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僕がランサーズにいる理由(ワケ)1 ~『努力する権利』を守りたい~

なぜ突然書こうと思ったのか

こんにちは。ランサーズの根岸です。ランサーズでCMOをやってます。


カンタンに経歴を紹介しますと、社会人の第一歩をフリーライターとしてスタートした後、ご縁があり人材企業に転職。約10年間プロモーション/マーケティングに従事し、2013年4月からランサーズに参画しています。


ランサーズでは、クラウドソーシング事業全般を担当しており、採用にも関わっています。その中で、「なぜランサーズで働いているんですか」という質問をいただくことがしばしばあります。しばしばというより、毎回かもしれません。そこで今回、「ランサーズとの出会い」をテーマにここに記すことで、少しでもお答えできたらと思います。


ちょっと長くなりそうなので、

1回目:なぜランサーズだったのか

2回目:クラウドソーシングモデルの社会的必要性

3回目:なぜ秋好と一緒にやりたいと思ったのか

の全3回にわけて書きたいと思います。その後も、ランサーズのミッションである「個のエンパワーメント」を軸に発信したいと(今のところ)考えていますので、少しでも興味のある方はお時間の許す限り、読んでいただけたらと思います。

原体験。出社しない生活。



ランサーズと出会う数年前、人生最大の出来事がありました。僕には双子がいるのですが、3歳の誕生日の頃、その片方が白血病になりました(担当医をはじめ周囲の皆様の協力によって現在は超元気です)。病気については聞いたことはありましたが、テレビで芸能人が白血病に倒れた、そんなニュースをみる程度です。医者から突然病院に呼び出され、別室で病名を告げられたときは、我が子の死を連想しました。その後医者から説明を受け、また自分で調べたりする中で治療法があることを知り、少し精神的にも安定したのをいまでも鮮明に覚えています。


病名を告げられた即日から入院生活がスタート。父母のどちらかは付きっ切りでの看病が必要でした。が、一方で健康なもう片方もいる。幼稚園に通っている。送り迎え、食事の支度など、当然こちらも付きっ切りでの育児が欠かせない。父である僕が仕事、母が看病という役割分担は不可能だったのです。


僕は、当時勤めていた企業の社長に、退職意向を伝えに行きました。あまりにも急だったため当然理由を聞かれます。説明しました。いまでも感謝していますが、社長は本当に親身になって対応を考えてくれました。事業推進と目標達成を約束に「どうしても必要なとき以外、出社しなくていい」という特例を認めていただきました。所属部門のメンバーにも事情を伝え、出社をせずインターネットを活用して仕事をする生活がスタートしたのです。


# 前職に迷惑かからないようあえて伝えておきたいことがあります。どんな事情があるにせよ、多数の社員がいる中、単純に僕を特別扱いすることはできません。会社のルールから逸脱せず(当時僕は管理職でした)、仕事としてやるべきことは結果を出す、というのが大前提での許可でした。 


病棟には、同様の病気を抱えた子供がたくさんいました。当然、僕と同様に、それぞれのお子さんにはご両親が付きっ切り。一日中近くにいるので、自然と話す機会も増えます。聞けば、みなさん遠くからきているとのこと。長野、静岡などさまざま。近くに治療できる病院がない場合や、空きベッドがない場合は、遠方でも引っ越してきているのです。僕は病院がある横浜に住んでいたので、病院の消灯後は帰宅できましたが、遠方から来ている人はそうはいきません。病院付近にアパートを借りて過ごしていました。裏を返すと、仕事を辞めているのです。どんなにやりがいを持って取り組んでいたとしても辞めざるを得ない。そういうことです。


病院生活が始まって数か月経過したころ、こんな出来事がありました。子供たちが寝静まったあとに、隣のベッドの脇で夫婦会議が始まったのです。「今月の家賃どうするの?」「どうするといっても仕事をやめたから収入がない…」「日中看病して夜働くか」「そんなの体がもたないに決まってるでしょ」「でも、もうさすがに借りられない」「…」「…」。会話は小声なのですが、静まり返った病室ではいやでも耳に入ってきました。


