Gunosyが創業以来はじめて取り組むD2C領域の新規事業『YOU IN』。気分やシーンにあわせてお茶を選べる「ムードペアリングティー」という新しいウェルネス(物質的豊かさではなく、心身ともに健やかで満たされた状態を目指す考え方)を提案します。ではいったい何が新しい価値なのか、なぜGunosyがいまお茶なのか、そもそもYOU INってどういう意味なの…といった素朴な疑問を事業責任者の岡田さんに直撃インタビューしてみました。
岡田さん/YOU IN事業責任者
2017年5月入社。GunosyではiOSエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、開発チームマネージャーやアライアンスメディア事業部副部長などを経てLUCRA事業部責任者へ。LUCRA在籍中に新規事業を模索し、さまざまなトライアルを経てD2Cに可能性を見出すことに。現在、YOU IN事業責任者として今後重要視されてくるであろうウェルネスのあり方を提唱中。
ムードペアリングという新しいウェルネス
ーそもそもYOU INとはどういったサービスなのでしょうか
簡単に言ってしまえばお茶の定額制サブスクリプションサービスになるのですが、実はその裏側というか、背景にはかなり深い想いが込められています。まず、コロナ禍において自宅で過ごす時間が増えましたよね。それはすなわち、自分自身と向き合う機会が多くなったことをあらわしていると思います。
これまでと働き方や生活習慣にも違いが生まれ、なかなか思うようにならないこともありますよね。そんなふうにストレスを抱えてしまいがちな暮らしの中で、気持ちに寄り添ってくれるモノやコトがあるといいんじゃないか。それがYOU INが生まれたきっかけです。
ーお茶で気持ちを落ち着かせる、と
気分にあわせてお茶を選ぶというアプローチが新しいウェルネスの形ではないかと考えています。ふつう、お茶を飲む時って無意識だったりしますよね。もともと家に置いてあったお茶を、あまり何も考えずに飲む。そこに対して選択価値を与えたいんですね。
たとえば一息つきたいときどういうお茶があうのか。仕事に向かうときに気持ちを高めたいときにはどんなお茶があうのか。場面ごとに味わってほしいテイストをセレクトしてもらうことで、自分と向き合う時間やその時のあらゆる感情を受け入れる瞬間を生み出してもらうのがYOU INの概要になります。
ーそれがムードペアリングということ?
そうです。ムードペアリングとは単に気分やシチュエーションにあわせるだけでなく、いまその瞬間の気分や状態に向き合い、寄り添い、肯定するというウェルネスに基づく新しいライフスタイルなんですね。
いまの感情とか目の前の不安を受け入れて肯定して生きましょう、と。気分にあわせてその気分に浸ったり、あるいは気分を変えることだってあっていい。この体験価値を提供しているんです。そうすることで自分の機嫌は自分で取ろうとする人たちをサポートできるといいな、と。
ーでもなぜGunosyがお茶を?と思いました
「情報を世界中の人に最適に届ける」というGunosyのミッションがありますよね。いままでは運営するメディアを通じて情報過多の社会でも必要な情報を受け取れるように利便性に対して価値を提供してきたわけです。
そのGunosyが創業9周年を迎えた現在、「情報の量」という課題から、SNSの発展によって他者と比較し焦燥感を感じたり、時代の変化に追われ心身をすり減らすといった、触れる情報によって引き起こされる問題が生まれてきました。しかし、これらの問題はテクノロジーや無形サービスだけで解決するのは難しく、より人に近い場所で「モノ」を通し価値を生み出す必要があると思ったのです。
ーお茶を実際に製造しているのですか?
株式会社TeaRoom(※注)さんと連携しながら製造しています。企画や流通販売、さらに味を決定するティスティングなど、一緒にやっていますね。あと分量や配合などもディスカッションの上で決めています。
ーそもそもYOU INというサービス名の由来は?
YOUとINは、陽と陰どちらにも寄り添いたい、という意味を表現しています。良いときも、そうでないときも、いろいろなムードのあなたに寄り添う…そんな想いを込めました。ムードペアリングがそもそも一期一会に近い思想なんです。
一期一会というのはもともと千利休さんの言葉で、お茶会を開く際にそこで出会った人、そのときの景色やその瞬間は二度と訪れないから大切にしましょう、という意図。その考え方にムードペアリングはリンクします。
ー事業立ち上げまでのプロセスは?
もともとは僕がLUCRAの担当でして、その中で女性向けのサービスや、LUCRAを活用した事業ができないかと模索していたんです。いろいろな新規事業を検証し、その中でもっとも可能性が高いのがD2C。そこからさらにブラッシュアップして、現在のお茶に辿り着いたわけです。
ゆくゆくはみんなの考えるお茶のイメージを変えていきたいと思っています。お茶って日本が誇る文化だと思うんですよね。でも若い人を中心に嗜好や関心がコーヒーに移ってしまった。そこを僕らがReCreateすることで、お茶に対する意識や価値観を変え、次の世代につないでいければ本望ですね。
ーありがとうございました!
▼YOUIN公式サイトはコチラ!
(※注)株式会社TeaRoom
2018年の創業より静岡大河内地域に日本茶工場を承継。サステイナブルな生産体制や茶業界の構造的課題に対して向き合うべく、2020年には農地所有適格法人の株式会社THE CRAFT FARMを設立。サプライチェーンの上流から販売までを一貫して担うことで、循環経済を意識した生産・日本茶の製法をもとにした嗜好品の開発及び販売・茶の湯関連の事業プロデュースなど、東京を中心に新しいお茶の需要創造を展開している。