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デザインは作るものではなく寄り添うもの。はじめの一歩を生み出す就活5STEPの舞台裏

ワンキャリアの勝又瑞稀です。

新卒で入社し、今年で社会人2年目。ワンキャリアでは、以下のような仕事をしています。

・ESや就活体験談などの「学生投稿コンテンツ」の責任者
・マーケティング施策やYouTube企業説明会などにおける、クリエイティブ制作(ディレクション)
・顧客に魅力が伝わりやすい営業資料の作成

一見バラバラに見える業務ですが、「ビジネス的な要件や背景を理解し、デザイン業務を行っている」という点では似ているように思います。今回はそのことがよく分かる事例として、私が中心になって進めた、2023年卒の学生向けプロモーション「就活5STEP」をご紹介します。

ワンキャリアが初めて取り組んだ「就活初心者向けキャンペーン」の裏側

ワンキャリアはこれまで2019年に「#ES公開中」、2020年に「就活生新聞」など、さまざまなプロモーションを実施してきました。

これらは「ワンキャリアに集まる学生の声を生かして、就活における情報格差を解消する」というメッセージを込めたものでしたが、この就活5STEPは目的が大きく異なります。就活を始めたばかりの方たちに、就活の進め方を教える──いわゆる、初心者向けのプロモーションです。

新たな取り組みを行った背景には、新型コロナウイルスの影響があります。就活生の動き方が大きく変わったのです。

2023卒学生の様子がこれまでと大きく異なることは、彼らの動き出しの早さや学生のアンケートなどから分かっていましたが、さらにそのユーザー像をはっきりさせるべく、自分自身でもヒアリングを行いました。

実際に話を聞いてみると、順調に就活を進める学生がいる一方、大多数の学生が「早期化と聞いて、就活を始めたが何をしたらいいのか?」「全体像が分からず動けない」といったような悩みや不安を抱えていることが分かりました。

今の就活生は新型コロナの影響で、人と人のコミュニケーションが減り、2020年卒の私自身が就活を行っていたとき以上に情報を自主的に取りに行かなければならない状況です。

ONE CAREERは、ESや面接での質問内容、各社の求める人物像など、さまざまな情報にアプローチできるサービスですが、先ほど挙げた「そもそも就活で何をすればいいか分からない」というような学生にとっては、有用なコンテンツがあっても、それを取りにいくのが難しい。

これまでであれば、就活を終えた先輩たちに「まずはこれを見るといいよ」などと教えてもらって部分もあると思うのですが、今はそんな情報交換もコロナ禍で難しくなってしまったのではないかと思います。

私自身、これまでコンテンツを作ってきた立場として「もっと皆さんにONE CAREERを使い倒してもらいたい」とずっと思っていましたし、社内でも同様の声はありました。しかし、そこまで手が回っていませんでした。

そんな状況もあり、23卒向けのプロモーションについて「何かさせてもらえないか」と上司に相談したところ、就活の進め方とONE CAREERの使い方を解説するWebページを作る「就活5STEP」という企画が生まれました。

企画から実装までを走り切った1カ月の軌跡

このプロモーションを始めるタイミングは4月1日と決めました。基本的に学生の「就活熱」が高まるのは、新学期が始まり、友人との会話で就活の話題が上がるタイミングです。

ただ、このプロモーションの実施が決まったのは3月上旬、ヒアリングから企画の方向性が決まったのが3月中旬。2週間で特集用のWebページを作る必要があり、通常では絶対に間に合わないタイミングでしたが、「企画」「コンテンツ制作」「デザイン」を役割分担せず、全て一人でやれば、間に合うと確信していました。

企画:個人差の大きい「就活」をあえてタイプ分けし、分かりやすさに注力

まず、企画全体の構成やコンセプトを決めます。「就活って何をしたらいいの?」「全体像が分からない」といった悩みを解決するために、とにかく内容を分かりやすくする必要があると考えました。

世にある就活初心者向けコンテンツも探してみましたが、セミナーやブログはあっても、ぱっと見て分かりやすいものはほとんどありません。

就活の進め方は人それぞれ。1つのページに情報を網羅的に、体系的にまとめるというのは、それだけ難しいということでもあります。そこで、今回は分かりやすさを優先し、あえていくつかのパターンを提示し、型にはめることを意識。就活の流れを大きく5つのSTEPに分けて示す「就活5STEP」というコンセプトが生まれました。

