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「giftee for Business」事業責任者が考える“360度のビジネス” 迷わないために問う「ギフティがやる意味」

 法人向けのデジタルギフト事業であるgiftee for Business。LINEやTwitterなどのプラットフォームを介した企業のキャンペーンツールとして、その認知度を高めています。

giftee for Businessの創成期である2017年、新卒でギフティに入社し、いまやその事業責任者を務める篠塚大樹さん。最大1,000種類のラインナップから好きな商品を選べる「giftee Box」も、篠塚さんが立ち上げに携わった事業内のキープロダクトです。

長らくギフティを牽引してきた主力サービスのgiftee for Businessですが、篠塚さんは「登っていけばいくほど違う景色が見えてくる」と話します。

そもそも、to Cの「giftee」から始まったギフティ。そうした中で生まれたgiftee for Businessはギフティの中でどういった存在になり、今後どのように変わっていくのか。インタビューを通して、話を伺いました。

〈プロフィール 篠塚 大樹(しのづか だいき)〉

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、2017年4月に新卒として株式会社ギフティに入社。giftee Campaign Platformやgiftee Boxなど複数の新規プロダクトの立ち上げをリードしたあと、現在はgiftee for Business事業部の責任者として既存事業の推進や新規事業の探索に従事。

事業の成長は「真っ直ぐ」ではなく、「同心円状」。

──篠塚さんは現在giftee for Businessの事業責任者とのことですが、どのようなことをやられているのですか。

事業部の本部長ということで、セールスやプロダクト、エンジニアなどそれぞれ専門のメンバー80名ほどのマネジメントをしつつ、giftee for Business事業を統括しています。

それ以外にも、新事業の考案や投資先との連携、デザインやマーケティングの横断組織づくり、と色々やっているのですが、総じて言えば、「ギフトの第一想起」を取るため、日々取り組んでいるという感じ。

giftee for Businessで言うと、「ギフトだったら、とりあえずギフティに相談すればいい」「あそこに聞いておけば、なにか教えてくれるだろう」というところまでもっていくこと。

現在、好きなギフトを選べる「giftee Box」と、さまざまなスマホ決済サービスのポイントから好きな商品と交換できる「えらべるPay」で、ある程度、ギフティの単独指名が来るようにはなっているのですが、もっと先を見据えています。

お客さまの課題に合わせ、一辺倒のパッケージの提案ではなく、たとえば「半年後に迎える創業50周年のときには、〇〇なギフトもいいんじゃないですか」と、個別に提案できたり、コンシェルジュ機能のようなものを作ってオーダーメイドっぽくギフトを作れたり。

giftee Boxのような汎用性の高いものもあれば、そういったパーソナライズされたものもあるような状態、「ギフトのインフラを作る」というところを目指しています。

一般的にどの事業も、どこかで成長の天井が見えてくるのかもしれないですが、いまはまだ登っていけば行くほど違う景色が見えてくる。そしてそれは真っ直ぐに進んでいるのではなく、同心円状に膨らんでいくイメージ。

ギフトというのは因数分解すると、誰に/なにを/いつ/どう配るか、という要素に分かれ、それぞれに考えることがあり、giftee for Businessであれば、法人によって課題となっている領域も異なる。また法人自体も、千差万別。

そしてそれぞれの前線には、プロダクトやマーケなど、各ポジションにメンバーがいて、各々の角度と視野で向き合っている。従業員向けのギフトを考えながら、自治体向けの事業を立ち上げたり、といったことが同時多発的に起きています。それがgiftee for Businessの面白いところであり、難しいところだと思う。だから僕がその円を俯瞰して見て、「こっちかな」と旗を立てています。

──そもそもギフティと言えば、to Cの「giftee」から始まりましたが、いまでは法人向けの「giftee for Business」が大きな存在感を示しています。この「giftee for Business」のギフティ内での存在意義は、どのようなものでしょうか。

当然ですが、まずディストリビューションチャネルとして大きいですよね。to Cだけをサービスとする場合、かなりの規模にならないと、事業的に長く収益が見込めない。

それにやはり、マーケットをひとつの立体として捉えたとき、チャネルが多いというのは、それだけ多くの面が取れている、ということになる。いま社内で掲げている「第一想起を取る」というのは、この面の多さ、面積の広さの話だと思っています。

企業のキャンペーンでもらったことがある、電車に乗っているときに目にしたことがある、自分の働いている会社で福利厚生で配られたことがある、住んでいる区から子育て支援でもらったことがある、というかたちで、to B、つまり「giftee for Business」のかたちを取ることで、いろんな状況が作られていく。

いま要となっている「giftee Box」も、たとえば「special box」みたいな名前が考えられたけど、あえて「giftee」と付けているのは、いろんなシーンで根付いて、想起してもらうため。そういうふうに、多様な面を取って、事業を立体的にしていくというのが「giftee for Business」のひとつの意義かと思います。

ギフトは人類に根付いた文化。「この時代にデジタル化されるのは当然」

──デジタルギフトを扱っている企業はほかにもありますが、なぜ「giftee for Business」はこんなにも成長しているのでしょうか。ギフティの強みはなんだと思いますか。