仕事ですか。我が家ですか。子供の命ですか。


1つしか選べないとしたら、親が出す答えは歴然。仕事も家も捨てた人たちがそこにはいたのです。子供の病気だけでも心労は相当なものですが、経済面でも不安を抱えていたのです。


結果の格差はいい。機会の格差をなくしたい。

僕は不幸中の幸いでした。

勤務している企業から、仕事の結果にコミットすることを前提に「出社をしなくていい」許可をもらえました。部門のメンバーが協力してくれたり、そもそも自分の仕事が、Webマーケティングというインターネットさえあればできるのも大きかったと思います。また、たまたま横浜という日本でも有数の大都市に居住していたことも。大きな病を治療する施設は全国各地と比較して相対的に多く、自宅から通えるところに、医療設備が整った病院がありました。タイミングもよく、ベッドが空いていました。


僕は、他の人がつきつけられてしまった問いである「仕事ですか。我が家ですか。子供の命ですか」に対して、例外的に、どれも捨てなくて済んだのです。


入院から1年後。冬だけど少し陽気な日に、息子は無事退院を迎えました。退院しただけでまだ完治ではなかったのですが、それでも何か大きな峠を越えた気がしました。僕以上に、肉体的にも精神的にも大変だった妻は安堵感を覚えていたようです。


少し落ち着き、考える余裕もできたときに、ふと思いました。


たまたま、病気の子供を抱えた。致し方なく、仕事を辞めないといけなくなった。致し方なく、家を捨てないといけなくなった。その結果、経済的に不安定になった。そして不安はやみくもに増幅していく。。。


何も悪いことはしていない。努力をさぼっていたわけでもない。にも関わらず、頑張る権利みたいなものを、社会の仕組みによって失った人たちがいる。その社会の仕組みのひとつは、仕事は会社に行ってやるもの。出社は当然という常識。もちろん、会社に行くことが悪いわけではない。出社することでより仕事が進むこともある。いや、今はまだ多いかもしれない。そもそも、この働き方の常識は悪いものでもなんでもない。むしろ、これまでの日本においては良いことのほうが多かったと思う。ただ少数かもしれないが、そのハザマにはまってしまう人がいるし、その極限的な人たちを目の前でみた。テクノロジーが進化しているから、解決方法は絶対にあるはずなのに。


結果の格差は仕方ない。それはその人次第。ただ、機会の格差はなくせるはず。インターネットがあれば、機会の格差をなくすことができる。なぜなら、僕がそうだったから。


クラウドソーシングという仕組みは、いつでもどこでも誰でも、その状況にあわせて働ける。ランサーズなら、インターネットを通して、誰もが自分らしく働ける社会を創れる。働き方の本当の意味での変革と普及は、時間はかかるかもしれない。でも時間がかかってもやりたい。無駄な不公平を減らせると信じて。それが僕の原体験から始まったランサーズにいる理由です。


ランサーズでは現在、エンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャー、マーケティングなど、働き方の多様性を普及させるために一緒に走ってくれる仲間を募集しています。すぐに一緒に働きたい方はもちろん、まずは話だけでも聞いてみたい方も、ぜひご連絡ください。


【次回予告】

次回は、僕が考えるクラウドソーシングモデルの社会的必要性について。を予定しています。労働生産性、グローバル、女性の働き方、地方などなど、日本が抱える課題は山積みです。僕の場合は子供の病気でしたが、たとえば介護をはじめ、本当に多様なライフスタイルの受け皿が必要になっていきます。一方で、テクノロジーの進化は留まるところを知らない。課題はあるが解決方法もある。あとはやるだけです。そんな中で、クラウドソーシングの健全な発展が、多様性が求められる社会に貢献できることは多いと考えています。

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