Web3スタートアップのGaudiyで主にBizdevとコミュニティマネージャーを担当している跡部(@santaasaservice)です。本記事は、2022年11月29日に公開したnoteの転載です。
GaudiyはWeb3×エンタメ領域でファンコミュニティサービスを運営しているのですが、Gaudiyに入社する(した)メンバー、そして関心を持っていただいている方から、ほぼ例外なく「うん、なんかすごそうだけど、よくわからない会社w」という感想をいただきます。(かくいう私もよくわからないままGaudiyにJOINしました。笑)
そこで今回のnoteでは、Gaudiyが提供するファンコミュニティサービスの特徴や、コミュニティ運営で大事にしている思想、向き合っている課題などについてお伝えしていきたいと思います。
ファンコミュニティやファンマーケティング、ひいてはGaudiyのサービスに少しでも関心がある方に、暇なときにでもご参考いただければという気持ちで書いていますので、よければご一読ください。
ファンコミュニティが注目されている理由
『ファンコミュニティ』については、おそらく個々の企業が向き合っている事業ドメインによって印象が異なると思いますし、人によっては馴染みが薄いのではないかと思います。
しかし、『ファンマーケティング』や『コミュニティ』という言葉にするともう少し範囲が広がって、プライベートまで含めると自然に触れている方も多いかもしれません。
本論に入る前に、なぜ『ファンコミュニティ』が注目されているのか、について2つの角度から軽く触れてみます。
①ビジネスにおけるコミュニティの有用性
最近だとカスタマーサクセスの一環で、ユーザーとのオフライン交流をはじめとするコミュニティ活動が広がってきた印象があり、ビジネスとしてコミュニティを活用するケースは徐々に一般化してきている印象があります。
一方で、コミュニティの価値、特にビジネス的なユースケースにおけるポテンシャルはもっと多岐に渡ると感じています。
FoundX馬田さんのスライドがわかりやすかったので引用させていただくと、例えば下記はコミュニティを運営することで実現できることの一部です。
- マーケティング:一定数のファンをストックしたコミュニティ内での効率的なプロモーション(マスマーケ費用の削減)
- プロダクト改善:β版やABテストの実施、素早いユーザーフィードバックの獲得
- セールス:ロイヤルユーザーに向けたアップセル、クロスセル施策
- 採用:ファン化したユーザーのアンバサダー登用、採用
- カスタマーサポート:問い合わせ導線の集約、簡素化 etc.
出典:コミュニティマネジメントとは何か、なぜ今重要か / これから始めるコミュニティマネジメント入門 (1)
"顧客と「つながり続ける」ことが競争力につながる時代になってきている"
引用:同上スライド
他にも、ビジネスにおけるコミュニティの有用性が語られています。
"ウェブの第3段階になると、SNS中心ではなく、コミュニティを介して、情報が伝達する"
引用:『コルク』コミュニティ型化まとめ
②ファン主体のサービス設計の重要さ
ビジネス的な捉え方に加えて、時代の変化もファンコミュニティを語る上で重要な切り口となり得ます。
例えば『プロセスエコノミー』の中では、従来のアウトプットエコノミーからの変化が語られています。かなり端折ってかつ主観も交えたまとめ方をすると、こんな感じでしょうか。
作られるモノ(アウトプット)のクオリティが上がり、モノ(アウトプット)自体での差別化ができない時代になってきている。
制作過程(プロセス)に込められた作り手(クリエイター)の想い(ビジョン)やストーリーに対して人は時間とお金をかけるようになりつつある。
少し飛躍しますが、完成品のクオリティのみで勝負をする「消費」の時代から、プロセスから巻き込みファンと「共創」する時代になりつつあるとも言えるかもしれません。
Gaudiyが提供するファンプラットフォーム『Gaudiy Fanlink』のプロダクトビジョンはまさに、ファン(ユーザー)との "共創" を起点に、なめらかな価値の還元を実現していくことです。
コミュニティマネジメントってなに?
