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機会は自分たちでつくろう!地域とつながる「フクシルマルシェ」

ソーシャルベンチャーとしてスタートしたmanaby(マナビー)では、創業から社員発のプロジェクトが盛んに行われてきました。そして2023年、社内にある素敵な取り組みをもっとみんなで共有しようと、「manabyらしい挑戦」を公募するという新しい“挑戦”を行いました。


そこで最高評価を得た取り組みの一つが「フクシルマルシェ」です。プロジェクトを企画実行した古川事業所のみなさんにお話を伺いました。
(広報 大坪)


福祉を知るマルシェ「フクシルマルシェ」

「フクシルマルシェ」は、宮城県大崎市にある古川事業所で生まれたイベントです。大崎県内の障害福祉サービス事業所と支援学校が集まり日頃の活動について発表する場として、2021年9月に初めて開催してから、年に一度のペースで実施してきました。


「大崎市は田舎で都市部に比べて福祉施設が少なく、必要としている方に情報や支援が届きにくい現状があります。福祉施設にマイナスイメージを持っている人も残念ながら少なくありません。このイベントは、そんな地域でみなさんに福祉事業所のことを知っていただくとともに、横のつながりをさらに強くしていこうというイベントです」


教えてくれたのは古川事業所 支援員の高橋侑果さん。2022年4月に新卒で入社してすぐにイベントに携わり、今年は中心となって準備を進めました。古川事業所が声をかけ、大崎市内と隣町の就労移行支援事業所、就労継続支援A型B型事業所、支援学校などが賛同して出展しています。


3回目の開催となった今年度は、梅雨時期の開催でしたが天気に恵まれたこともあり、昨年より2割ほど来場者が増えて盛況なイベントとなりました。ふらっと立ち寄ってくれる方もいたそうで、より地域に身近に感じてもらうことができたのではと振り返ります。


きっかけはコロナ禍

このイベントを最初に企画したのはまだコロナ禍の2021年のことでした。


「地域で何年もやっていた福祉のお祭りがコロナで中止になってしまったんです。クルーさん(利用者)の作品を発表する場も、事業所を知っていただく機会もなくなってしまった。そこで自分たちで何か機会をつくろう、何かやっぺ、と」(サービス管理責任者 越智さん)


古川事業所がある地域はクルマ社会です。新幹線の停車駅があり宮城県内第三の人口がある大崎市ですが、都市部のようには公共交通がないため、事業所でも利用者送迎を行っています。


そんな地域の支援者として「manabyのことだけを知ってほしいというのではなく、地域の関係者で連携して、その方に本当に必要な支援を届けていきたいという思いでみんなやっている」のだと侑果さんは言います。


古川事業所の職員たちは、大崎市内だけでなく隣の町まで足をのばし、地域の同業者や関係機関の支援者と直接会ってコミュニケーションをとっていましたが、距離もあるためなかなか頻繁には訪問できません。福祉イベントは新たな仲間と出会い、旧知の仲間と関係を深めるいい機会となっていました。


そのイベントが中止となったことに危機感を感じて話し合った職員たち。機会がないなら自分たちでつくろうと、すぐに行動しました。


得意を生かしてチームでつくる

「最初は手探りでした。会場を決めて、知り合いの福祉事業所に一つずつお電話して『一緒にやりませんか!』とお誘いしました」


第1回目の企画運営に関わった当時の事業所支援員で、今はマーケティング部所属の高橋菜緒さんは、当時を振り返って「大変だった」と笑います。


出展交渉係、全体構成企画、会場レイアウトの担当など、職員の得意なことに合わせて役割を分担。利用者とも一緒にイベントづくりをしようと、一人ひとりに合わせて作業を割り振り、まさに事業所一丸となって準備を進めました。


その中で思わぬ発見があったと菜緒さんは続けます。


「普段寡黙な方が、『場』を回してテキパキと仲間に指示している姿が見られるなど、意外な一面が見えたんです。それをまた就労に向けた支援に活かすことができて、とてもいい流れができました」


デザインを学ぶ利用者がちらしづくりを担当し、作品づくりに取り組む方は出展に向けて新たな制作に取り組み、その他にもDMの送付ラベルづくりや封入作業など、適材適所で全員が関わりながら準備をしました。


実際の仕事を意識して作業を行ったことで、利用者からは「やってよかった」「自分の得意なことに気付いた」という声もあったそうです。


この街だからこそできること

コロナ禍の初開催で当日まで集客が心配だったというイベントも、毎年継続し、来場者も支援者同士のつながりも増やしてきました。


「福祉サービスをやっているもの同士、一緒に盛り上げていきたいよね、と話しています。同業も競合ではなくて、好敵手。それぞれに強みがある。それを支援者同士お互いに理解し合って、地域で困っている人を適切な場所につないでいく。古川という土地柄それがすっと入るんですよ」(越智さん)


フクシルマルシェで関係機関の支援者同士が新たに出会い、挨拶を交わしている光景をみて、やってよかったと思うのだと越智さんは続けました。


事業所では、これから地域の支援学校への出張説明も行う予定です。


「自分で事業所までたどり着ける人もそうでない人もいる。支援学校の子供たちもそう。18歳になって進路を考えるのではなく、もっと早い段階からいろいろな選択肢を知ってほしい。私たちが動いて『それならこのサービス使えるべ』とつなぐことで、古川、そして宮城がよくなっていくといいよね」(越智さん)


古川事業所の職員たちは、地域で『お茶のみさ来さいん?(お茶のみに来なよ)』と声を掛け合いながら、地域で困っている方のために仲間と一緒に何ができるのかを懸命に考えて行動していました。


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