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ファシリテーションにとどまらず、自ら一緒に参加して盛り上がりをつくる人=ジェネレーター(生成する人)のあり方。
まちづくりやベンチャー経営の現場でファシリテーションをしていると、単に円滑に進行して参加者の意見を引き出すだけでは問題を解決できないことが多いものです。
立ち位置を模索していたときに、前職で共同研究をしていた慶應SFCの井庭崇さんから「ジェネレーター」というあり方を紹介され、これだ!と確信、以来、自分のコミュニケーションやファシリテーションにとって、もっともしっくりくるスタイルです。
そんなジェネレーターについて、提唱者の市川力さんと井庭崇さんの新著をいただきました。ありがとうございます!
1.生成する人
ジェネレーターという聞き慣れない言葉を、本では冒頭でわかりやすく解説されています。
ジェネレーターは一緒に参加して盛り上がりをつくる人、自分も参加者。好奇心が生成(ジェネレート)されることが出発点。本当に面白がってしまうというマインドセットから「ジェネレーター」のあり方が生まれる
ファシリテーションをやってると、少し引いた立ち位置で、持論を出さず、聞くことに徹して、客観性と全員参加を促すことが求められます。
それはそれで、とても重要なのですが、ぼく自身の日常に照らし合わせると新しいアイデアが必要なときや、リスクを伴う重要な意思決定をするためのワークショップや議論が多いため、客観性だけでは望ましい答えにたどりつけません。
といって、自分が全部アイデア出して自分で決めてるのでは、みんなでやってる意味もなく、何よりも、自分の引き出しだけ=既視感だらけのつまらないオチに陥ります。
そんな課題を解決するスタイルがジェネレーターだと思ってます。
基本、ゴールに向かって、みんなの意見を引き出したり、消極的な人がいたら意見を出しやすいようなムードをつくるファシリテーションの基本はまっとうしつつ、自らも一員としてアイデアを出していく感じ。
プレイングマネージャーならぬ、プレイングファシリテーターという感じでしょうか。
あとは、本でもわかりやすく書かれているように、いかに相手の意見に対して積極的にのっかっていけるか、がポイントです。
参加者の「思いつき」の発言を受け止め、何か違う意味を見出し、それを場に出して返す。コミュニケーションとしてつなぐだけでなく、新たな意味を付加して返すことで、当初の話からはズレるが、ズレこそ創造的。
2.使い分けのセンス
これからはファシリテーターではなくジェネレーターだ!的な二項対立の議論ではなく、コミュニケーションの引き出しを増やすという意味で捉えることが重要だと思います。
本の中でも、わかりやすい対比がありました。
学びのスタイルが、正解や効率を求めるものから、たくさんの情報を共有・分析、話し合うことから、正解のないものをともに考える、つくることが増えているため、それにあわせて学びの支援者の役割が変わってきます。
一緒に何かをつくりあげる仲間であることがデフォルト。知識を伝える必要あればティーチャー、場の雰囲気がまずければファシリテーターというように使い分けていく必要があります。
3.的を射てない意見
市川力さんの東京コミュニティスクールでの子どもたちとの学び方に共感しました。
小学生のプロジェクトは、子どもたち自身が見つけたテーマに取り組むものではなく、スクール側が子どもたちに学んでほしいミッションを決め、天から降ってくるように手渡すやり方。
「自主的探求ではない」「大人が介入しすぎ」と懐疑的にも受け止められたが、子どもが好きなことをする、やりたいことを選ぶ、ということと好奇心を持つということは違うのではないかという問題意識があった。
好奇心とは、どんなものが来ようとなんでも面白がることなのではないか。そんな思いがいつも胸の中を去来し、好奇心が開かれる場作りを目指すようになった。
好奇心を開くためには、みんなでともにたくらむことがカギを握る。その中に大人の私も没入していく。
ちょうど昨日、都農中学校で、新任の校長先生や担当する先生たちと昨年1年間の総合的学習の時間で僕らが15時間の枠で担当している「つの未来学」の振り返りと今年度の企画会議をしていました。
どこまで大人が誘導するのか、任せすぎてるのではないか、など関わり方についてはいつも悩ましいところではありますが、今年度は、よりフラットに一員として参画するスタンスを強めていこうかな、と思ってたところでした。没入しよう!
もうひとつ、これまでの自分のやり方に正当性をもらえたような気になったのが、「的を射てない意見」です。
いつも恥ずかしげもなく「的を射ていない意見」を言っているにすぎないのだ。ジェネレーターにとってはマイナスではない。むしろ素直に思いつきをさらけ出すことが何かを生み出すきっかけになる。自分がすごい意見を言わなくていい。自分がまとめなくていい。けれども相手はどういうことを言おうとしたのか、ある事柄を聞いてどう思ったのかは見逃さない。そして相手の考えに触発されて、自分が思いついたことを述べる。それが心を柔らかくしているということなのだ。
ぼくの場合は、「B級アイデア」と称して、思いついた順からレベルはお構いなしに発言するようにしているし、若い人や子どもたちと議論するときも、おすすめです。
特に高学歴の人とか優等生タイプは、A級アイデア出そうとがんばっちゃうので、B級とかC級のすすめを強調してます 笑。
入口を低くすれば、安心してたくさんの意見が出るので、その中でピンときたものに食いつき、好奇心のおもむくままに拡散していく、みたいなプロセスをとっています。
4.「面白がり力」につきる
どうすればジェネレーターになれるか、ジェネレーターとしてのスキルはどう身につけていくのか?と問われたら、迷うことなく「面白がり力」をつけると答えます。
「面白がり力」については、井庭崇さんと出版した「おもてなしデザイン・パターン」でとりあげていますが、また改めて、紹介したいと思います。
1万人のまちづくりをしていく3年目のベンチャーとしては、日々、ジェネレーターの役割が求められるので実践あるのみ。
まちの人たち、小・中学生と一緒に面白がりながら新しい価値を生成していきたいと思います。