前提としてのコミュニティの重要性に触れたところで、”仕事”としてのコミュニティマネジメントについてお伝えしていきたいと思います。
正直、このnoteでは「一般的なコミュニティマネジメントとは?(ドヤっ!)」を偉そうに書くつもりも書ける度量もないので、Gaudiyが取り組んでいるコミュニティマネジメント、という前提で書き進めていきます。
むしろ、コミュニティマネジメントはこうである!と言うご知見などはぜひ
とも勉強させていただきたいので世の先輩方、何卒🙏
① ファンとの共創をベースにコミュニティを形成する
Gaudiy Fanlinkを運営する中で、コミュニティマネージャーが特に意識しているポイントが2つあります。
1つ目は「ファン(ユーザー)との共創」をベースにコミュニティを形成していくことです。
その理由は、上述した「消費から共創へ」の重要性と重複する部分もありますが、共創パートナーであるIPホルダー(企業)またはGaudiyのコミュニティマネージャーが主体となって運営すると、「運営:ファン」という「1:N」の構造となってしまい、"供給されるコンテンツをファンが待つ"というコミュニティになってしまいます。(そうすると、結局アウトプットを消費するだけになり、継続性は醸成されづらくなります。)
そこで大事なのは、この「1:N」の構造を、「N:N」にしていく仕掛けです。私たちはここを強く意識しています。
例えばコミュニティ開設直後から、ファン自身が望んでいるイベントアイディアを拾いにいったり、種々ある推し活の中で特に時間を割いている創作活動をヒアリングしたりなど、まず特定の数人の「やりたい」「シェアしたい」をコミュニティの中で叶えにいくアクションを取ります。
実際に何らかのイベントを実施する際には、ファンの方に取りまとめを主導していただいたり、近しい同士に呼びかけしていただくなど、実行に必要な役割を担っていただいてます。そのように、徐々にフラットな関係性を構築して共創の土台を作っています。(※そうそう簡単にはいきませんが笑)
② DAO的でWeb2.5志向の運営を行う
2つ目はDAO"的"でWeb2.5志向の運営です。
※このnoteではDAOやWeb3などの難しい話は極力省いていきます。
詳しくは代表の石川さんのnoteがおもしろいのでどうぞ。
1点目で言及した「共創」の話の中で、ファンに役割を担っていただくと言いましたが、Gaudiyではいわゆる自律分散型組織(DAO)で"完全なるファン主体"のコミュニティを目指しているわけではありません。
二次創作などファンの方がアウトプットするUGC(ユーザー生成コンテンツ)によってコミュニティが活性化していくことはとても喜ばしいことですが、Gaudiy FanlinkはIPホルダーである企業が公式に提供するファンコミュニティでもあるため、そこにはエンタメ企業としてのビジネスゴールが存在し、そこに到達していくための共創が必要になります。
(もちろんファン体験を最高にすることが企業とGaudiyの共通テーマです)
例えばファンコミュニティを介して、特定のコンテンツの創出(新曲や新しいキャラなど)を目指して共創する場合、完全にDAOとしてファンに委ねてしまうと本当におもしろいものが出てくる確率は低くなってしまうと想像します。(IP関連のコンテンツは当然プロのクリエイターが関わっているため)
そのため、IPとしてはどのようなビジョンを持っていて、今回なにを目指してファンの力を借りたいのか、場面場面で適切な旗振りは必要になってくると考えています。
Gaudiy Fanlinkで実現したいこと
ここまで背景や思想的なところに触れてきましたが、「で、結局Gaudiyはどんな価値を出せているのか?」の核心に少しだけ迫りたいと思います。
(多分、まだGaudiyのサービスよくわからん状態だと思いますので。笑)
まずはIPに関する公式コミュニティという位置付けのサービスなので、IP自体に貢献できているかの観点に触れます。
1. ソーシャルゲームコミュニティ運営による効果
・課金額UP、販売原価削減
・ゲームユーザーのチャーンレート低減
2. 漫画コミュニティ運営による効果
・NFT配布特典によるオフラインイベント来場促進
・NFT配布特典による購買促進
3. アイドルコミュニティ運営による効果
・NFT配布特典によるCD/DVD購買促進
・ライブのNFTチケット販売
などなど、コミュニティでのエンゲージメント向上によるIPサービスのリテンションへの影響や、NFTなどの技術活用によるKPI向上が、Gaudiy Fanlinkに期待されていることの一部であり実績となります。
とはいえ、便宜的に実績という触れ方をしましたが、私を含むGaudiyのメンバーが誇らしげに実績を語れるかでいうと、全然まだまだだとも思っています。ファンの方々を熱狂させられているか?パートナー企業の方々に示したい成果を十分に出せているか?自分達の実現したいビジョンに到達できているか?と問われると完全に「No」で、足りないことだらけな現状です。
次のパートで、苦悩(おもしろさ)について触れたいと思います。
Gaudiy Fanlinkの運営は順風満帆なのか?