一言では表せませんが…。たとえば、他のメンバーのインタビューでもよく語られる「ギフティらしさ」というのがひとつの答えかもしれません。機能性、プラクティカルな面と、情緒性、エモーショナルな面のバランスというか。

法人向けのプロダクトを作ろうとしたとき、定量的な面だけを考えて作ってもよい。たとえば、デジタルギフトが売れる、ということだけを考えるなら、Amazonやコンビニのそれだけを扱っていれば数字にはなる。でも、ギフトというものの性質を考えたとき、かっちり定量化されたものって微妙なんですよね。

ギフトって、to Cとか、to Bとか関係なく、人の営みの中で現れてくるもの。そこには感情が介在するので、どうしても人肌、温もりのようなものが必要になる。そこにギフティらしさがあって。

たとえばデジタルギフトを受け取ったときに、ギフトが上から落ちてくる演出とか、企業だけではなく自治体向けサービスも展開して地域に密着しているとか、それももちろん、この情緒性。ギフティらしさなんだけど、もっと包括的に言うなら、マーケットを「長期的に見る」という姿勢が、それにあたる。

なぜ射程の長さを大事にするかと言うと、ひとつはギフトの成り立ちに関係していて。

アカデミックな分野では、「ギフト」は「贈与」という概念として扱われます。たとえば文化人類学では、ある社会や民族における「贈与」の慣習の観測を通して人間を理解しようとする研究が多くある。

こういった研究分野が、アカデミックに存在するくらいに「贈与 =ギフト」は人間の営みに深く根ざしています。そのため、仮に人類がまるごと火星に移住したとしても、「ギフトを渡し合う」という行動は観測されると思うんです。

だから「デジタルギフト」というと新しく感じられるけど、「ギフト」を人類の時間軸で考えると、とても長く、ずっと存在してきたものと言える。そしてそれがこの時代にデジタル化されるというのは、ある種当然のこと。

そういう文脈の中で考えたとき、やっぱり短期的に、とか付け焼き刃的に、とかでなにかをするのは違う。人間の行動とか、カルチャーを考えたりする必要があるから、必然的に長期になる。

そういうふうに大きく、全体的に、長い目でギフトを捉えられているのがギフティの良いところ。to Cのカジュアルギフトで事業を始めて、上場するまで10年。そのときに「ギフティってまだあったんだ…」と言われたことがあったけど、それは短期的に花火を打ち上げるようなやり方ではなく、コツコツ、アセットを積み上げてきたから。

これがギフティの最大の特徴であり、「giftee for Business」がここまで大きく成長した理由だと思います。

大きくなったからこそ、問い続ける「うちがやる意味」。

──事業の射程を長く取る。そしてそれをメンバー1人1人が、同じミッションを見据えて共有していると。篠塚さんは、いま未来に向けて、どのようなことを考え、実践しているのですか。

やっぱりやるべきことは、既存事業の推進と、新規事業の探索ですよね。第一想起を取るために、既存事業は伸ばしていきつつ、新しいこともやっていく。たとえば、海外には会社から従業員へ、もしくは従業員同士でギフトを贈りあえるサービスが数多くある。

中には人事マスタと連携しておくことで、従業員の誕生日に会社からのお祝いのギフトが自動で自宅に届くような機能などもあります。海外には海外の文化があるので、そういった文脈を考慮しないまま同じようなサービスを日本に持ってきても、上手くいく可能性は当然低い。

ただ「企業と従業員のつながりの強化」という抽象度で考えれば、ギフトができることはたくさんあるはずだと思うんです。

そこで「じゃあ、うちがやる意味はあるのか、サービスが良くなるのか」と考えてみる。まずはマーケットの時間軸と照らし合わせたとき、どう考えられるか。

長期で構えないとマーケットに本質的な価値を届けられない領域、つまり他社が入りづらいような領域こそ、長期で考えるギフティの主戦場になる。

そのうえで、これまでの積み上げてきたアセットだったり、持っているチャネルだったりを考えたときに、より大きなサービスにできるか。

そこまで考えて、ありだね、となるか、違うよね、となるか。そういうふうに「ギフティがやる意味」を、常に考えていきたい。

──最後ですが、今後ギフティにはどのような人が入ってきてほしいですか。

好奇心のある人ですかね。やっぱりギフトというのは、人間の営みに近いところにあって、人間が多様ならギフトも多様になる。

「giftee for Business」で言えば、360度を向いている。当然、それを1人でカバレッジするのは無理だから、組織でやっていく。そう考えたとき、それぞれの興味は広いほうがいい。

重なり合っていてもいいけれど、同じ方面を向いていて、その方向だけが濃いというのは違う。ギフティの採用コンセプトのひとつとして「嫌いは共通していてほしいけど、好きはバラバラでいい」というのがある。

根幹の人間性は合っていてほしいけれど、興味はバラバラでいい、という意味です。だからこそ、いろいろな方面に興味関心が向いている人と、一緒に働きたいと思います。


(取材・文・撮影・編集:清水 翔太)

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