立教大学観光学部のクラスで、UDS株式会社代表取締役会長の梶原が「ホテルをデザインしよう」をテーマに、UDSのホテル大量供給時代の差別化戦略をお話しさせていただきました。(会場:まちに開かれた社員食堂「リラックス食堂原宿」)
梶原は、UDSの事業の傍ら、これまで2005年から東北大学大学院 建築学科で非常勤講師としてプロジェクトデザインをテーマに、2014〜17年は立命館大学大学院 客員教授(建築学)としても講義の場をいただいています。今回は、立教大学観光研究所 特命研究員の池尾 健氏のご紹介から登壇させていただきました。
▲立教大学観光研究所 特命研究員の池尾 健氏
日本をとりまく環境の変化を読む
はじめに、日本の環境についてデータを読み解きながら解説をしていきます。
「推計人口などのデータをどう見るかが特に若い世代の皆さんには大事です。これから50年働くと考えたときに、50年後に日本がどのような経済状況になっているのか、そこでどのような仕事をしているのかを想像して、進路を選んでいくのが良いと思います。いい環境を選んで自分の興味と繋げていくことが大切です」
日本の人口減少や年金の問題、国債残高とGDPを比較した数字などから、日本の厳しい環境を分析していきます。
一方、観光業界における明るい兆しとなる数字として、訪日外国人数を挙げ、2017年には2,869万人に達し、2020年に4000万人、2030年までに6000万人目標との推移を追います。その中でも、「約3/4は東アジアからの訪日客。中国に6年間住んでいた私の実感として、今後中国からはもっと日本を訪れてくれる可能性があると思っています」とこれからの可能性を語りました。
地域の魅力を伝え、愛着をもてるUDSのホテルづくり
需要が増えるのと同時に、供給も増えていくので競争はさらに激しくなることが予想され、差別化をしっかり図ったホテルづくりが重要になってきます。
UDSがこれまで手がけた、ホテル カンラ 京都、ホテル アンテルーム 京都、HOTEL LOCUS等それぞれの、マーケット分析からコンセプトづくり、設計から運営まで反映させていったプロセスを具体的に紹介。地域の魅力や建物の特徴をいかしながら、運営までそのコンセプトが継続するホテルづくりを伝えます。
▲「ホテルマン×漁師」としてHOTEL LOCUSのコンセプトを体現する運営アクター
「UDSは、会社の名前やホテルのブランドを前面に押し出すことはせず、ホテルで働いている人やプロジェクト自体を前に出しブランディングを行なっています。働いている人が『自分のホテル』だと思えることが大事で、企画や規定に合わせるのではなく、自分で考えて掘り下げてそれを形にしていくことができるようにしています。『自分が働いているホテル』から『自分がつくったホテル』という意識に変わっていくことで、想いがうまれるのだと思います。」
講義の後には質問を受けながらのディスカッション。「経営者とクリエイティブのリーダーはどのように両立していますか?」との問いには「役割分担はきちんとしています。一人で会社を立ち上げた時から、チーム作りを考えていました。自分と同じ価値観を持ちながら、強みや経験は異なる仲間を集めています。経営も大きなプロジェクトデザイン。誰と、どこでやるかはとても大切で、なるべくそれをデザインするようにしています」そのほかにも「アーティストとのコラボレーションの秘訣」「離島でのホテルづくりのエピソード」など多岐にわたるトピックにお答えしました。
これからの観光
最後に、梶原の観光を考える原体験をエールとしてお話しします。
「私は学生時代に、沖縄国体に出場したことがあり、当時は地域の住民の方に宿を提供いただきました。冷蔵庫もない環境でしたが、そこで受けた『おもてなし』や文化的な体験がとても印象的でした。人の手で作られたリゾートも素敵ですが、その体験は地元の人の生活を見せてもらったような感じで。深く共感したことを覚えています。そのような原体験があるので、地域の魅力を伝えることが、観光業の大切な仕事の一つだと思っています。」
今回の講義には2019年春入社予定の内定者も参加。入社に向けて、共に今後の日本の観光を考える機会にもなりました。今後もビジネス業界にとどまらず、ぜひ様々な教育機関とのお取り組みができればと思います。