結論から言うと、悪戦苦闘の真っ只中にいます。
もちろん資金調達やパートナー企業との協業が着々と決まっており、本当にワクワクするプロジェクトが沢山控えているのはとても幸運な状況で、その中でチャレンジできていることに自分自身は満足しています。
一方で、コミュニティマネージャーとして日々パートナー企業と実際のファンと向き合っている中では、圧倒的困難(=やりがいと変換してください)と対峙しており課題が山積み状態です。
どんな難しさ、課題があるのかを以下にざっくり一部まとめてみます。
①3つのステークホルダーの存在
ファンを最優先にしつつも、以下3つのステークホルダーでバランスする必要があるため、同時に要件を満たすのが苦難の技。
1. ファン体験を最大化する(toC視点)
2. パートナーのビジネスゴールを達成する(toB視点)
3. Gaudiyのビジョンに向かって邁進する
②toB/toC双方で求められるプロフェッショナル性
・いわゆるBtoBtoCのサービスであり、コミュニティ運営においてtoB向けの職能とtoC向けの職能がハイレベルで求められる。
・加えてエンタメ領域であり、一般的なC向けサービスの経験に加えて、推し活やオタクとしての資質も超重要。(私にはこの資質は皆無)
③IPごとに異なるファン属性
・エンタメは大海原。ゲーム?漫画?スポーツ?などでファンの属性が多種多様。(漫画一つとっても多種多様なジャンルがあり、読者層は作品ごとに大きく異なる。)
・Gaudiy Fanlinkは1つのプロダクトだが、IPごとにファンが異なる。
・特定コミュニティでの成功事例が必ずしも転用できるとは限らない。
④ファンコミュニティ単体での事業KPI達成
・大前提、コミュニティは銀の弾丸ではない。
・IP本体への実績は作れるものの、直接的かつ単純な成果がコミュニティの中では見えづらい。
・一方でパートナーは新規事業としてファンコミュニティでのリクープを期待している。
・もちろんGaudiyとしても実現したい。
などなど、より多くのステークホルダーを幸せにするためには多大なる努力が必要で、まだまだできていないことが山積みです。
↑こんな感じの難解な問いに日々向き合ってる感覚です…!
最後に
一見単純そうでワクワクするファンコミュニティのマネジメントですが、超絶複雑で超絶やることに溢れて大変です。
そんな中でも、ファンの声、共創パートナーからのポジティブなリアクションが見えるたびにやりがいを感じることが多いですし、日々トライすることが世の中的に新しい試みばかりなのがかなり刺激的です。
最後に改めて、GaudiyはWeb3×エンタメ領域でファンコミュニティサービスを運営しています。(全く理解度が上がらなかった方々、ごめんなさい。笑)
会社のビジョン、事業、組織、はたまたコミュマネという役割自体に少しでも関心を持っていただけたら嬉しいです。絶賛一緒にチャレンジしてくれる仲間を募集していますので、お待ちしています!