その5つのSTEPが下記です。

STEP1 興味のある企業を探そう
STEP2 全企業共通の基礎的な対策をしておこう
STEP3 インターンに参加して生の情報を得よう
STEP4 志望企業ごとに特化した対策をしよう
STEP5 4つの軸から行きたい企業を絞り込もう

このコンセプトはWebサイトの構造に大きく影響します。

トップページで一覧として5つのSTEPを示して全体を理解してもらい、その上で枝分かれした子ページに移動し、詳細の理解を深めるという形式にしました。

就活の全体像が分からないというユーザーには、まずトップページを見てもらい、すでに就活を始めているユーザーには子ページだけを見てもらう、というように、どのフェーズにいる就活生に対しても、有意義なコンテンツになるような設計にしました。

就活5STEPは初心者向けのプロモーションではあるものの、ワンキャリアのユーザーには、就活におけるトップ企業を目指すユーザーもたくさんいます。初心者向けコンテンツでありながらも、初心者以外も満足して使ってもらえる──このバランスを取るのが非常に難しいポイントでした。

実際に、就活のモチベーションが高い層に向けたイベントだと、以下のような広告のデザインになります。

モノクロでスタイリッシュな雰囲気が出ていますが、「親しみやすい」要素は少なく、初心者向けに打ち出しにくいことはイメージできるはずです。

就活5STEPは幅広い層に向けたコンテンツだからこそ、さまざまなユーザーに向けたメッセージをアレンジしやすいデザインにしようと意識しました。


コンテンツ制作:ワンキャリアのキラーコンテンツを存分に生かす構成に

企画と構成が決まったら、早速コンテンツ制作に入りました。

就活5STEPでのコンテンツ制作とは、5つのSTEPに関する説明とその中にどんな要素を盛り込むかを考え、相手に伝わるような文章で書くことです。

しかし、あくまで私はデザイナー。文章のプロではありませんし、学生に体系的な就活アドバイスをしたこともあまりありません。文章を考えるも全く思い浮かばず、社内のメンバーに相談できるだけの時間もない。スケジュールに追われて、焦りだけが増していきました。

「そうだ、セミナーの資料を使えばいい」

ここで思いついたのが、ワンキャリアにあるコンテンツを再利用すること。無理に新しいコンテンツを作るのではなく、資産を使おうという方針転換です。

ワンキャリアのセミナーとは、2020年に始まったもので、毎回1,000人以上の学生がライブで視聴します。就活のフェーズごとに用意されており、今回のプロモーションにもぴったりでした。

また「就活5STEP」が他の就活サイトや既存のコンテンツと大きく異なる点として、下の画像のように、業界地図などの書籍(Amazon)やYouTube動画など、自社の利益に直接はつながらないコンテンツも入れているという点です。


ワンキャリアのKPIという点だけで考えれば、このWebサイトを見てもらった学生に会員登録してもらうことが望ましく、できる限り他のサイトへの離脱を避けて、会員登録のボタンのみを用意することが定石です。

とはいえ、業界地図や企業説明会動画を勧めた上で遷移先を用意しないのは、「就活をどうやって進めたらいいか分からない」という学生の役に全く立ちません。

そのため、今回のプロモーションは、学生に最大限寄り添って価値提供をした上で、「ONE CAREERってこんなに分かりやすいんだ」と思ってもらい、使い続けてもらうことを目指し、自社サイト以外のリンクを入れ込むことにしました。

公開した後には学生から「就活5STEPのページを起点にONE CAREERのサイトを回遊している」といった声もいただいています。学生への価値提供をできていることがわかり、この考えが間違っていなかったと自信になりました。

デザイン:「親しみやすさ」と「緊張感」の狭間を目指す4つの工夫

企画が決まった段階で、コンテンツ制作と同時並行でデザインの構想も進めました。

「これからの就活で必要な準備と自分の現在地を知ろう」をコンセプトに、「道」や「目印」を背景やアイコンとして使用しています。

デザインで特に意識したのは、就活初心者がサイトを見た際に自分ごとにしてもらう、つまり「自分向けではないな」と思われないようにすること。その上で、デザイントーンとしては、分かりやすさや親しみやすさを意識して作成しました。

