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まちづくりの担い手と雇用が減る地方こそ自営力を身につける起業家教育を!

宮崎県都農町で今年の3月に卒業した小学生は89人
10年後、20年後に、はたして何人が都農町に住んで働いているのか?

いま28歳の学年は110人、現在、都農町に住んで働いている人数は、5人しかいません。

都農町に限らず、全国の過疎地域、小さな町に共通する課題。

ぼくが思う地方の起業家教育における起業家はスタートアップというよりは「自営業者」です。

Uターンしたくなったとき、
雇用されなくても、自立して自営できる力
を身につけてほしい。

そんな思いで、これまで都農町で取り組んできたこと、国の起業家教育の現状を踏まえて、今後、起業家教育で企画していきたいことを紹介します。

1.総合学習で起業家教育

ぼくらは都農町の小中学校で、2021年から総合学習を年間15〜24時間活用し、まちづくり・起業家教育に取り組んでいます。

都農中学校の総合学習「つの未来学」では、4年目を迎えて今年の9月に中学3年生が自分たちで考えた商店街のイベント企画をリアルに実現することができました。

ぼくらが10万円出資、模擬会社5社を設立、カフェ・古着屋・Dr,YATAI(健康相談)・巨大すごろく・みたらし団子など開店に必要な食材や備品を仕入れて商店街の真ん中で平日に5時間、「みちくさ市」を開催しました。

売上228,070円を自分たちで稼ぎ、利益も116,243円残せました!

全校生徒に中学校が実施した意識調査では、「将来、都農で会社をつくりたい」と答えた中学生が全体の15%近く。この数字をKPIの一つとして、一人でも多く、起業(自分で稼ぐ)ことに関心を持ってもらったり、実体験をしてもらおうと思っています。

2.地域クラブで起業体験

総合学習でまちづくりや起業の素地をつくり、関心を持った中学生たちには、深められる選択肢をつくりたく、昨年度から地域クラブ「まちづくり部」を創部。

現在、7名の中学生が日々ぼくらのオフィスへ来て一緒に活動をしています。

彼らが昨年度、一番楽しかったのは商店街イベントに出店してお金を稼いだこと。

売上は稼げたけど経費がかさんで赤字
原価を下げることを学んでわたがしに挑戦!

中学生たちに、稼ぐのも大事だけど、もっと大事なのは儲けること=利益を残すことという話はちゃんと伝わってました。

驚いたのは、タブレットで原価をさげるやり方を調べてた中学生が

FL比率60%以下にすればいいんだよね

と聞いてきたこと。

飲食業でないと大人でも聞き馴染みのない指標
(ちなみにFood&Laborコストの略で食材仕入と人件費)

デジタル化の恩恵を実感。
過疎地の中学生でも、検索のヒントを提供すれば、都心の大人と同じような情報をもつことができる時代。

中学生たちの起業やお金を稼ぐことに、可能性を感じる出来事でした。

もうひとつ、まちづくり部の中学生たちに体験してもらいたいと思っているのが本物の起業家・経営者との出会い。

先日は、楽天共同創業者の小林正忠常務が都農町へ遊びにきてくれ、中学生たちと30分ほど交流!

起業に大切なこと、成功の定義など、奥が深くて濃いーー話を!

ぼくが起業に一番大切だと思ってることは、起業家と身近に接することのできる環境です。

ぼく自身は、学生時代に起業なんてことは考えもつかなかったし選択肢にもありませんでした。

ところが、最初に入った会社で新規事業開発部に配属、新しいことをやる楽しさに目覚めてしまいました。

さらなる楽しさを求めてベンチャー企業に転職、創業者との接点、憧れや、いつの間にやら周囲が起業家や経営者ばかりになっていき。

気がつけば、自分も経営に携わって起業もすることに。

ということもあり、過疎地域の都農町で、ぼくが一番こだわりたいのは、起業や経営を身近に感じてもらうこと。

起業家教育は経済産業省、文部科学省と力を入れています。いいことだと思います。

まちづくりの文脈もあわせて考えると、地方、特に過疎地域においては、対象者となる子どもたちにとっての意義だけではなく、地域にとっても、自ら稼げる自営業者・起業家を育成できれば、雇用が少ない地域でもUターンする人は増えるのではないのでしょうか。

ただ、リソースが少ない地方にとっては、起業家教育について、都心の学校と教育格差がついてしまうのではないかと懸念します。

先生や学校には荷が重すぎるテーマ。町を挙げて取り組んで欲しい。

地方こそ、起業家教育を!と思う理由です。

3.起業家教育の現状


中小企業庁による開業率の国際比較。
日本は海外先進国に比べて、開業率が著しく低くなっています。

(参考)「科学技術指標2024」「中小企業白書」

起業家教育を強化すべく、経済産業省も力を入れています。
(以下のデータ参照「生きる力」を育む起業家教育のススメ  経済産業省

起業家教育の実施率は、中学校で3分の1弱、小学校で1割ほどが実施

講演や訪問・体験が主流をしめるなか、ぼくらが都農町で取り組んでいるような店舗出店や模擬会社設立は1割ほど実施されているようです。

満足度は、起業体験まで実施している中学校のほうが大幅に高く。

起業家教育による効果は、「稼ぐ」ということ以外にも、汎用的なスキルとして得られる結果となってます。

導入時の課題では、外部との連携が断トツ。

もともと起業家教育そのものが、学校内、先生たちの経験では難しいため、当然といえば当然の結果。ここに対して、ぼくら外部の人間も、より積極的に提案していくことが大事。

4.まち起業塾の企画

上記のデータでは詳細を確認できませんが、おそらく、都心と地方にわけたときに、地方の小中学校での実施率は大きく下回るのではないかと思います。

まちづくりの未来を考えると、教育の範疇だけではなく、まち全体として起業家教育に取り組むべきです。

起業家教育には、そもそも起業家の存在、そして起業家と学校の間を翻訳するコーディネーターの存在が不可欠です。

ぼくらが次にやりたいことは、地方の小さな町、過疎地域で横展開できるような起業家教育のモデルづくり。

紹介した総合学習・地域クラブと合わせて、あらたに「まち起業塾」の構想を練ってます。

いまの「まちづくり部」から、さらに「起業」「稼ぐ」にフォーカスして、実際に資金調達して本当に事業を起こすところまでぼくらも伴走できるような、リアルな塾。

自治体や商工会・JAなど巻き込みながら、「お金を稼ぐ」楽しさとスキルを体感できるプログラムをつくりたい!

起業家というと、独創的なアイデアとビジネスモデルなどの戦略、資金調達といったイメージがありますが、ぼくが思う地方の起業家教育における起業家のイメージは、「自営業者」「フリーランス」に近いです。

Uターンしたくなったときに、農業でもいいし、後継でもいいし、東京からの受託業務でもよいので、雇用されなくても、自立して自営できる力を、学生のうちから体験とリアル起業家との出会いを通して身につけていってほしい。まちづくりの担い手を確保し、まちの未来性が担保されるために。

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