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マネーフォワードの中の人を知ってもらうため、様々な事業のキーパーソンにインタビューをするこの企画。今回は、当社のtoBプロダクトである『マネーフォワード 会計・確定申告』(以下、会計・確定申告)の開発チームへのインタビューです。
■語り手:
加藤拓也(写真右):2015年8月入社。エンジニア。経理財務プロダクト本部 本部長
横坂圭佑(写真中央):2019年2月入社。デザイナー。クラウド横断本部 デザイン部 部長
深堀宗敏(写真左):2016年3月入社。経理財務プロダクト本部 プロダクト戦略部 部長。
■インタビュアー:大崎淳(人事本部)
■カメラマン:武藤篤司(社長室)
事業やプロダクトに興味関心の高い、様々な経歴を持った人達が集まってきた
大崎:今日はよろしくお願いします。どのチームとも話していますが人が増えましたよね。
深堀:以前と比べると増えましたね。
横坂:デザイナーも増えました。
加藤:本当に増えました。もちろんプロダクトの規模やフェーズの関係もありますが、変わらず社内で一番大きな開発体制です。
大崎:色んなバックグラウンドの人が増えましたよね。それこそRubyをずっと書いていた人もいれば、Rubyじゃない言語を書いていたエンジニアの方もいますよね。もともとエンジニアではないキャリア(元新聞記者の人がいます!)の方も含めて。「そんな人がチームにいるんだ」みたいな。
深堀:新聞記者なんて、確かにエンジニアも言語を扱う仕事だけど言語が違いが過ぎるでしょ(笑)
大崎:面白い経歴の方が何人もいるなぁみたいな印象です。
加藤:多様ですね。
大崎:toBと正反対という意味では、ソーシャルゲーム業界出身の方もいますよね。
深堀:もはや入社する前に何やっていたかってあんまり関係ないかもね。
加藤:そうですね。どちらかというと、事業やプロダクトに興味を持っているかどうかが大事な気がします。
深堀:そうそう。ユーザーに信頼されている、応援されているプロダクトに関わっていきたいという思いの方がいます。
大崎:人数も増えて今は、どういう体制なんですか?
加藤:2019年8月に大きく組織変更があって、マネーフォワード クラウド 会計・確定申告は、経理財務プロダクト本部という本部の中で、戦略や企画を担当する戦略部と開発を担当する開発部に分かれています。
深堀:横坂さん含めたデザイナーは、横断本部という別の本部の中に所属してます。
大崎:結構大きく変わりましたよね。ミーティング等はどんな感じでやってるんですか?
加藤:1か月に1回、開発者会議という全体での定例ミーティングもやりつつ、プロジェクト毎には各自定例をやってる感じです。例えば、今進めているアプリプロジェクトだと、アプリに携わるデザイナーもエンジニアも企画側も合わせてやってますね。
大崎:開発者会議って先ほどの戦略部、開発部が全員来るんですか?
深堀:あとは会計に関わるデザイナー、フロントエンドを担当しているUIテクノロジー部のみなさん。プロダクト開発に関わる方は全員ですね。
プロダクトが便利になった先に何を提供したいのか。先を見据えてプロダクトを磨き込む。
大崎:なるほど。プロダクトの話に移りたいです。このチームが携わるマネーフォワード クラウド 会計・確定申告って、マネーフォワード MEに次いで、かなり歴史のあるプロダクトですよね。
横坂:そうですね。私はマネーフォワードクラウド 会計・確定申告以外のプロダクトのデザインも担当しているのですが、例えば今年ローンチしたマネーフォワード クラウド勤怠とはフェーズや歴史の違いを感じます。
加藤:マネーフォワード 勤怠はリリースしたばかりで0→1というフェーズだけど、マネーフォワードクラウド 会計・確定申告は1→10みたいな。
横坂:これは僕の考えですけど、マネーフォワードクラウド会計・確定申告は今まで作ってきたものをより最適化していく、良くしていくフェーズだと思っています。ターゲットユーザー毎に体験を再整理し機能を追加したり整理したりと改善を行う。今年リリースしたばかりの勤怠は新たな価値を提供するために機能を追加していく事が主なので、アプローチは全然違うなと思いますね。
深堀:そこで、戦略部ではまさにいまインセプションデッキというものを作っています。
大崎:インセプションデッキってなんですか?