一般的に、分かりやすさや親しみやすさを表現しようとすると、配色が多めで明るくポップな書体を使うことが多いのですが、それをやりすぎると、学生が本気で臨む「就活」を軽んじているのではないかと思われる懸念もあります。

そのバランスを取るため、具体的に下記のような点を考えました。

・全体として角は丸くしながらも、配置はベーシックに規則性のある並びにする
・フォントは角ゴシックと普遍的なフォントを使用しつつも、「就活5STEP」のロゴは角を丸くして親しみやすさを感じられるように
・ポップになりすぎるため、コントラストをつけすぎない
・楽しそうな雰囲気を持たせるため配色は豊かにしながらも、楽しすぎる雰囲気はよくないので、ベースカラーの青系をメインに、その他の色はポイントのみで使用

また、コンテンツ制作の部分で一部触れましたが、今回のプロモーションでは「自社サイト以外のコンテンツの紹介があるのに、その遷移先がない(または登録しないと見られない)」といった仕様はユーザー体験を損ねるため、自社サイト以外のリンクも入れ込んでいます。

つまり、就活5STEPから離脱するリンクが多数設けられているということです。

とはいえ、会員登録をしないと見られないコンテンツもあるので、会員にもなってもらいたい。多数のリンクを設置しながらも会員登録してもらうという目的にどれだけ沿えるかの塩梅をとるのが難しい。ユーザー体験を損ねない範囲で、可能な限りKPIにつながるデザインを目指しました。

その結果が、下の画像のようなデザインです。

・コンテンツ遷移のリンク……テキストリンク。クリッカブルなことをユーザーに認識してもらいつつもそこまで目立ちにくいデザインに
・会員登録ページへの遷移のリンク……追従ボタンで全体としてあまり使用していない赤を使用。常に存在感のあるボタンでありながら、読み進める上では邪魔にならず、デザイン的にはアクセントとしての役割を担う

以上のように、考えるべきポイントは山ほどある一方で、スケジュールは本当にギリギリでした。そのため、エンジニアへのコーディング依頼もデザインと並行して進めるという、特別対応で進めました。以下のような形です。

①スマートフォンのページデザインを作成(最低限エンジニアが取り掛かれるレベル)
 イラストも完成していない状態。ダミーのイラストを入れてもらいコーディングを進めてもらう
②PCのページデザインの作成
③イラストの作成

だいぶ無茶な注文だったとは思いますが、どうにか4月1日に間に合わせることができました。

ワンキャリアのデザインは、「人の人生さえ左右する」という責任と向き合うこと

ユーザーヒアリングからLP掲載まで約1カ月。企画から実装までを1人でやり切るのは相当大変でしたが、年次に関係なく(当時新卒1年目)ここまで任せてもらえる企業はなかなかないと、今振り返れば思います。

私たちはユーザーの就活、つまり人生のファーストキャリアを選ぶという決断と日々向き合っています。言い換えれば、自分の考えるデザインが、彼らの人生を左右するものになると言っても過言ではありません。

その意思決定を恣意的なものにしないように、学生自身がきちんと選択ができるように。デザインで不安を煽ってユーザーを行動させるのは、簡単なことかもしれません。しかし、それでは誰も幸せにならないでしょう。ビジネスの成果も意識しながら、ユーザーへの優しさも忘れない。このバランスを取る点が、醍醐味であり、最も難しい点だと感じています。

また、今回のプロジェクトにも表れていたと思いますが、就活に臨む学生の姿はさまざまで、ユーザー像を簡単に絞ることはできません。その中でもより多くの人にメッセージを届けるという粘り強さと柔軟性が求められます。

だからこそ、「自分の担当の部分だけをやりたい」という方よりも、ユーザーのためを考え、それを形に落とすために自分ができることを最大限実行する、という考えを持っている方はワンキャリアに向いているように思います。

是非、興味を持った方はお話を聞きにきてください。

最後に私自身のワンキャリアの入社理由も載せておきます。こちらもご興味あればぜひ。

https://www.wantedly.com/companies/onecareer/post_articles/183891

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