ、メッセージをお願いします!
自分の弱みやダメな部分がなぜか愛されてしまう、Plottはそんな不思議な場所です。
オタクで推しへの情熱は半端なく高いのに、それ以外の部分で自信を持てないと言っていた人が、Plottに入社すると生き生きと働いています。
作り手としては、自分の弱さやコンプレックスに苦しんだ経験が、作品づくりの大きな原動力になることも多くあります。
私自身もずっと抱えてきたコンプレックスを武器に働いている一人なので、少しでも共感していただける方がいれば、ぜひ一度お話ししましょう!