深堀:簡単に言うと、プロジェクトの全体像(目的、背景、優先順位、方向性等)を端的に伝えるための文書です。その取り決めの一番最初に、「我々はなぜここにいるのか」ってのを決めるんですね。たとえば、「個人事業主向けのマネーフォワードクラウド 会計・確定申告チーム」でインセプションデッキを決める時には、個人事業主ってそもそも何をしたいの?というところから考えたんです。確定申告がどうこうじゃなくて、まずは個人事業主であることを楽しめる世界を目指していこうよという話などが出ましたね。
いま、各ターゲットユーザー毎にこのインセプションデッキを通して再整理をし、それを進むべき方向性として掲げることで、提供したいユーザーを明確にすることで、軸を持った開発をより推進していこうとなってます。
大崎:へ~。そうなんですね。「このプロダクトってこうしたら便利だよね」でとどまらず、「プロダクトが便利になった先にユーザーにどういうことを提供したいか」を考えられると、より付加価値の提供がすすみますね。
「長く使ってもらえるプロダクト」を追い求めていくことで、事業に貢献していく
横坂:マネーフォワードクラウド 会計・確定申告も含め、マネーフォワード クラウドはサブスクリプションモデルなので、大切なのは「満足して長く使っていただくこと」。もちろん直近の売上を目指すこともビジネスとして大切ですが、そこだけを見てしまうのではなく「満足して長く使っていただくためにどうするべきか」をベースに企画、開発とも話ができるのはデザイナーとしてとても良い環境だなあと思っています。
深堀:LTV(Life Time Value)をそれぞれの役割で最大化するみたいな。
加藤:そうですね、我々はプロダクトを作ることは出来るが、直接売上を上げることは出来ないので、解約率をいかに減らしていくことに貢献できるか。
深堀:そうして、いかに長く使ってもらえるか。
横坂:数あるサブスクリプションやtoBのプロダクトの中でも、当社のプロダクトって、お金や個人情報を扱っていますよね。だからこそ、通常のプロダクトよりも信頼が命というところで、よいプロダクトを提供し続けていく必要を強く感じます。
大崎:それって大事で当たり前ですが、なかなか難しいですよね。
加藤:間違いなく言えるのは、リーダー陣は「中長期を見据えた良いプロダクト作りをしたい」という気持ちがみんな強い。実際に採用のときにもそういう話をしますし、そういう視点を持った方が集まってチームになっていることが本当にありがたいと思っています。
横坂:開発の方も企画の方もデザイナーも、「よいプロダクトづくりをする」というベースの考えをみんな持っているので仕事が進めやすいですね。
大崎:「よいプロダクトはどうあるべきか」をみんなちゃんと考えていると。
加藤:それを考える上で必要な知識は、簿記3級とるとか、深堀さんのようにドメインエキスパートと呼ばれる専門家(公認会計士、税理士)に相談することで手に入る。そのための機会や環境を整えてサポートしながら、みんなで作っていますね。
深堀:うん。そうだね。
加藤:だからしっかりプロダクト開発したいっていう人は多いですね。
深堀:私たちが作っているプロダクトは世の中にとって必要なんですよね。国の法令で決算書を作ることが決まっているから、会計業務は絶対にやらなきゃいけない。でも、会計業務って一定の法令知識が必要な作業なので誰もやりたくはないんですよね。
大崎:個人事業主であれ、法人であれ皆誰しもやらなくちゃいけないことですよね。
横坂:そうですね。
加藤:だから社会的意義は大きいですよね。デザイナーも一緒ですが、開発でも複雑なものをどう複雑に見えないように、どうやって複雑さを中に閉じ込めて作るか。ユーザーがやろうとしていること、すなわち経理業務や確定申告自体がそもそも難しいんですよね。そこをいかに、簡単にしていけるか。
深堀:法律の要件を加えていくとどうしても複雑になってしまう。
加藤:かといって、複雑なものを複雑なまま作るのは誰でもできますからね。
大崎:そこをちゃんと解きほぐして、わかりやすくしていくと。
加藤:あと「マネーフォワードクラウド 会計・確定申告」って結局は業務アプリケーションなんですよね。業務で使うので、ユーザーの中には1日7時間とか8時間も使う方もいらっしゃいます。
だからこそ、デザインや開発の力で、ほんの少し使いやすくする、例えば1つ1つの動作を1分ずつ短縮するだけでも、1日トータルにするとで1時間近くユーザーの業務時間を削減できることにつながるかもしれない。
深堀:使う人の滞在時間が長いプロダクトならではですよね。
横坂:だからこそ、少しでも「業務時間が短縮できた」「分かりやすくなった」と思っていただく改善を積み重ねる事が業務アプリケーションの提供価値だと思っています。
ユーザーに寄り添って見えてきた新しい世界の実現のために。全ては課題と向き合うこと。
大崎:たしかに。ちょっとした改善が積み重なってユーザーの価値につながる。それを踏まえて、これからの話を少し聞かせてください。
深堀:ユーザーに寄り添いながらプロダクト開発を進めていたら、だんだんと新しい世界が見えてきました。そこで改めて私たちのユーザーとは誰だろう?ってなったので、整理をしています。ターゲットユーザー毎のインセプションデッキを作っているのも、その一環です。
加藤:うんうん。
大崎:今後チームも少しずつ変わっていく?
加藤:これは「どういう課題に対応するチームをつくっていくか」だと思っています。理想のチームってのは、対応する課題に応じて変わっていくだろうなとは思ってますね。
深堀:今の課題に対しての理想系は、ターゲットユーザー毎の職能横断チームを目指したいんだけど、デメリットもある。だからその一環として、マイクロサービス化みたいな話も出ていている。課題をみながら、バランスを取って選択していますね。
大崎:行き当たりばったりではなく、今そしてこれからの課題に対しての適切なチームっていうところを模索しながら、変えていくと。
加藤:そうですね。チームや組織を変えるのはいつでも出来ますが、あくまで課題に対しての打ち手として組織を変えていく。これを大事にしないと、組織変更の納得感もないですしね。また、フェーズが変われば、課題も変わるのでそこに対してまた組織の形を変えるのかも知れないし、変えないままかもしれない。
大崎:確かに。
加藤:いずれにしろ、ユーザーに寄り添って、課題を地道に解決していくことを大事に、これからもよいプロダクトを作っていきたいと思います。
大崎:ありがとうございます!